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2006年2月 4日 (土)

カナリア

「カナリア」
製作:2004年、日本  132分kanaria
監督:塩田明彦 出演:石田法嗣、谷村美月、甲田益也子、西島秀俊、つぐみ、りょう、水橋研二

隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5★満点  
一言コメント:「生きていく力」みなぎる少年と少女の物語。2人の生命力がスクリーンから溢れ出てきて、うまく言葉にできない熱い想いが込み上げてきちゃいました。「2005年度・上半期ベスト10」にて第4位にランクイン(関連記事はこちらこちらも見てね)

この映画は、フィクションです。

でも、どこかで聞いた事があるような話で鳥肌が立ちました。

【集団殺人】を実行したカルト教団・『ニルヴァーナ』は、崩壊した。教団に居た子供達は、肉親に引き取られるか・児童相談所に引き渡されるか、どちらかの新しい居場所を得ていた。
主人公は、12才の少年・光一(石田法嗣)。教団幹部である光一の母親は、行方不明になる。祖父は、光一の4歳下の妹・朝子だけを引き取る。独りぼっちになってしまった光一は、児童相談所を抜け出す。「じいちゃんから妹を取り返して、お母さんを探し出す!」そんな強い意志を持って、京都の児童相談所を脱走する。そして、東京の祖父の家を目指して、孤独な疾走を始めるのだった。旅路の途中で、光一は偶発的に12才の家出少女・由希(谷村美月)を助ける。そして、無謀にも2人の東京へ向かう旅路が始まるのだった。

冒頭から、「この映画はフィクションです」と強調していたのですが。どう考えても、95年に起きた『地下鉄サリン事件』のあの集団がモデルになっているとしか思えませんよね。とても勇気のある作品だと思いました。

この作品では、子供の目を通して【大人の幼いエゴイズム】が描かれていました。
まず、自分の勝手で子供2人を教団に入信させる母親の身勝手さに頭にきました。訳もわからないままに連れてこられて、『禁欲生活』と『修行』を強いられる子供達。勿論、母親とは隔離されてしまいます。たまたま母親を見かけた時に、幼い妹・朝子が「お母さ~ん」と駆け寄る。教団の幹部である母親は、「離れなさい」と冷たく引き剥がす。その上、兄の光一に向かって「この子を連れて行きなさい」と言い残して去って行く。この瞬間の光一の絶望感に打ちひしがれたかのような表情が、胸に焼きついて離れません。
そして、祖父もまた愛情の裏返しのエゴを見せつけます。子供を道連れに教団に入った娘が許せない。孫娘の朝子にだけは、娘と同じような人生を送らせてなるものか!と、孫娘を自分の手元にギュウギュウに縛り付ける。光一に朝子は渡さない!って、まるで小学生じみたジジイだ。

少女・由希光一の祖父に向かって放つセリフが印象的だった。
「子供は親を選べへんけど、親は子供を選んでもいいんか?」
全く、誰が大人で誰が子供なのか、わかったもんじゃない。そんな中、「妹と母を取り戻す」という希望だけを胸に突き進む、光一の真っ直ぐな目線がとてもいい。ニコリともしない膨れっ面からは世間への怒りが感じられるけど、希望を捨てずに前へ前へと歩んでいくその純粋さ。『純粋である事』は生きていく上で『強さ』となるのかもしれないと思わずにはいられなかった。

そして、ラストのセリフが最高に素晴らしい。
「これからどうするん?」と由希が尋ねると、光一が答える。 「生きていく」
たった一言であるけれど、とても強くて逞しい言葉。胸に染み入る秀逸なシーンで、思わず涙がこぼれてしまった。

こんなに勇気のある作品を見せて頂いて、日本映画も捨てたもんじゃないという気持ちにさせられました。「邦画はチョットねぇ~」と言う方も居らっしゃるとは思いますが、日本人である以上は、絶対に見ておくべき作品だと思いますよ。是非、ご覧になってください。

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コメント

このあたりを観たのは、去年の初めの方だったので自分はレヴュー書いていないんですがー。
邦画部門ではベスト5入りはしなかったけど、なかなか感動しました。
レズカップルに出逢っちゃうシーンなんてよかったわ。
エンコー少女の人物造形というか言動、行動がイマイチ不自然に感じられたのがちょっとマイナスでした。
しかし、エンディングは泣けました。
髪の色の変化はどう解釈しました?

投稿: かえる | 2006年2月 5日 (日) 23:24

かえるさん、「ムーラン・ルージュ」と共にコメントありがとうございました。「ロミ・ジュリ」も最高ですよね!
本題。「カナリア」に反応して頂き、ありがとうございます。邦画だというだけで、素通りする人が多かったので、とても嬉しく思います。髪の色ですね!私は正直???だったのですが。見た友人と話していて「きっと、解脱しちゃったんじゃない?」という意見が出ましたよ。うーん、ナルホドね。かえるさんは、どう思ったのでしょうか?

投稿: 隣の評論家 | 2006年2月 5日 (日) 23:37

亀レスですがー。

ストレスによる若白髪・・・
じゃなくて、いわゆる一つのメタモルフォーゼスって感じですかね?
サナギが蝶になるように。仮面ライダーが変身するように?
子どもから大人への脱皮であり、戦士としての武装。

解脱というと例(現実の方)の新興宗教っぽい思想なので、
そこから逃げて来た彼にはふさわしくないような気もしたり・・。

さておき、あれこれ解釈できる映画は好きですー

投稿: かえる | 2006年2月10日 (金) 19:00

かえるさん、コメントありがとうございます。
ふむふむー。ラストは色々と解釈できますね。私も、そういう映画って好きなんですよ!コレも一つの「映画鑑賞の醍醐味」ですよね。

投稿: 隣の評論家 | 2006年2月11日 (土) 20:39

こんにちは。コメントとトラックバックありがとうございました。
わたしも、かえるさんと同じく、変態だと思いましたよ。
これから自分の力で生きていくため、強くなるための転生というか。
まぁ、ある意味”解脱”ですけどね。

投稿: いわい | 2006年4月27日 (木) 00:34

いわいさま
TB&コメントありがとうございます。
『変態』ですね。(今の時点だと、ついつい「変態村」を思い浮かべてしまいますね 笑)
>これから自分の力で生きていくため、強くなるための転生というか。
ナルホドねぇ。この作品、やっぱり素敵だと思いますわ。子供たちの演技が素晴らしかったですよね。余り多くの人が見ていない事は、少し残念に思います。

投稿: 隣の評論家 | 2006年4月27日 (木) 01:56

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