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2007年3月15日 (木)

ラストキング・オブ・スコットランド

「ラストキング・オブ・スコットランド」 
<THE LAST KING OF SCOTLAND>/製作:2006年、アメリカ 125分 R-15指定Last_king_of_scottland    
監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、サイモン・マクバーニー、ジリアン・アンダーソン
2007.3.15 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点★

「魅惑的であると同時に ぞっとするほど恐ろしい」

灼熱の2,000日、スコットランド人が見たものは―――
語り継がれる真実、語り尽くせぬ戦慄、例えようのない恐怖

本年度アカデミー賞で、アミン大統領を演じたフォレスト・ウィテカーが主演男優賞を受賞しました。それ以前に、数え切れない程の賞を受賞していますが。この話題性だけで気軽に観ようとしない方がいいと思います。世界から【怪物】と呼ばれ、【人喰い大統領】として恐れられたアミン大統領ですもの。目を覆う程に凄惨なシーンも映し出されます。直視できない人もいるかもしれません。それを覚悟した上で、ご覧になる方がいいですよ。

1971年のウガンダが舞台。繰り返される軍事クーデターにより、新しい大統領が誕生した。その名は、イディ・アミン(フォレスト・ウィテカー)。その頃、医師免許を得たばかりの青年ニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)が、高い志を胸にスコットランドからやって来る。アミン大統領が怪我した場面に遭遇し、手当てをするニコラスアミン大統領に気に入られた彼は、やがて《側近》として過ごすようになる。元ボクシング・チャンピオンにして軍隊のヒーローであったアミンの姿、そして残虐な独裁者たるアミンの姿。医師ニコラスの視点で、映し出されるアミン大統領を描いていく。

アミン大統領は、【怪物】そのものでした。鑑賞前は、弱さ・脆さが垣間見えるヒューマン・ドラマを想像していましたが。そんな印象は皆無でしたよ。独裁政治を貫き、人の命を何とも思っていないようなアミン大統領に対しては、嫌悪感しか浮かんできませんでした。同じ《人間》なんですか?自分に都合の悪い展開になると、関係者は全て抹殺されてしまう。そのくらいに傲慢で無慈悲な生き方。「誰も信用できない」と繰り返すアミン大統領でしたが、心の奥底では孤独に苦しんでいたのかもしれません。どうあっても本音をカケラも漏らそうとしない信念には共感のしようがありませんでした。

本当は、ニコラスだけには心を開こうとする部分があったのかもしれませんね。けれども、悲劇は起こります。アミンの3人の妻の1人ケイ(ケリー・ワシントン)と関係を持ってしまうニコラス。隠し通そうと努めるも、皮肉な展開を迎え、やがてアミン大統領にも知れてしまいます。アミンケイに下した【罰】の凄惨さは、ホラー映画で慣れているはずの私でも悲鳴を上げそうになってしまいました。そして、配下たちに命じてニコラスに暴行を加えさせる。右目の腫れ上がったニコラスの顔も相当インパクトがあったんですが。その後にアミンが与えた【罰】いいえ【拷問】とは?そんなこと具体的に書けるかー!!!

でもね、この【拷問】に取り掛かる前の会話が印象的だったんですよ。暴行を受けてボロボロになったニコラスアミンに発する「あなたは子供だ。だからこそ怖い。」 という言葉。ニコラスを威嚇しようと突き出したアミンの右手が、小刻みに震えていました。鉄壁を作り他人と距離を置いて、誰にも心を開かないように生きてきたと思しきアミン大統領。自分の本質をズバリと言われて、狼狽しているように思えました。一瞬ではあるけれど、アミンにも隙ができたと受け取った私です。人間は誰しも弱い部分やコンプレックスがあって当然だと思うのですが。それを人に知られる事を良しとしなかったアミンの生き方は、何とも息苦しく感じました。

もう一つ、印象深かったシーンを挙げます。【拷問】を受けて《虫の息》状態のニコラスを、同僚の医師がコッソリと助けます。怪我を手当てして、国外へ飛ぶ飛行機へ導こうとします。「なぜ助ける?」とニコラスに聞かれた医師は、「わからない」と答えます。理由なんて要らないですよね、困った人を助けるのが医師であり人間としての良心なんですから。アミン大統領を恐れながらも、無意識にニコラスを助けた医師の勇気。作品全体として捉えると小さいシーンなのですが、とても美しい勇気だと思いました。

【人喰い大統領】という表現は聞いた事はありましたが、本作を見て改めてアミン大統領という存在を知る事ができました。本編中では、アミン大統領が自らの手で人の命を絶つシーンはありませんでしたが。実際にはどうだったんだろうかと余計な事まで考えてしまいました。凄惨な映画でしたけど、単純に観て良かったと思いました。

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コメント

となひょうさん、こんばんは★
オッ、なかなかの高得点ですね!これ、なまじっかなホラーより、ずっと怖い作品でした。
じわじわ来る恐怖が、たまらないものがありましたよね。

>ニコラスを威嚇しようと突き出したアミンの右手が、小刻みに震えていました
そうそう!この辺り、フォレスト・ウィテカー、さすがでしたよね。
あと、ニコラスを吊るした後、涙が一筋流れるのも印象的でした。
自分は、フォレスト・ウィテカーというと、『ゴーストドッグ』がかなり好きで、それ以来気になる俳優さんでありました。
アカデミーの頃は、“黒い鶴瓶”なんて言われちゃって、笑ってしまいましたよ(笑)

投稿 とらねこ | 2007年3月22日 (木) 00:36

とらねこさま
訪問ありがとうございました。
いやぁ、凄かったですねー。
最近の私は、ハリウッド大作に飽きてきていて。世間一般的には、ドッと疲れそうな本作のパワーに圧倒されて。逆に素晴らしい作品に出逢えたとスッキリできました。
フォレスト・ウィテカーって監督もする方だから、みんな簡単に鶴瓶・つるべい言わないで欲しいな。と、コッソリ思っているんですけどね。
本作は、かなり心の準備がいるタイプかとも思いますけど。多くの方に観て欲しい作品でもあります。

投稿 隣の評論家 | 2007年3月22日 (木) 20:26

こんばんは☆
今日はTBがつかないですー。何故。。。
たいしたコメントも残せないですがごめんなさいね。
んー、どちらかというと私はノレなかったんです。
残虐性を色濃く出すつもりだったのでしょうが、中途半端に心理を追ってもらっても逆に怖さは感じず、むしろいい人に見えたというか彼に寄り添えてしまったんですよ。それって決して良い事ではない気がしてきて…。これが本当のアミンの姿なのか、あくまでも映画的な要素でオーバーに脚色された姿なのか。映画と思えば楽しめるのですがね。
ニコラスに対する拷問、こういうのって見慣れてないのでさすがにびびりましたよ~。

投稿 シャーロット | 2007年3月24日 (土) 22:53

シャーロットさま
むむーん、TBどうしちゃったんだろぅ。永遠に不調という訳ではないと思うので?、また是非ともヨロシクお願い致しますね。
コメントありがとうございます。
あ、ちょっとコメント入れにくかったですねぇ、すむませぬ~

>むしろいい人に見えたというか彼に寄り添えてしまったんですよ

そうでしたかー 私は、そうはいかなかったです。寄り添うどころか、腹の内が一切見えない、何だコイツは。ぐらいの印象だったので、シャーロットさんとは逆の感想でした。
確かに、この作品はアミンに寄り添って観ると、ラストを迎えた時に感じることが大分違うかもしれませんね。

投稿 隣の評論家 | 2007年3月25日 (日) 21:18

こちらにもー。
 というか先のコメントが二重になってしまいました。ゴメンナサイ!
 お手数ですが1つ削除をばお願いしてもよいですか?
わたしはアミンもニコラスももうひとつ自身の野望に対する器が伴わない、というか叶わない夢を追っちゃったのかなと思いました。実際のアミンは大統領になる以前にはボクサーとしても名を鳴らしたそうですが、同じ野望を追うならそっちだけにしとけばあんなに他人を恐れたり疑ったり、本質的なものが邪悪だったのかはわからないけれどそういうものが凶暴な形で外に現れたりすることもなかったんじゃないかと思ったり。精神的な不安定さみたいなところをフォレスト・ウィティカーが絶妙に演じていましたよね。

投稿 mako | 2007年3月27日 (火) 00:21

makoさま
コメントありがとうございます。

>アミンもニコラスももうひとつ自身の野望に対する器が伴わない

なるほどー。確かに、アミンにガタガタぶるぶると震えても、ニコラスに共感するという事もなかったような感じもー。ニコラスは自業自得とも取れるという意見も結構見かけましたしー。
やっぱり、アカデミー賞を獲得しただけあって、フォレスト・ウィテカーの演技はもの凄かったですね。今までは、どちらかと言うと親近感で一杯だったのですが。本作では、縮み上がらせて頂きました(泣)。

投稿 隣の評論家 | 2007年3月27日 (火) 20:25

こんにちは。
「メイド 冥土」は普通に昼間も上映すると思いますよ。多分。

本作はアミン大統領の狂気を見させてくれましたね。
「人喰いアミン」という言葉は聞いたことがあったので、この作品でも人喰いシーンが・・・と思ってましたが、さすがにそれはなかったか。
「人喰い」とマスコミに書かれ、怒ってたシーンがあったんで、本当には食べていないんですよね?

空港でニコラスが受ける拷問は・・・私も書けませ~ん!

投稿 CINECHAN | 2007年3月31日 (土) 13:34

CINECHANさま
TB&コメントありがとうございます。

>「人喰い」とマスコミに書かれ、怒ってたシーンがあったんで、本当には食べていないんですよね?

これは、「うんっっっ」と元気一杯の返事ができないですなぁ。本編より凄まじい行為を繰り返していたかもしれない、なんて余り考えてみたくないですよね。
『冥土』より何倍も怖いのでは?という気がします。(見てないケド)

投稿 隣の評論家 | 2007年3月31日 (土) 17:57

コメント&TBありがとうございました
まさに「怪物くん」なアミン大統領でした
ああなってしまったのは英軍へのコンプレックスが原因なのか、はたまた彼自身が持っていた残虐性(幼児性)ゆえか、反対勢力を抱えているというストレスからか・・・ 一番大きな原因は、権力という麻薬にラリってしまったからでは、とわたしは思います。なんとなく、ですが

>「なぜ助ける?」とニコラスに聞かれた医師は、「わからない」と答えます

ちょいとネタバレですけど、この前にニコラスが病院で体を張って患者をかばっていたところを、たまたま見ていたのも理由のひとつでは。救いがたいニコラスくんですが、根は悪いヤツじゃないと思います。彼はこのあとどう生きたのか・・・・ 意外とあんまり変ってなかったりして(笑)

投稿 SGA屋伍一 | 2007年4月 2日 (月) 10:25

SGA屋伍一さま
TB&コメントありがとうございました。
あっ、私ぐらいしか書いていない部分に、ヒントをありがとうございました。

>ニコラスが病院で体を張って患者をかばっていたところ

ふふっ。今となっては忘れてしまいましたが、少しスッキリできた気がします。
ニコラスに共感できなかったという声を多数見かけましたけど、決して悪い奴ではなかったという事ですねん。

投稿 隣の評論家 | 2007年4月 4日 (水) 23:46

隣の評論家さん☆こんばんわ~!
コメント&TBありがとうございます。
お返事大変遅くなりごめんなさい・・・

この作品を観ていて思ったのは、人間の持つ二面性かなと思いました。善い顔をしたと思ったら、自分の都合に上手く持って行こうとする・・・ニコラスの吐いた「あなたは子供だ~」というセリフもそれを如実に表しているかのようでした。
誰しもが子供の頃から持っている素養というものがあると思い、それこそ開き直った時に怖いのだなと感じましたね。
この作品、べらぼうに怖かったです。アミン大統領という存在も怖さがあったのですが、どちらかというと人間のある側面を信じて妄信してしますニコラスという男もまた怖かったです。
実に人間の側面の意趣が上手く見えてくる傑作でしたね♪

投稿 orange | 2007年4月 7日 (土) 02:43

orangeさま
TB&コメントありがとうございます。
とても忙しそうですね、大丈夫でしょうか。ま、ノンビリのんびり気の向くままにいきましょう。
いやぁ、本当に『怖い』の一言に尽きる作品でした。
フォレスト・ウィテカーの迫力は、アカデミー賞受賞も納得ですね。
ニコラスに共感できないという声を幾つか見かけましたが、やっぱり人間って誰しも裏側があるというか。何か、そのくらい迫力めいたものを見ることができた気がします。

>実に人間の側面の意趣が上手く見えてくる傑作でしたね♪

そうですね。やっぱり見応えのある作品だったたと、今でも実感できてしまいます。

投稿 隣の評論家 | 2007年4月 7日 (土) 23:22

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