フリーダム・ライターズ
「フリーダム・ライターズ」
<FREEDOM WRITERS>/製作:2007年、アメリカ 123分
監督、脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ 出演:ヒラリー・スワンク、スコット・グレン、イメルダ・スタウントン、パトリック・デンプシー、マリオ
2007.6.16 試写会¥0にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「昨日までの涙がインクになる。」
それは、一人の新米教師と、一冊のノートが起こした奇跡の物語。
あふれる涙を勇気に変えて――今日からは違う自分に。
この人が出演している作品なら、是非とも見てみたい。そんな風に思わせる女優の一人、ヒラリー・スワンクが製作総指揮と主演を務めた話題作。彼女が演じた女性教師は実在の人物で、実際の出来事を元に描かれた作品である。
1994年、ロス暴動直後の郊外のウィルソン公立高校が舞台。外の世界と同様、学校の中でも人種毎に固まっては対立を起こす生徒達の姿が映し出される。そこへ国語の新任教師エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が赴任してくる。不信感を顕わにし、人を疑うばかりで暴動を繰り返す生徒達の姿に愕然としたエリンは、様々なスタイルの授業を繰り広げる。少しずつ心を開いていく生徒達の成長を、感動的に映し出していく。
私は、結構目頭が熱くなりながらの鑑賞でした。《教育》って、一言では片付けられない難しさがあるなと思うのですが。先日見た日本映画『14歳』で衝撃を受けたり、『300<スリーハンドレッド>』を見た時に《スパルタ教育》という言葉が生まれた事について考えてみたりしました。人によっては、本作の展開はスムーズ過ぎると感じるかもしれないですけど。私は、女《金八先生》のようなこの女性が繰り広げた授業の数々、ストレートに素晴らしいと思ったんですよね。私自身がアツイ部分もあるのかなぁ(苦笑)、各校に1人は彼女のような熱血先生が居るといいのになと思いました。
ヒラリー・スワンク主演と掲げていても、私にとって本作の主人公はあくまでも少しずつ生まれ変わっていく生徒達の方でした。単一民族国家の私たち日本人にとっては、ピンとこない描写もあるかもしれませんが。人種のるつぼアメリカ合衆国には【人種差別】という大問題が如実に現れているという事を改めて気づかされました。貧富の差が亀裂を生んでいく。とても15歳には見えない生徒達。大人っぽさの訳は、若くして体験した壮絶な出来事が彼らの無邪気さを奪ってしまったのではないでしょうか。ギャングの抗争に巻き込まれたり、殺されかけた経験があったり。人種毎に群れている彼らは、肌の色や瞳の色などの見た目は違っていても、心は似たような淋しさを抱えている事がわかります。それを気づかせてくれたのが誰あろうグルーウェル先生なのでありました。一見、風変わりな彼女の授業や宿題を全て紹介するにはスペースが足りませんので。私が最も印象深かった場面を書きたいと思います。
いわゆる〈白人〉ではない生徒の殆どが『ホロコースト』 を知りませんでした。これこそがグルーウェル先生に改革を起こす決意をさせたようでしたが。ホロコーストの傷跡を紹介する博物館へ課外授業の一環として生徒達を連れて行きます。そこで初めて知る過去の大事件と、ユダヤ人が受けた傷。生徒達は、自らの心が傷だらけだからでしょうか、事の重大さを一瞬で理解します。『アンネの日記』 を教材の一つとして与えられた生徒達は、読書にのめりこみ感銘を受けます。グルーウェル先生は、名前は忘れてしまったのですがアンネ・フランクを匿った生存者への手紙を書くことで〈感想文〉としての課題にします。生徒達の熱い気持ちは、募金を募ってこの生存者を学校へ招くというイベントにまで発展します。以前は反抗的だった男子生徒は、この人物へのリスペクトが止まずに「あなたは私のヒーローです」と告げるのですが。この人物の言葉は、私の心にも温かく響きました。生徒達の手紙を読んだ彼女は言います。「私はヒーローなんかじゃない。あなた達こそがヒーローです。これからも毎日ヒーローであり続けて欲しい。」 この場面はフィクションなのかもしれません。それでも、この作品で最も忘れ難い涙・涙の素敵な描写でした。
上にも書いた『ホロコースト』を知らない生徒達。学校の予算を理由に、優秀とされないクラスには教材も安くて安易なものしかあてがわないという描写がありました。教える側のオトナの事情もあるのは避けられない事実なんだと思いますが。『ホロコースト』を知る機会を与えられなかった生徒達は、グルーウェル先生と出逢ったことで教科書だけでは知り得ない数々の事柄を学んでいっているように見えました。
日本の教育現場は、どんな感じなのでしょうか。私は、教科書で『ホロコースト』を学んだ覚えがありません。授業中に居眠りしていただけだったら土下座ものなんですが、私が『ホロコースト』について簡単に予習・復習みたいなことをしたのは何を隠そう映画でした。スティーブン・スピルバーグ監督が数々の栄誉に輝いた作品『シンドラーのリスト』です。映画鑑賞って、本当に勉強になります。知り得なかった世界中の数々の出来事、歴史、そして人間の人間たる姿など。本作の具体的な感想から少し離れますが、今後もたくさんの映画を見て色々と学べたらいいなと思いました。
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コメント
となひょうさん、こんばんは。
TB・コメントありがとうございます。
ストレートでありがちな話ですが、感動的でしたね。
確かに話がきれいに進みすぎる感じはしましたが。
私も涙を流すシーンいくつかありましたよ。
>映画鑑賞って、本当に勉強になります。知り得なかった世界中の数々の出来事、歴史、そして人間の人間たる姿など。
これは私もつくづく思います。
こうやってブログをやって、となひょうさんや他の人の意見を読んで、尚更感じますね。
今後ともよろしく!
投稿: CINECHAN | 2007年8月21日 (火) 00:57
CINECHANさま
TB&コメントありがとうございます。
なかなか感動的な作品でしたよねぇ~
それにしては、イマイチ盛り上がっていない気がして。
ちょいと勿体ない気もしております。
『ホロコースト』という言葉も、日本ではそんなに知られていなかったりするんでしょうか?そんなことまで考えたのですが、この作品を語る相手がいなかったんですよね~
私も、ブログをやっていて良かったと思えた作品でした。
始めるのも止めるのも簡単ですけど、続けるのってコレがまた大変だったりしますもんね。
こちらこそー、どうぞヨロシクです!
投稿: 隣の評論家 | 2007年8月21日 (火) 20:15
今頃ですが、やっと私もレビューをアップしました。
>ユダヤ人が受けた傷。生徒達は、自らの心が傷だらけだからでしょうか、事の重大さを一瞬で理解します
アメリカの貧困層の民族対立があそこまで酷いとは思いませんでした。
民族であらそう、という点が、彼らの現実と同じなんですよね。
そこから彼らが気づいていく、というところが感動的でしたよね~
結構泣かされました。
TBさせていただきました。
投稿: jester | 2007年8月25日 (土) 09:31
jesterさま
TB&コメントありがとうございます。
私も、なかなか感動できました。
この作品を見たという方が少ない気がして、ちょっと残念に思っていました。
>アメリカの貧困層の民族対立があそこまで酷いとは思いませんでした。
私も、感動したとは言いつつも、かなり他人事です。
日本って、本当に平和ボケと言うか、何と言うか・・・。
盛り上がらないままに上映も終わってしまいましたけど、なかなか素敵な作品でしたよね。
投稿: 隣の評論家 | 2007年8月26日 (日) 10:13