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2007年4月28日 (土)

バベル

「バベル」 
<BABEL>/製作:2006年、アメリカ 143分 PG-12指定Babel    
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 脚本:ギジェルモ・アリアガ 出演:ブラット・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、アドリアナ・バラッサ、役所広司、菊地凛子、二階堂智、エル・ファニング、ネイサン・ギャンブル、サイード・タルカーニ、ブブケ・アイト・エル・カイド
2007.4.28 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★

「世界はまだ変えられる。」

遠い昔、言葉は一つだった。神に近づこうと人間たちは天まで届く塔を建てようとした。神は怒り、言われた。「言葉を乱し、世界をバラバラにしよう。」やがてその街は、【バベル】と呼ばれた。――(旧約聖書 創世記11章)

アカデミー賞で作品賞受賞は逃したけれど、日本では助演女優賞に菊地凛子がノミネートされたこともあり、『ディパーテッド』よりも話題になっている気がします。確かに、個人的には本作の方が素晴らしいと思ったな。

モロッコ → ジャッカル退治の為のライフルを預かった兄弟が、ふとした口論から銃を発砲してしまう。その弾丸は、崖下の観光バスに命中する。更に、アメリカ人夫婦の妻スーザン(ケイト・ブランシェット)の肩を貫いてしまう。
メキシコ → この夫婦に乳母を頼まれたアメリア(アドリアナ・バラッサ)は、息子の結婚式の為に里帰りするはずだった。ところがリチャード(ブラッド・ピット)に強引に子供の世話を頼まれる。リチャードの子供を連れて、故郷のメキシコへと向かうのだが。
東京 → モロッコの乱射事件のライフルの所持者は、ある日本人男性(役所広司)だった。彼もまた、聾唖の娘チエコ(菊地凛子)とのすれ違いで頭を悩ませていた。

モロッコ、メキシコ、そして東京。3つの舞台で、心が通わずにすれ違う人達の姿を淡々と追った作品です。鑑賞前は、どうしようもなく重たいテーマなのかと思ってました。であれば、何が何でもポジティブな解釈を試みようと思ってましたが。本作は、意外とアッサリ目の印象を受けました。逆に大袈裟じゃない分、心に残るシーンもあったかな。

これはあくまでも私の感想ですが、主な登場人物の傲慢な部分を映し出しているような気がしました。しかも、薄っすらと。まずは、アメリカ人夫婦。夫リチャードは、乳母に予定外の仕事を押し付けたり。妻が危機に晒されたとは言え、観光バスの他の乗客のことは一切考えられなかったり。妻のスーザンも、負傷する前にモロッコという地に侮蔑の表情を一瞬見せた気がしたし。村で介抱してくれる人にも不信感を顕わにしたり。この夫婦の子供の面倒を見ていた乳母アメリアも、息子の結婚式に子供たちを半ば強引に連れて行ったり。アメリアの甥っ子サンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)も、帰路で警察に捕まりそうになったら国境を突破した上にアメリア&子供達を途中で無理矢理降ろしたり。ライフルの所持者の娘チエコは、心が満たされずに男性と肉体関係を結ぶことで温まろうとしていましたが。捜査に現れた刑事(二階堂智)の名刺を手に、不安定な心のままに彼を呼び出してしまったり。この作品の描写よりも私の感覚の方が大袈裟かもしれませんが、誰の心にも傲慢な部分があるのかもしれないなぁとシミジミ感じたのであります。

そんな感想を持ちながらも、印象深く残ったシーンもあります。モロッコで銃を発砲したのは、ほんの子供でした。しかし、テロ事件として大騒ぎになります。警察は薬莢からこの家族まで辿り着き、父と子供たちは咄嗟に逃げます。警察の発砲した銃が、長男アフメッド(サイード・タルカーニ)を捉えます。次男ユセフ(ブブケ・アイト・エル・カイド)は警察に向けて発砲しますが、更に銃撃を浴びたアフメッドは倒れます。父親の絶叫が轟いた後、ユセフは銃を捨て両手を上げて立ち上がります。「ボクがアメリカ人を撃ちました。あなた達にも発砲しました。でもどうか兄を助けてください!」と、警察に歩み寄るシーンには涙が止まりませんでした。もう一つは、銃弾を浴びて重症を負った妻を助けるために躍起になるリチャードに、救いの手を差し伸べたガイドの人(多分)です。この夫婦は現地の人を見下しているような印象を受けてしまったのですが、ガイドの彼はリチャードを励まし最善を尽くします。最終的に夫婦は助けられますが、リチャードはお礼にとガイドの彼にお金を渡します。ところが、彼は受け取りません。温かい笑顔で夫婦を助けた彼の行動には感動しました。このシーン、見逃す人も多いと思いますが。皆さん、そこまで拾ってくださいね。

人と人はすれ違う時もあるでしょう。それでも、人は温かいのです。そういう風に受けとめてみました。そう考えると『クラッシュ』の方が魅せられたというのが正直な感想ですけど、なかなか見応えがありました。私はブラピさんよりもガエル君が好きだな。ところで、ブラピさんの目尻の皺の多さにビックリしちゃいました。モロッコは乾燥してたかな。菊地凛子も印象深かったですよ。チエコというキャラクターには、何とも言えない感情が込み上げてきました。あんなに肉体関係を求めるのには、どんな訳があるのかと気になってしまいました。恐らく、母親の愛情を一杯浴びる前に母を亡くしてしまったのかもしれないなぁ。チエコには、まだまだ母性愛を注ぐ必要があると思うんです。父親だけでは無理かもしれません。そして、刑事役の二階堂智には一目惚れしました。あの印象深い声は、どこかで聞いたことがある気がするなぁ。本作の予告のナレーションは、彼とは違う人なんでしょうか。チエコの歯科医は、小木茂光だったぁ!それともう一つ、メキシコでアメリアを捕まえる警察官はマイケル・ペーニャ

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コメント

おおお 隣の評論家さんも 今日観られたんですね!

コブタもこちらずっと観たかっただけに 初日に飛びこんでしまいました!

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 作品の中の 本作がもっともあいまいなラストを迎える映画だけに 賛否も分かれそうですよね~。

登場人物が、言葉民族など様々な事情で通じ合えず、苦しんでいく様子は本当にもどかしく切なく、面白いとかいうよりもただただ物語に引きこまれてしまいました。

投稿 コブタです! | 2007年4月29日 (日) 01:23

コブタさま
TB&コメントありがとうございます。
初日にサクッと行って来ましたが、地元で見たので余り混んでいませんでした。有楽町や渋谷では、きっと混んでいたんですよね?
確かに、賛否両論別れそうな気もしますよね。何かを汲み取れば、なかなか見応えのある作品だとは思いますがね。
『面白い』という一言では片付かない作品でしたね。おススメなんだけど、どういう言葉で勧めたらいいのか少し迷います。とにかく、コブタさんが仰るように引き込まれるものはありましたー。

投稿 隣の評論家 | 2007年4月29日 (日) 21:19

どうもこんばんは、TB返しありがとう
間違えて2回目TB送ってしまったようなので、消しておいて頂けるとありがたいです。
アメリアを捕まえた警官、どこかで見た覚えがあったんですよ、WTCの警官の人ですか?そうですよね?確信持てないですけど。
終わり方にちょっともやもやが残るけど、全体的に緊張感溢れた演出でした、苛立ち伝わり過ぎるほど伝わってきました。音楽も音響も効果的でした。

投稿 くまんちゅう | 2007年4月30日 (月) 21:37

くまんちゅうさま
TB&コメントありがとうございます。
ダブリの削除は了解です~。
そうそう、アメリアを捕まえた警官は、WTCにも出演していたマイケル・ペーニャですよーん。くまんちゅうさんのコメントで確信を持ちました。
スッキリ爽快なエンディングではなかったですけど、何とも言葉にできない味わいでした。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月 1日 (火) 19:45

ふふ、さすがは評論家さんだわ。マイケル・ペーニャチェックは怠らない。それと小木茂光と二階堂智をしっかりチェック済み。笑
ブラピのシワって特殊メイクかと思ってましたが;ホンモノなの?子供と電話で話すシーンには泣けましたわ。

投稿 シャーロット | 2007年5月 3日 (木) 01:07

シャーロットさま
訪問ありがとうございます。
ふっ、当然ぢゃないですか。私がマイケル・ペーニャを見過ごすはずがありやせん。マイケルに関しては、結構多くの方が気づいたようで嬉しく思います。小木茂光さんは、一世風靡セピアのリーダーだったとは思えないくらい、脇役ではあってもドラマや映画に出演していますよね。大杉蓮さんのような俳優道を貫いて欲しいと応援しているんです。
二階堂智は、本作が初対面でしたけど。声も素敵だから、ナレーションの仕事でも続けていけそうですよね。うふっ

投稿 隣の評論家 | 2007年5月 4日 (金) 00:17

ドモドモ-♪
いやー、素晴しい映画でありましたね。
この映画、宣伝の仕方がちょっとアレだったのものですから(賞効果でエンタテイメントっぽく宣伝していたような気が)拍子抜けした方も多かったようですが、自分的には凄く良かったです。

>主な登場人物の傲慢な部分を映し出しているような気が
うん、これはワタクシも思いました。
特にアメリカ人夫婦リチャードとスーザンに思いましたですヨ。
国境警備員の対応といい、何処かアメリカの傲慢さにも通じるものを感じました。
重い映画だったけれど、最後にそれぞれが「抱きしめる」シーンで終わったのが救いでしたよね。

投稿 Puff | 2007年5月 6日 (日) 13:24

Puffさま
TB&コメントありがとうございます。
そうなんですよね。ヒットするのは嬉しいけれど、誰が見ても楽しめるかというとそうとは言い切れないので。もの凄い話題になっているのを見ると、ちょっとドキドキしてしまいますよん。

宣伝している時は、『言葉の壁』を提示している印象を受けましたけど。本作を見て、『言葉』以前の問題なんだなぁ とシミジミ思いました。ほんのちょっとの勝手さが、結果的には悲劇を招くこともあるんだなーなんて。同じ言語で話していても、心を通わせるのは簡単ではないんですね。

>最後にそれぞれが「抱きしめる」シーンで終わったのが救いでしたよね。

心に染み入る抱擁シーンでしたね。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月 7日 (月) 20:14

こんにちは。
えーと、二階堂さんは「ラストサムライ」にも官軍の兵士役でご出演されてました。最後のサムライ達への乱射に涙浮かべて深く頭を垂れる印象深い役(四角いお顔も)でしたよ。
バベルですが、ちょっと期待していたよりはいま一つでした。
仰るように”傲慢”さが鼻につくと言うより、まず何故わざわざモロッコまで行くのかが?理解出来ず・・(^^;)
とはいえ、しみじみと良い映画だなとは思いました。

投稿 マダムS | 2007年5月 8日 (火) 15:52

マダムSさま
TB&コメントありがとうございます。
このところ、TBの調子が良いみたいですね。一安心です♪

期待に及ばずな感じでしたか?私も、満点ではなかったです。人と人のぶつかり合いを描いた作品としては『クラッシュ』の方が何倍も好きです。

>何故わざわざモロッコまで行くのか

これは考えてもみなかったけど、お金一杯あるから遠出したんでしょか。役所さんのキャラも、とってもお金持ちに見えましたしー

二階堂智は、『ラスト・サムライ』に出てたんですか。初対面ではなかった~ 気がつきませんでしたー、教えて頂き、ありがとうございましたー。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月 8日 (火) 22:08

こんにちは。
レビューが描き辛い映画だった気がします。

>これはあくまでも私の感想ですが、主な登場人物の傲慢な部分を映し出しているような気がしました。

なんか嫌なものを丁寧に描いて、何かを伝えようとしている、って感じでしたね。
でも時々眼を背けたくなるシーンもありましたが・・・・

投稿 jester | 2007年5月 9日 (水) 07:24

隣の評論家さん、おはようございます!

人の傲慢な面と、優しさの面とが表れていた映画でしたね。
傲慢さというのは人の気持ちを汲み取れないこと、優しさは人の気持ちがわかること。
そして気持ちを伝えられないもどかしさみたいなものが感じられる映画でした。
モロッコのガイドさんにリチャードがお金を渡そうとするシーンはけっこう読み込もうとすると深いシーンですよね。

投稿 はらやん | 2007年5月12日 (土) 08:06

jesterさま
訪問ありがとうございます。お返事が遅くなってゴメンなさい。
この作品は、本当にレビューが書きづらかったですね。
今だに、何を感じ取るべきだったのか、何となく迷っている状態ですー。

>嫌なものを丁寧に描いて、何かを伝えようとしている

そうですね!上手い描き方だったのかもしれないけれど、なかなか大勢の人には素晴らしさが伝わりにくい作風だった気がします。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月14日 (月) 12:49

おばんです
見ている間は「???」でしたが、その後思い返すといろいろわかってくるような(気がする)、そんな映画でした

>リチャードはお礼にとガイドの彼にお金を渡します。ところが、彼は受け取りません

この場面はわたしも印象に残っています。その前にブラピが「この役立たず!」とガイドさんを罵倒していただけに、ほっとする場面でした
「そういう時はシャツにねじこむくらいせんとダメだろうが!」と思いましたが、そんなことをしたらガイドさんが傷つくかもしれないし・・・・ 難しいところですね
札束を握りしめて、困った顔で立ち尽くすリチャードの姿が印象的でした

投稿 SGA屋伍一 | 2007年5月14日 (月) 22:03

となひょうさん、こんばんは。コメントありがとうございました。
本作賛否両論、というか否定寄りの感想が多かったかなぁ。

私自身、物語や構成自体はまずまず引き込まれたのですが、終わってみると??? となってしまいました。
確かに感想は語り辛いですね。
あらかじめ通じない言葉や想いについて語られた作品だということを謳われていたので、自分なりに解釈はしてみましたが。

ちょっと一般的には勧め辛い作品かな。

投稿 CINECHAN | 2007年5月15日 (火) 01:04

はらやんさま
TB&コメントありがとうございます。

>傲慢さというのは人の気持ちを汲み取れないこと、優しさは人の気持ちがわかること。

そうですね、上手い具合に描いていたと思うのですが。優しさの部分よりも傲慢さの方に目がいってしまいましたワ。
モロッコのガイドさんのシーンは、とても印象深かったです。感想を求められたら、このパートを語るようにしています。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月15日 (火) 11:44

SGA屋伍一さま
TB&コメントありがとうございます。
ちょっと難しい作品という感じでしたね。込められたテーマがすんなり入ってこないと言うか。
モロッコのガイドさんのシーン、印象に残って頂いたようで嬉しいです。そうなんですよ、お金を受け取らないガイドさんを相手に一瞬固まるリチャードの姿は、とても印象深いシーンでした。罵倒してしまったことを反省していたんでしょうかね。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月15日 (火) 17:09

CINECHANさま
TB&コメントありがとうございました。
うーん、本当に語りづらい作品でしたね。今だに、感想を求められると戸惑ってしまいます。
やっぱり、公開前の宣伝がシックリこない気もしますね。話題になったという意味では、成功しているのかもしれないけれど。う~ん、何だかな という声が多いというのも残念な気がしてしまいます。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月15日 (火) 17:34

こんにちはー。
チエコは心がさみしくてさみしくてたまらなかったんでしょうね。肉欲が満たされることをイコールとはき違えてるのかも知れないけど、誰でもいいから抱きしめて自分を受け入れてくれる人がほしかったんだろうなーと思いました。
あんまり外レビュー回りはしていないのですが、あんまりご覧になった方々の評判が芳しくないみたいですね。オスカーその他で話題が先行していたのでそれだけ万人期待度高かったのかもですが、ペ●パーランチとタイアップとかじゃなくて もちょっと丁寧に宣伝して、こぢんまりみせた方が作品にとっても幸せだった気が。

そういえばチエコの家に白ネコさんがいたの、お気づきでしたか? いかにも金持ちの家っぽいチンチラみたいな長毛種じゃなくて、しろさんチックなMIX系だったのがポイント高かったです(笑)

投稿 mako | 2007年5月26日 (土) 11:31

makoさま
訪問ありがとうございました。

>もちょっと丁寧に宣伝して、こぢんまりみせた方が作品にとっても幸せだった気が。

私もそう思いますよぉ。公開前のイメージとしては、ミニシアターで小ぢんまりとって感じだったけど、かなり大々的に取り上げられてしまって。しかも、世間一般的には浸透しにくかったみたいで何だか残念だったような気も少ししていますよ~。

そ、そ、そ。白ネコさん居ましたよねぇ。もの凄い喰らい付いて見てました。でもやっぱり出番はチョットでしたねん。映画の本筋とは関係なくても、ネコが登場すると「おおおおお!」とノリノリになってしまいますわん。

投稿 隣の評論家 | 2007年5月26日 (土) 17:09

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