« シュレック3 | トップページ | 魔笛 »

2007年7月21日 (土)

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 
製作:2007年、日本 112分Funukedomo
監督、脚本:吉田大八 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏、山本浩司、土佐信道、上田耕一、谷川昭一朗、吉本奈緒子、湯澤幸一郎、ノゾエ征爾、光村亮太朗
2007.7.21 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」

なにものにもなれない、あなたの物語。
可笑しくて壮絶な姉妹バトルが今幕をあける!

カンヌ国際映画祭《批評家週間》正式招待作品。カンヌまで足を運んだ吉田監督と風変わりな着物ドレスでバッチリとポーズをきめるサトエリの姿をテレビで見ました。雑誌や映画サイトでのプロのレビューも、私が目にしたものは高評価ばかりでしたし。原作に関しては全く知らなかったのですが、何しろタイトルが強烈で興味深い作品の一つでした。実際に見てみて、なかなか面白いと感じたのですが。何を書いたらいいのか考えがまとまらず、戸惑いながらの鑑賞でした。ひとまず、チラシに載っているストーリーを引用させて頂きます。

両親の訃報を受け、東京から山間の田舎に舞い戻ってきた姉・澄伽<すみか>(佐藤江梨子)。女優を目指し、家族の反対を押し切って上京したが、実は超ゴーマンな勘違い女。自意識過剰な上に自覚ゼロのため、女優活動も頭打ち。そんな澄伽の帰省が妹・清深<きよみ>(佐津川愛美)を脅かす。その訳は、かつて清深が姉の秘密を暴露し、描いたホラー漫画が、全国誌に大々的に掲載されてしまったためだった!自分が女優として成功しないのはそのせいだと清深をいびり、復讐する澄伽兄・宍道<しんじ>(永瀬正敏)は、姉妹の間で板ばさみとなり、身動きが取れない。兄嫁・待子(永作博美)は、お人好し過ぎて皆に疎まれながらも、夫に素直に従う。澄伽が帰ってきたことで、今まで保たれてきた和合家の均衡は崩壊寸前だった。そしてとうとう、清深が恐怖の事件をしでかした。姉のいたぶりにもじっと耐えていたが《面白すぎる姉》 を間近で見ているうちに溢れる創作意欲が抑えきれなくなり、再びペンを執ってしまうのだった。4人の関係は爆発炎上し、壮絶な展開へとなだれ込む!

ブラック・ユーモア満載でお届けしているという事なんだけど、ところどころ笑いきれない部分もありました。この作品での〈猫〉の扱いには、猫好きの私としては寧ろ涙ホロリでしたよ。サトエリだけど、これは演技なのか?と疑問符が浮かんでしまうゴーマンっぷりでしたが、大丈夫でしょうか?元々「歯に衣着せぬ」刺々しいキャラクターのイメージが強かったものだから。妹をイジメ抜いたり、血の繋がらない兄・宍道に色仕掛けで脅迫(と、私には取れた)したり。宍道にとっては、押し付けられた乳房も嫌悪感の残る肉の塊にしか感じられなかったりして。「ハニィー・フラ~ッシュ♪」パッパ・パヤッパァ、ワ~オ♪♪♪ と愛らしく演じていた『キューティー・ハニー』よりもハマッてるんだけど。まぁ、見ているコチラは「お姉ちゃんは最高に面白い」 という清深の冷静な視線に寄り添って堪能することができたんですけどね(汗)。

それにしても、和合家の人々は一緒に暮らしていてもてんでバラバラでしたね。メインは【勘違いで超ゴーマンな姉 VS 根暗でシタタカな妹】の対決なんでしょうが、2人に翻弄される義兄・宍道と、宍道に八つ当たりされる嫁・待子の存在も印象深く映りました。宍道が本当に苦しそうで、彼にとっては一種の生き地獄みたいなものだったんではないですかねー。生後コインロッカーに捨てられ、孤児院で育ってきた待子にとって【家族】という居場所は最高峰の夢だったのでしょう。夫の暴力にも笑顔で耐えて、あり得ないくらいにポジティブに振舞う姿は印象的でした。待子みたいなキャラって、時と場合によっては疎ましさを覚える人もいるとは思うけど。私が男だったら、最終的に癒しを求めて「帰りたい」と思うのは抜群のスタイルでうっふん・あっはんと迫りくる澄伽よりも、待子の方だと思うな。ここは一発、〈反面教師〉として澄伽を観察だっ。

澄伽は自分の事ばっかりで少しも周囲の人を見ようとしていなかったけれど。清深は、おとなしく振舞いながらも、澄伽のことは勿論、周囲の人をジックリと観察していました。この姉妹のバトルは、妹・清深の圧倒的勝利だと言うしかないんだけど。ラストは、どう受け取ればいいのかな。胸の内を爆発させる清深に、面食らってたじろぐ澄伽。この2人の関係は極端だけれど、超ゴージャス・バディよりも静かなしたたかさを身につけた方が得なんだろうかなんて薄っすらと思ってみました。それと、ブラック・ユーモアと言われても、待子が迎える結末は余りにも悲し過ぎました。待子には幸せになってもらいたいんだよな。余談ですが、清深が描いた澄伽が主人公の漫画を実際に読んでみたいと思いました。梅図かずおセンセイのような世界観にも興味津々でした。

|

« シュレック3 | トップページ | 魔笛 »

コメント

となひょうさん、こんにちは。
これ、とてもおもしろかったです。
先月観た、○○に載ってない虫とか○督、ばんざいとかは映画館で見なくてもよかったかも系の笑いだったんですが、本作は、かえる値では、『松ヶ根乱射事件』や『エクステ』クラスの面白さでした♪
きよみの描いた漫画も全部読んでみたいですよねー。
扇風機にスイカやそばやら田舎の日本の夏ののどかさの中の修羅場感がさいこーでした。

投稿: かえる | 2007年7月25日 (水) 15:44

かえるさま
TB&コメントありがとうございます。
んー、『図鑑に~~』は残念な感じだったのですねぇ・・・。

この作品は、好き嫌いが別れそうな感じですよね。
私は面白かったんだけど、感想を上手くまとめられずにチョットだけ唸っておりました。何だカンだで記事を仕上げましたけども。

きよみの描いた漫画、是非とも読んでみたいですよねん。
「女優になりたい」でしたっけ?
そう言えば、終盤の扇風機の不思議は面白かったですねー

投稿: 隣の評論家 | 2007年7月25日 (水) 23:52

となひょうさん、こんにちは~
う~ん・・この作品捉えどころがなかったです。
もっとベタベタな笑いかと思ってたけど、
ブラックな感じで、サスペンス風でもあって、
ラストもどんな風に取ればいいのか、私もわからなかったです。
サトエリが今ひとつ好きになれないので、
彼女の役柄には更に苛立ちを感じたりしてたけど。


投稿: CINECHAN | 2007年7月28日 (土) 11:38

CINECHANさま
こんにちわ。訪問ありがとうございます。
あああ、ベタではなかったですよね。
込められた笑いもブラック過ぎて笑っていいのか戸惑いました。
でも、面白く鑑賞できたかな。

ラストねー、わかり辛いですよねー。
結局、妹ちゃんは姉から逃れられないといった描写だったんでしょうかね。断言はできないですけど。
サトエリが好きな人にも、キツイ役柄でしたよねー

投稿: 隣の評論家 | 2007年7月29日 (日) 10:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144633/15694263

この記事へのトラックバック一覧です: 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ:

» 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」:菊川駅前バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/kaeru_en4/}いやあ、でかい看板だな。しかも、二枚。 {/hiyo_en2/}あれがほんとの看板娘ってところね。 {/kaeru_en4/}でも、やっぱりああいうところに飾られても見栄えのするモデルになるにはスタイルがよくなきゃいけないんだろうな。 {/hiyo_en2/}佐藤江梨子みたいに? {/kaeru_en4/}そうそう。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」なんて、彼女の足の長さを見るためにあるような映画だもんな。 {/hiyo_en2/}最初の登場シーンから、足の長さを強調する... [続きを読む]

受信: 2007年7月22日 (日) 22:18

» 【2007-101】腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は? 姉・澄伽(すみか) 自分が特別だと思っている勘違い女 妹・清深(きよみ) 姉のいたぶりに耐える少女 今の私はホントじゃない。 絶対人とは違うんだ。 『やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。』 ... [続きを読む]

受信: 2007年7月22日 (日) 22:54

» 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY ]
タイトルのインパクトに負けてないオモシロさ。 両親の訃報を受け、女優を目指して上京していた長女、澄伽が4年ぶりに北陸の山間部の田舎に帰って来た。ん~、おもしろかった。 近くに座っていた女子は観終わって開口一番「なんかよくわかんなかったねぇ」って言ってたけどね。うん、そんなタイプかも。このブラック・ユーモアは万人受けはしないだろうけど、ハマる人はすっぽりハマるでしょう。『松ヶ根乱射事件』的なおもしろさ。或いは、『蛇イチゴ』寄りの『ゆれる』。それらの男兄弟よりは、こちらの姉妹は熱いのだけど。女は... [続きを読む]

受信: 2007年7月25日 (水) 15:37

» お姉ちゃんのいいとこ100個見つけて歌にする [CINECHANの映画感想]
182「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(日本)  山間のある集落。ある日和合曽太郎と妻、加奈子が不慮の交通事故死を遂げる。両親の訃報に東京から澄伽が戻ってくる。女優を目指し、家族の反対を押し切り上京していたが、実は傲慢な勘違い女。自意識過剰で自覚無しのため女優業も頭打ち状態。そんな澄伽は妹の清深を脅かす。かつて清深は姉の秘密をばらしてしまうことをしてしまっていた。こうして澄伽の清深いびりは続くが、兄の宍道は姉妹の板ばさみで身動きが取れない。兄嫁、待子は度を越すほどのお人好し。  澄伽...... [続きを読む]

受信: 2007年7月29日 (日) 14:15

» 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(07・日) [no movie no life]
タイトルはシュールだけど、中身はもっとその上を行く。 交通事故で急死した和合夫妻の葬式の日、女優を目指して上京していた長女(佐藤江梨子)が戻ってきた。平穏に暮らしていた長男(永瀬正敏)、その嫁(永作博美)、次女(佐津川愛美)たちに、緊張感が走る。本谷有希子の... [続きを読む]

受信: 2007年7月30日 (月) 01:04

» 腑抜けども悲しみの愛を見せろ [映画、言いたい放題!]
妹に誘われて初日舞台挨拶付き上映に行きました。 少し前にテレビで作家の本谷有希子さんのインタビュー番組を見て 変わった人だなぁと思ってたのと キャストに永作博美さん、永瀬正敏さんと 上手いなぁと思っている人が出ているので 興味津々です。 両親の訃報を受け、音... [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 02:50

» ★「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 [ひらりん的映画ブログ]
今月は、どうも「109シネマズ川崎」での上映作が気になるひらりん。 2本まとめて見てきちゃいました。 その2本目。 [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 03:32

» 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」試写会 [Thanksgiving Day]
九段会館で行われた、映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の試写会に行ってきました!! 本谷有希子原作の、ブラックユーモア溢れるこんな内容です。 ↓↓↓ 『両親の訃報を受け、音信不通だった澄伽(佐藤江梨子)が東京から戻る。家には、母の連れ子だった兄・宍道(永...... [続きを読む]

受信: 2007年8月 4日 (土) 23:41

» 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [I N T R O]
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」評/何者にもなれない…… (ネタバレあり!)「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は地方の少女が将来を夢見て、何者かになろうと足掻く話である。この悲喜劇は、劇作家として活躍する本谷有希子氏の同名作品を原作とし、これまで数多くの...... [続きを読む]

受信: 2007年8月 6日 (月) 10:54

» [ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]あたし女優になるの! [アロハ坊主の日がな一日]
映画[ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]をシネマライズで鑑賞。 題名といい、コンテンツといい、ぶっ飛んでます。明朝体で書かれたタイトル、その横にポツンと憂いのある表情で立っている澄伽(佐藤江梨子)・・・というパンフレットの表紙からも尋常ならぬ緊迫した雰囲気が、伝わってきます。 原作は劇作家であり、小説家であり、ラジオのパーソナリティも務め様々な顔を持つ本谷有希子。そして監督はCMディレクターの吉田大八。トーンがどこか[ 下妻物語 ](04)、[ 嫌われ松子の一生 ](06)に似ていると... [続きを読む]

受信: 2007年8月17日 (金) 10:46

» 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』 [月のブログ]
映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』公式サイト 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫 も 48-1) 勘違い女が女優を目指し、その妹がいじめられながらも姉の姿を漫画に描いて、家族に波乱が起こるというお話... [続きを読む]

受信: 2007年8月19日 (日) 23:09

» 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [ショウビズ インフォメーション]
劇団の主宰として活躍する傍ら、小説『生きてるだけで、愛。』で芥川賞候補になるなど作家としても注目が集まっている本谷有希子の同名舞台劇を佐藤江梨子主演で映画化。 自意識と自己愛にみちたヒロインを取り巻く陰鬱な人間模様... [続きを読む]

受信: 2007年8月29日 (水) 17:35

« シュレック3 | トップページ | 魔笛 »