魔笛
「魔笛」
<THE MAGIC FLUTE>/製作:2006年、イギリス 139分
監督、脚本:ケネス・ブラナー 出演:ルネ・パーペ、ジョセフ・カイザー、リューボフ・ペドロヴァ、エイミー・カーソン、ベンジャミン・ジェイ・デイヴィス、シルビア・モイ、トム・ランドル、トゥタ・コッコ、ルイーズ・カリナン、キム=マリー・ウッドハウス
2007.7.25 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.3★/5点満点★
「奇跡の音色が世界に愛を咲かす」
魔法の笛に導かれて出会った恋人たちのファンタジックな愛の物語
モーツアルト最高傑作オペラの完全映画化
ミュージカル好きでクラシック音楽も割りと好きな私にとって、とても楽しみにしていた1本でした。『オペラ座の怪人』を映画で見たことはあっても、オペラ鑑賞をした経験がない私ではありますが。きっと気に入るんじゃないかと予想していました。実際に見て、とっても楽しめました。139分という短くはない尺が、アッと言う間に過ぎていきました。これはオペラ歌劇だもの、ストーリーを細かく追うよりは、圧倒的な雰囲気を存分に楽しむべし。
第一次世界大戦前夜のヨーロッパに舞台を置き換えて描かれる物語の主人公は、兵士のタミーノ(ジョセフ・カイザー)。夜の女王(リューボフ・ペドロヴァ)から魔法の笛を渡され、暗黒卿ザラストロ(ルネ・パーペ)に誘拐された娘パミーナ(エイミー・カーソン)を救い出してくれと頼まれた彼は、忍び込んだザラストロの神殿でパミーナと出会い、瞬く間に恋に落ちる。そんな2人がやがて知ることになる驚愕の事実。愛を叶え、自由を手にする為に課せられる過酷な試練。魔笛が起こす奇跡の愛の物語は、全ての人に愛の歓びを呼び起こす。――(チラシより)――
色々と気に入った部分があるので、振り返ってみたいと思います。
まずは、俳優ではなくクラシックの歌手が奏でる見事な歌声に魅了されました。ザラストロを演じたルネ・パーペは、当代随一のバス歌手 だそうで。もともと、声フェチの私としては。男性の歌声というと、テノール歌手やソプラノ・ボーイといった高い歌声に感心させられることが多いのですが。低い歌声が、こんなに美しく胸に響き渡ったのは初めてでした。ザラストロという思慮深くて器の大きいカリスマティックなキャラクターの魅力も手伝って、すっかり目がハートになったまま鑑賞を続けておりました。
そのザラストロへ憎悪をつのらせる夜の女王の存在感も素晴らしかったです。出番は少ないながらに、ダークサイドへと堕ちてしまった悲しさを見守るしかありませんでした。女王がパミーナに「ザラストロを殺せ」と詰め寄るシーンでの見事な歌声と言ったら!ザラストロは、彼女が暗黒面から戻ってくるのを待っていたように見えましたが。彼女には届かないところが切なくもありました。
もう一人挙げるとすると、やっぱり《お笑い》担当のパパゲーノでしょうか。タミーノが《おっとこまえ》という設定なもんだから、「♪俺なんかモテやしない~♪」 と、それはそれは見事な歌声で明るくボヤいたり。「夜の女王に鳥を捧げる鳥刺し」という解説がある通り、肩の上はもちろん頭の上にも鳥が止まっている姿が愛らしかったです。戦闘用と思われるヘルメットの上に、鳥の人形みたいなものがくっついていたのも可愛かったですし。パパゲーノの幻想シーンも素敵でした。女性の姿をした鳥達(多分)と、空を飛んだり歌ったり。運命の恋人パパゲーナと出逢う直前のシーンも好き。誰も自分に気づいてくれないと自殺を図ろうと納屋の上に昇っていく時に、その場に居た犬や猫が心配そうにパパゲーノをじーっと見上げているという描写がたまらなくツボでした。私は、タミーノよりパパゲーノのような男性の方が好きだけどな~♪
美術もなかなか凝っていたと思うんですよね。真っ青な空の色みたいな軍服に感心していたら、対する軍のユニフォームは見事な赤でしたし。ザラストロと人々が、戦没者と思しき墓地へと向かうシーンがありましたが。ズラーッと並んだ墓石の白が美しく映りました。墓石には世界各国の人の名前が刻まれていて、日本人のものもありましたよ~。
夜の女王がパミーナに詰め寄る場面での壮大な風車とか。女王が最初に姿を現す場面は、戦車の上だったりとか。衣装のみならず常に【黒】を身にまとった女王も、善玉ではないながらに私の心を鷲掴みにしました。
もう一つ好きだった場面をば。ザラストロが率いる赤い軍服の兵士の陣地に詰まれた麻袋のようなもの。詰まれたものが作り出した《壁》に、顔が一杯映っていて、その顔が歌いだすという描写がツボでした。人によっては怖い映像かもしれないけれど、短いシーンながらに私はアッと驚いて楽しんでおりました。
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コメント
おひさです。
これオイラ的にはそもそも、クラッシックファンとして観に行く気は更々ないんですが…。
たまたま今日、出張帰りの機内放送のクラッシック番組中に『魔笛』特集がありまして、聴いちゃいましたよ。
歌が全部キングズ・イングリッシュ吹替えって、ありえなくないですか? かなーり愕然としました。パパゲーノも声を聴く限りは豊かでもなく、弾けてもいなかったし。
時代考証では懲り症のケネス・ブラナーが、随分と中途半端な作りにしたなあ、と首をかしげてる最中です。まあ、観れば理解できるのかもしれないけど…いずれ将来、レンタルDVDで鑑賞、かな。
投稿: エスねこ | 2007年7月27日 (金) 00:39
エスねこさま
コメントありがとうございます。
あらららら~、随分と辛辣なご意見をお持ちなんですねー
>歌が全部キングズ・イングリッシュ吹替えって、ありえなくないですか?
私は所詮、オペラは初級者なので。この辺の違和感には全く気づくことができませんでしたー。上級者の方にとってはお気に召さない作品なんですか?私は存分に楽しめたので、きっとオペラ初級者の人には楽しい仕上がりになっていると信じます。この作品がキッカケでオペラ鑑賞を始める人もいるのではないかとすら思っています。
投稿: 隣の評論家 | 2007年7月28日 (土) 21:04
となひょうさん、コメントTBありがとうございました。
モーツァルトも秘密結社絡みの話も、大好きなのですが、今回は魔笛のその辺りを匂わせないために第一次大戦に持ってきた演出でした。
鳥刺しを毒ガス探知用の飼育係りにしたのは昨今の動物愛護的気遣いだったように思います。
ザラストロの独唱も平和への祈りになっていて上手いこと創られていたと思います。渋くて素晴らしい歌声でしたね。
毎回どの魔笛を見ても主役のタミーノよりパパゲーノの方に肩入れしちゃうのはなんででしょうか?
誰かが止めてくれるのをひたすら待っているような自殺未遂シーンもいつ見ても可笑しいです。
投稿: くまんちゅう | 2007年7月29日 (日) 01:31
こんにちは~
わたしはこれ本当に堪能しました!聞いてて(観てて)快感って言うのは久しぶりです。たまにはこういう映画もアリですね
投稿: カオリ | 2007年7月29日 (日) 13:20
TB&コメントありがとうございます。
★くまんちゅうさま
そうですかー、設定にも色々と工夫してあったのですねぇ。
どんな設定であれ、きっと私は楽しんだと思います。
>毎回どの魔笛を見ても主役のタミーノよりパパゲーノの方に肩入れしちゃうのはなんででしょうか?
おおお、そうですかー タミーノの完璧なキャラクターよりも、パパゲーノのような親近感の湧くキャラクターの方が魅力的ということなんですかね。あの自殺未遂のシーンは、なかなか好きでした。
投稿: 隣の評論家 | 2007年7月29日 (日) 17:41
★カオリさま
私も、最後まで存分に堪能できました。
エンディングも、曲そのものに浸りきっておりました。
劇場は激混みだったし、楽しんだ人が多かったみたいで何よりでしたー
投稿: 隣の評論家 | 2007年7月29日 (日) 20:02
はじめまして。
ケネス・ブラナーがシェイクスピア物じゃない映画、しかもオペラの映画をやると言うことで少し前に見に行ってきましたが、結構楽しく見ることができました。平日昼に見に行ったにもかかわらず、劇場がほぼ満員だったのはちょっとびっくりでしたが。
投稿: pezhetairoi | 2007年8月 6日 (月) 20:48
pezhetairoi さま
初めまして、こんにちわ。
コメントありがとうございます。
平日の昼でも混んでいましたか!ビックリするけど、何か嬉しく思います。なかなか話題になっているようですね。
私も、とても楽しく鑑賞できました。
とりあえず、周囲の人にはおススメしています。
投稿: 隣の評論家 | 2007年8月 7日 (火) 20:28
となひょうさん、こんにちはん。
暑くて死にそうな毎日ですがー。
そろそろすいたかなぁとやっと観に行きましたー
やっぱりモーツァルトは天才ですよねぇ。
私はリズムを刻む音楽の方が好みなので、別段クラシック好きではないんだけど、やはり素晴らしいものは素晴らしいと思いますー。普段は弦楽器好きなんだけど、金管楽器の音色にもときめいたし。ドイツ語オペラを英語でというのは邪道かもしれないけど歌声の美しさと迫力が肝なのでいいんじゃないかと思えました。演出も楽しかったですよねー。そのテーマ、平和の願いにも感動しちゃったりして、楽しみどころは盛りだくさんでしたー。
投稿: かえる | 2007年8月 9日 (木) 13:05
かえるさま
TB&コメントありがとうございます。
ホントにもう、暑くて力が入りませんですわ。
何で英語なんだと感じる方もいらっしゃるようですが、私も全く気にならずに堪能できました。もしかして、これが日本語でも歌が素晴らしければ楽しめるかもとさえ思っております。
>歌声の美しさと迫力が肝
そうそうそう!素晴らしかったですよねー。
細かい演出(というかパパゲーノの名場面の数々)も楽しめたし、平和を願うというテーマも素直に素敵だと思えますよね。
まだまだ混んでいるんでしょうか。結構な人気みたいですよねー
投稿: 隣の評論家 | 2007年8月10日 (金) 21:47
やっとこさ観て来ましたー!
ウチのすぐ近くのシネコンではこの土曜日が公開だったんですー
じっと我慢の子をしていて待ちくたびれてしまいましたよん。
いやー、見事なアレンジでしたねー!
古代の設定を第一次世界大戦に置き換えるなんて、その発想はなかなか思いつかないですよね。
そそ、印象的なシーンもありました。
緑の芝生にずらりと並ぶ白い墓標とか、あと、壁一面の麻袋顔もビックラでしたーーー!
あれには驚きましたわ。
思わず一人一人の顔をじっくり注視してみました。フフ
パパゲーノもパッと見た感じは三枚目なんだけど、ジックリ見ると男前ですよね。
でで、ワタクシ、ルネ・パーペが良かったですーーー♪
(ああいう感じ、好きなんですわ)
タミーノに向かってさりげにウインクしたところが可愛くって素敵でした。うふ
投稿: Puff | 2007年8月27日 (月) 21:35
Puffさま
訪問ありがとうございます。
おおおおお~、ご覧になりましたねー
素晴らしかったですよねぇ。
クラシック通の方から見ると、なんでやねんという部分も多々あるみたいですけども。通でない私にとっては、今までは手の届かないものだと思い込んでいたオペラ歌劇を近くに感じさせてくれたもの。
麻袋顔のシーンは、何も知らないで見ると、ちょっとホラーみたいですかね?少し不気味ですよねん。でも、私も1つ1つの顔をジーッと観察してしまいましたわん。
>でで、ワタクシ、ルネ・パーペが良かったですーーー♪
わ、私も、ザラストロは素敵だと思いました。
専属秘書になりたいです。
実は、サントラCDも遅れて購入しましてん。
夜の女王の歌は、やっぱり見事ですー。
投稿: 隣の評論家 | 2007年8月28日 (火) 20:07
こんにちは~♪ となひょうさん!
隣の評論家さんだったんですねー!! トラコメ有難うございましたー嬉しかったですよん~♪
私も同じくミュージカルもクラシックも大好きですが、オペラはTVでは観ても、劇場鑑賞までにはなかなか至らずで・・(^^;) 以前プッチーニの「トスカ」の映画版を観てとっても楽しめたので、これも期待していたのでした!!
ひゃ~ さっすがですねー 細かいところに良く気がついていらっしゃる!
>ヘルメットの上に、鳥の人形
>その場に居た犬や猫が心配そうにパパゲーノをじーっと
そういう小技が憎いですね!
ザラストロのルネ・パーペのバスも良かったですよねぇ!
実は先日TVを観ていたら(確かNHKハイビジョン)、ドイツの交響楽団の演奏、合唱つきで教会音楽の放送をしてまして、な、なんと!彼が歌っているではありませんかー!驚いて嬉しいやらで、最後まで見入ってしまいました。活躍されているようですね^^
なんとか生で拝見したいものですよね~~♪
投稿: マダムS | 2007年9月 9日 (日) 07:16
マダムSさま
TB&コメントありがとうございます。
そうなんですー、最近、略称が浸透してきていまして~
改名するのも何なので、慣れてきた方には自らも略称「となひょう」でお邪魔することが多くなりましたー
どちらでもお好きな方で呼んでくださいませー
私もクラシックに精通していないけど見たくなった時は、映画で見るようにしています。
映画って歴史の勉強にもなったりするし、素敵ですよねん。
そして、何とルネ・パーペさんのお歌をTVで放送していたんですねー!!!!!
それは見たかったですぅー
映画でも勿論そうでしたが、きっと素晴らしい歌声だったんでしょうね。
投稿: 隣の評論家 | 2007年9月 9日 (日) 23:10
こんにちは。今頃こんな下の記事にコメントしてごめんなさい。
やっとレビューをアップしたので、のこのことやってきました。
>ストーリーを細かく追うよりは、圧倒的な雰囲気を存分に楽しむべし。
見る前は、「不出来だったらどうしよう」とかなり不安だったのですが、結果的にはとっても楽しんじゃって、3回もみてしまいました~
>ザラストロを演じたルネ・パーペ
ね、ね、ね、素敵でしたよね!!
動いている彼を見たのは初めてだったのですが、もう目が釘付けです。
彼が見られただけでも充分見る価値があったデス!
>詰まれたものが作り出した《壁》に、顔が一杯映っていて、その顔が歌いだすという描写がツボでした。
あそこ、印象的でしたよね~
最初ぎょ!として、それから、顔だ!と思って、そして、ええ?どうなってるの??何なの??と引き込まれちゃいました。
ああいうのがあるから、映画化も許せちゃいます♪
TBさせていただきましたけど、ちゃんと送れるか心配です・・・。
最近とっても調子悪くてなかなか送れません・・・(涙
投稿: jester | 2007年9月20日 (木) 12:24
jesterさま
訪問ありがとうございます!
あっ、通の方でも楽しめる方がいるのは嬉しいーーー
しかも3回もご覧になるとは。
恐れ入っちゃいます~。
真のオペラ・ファンの方から見ると、とんでもない試みでもあるようですね。
私にはそれが全然わからないので、かなり楽しめてしまいましたよー
日本語でも、多分大丈夫だと思うくらいに。
ルネ・パーペさん、素敵でした。
私、ザラストロみたいな男性って、たまらなく好きだったりします♪
投稿: 隣の評論家 | 2007年9月21日 (金) 18:56