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2007年9月30日 (日)

9月に鑑賞した映画たち

劇場公開で鑑賞した作品 合計13本でした。
9月に鑑賞した作品の中でベスト1は「題名のない子守唄」でございます。今月は2週連続3連休があり、どちらも映画鑑賞に当てることができました。結果、久し振りに13本も鑑賞することができました。前半は、期待しすぎだったと残念に思う作品が多かったのですが、後半は一気に巻き返しました。「ミルコのひかり」と併せて、イタリア映画に見せられた秋でした。

「ミルコのひかり」   4.3★/5.0★

「サルバドールの朝」   3.5★/5.0★

「題名のない子守唄」   5.0★/5.0★

「めがね」   3.5★/5.0★

「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」   3.5★/5.0★

「サイボーグでも大丈夫」   4.3★/5.0★

「ストンプ・ザ・ヤード」   3.8★/5.0★

「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」   3.8★/5.0★

「酔いどれ詩人になるまえに」   3.5★/5.0★

「ホステル2」   3.5★/5.0★

「ブラック・スネーク モーン」   3.5★/5.0★

「さらば、ベルリン」   3.5★/5.0★

「ベクシル 2077 日本鎖国」   4.0★/5.0★

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2007年9月29日 (土)

ミルコのひかり

「ミルコのひかり」 
<ROSSO COME IL CIELO>/製作:2005年、イタリア 100分Mirukohikari  
監督、脚本:クリスティアーノ・ボルトーネ 出演:ルカ・カブリオッティ、パオロ・サッサネリ、マルコ・コッチ、シモーネ・コロンバリ、アンドレア・グッソーニ、アレサンドロ・フィオーリ、ミケレ・イオリオ
2007.9.29 ミニシアター回数券¥1,330にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,300で妥当 / 評価:4.3★/5点満点★

「明日を信じる勇気。」

音と勇気が、ボクの瞳になった。事実だからこそ伝わる感動の物語

評判通りの素晴らしさ。観に行く時間を作れて良かった~・・・。『ニュー・シネマ・パラダイス』を生んだイタリアから再び届けられた、ひと粒の宝石。と、引き合いに出すのも良くわかるくらい『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い起こさせる感動作でした~。

1971年イタリア・トスカーナ。映画をこよなく愛する10歳の少年ミルコ(ルカ・カブリオッティ)は、不慮の事故によって両眼の視力を失ってしまう。両親から遠く離れた全寮制の盲学校へ転校させられるが、自分の目が見えないことを受け入れられず心を閉ざすミルコ。だがある日、学校の片隅で古ぼけたテープレコーダーを見つけ、そこから知った音との出会いが彼に新しい世界の扉を開かせることとなる。やがて彼の自由を信じる気持ちが閉ざされた世界に留まっていたクラスメイトたちにも夢と希望を与え、周囲の人々や世論をも突き動かしていく。 ――(チラシより)――

イタリア映画界で活躍している盲目のサウンド・デザイナー、ミルコ・メンカッチの少年時代を描いた作品。実話を元に作られた訳です。虚構ではなく現実だと考えると、後から後からジワジワと胸に染み入る描写が幾つもありました。ちょっと振り返ってみたいと思います。

視力を失うことは、決して〈ハンディキャップ〉なんかではない。そんなポジティブな空気が全編に流れていました。「頑張らなければいけない」という強制的なものではなく、「仕方ない、ここはひとつ頑張っていきますか」という風に肩の力を抜いて自然体で楽しんでいる感じです。もしも自分が失明したら、心を閉ざしたまま簡単には殻を破れないような気がします。自分自身のみならず、周囲の人までもがパニックに陥るんではないかと。本作でも、最初はミルコも両親も落ち込んで見えましたが。盲学校に入った途端、空気が変わっていきました。生徒達がとても明るいんです。元気一杯の子供らしい愛らしさを放っています。取っ組み合いの喧嘩もするし、駆け回ってふざけたりもする。私が一番印象的だったのは、ミルコと最初に言葉を交わすフェリーチェくん(シモーネ・コロンバリ)。木にハシゴをかけて登り、一服している場面での会話は忘れ難いです。ミルコは以前は目が見えていましたが、フェリーチェは生まれた時から目が見えませんでした。ミルコに《色》ってどんな感じなのかと聞いてみて、ミルコの返事から見えないなりに《色》を想像してみるフェリーチェ。何てことない場面かもしれませんが、私は感動しました。陽気です、ポジティブです、偉いです。人生に詰まって落ちこんだ時には、思い出して元気を分けてもらえそうです。

ミルコが視力を失ったことは残念ではありますけど、《テープレコーダー》との出会いは必然だったのかもしれないですね。視力がないことで更に五感が研ぎ澄まされていることは間違いないし、そのぶん才能は開く一方なのかもしれません。テープレコーダーと出逢ってからのミルコは、少しずつ心を開いていくのと同時に、輝いていくような気がしました。ミルコの心を開こうとアプローチしていくジュリオ神父(パオロ・サッサネリ)の懐の深さも印象的でしたが。同時に、もしかしてジュリオ神父は少しずつ輝いていくミルコが羨ましかったのではないかしら。だからこそ、この輝きを大切に応援したいと思ったのではないかと。「自分は教育者だ」というばかりの押し付けがましさの無い、さり気ない〈友人目線〉的なアプローチも素敵だったなぁ。

それと、私だからこそ魅入られたという私的な感想もあります。
まずは、視力を失う前のミルコが外で遊んでいる場面です。トスカーナの美しい風景に、心の洗濯をしてしまいました。間違いなく空気はおいしそうだし、空の青が見た事もないくらいに美しかったです。普段は全くもって《インドア》生活をしていますが、リフレッシュ休暇は海外旅行に当てることが多いものですから。見過ごせない風景でした。イタリアには行ったことありませんが、もし行く機会を持てて金銭的に許されるのならトスカーナも訪れてみたい!!!
あとはやっぱり、ミルコ【映画少年】という部分は素通りできませんでした。私もこうして映画ブログなんかやってみていますけど、10歳の頃はまだ【映画】に夢中になっていませんでしたもの。今では、アカデミー賞でも【音響効果】賞といった部門があるくらい。情報番組などで、効果音が生まれる仕組みなんかを見たことはありますけど。幼い頃にクラスメイトと夢中になって【音】で物語を作っていく展開は、とても楽しそうで羨ましかったです。中でもお気に入りキャラのフェリーチェくんがドラゴンの声を担当して「ぐうおぉぉぉぉぉーーーっ」と吠えている場面は大好き♪

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2007年9月26日 (水)

サルバドールの朝

「サルバドールの朝」
<SALVADOR>/製作:2006年、スペイン 135分Salvador  
監督:マヌエル・ウエルガ 出演:ダニエル・ブリュール、レオノール・ワトリング、レオナルド・スバラグリア、イングリッド・ルビオ、トリスタン・ウヨア、ホエル・ホアン、セルソ・ブガーリョ
2007.9.26 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「もっと、生きたい。」

25歳の若者に下された不当な死の判決
愛する者たちに見守られながら、その瞬間は近づいていく

公開後、最初のレディース・デイの夜に観に行って来ました。でも、前の方は空席が目立っていたんだよなぁ。18:30開映だから、行きたくても無理だという人も多いのかな。そういうことにしておくけど、私自身は期待していた程には堪能できなかった感じです。〈ぴあ満足度ランキング〉では、堂々の第3位ですよ。第1位は何かと言うと、こちらもまた私はノレなかった『めがね』でした。辛辣で少数派意見だとは知りつつも思い切って打ち明けると、9/22公開の作品群は9月の中で一番期待していたんですよ。私が観た作品は、どれもこれも物足りない感想で終わってしまいました。

(チラシよりストーリーを紹介)
1970年代のスペイン、フランコ政権末期。「自由な世の中に変えたい」という一心で反体制活動をしていた若者がいた。彼の名はサルバドール・ブッチ・アンティック(ダニエル・ブリュール)。仲間たちとの活動資金を集めるため、やむなく強盗を繰り返していた彼は、警官との銃撃戦の末に逮捕され、不当な裁判で死刑を宣告される。死刑執行までの残された時間の中、家族や友人、弁護士、看守までもが彼の不当な死を回避するため闘い続ける――。

サルバドールが死刑判決を言い渡されるまでの間、何度も何度も失神しそうになってしまいました。『さらば、ベルリン』を鑑賞時、長きに渡って失神してしまった自分を恥じていたので、今回は頑張りました。姿勢を変えたり、お茶を飲んだり、飴を舐めたり。ちょっと落ち着かなかったので、思い切って帰ってしまおうかという考えが浮かんだくらい(恥)。何でこんなに入り込めなかったんだろう。ちょっと冷静に振り返ってみました。

専門用語はわからないけれど、この作品の画面の色合いは独特でした。ざらついてボンヤリとした印象で、白い色が多用されていたような気が。ここで是非とも主張させて頂きたい点があります。画面が白い時の字幕は、絶対に気を遣って欲しいんですよね。お金がかかる無理な注文かしら。でも、字幕が読み辛かった為に魅力が半減してしまった経験が多々あるんです。この作品も、字幕が読めない場面が幾らかありました。多少は馴染みのある英語ではなくてスペイン語だったから、目を皿にして画面に集中していたので疲れてしまいました。
その集中力を強いられた前半のストーリー展開ですが、鑑賞前のイメージと全然違っていたんです。サルバドールは、《一人の活動家》というよりは《一人の普通の若者》という印象が強かったです。ガールフレンドとイチャイチャしたり、家族と仲良く過ごす場面など。歴史の勉強をサボっていた自分を恥かしく感じるくらいのバリバリ社会派作品だと思い込んでいたので、何だか肩透かし。「サルバドールという活動家は、ごく普通の若者だった」それこそを描きたかったのかもしれないけど。私から見ると、殆ど活動していないように見えるサルバドール。死刑執行後に、たくさんの人が彼の遺体が安置してある場所にワイワイと詰め掛ける場面がシックリきません。この人達は、信念を持ってサルバドールの冥福を祈っていないってことかなぁ。話題になっているから集まった《にわかファン》に見えてしまったんですよねぇ。
鑑賞前に勝手に色々とイメージしてしまった自分が悪いんですけども。自分が知らない出来事に圧倒されたり、主人公の人生を噛み締めたり。改めて、現在の自分の幸せを実感し直せたり、世界について真面目に考えたり。そんな風に、何かが残る作品だと信じ込んでいたものですから。イメージと余りにも違い過ぎて、周囲の人におススメしようとは思いませんでした。

それでも、印象に残った部分もあります。レオノール・ワトリングの登場が余りにも少なかったことは残念でしたけど、やっぱり主演のダニエル・ブリュールは印象的だった気がします。私はダニエル君のアヒルみたいな口が好きなんですけど。(キャメロン・ディアスやトビー・マグワイアみたい)死刑執行の直前、処刑室を見たサルバドールが口の端をクゥーッと上げました。私も見た事がない処刑法が待ち構えていました。ギロチン台でもなく電気イスでもない。イスに座り、両手を後ろで縛られた後、首に器具をはめられます。執行人がネジを巻くと、首がぎゅーっと締まるという仕組みになっているようです。国によって処刑法は全く違うんですね。初めて見たので、ゾッとしてしまいました。
ダニエル君は、4ヶ国語を操れると聞いたのですが。となれば、今後は更なる活躍が期待できそうだなぁと思いました。次の作品も楽しみであります。

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2007年9月24日 (月)

題名のない子守唄

「題名のない子守唄」 
<LA SCONOSCIUTA>/製作:2006年、イタリア 121分 R-15指定Daimeikomoriuta       
監督、脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:クセニア・ラパポルト、アンヘラ・モリーナ、マルゲリータ・ブイ、クラウディア・ジェリーニ、ミケーレ・プラチド、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、アレッサンドロ・ヘイベル
2007.9.9 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥3,000で妥当 / 評価:5.0★/5点満点★

「女は 哀しみを食べて 生きている」

復讐なのか?償いなのか?その愛が、あなたの心に突き刺さる・・・

珠玉のミステリー

イタリア映画の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作は、イタリア・アカデミー賞で作品賞を始めとした主要5部門を獲得 したそうです。今回も、盟友エンニオ・モリコーネが音楽を担当しています。元々、鑑賞予定には入れていなかったのですが。「ニュース23金曜版」の〈映画特集〉で、おすぎさんが真っ先に挙げているのを偶然目にしました。「これは何にも言えないのよぉ~!!!」 おすぎさんの興奮が記憶に残っていたところ、採点形式で展開している映画ブロガーさんの点数(中身は未読です)が、どれもこれも高かったんです。じゃあ、連休にでも行ってみよう。何とも軽いノリで劇場に足を運んだのですが。うわぁー、面白かったぁ!今月は、あと2本鑑賞したいと思っているんだけど。これは9月のベスト1かもしれないぃぃぃ。

本編上映前に、トルナトーレ監督からのメッセージが流れますが。「ラストについて、これから鑑賞予定の方に話さないようにしてください」 といった一文が!おすぎさんの興奮する姿が鮮明に蘇りました(笑)。なるほどー、これはレビューも書きにくいですわー。ラストの手前も伏せておきたい気持ちで一杯です。でも、もの凄いハマッたという事は、どうしても強調しておきたいんですよね。『ホステル2』の時は、困った末に「ネタバレ部分は白黒反転」という手法を取らせて頂いたんですがー。今回はそれも控えておこうかな。本当に書きたい気持ちよりも幾分短いレビューになってしまうかもしれないけれど、気になっている方は是非とも劇場へ足を運んでみてください。

(ストーリーはチラシに載っているものを紹介)
イタリアの、とある年に現われた女。名前はイレーナ(クセニア・ラパポルト)。彼女がやって来た理由を知る人は誰もいない。逃れられない過去、ひそやかな願い。裏窓から盗み見る向かいの家の明かり。イレーナは、裕福なアダケル夫婦と4歳の娘テアが暮らすその家のメイドとなった。何に復讐するのか、何を償おうとしているのか。執拗につけ狙う忌まわしい男の影、テアとの間に生まれる仄かな愛情。そして、遂に起こる事件・・・。全てが明らかになるラストに、涙が止まらない。

『ニュー・シネマ・パラダイス』での感動を思い描いていると、ダークで濃密なドラマにビックリしてしまうかもしれません。私は、イレーナの運命から目を逸らすどころか釘付けになりました。本来の美しさを隠すかのように地味な装いで佇むイレーナの瞳は、先の先を見据えるかの如く真っ直ぐでした。イレーナの現在を追いながら、ところどころサブリミナル的に挿入される金髪の女性は恐らくイレーナの若い頃なのでしょう。ふとした言葉やアイテムから、突然昔を思い出して目をつぶるイレーナ。忘れたくても抹消しきれない壮絶な過去です。

とにもかくにも、本作で描かれるのは【女性】ですね。新しい生命が宿るのは女性の身体であり、出産という痛みを体感するのも女性だけです。そんな女性だからこそ芽生える母性、慈しみ、愛情そして生き抜く強さ。また、イレーナからは、生き抜いていく為の《したたかさ》なんかも強く感じ取りました。イレーナの過去は壮絶でしたけど、何となく《女性の素晴らしさ》を改めて感じることができた気がします。私自身は、イレーナに比べたら超ぬるま湯人生ではありますが。一人の女性として、これからも心に留めておきたい1本でした。男性が見ても堪能できることは間違いありませんが、特に女性におススメしたい作品です。

もっと色んな事を熱弁したいところなんですが。この辺で止めておこうかと思います。ネタバレには関係ない部分で気に入った点を書いてみようと思います。イレーナが盗み見る向かいの高級なアパート。エレベーターもあるけど、螺旋階段があります。最初は掃除婦として潜り込んだイレーナが、アダケル一家の住む上の階を見上げる場面が印象的です。《螺旋階段》って、画として独特の美しさがあると思うんですよね。『ブラック・ダリア』の時も魅せられました。掃除婦として下の階で働いていたイレーナが、ついにはメイドとして上の階まで昇りつめる。イレーナの運命を象徴的に表しているようにも思えたりして。(読み過ぎだとは思うけども 笑) 音楽も素晴らしかったです。本編中も流れるイレーナが口ずさむ【子守唄】も素敵だけれど。狂ったように奏でられるバイオリンの音色の迫力が、まるでイレーナを追いつめているみたいでツボでした。

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2007年9月22日 (土)

めがね

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「めがね」
製作:2007年、日本 106分Megane  
監督、脚本:荻上直子 出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、薬師丸ひろ子、橘ユキコ、中武吉
2007.9.22 MOVIXポイント還元¥0にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「何が自由か、知っている。」

誰もがいつか海へ向かう。

大ヒットした『かもめ食堂』のキャスト&スタッフで贈る最新作。という訳で、否応なしに期待してしまいました。し過ぎてしまいましたかねぇ、何か、んー、前作ほどには魅せられなかったんですよねぇ。今回は前作の人気を考慮してか、割と拡大しての公開みたいだけど。『かもめ食堂』が大好き!という人のハードルはかなり上がっているだろうし、どうなるかしらねぇ・・・。

ある海辺の町に春が訪れた。大きなカバンを引きずりながら、タエコ(小林聡美)は予約した宿に辿り着く。《ハマダ》をきりもりしているのは、ユージ(光石研)。愛犬のコージと暮らしている。観光する場所など何もなく、携帯電話も繋がらない町。謎の常連客・サクラ(もたいまさこ)や、《ハマダ》に出没しては食事を共にする若い女性・ハルナ(市川実日子)。しまいには、タエコを探してヨモギ(加瀬亮)が現われて、5人の交流がゆったりと穏やかに展開していく。

何を描きたかったのか、よくわからないような、少しはわかるような。イマイチ掴みどころがない印象を受けてしまいましてー。「ゆとりを持って生きることは素敵なこと」そんな感じなのかなぁ~。タエコは、最初は馴染めないような素振りだったけれど。終盤では、すっかりこの町の魅力を噛み締めているように見えたし。ラスト近くのセリフから、ハルナは一度訪れたこの町に魅せられて住み始めたという感じがしたし。観光客なのに、住人にしか見えないサクラの不思議な存在感もいいし。ヨモギも、一瞬でこの町に溶け込んでいるように見えたし。これは私の勝手な想像だけど、ユージも元々は都会の人間だったんじゃないかな。この町で宿を営んでいるにしては、何となく洗練された都会の香りが少ししたんですよねぇ。何も無いところだけれど、大人が癒されて見せられる町。ロケ地だった与論島の景色が本当に素敵で、静かに流れる時間にウットリと身を委ねることができました。

映画とは関係ない話になりますが、1つ思い出したことがありました。私には、関西に嫁いだ友人がいます。以前は、毎年彼女と2人で海外旅行をしていました。フロリダでディズニー・リゾートやらユニバーサル・スタジオとテーマ・パーク巡りをした時だったかしら。私達を始め、日本人観光客は朝早くからタイトなスケジュールで外回りを繰り返していましたが。欧米の方かと思われる観光客の多くは、ホテルのプールでのんびり過ごしている様子でした。一瞬、不思議な光景にも思えたのですが、友人がある話をしてくれました。欧米人から見ると、日本人は《ヴァケーション》の意味を理解していないように思えるそうです。遊びまわるのもアリだとは思いますけど、日本人の海外での観光ってどこか必死さがあるという気もしたりして。ホテルでノンビリしていた欧米人の方達は、「何が自由か、知っている。」のかもしれないなぁと思いました。

話が飛んでしまいましたが、私が本作で好きだった点を書き連ねてみたいと思います。
何よりも、与論島の風景に癒されます。青い海と白い砂浜、そこで愛犬のコージがホイホイホイと穴を掘っている姿が印象的だったり。冒頭の場面で、砂浜でユージコージを抱きかかえて座っている姿が愛らしかったり。キャラクターは、どの俳優さんも好きな人ばかりだったけど。中でも、サクラを演じたもたいまさこの存在感は圧倒的に魅力がありました。寡黙に佇む姿は少々不気味な気もするけど、ゆっくりと穏やかに話す口調と目線が絶妙で!もう、さすがですー。サクラが考案したというゆる~い体操《メルシー体操》も気になりました。「ビリーのブート・キャンプ」は私にはハイ・レベルなので、まずはメルシー体操で身体をほぐしたいと思いました(笑)。

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ファンタスティック・フォー:銀河の危機

「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」
<FANTASTIC FOUR:RISE OF THE SILVER SURFER>/製作:2007年、アメリカ 92分Fantastic_4    
監督:ティム・ストーリー 出演:ヨアン・グリフィス、ジェシカ・アルバ、クリス・エバンス、マイケル・チクリス、ジュリアン・マクマホン、ケリー・ワシントン、アンドレ・ブラウアー、ローレンス・フィッシュバーン(声)
2007.9.22 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「宇宙からの使者【シルバーサーファー】現る!!」

地球滅亡までのカウントダウンは始まった・・・

実はこの作品、先月試写会に当選していたんです。行く気満々で、出遅れない為に昼休みにおにぎりを買っておくという準備の良さだったにも関わらず。その日の午後、急激に具合が悪くなってしまって。何だつっても身体が基本なので、泣く泣く早退して家で休養しておりました。その日突然、意味不明な仕事をドッチャリ授けた職場のリーダー様がとても優しい人で。私の体調を気遣いながら「変な仕事を渡してしまったかな・・・」と汗を拭う姿が印象的な1日でもありました(笑)。もの凄い気になったというよりも、「試写会に行けなくてゴメンね」という懺悔の気持ち半分で劇場鑑賞することにしたのです。

『スパイダーマン』や『バットマン』に比べると、日本では知名度の低い感のある《マーベル・コミック》のヒーローものの一つ。気楽に安心して見れるのだけれど、前作を見ていないと知りえない描写も幾つかある印象を受けました。前作と併せて見て頂く方が楽しめるかもしれません。

超能力ユニット【ファンタスティック・フォー】の4人は、今ではすっかり人気者になっていた。リード(ヨアン・グリフィス)スー(ジェシカ・アルバ)の結婚式当日も、ある異変が人々を脅かす。宇宙の遥か彼方から飛来した【シルバーサーファー】、彼が現われた惑星は8日で滅亡するという。スーの弟でもあるジョニー(クリス・エバンス)は、シルバーサーファーと接触したことで身体に異変が現われる。ベン(マイケル・チクリス)も含めた【ファンタスティック・フォー】の4人は、果たして地球を滅亡の危機から救うことができるのか?

前作では、4人が普通の人間であるところから始まります。命は助かっても、超人となってしまった4人の戸惑いと苦悩。そして《ヒーロー》であろうと自覚して4人で力を合わせていくことを決意するのです。視覚効果を楽しむという意味では今作の方がいいけど、ドラマとしては前作の方が好きかな。私が前作で最も気になったキャラクターは、ベンでした。とてつもない怪力を身につけるのですが、見た目の変貌が著しい為に、恋人に去られてしまったんですね。その切なさと、やがて盲目の美女・アリシア(ケリー・ワシントン)と出逢うという展開が喜ばしかったんです。
今回は、ジョニーが気になりました。一見、目立つのが大好きな無邪気な〈弟くん〉なのですが。自分の身体に異変が起こった為に、今まで通りに戦えない状況に苛立つ姿や。派手好きで女性にも気軽に声を掛ける〈能天気なホスト〉という風に振舞っていますが。結婚を控えたリード&スーベン&アリシアの2組の熱々カップルを、とても羨ましそうに見つめる視線が印象的でした。嫉妬しているというよりは、優しいまなざしで。軽いキャラだけど、意外と繊細なのかもしれないなぁと思いまして。超人と化していなければ、普通に特定の女性を見つけて結婚していたかもしれないですね。社交的なようでいて、どこか人を寄せつけない部分があるようにも思えたのは読み過ぎかな。地球滅亡が迫っている中で、身体の異変のせいで力を本気で発揮できない苛立ちと苦悩。ベンと2人でお酒を飲み交わしている場面は、短いけれど印象的。「誰かが側にいるっていいよな」と呟くジョニーに、「お前にはオレがいるさ」と答えるベンの優しさにホロッときました。ジョニーベンって正反対のキャラクターで衝突しているように見えるけど、本当は大の仲良しって感じがします。何かね、『ロード・オブ・ザ・リング』の〈レゴラス&ギムリ〉の名コンビみたいでした。

なかなか楽しんだのですが、いつまでも心に残る作品とは言い難いかな~。数日後には、違う作品のことで頭が一杯になっていると思うのねー。という訳で、レビューもそんなに長く書けないよぅ。では、改めて【ファンタスティック・フォー】を紹介しよう!

リード(Mr.ファンタスティック)【ファンタスティック・フォー】のリーダー的存在。
伸縮自在の肉体が武器。
スー(インビジブル・ウーマン):透明になる力とバリヤーを操る美女。
ジョニー(ヒューマン・トーチ):全身を発火させて、自在に空を飛べる。スーの弟。
ベン(ザ・シング):身体中が岩石のような見た目と同様に、計り知れない怪力を操る。

リードは、『ワンピース』のルフィみたいな能力です。(ルフィの方が百戦錬磨って感じだけれど 笑) 一人一人ではそんなに強くない気もするけれど、4人で力を合わせると強靭なパワーを発揮するんだな。チームワークが何よりも大切なヒーローなのであります。

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2007年9月19日 (水)

サイボーグでも大丈夫

「サイボーグでも大丈夫」
<I'M A CYBORG, BUT THAT'S OK>/製作:2006年、韓国 107分Cyborgok  
監督:パク・チャヌク 出演:イム・スジョン、チョン・ジフン(Rain(ピ))、チェ・ヒジン、イ・ヨンニョ、ソン・ヨンスン、チェ・ヒ、イ・ヨンミ
2007.9.19 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,300で妥当 / 評価:4.3★/5点満点★

「生きるのに問題ないよ。人に気づかれなければね。」

どうすれば彼女を助けられるのか?なぜ彼女はサイボーグだと信じている?
ヨングンの同情心を盗んだ彼の心はしだいに痛み出す。

自称「ラブ・ストーリー嫌い」 の私です。若い男女がキッスすれすれのピンク色のチラシを見て、普段だったら痒くなるから観に行かないはずなんですがー。復讐三部作『復讐者に憐れみを』 『オールド・ボーイ』 『親切なクムジャさん』 を手がけたパク・チャヌク監督の最新作だっていうから~。一味も二味も違って見えるものだと決めつけて、早々に終わってしまわない内に劇場へ向かいました。(やっぱりレディース・デイに 笑)

===「goo映画」よりストーリーを紹介===
大好きな祖母が療養所に入れられて以来、どこかおかしくなったヨングン(イム・スジョン)。自分のことをサイボーグだと信じる彼女は、新世界精神クリニックに入院させられた。そんなヨングンに、同じ年頃の青年イルスン(チョン・ジフン)が目を留める。彼は人のものならモノでも特徴でもなんでも盗むことができた。イルスンの特技を知ったヨングンは、ある日、彼に突拍子もないお願いをする。「私の同情心を盗んでください」と。 

うおぉぉぉぉ。何て可愛らしいラブ・ストーリーなんだぁぁぁ。作品によっては、私でもガツンとハマルことができるんだぁぁぁ。「ラブ・ストーリー嫌い」は、幾分思い込みだったようで何だかホッとしています。
「可愛らしい」と言ってもね、やっぱりちょっと変てこりんでございます。韓国映画ということで『冬ソナ』のような王道ラブ・ストーリーを思い描いている人は、寧ろ頭にきたりするかもー(苦笑)。何しろ、舞台は【新世界精神クリニック】ですから。登場する入院患者の皆さんのイマジネーション溢れる言動の一つ一つが気になって・・・。彼らの過去に一体何があったのか?そういったシリアス路線は薄く、あくまでもコミカルな展開が続いていきます。
自分をサイボーグだと思い込んでいるヨングンの場面も不思議な魅力に溢れていますが。周りの患者さんたちの変てこな言動も印象深いですよ~。色違いの靴下を履いて足を擦ると空を飛べると信じる太った女性とか。何が起きても自分が悪いと謝ってばかりいるインパクトの強いヘアスタイルの男性とか。この男性は、後ろ向きに歩くという危なっかしい癖もありました。(『オールド・ボーイ』では酷い目に遭ってたよなぁ)

うーん、でもやっぱり本作で最大の魅力溢れるキャラは、イルスンかもー。
チョン・ジフン(Rain(ピ))ってよく知らなかったんですけどね。最初は、何て幼いルックスの青年なんでしょーくらいにしか思ってなかったんだけど。本作では、ベビー服みたいな繋ぎの服を着てお尻をポリポリ掻いていたり。クジラの潮吹きみたいなヘアスタイルのてっぺんをネジネジといじっていたり。顔だけならずに仕草まで、全体的に母性本能をくすぐりまくるキャラクターが印象的なんですが。自分をサイボーグだと信じて止まずに食事を取らないヨングンが衰弱していくのを見て心を痛めていきます。「ボクが同情心を盗んだから・・・」髪の毛を捻りながらワンワン泣くイルスン。そして、ヨングンを救う為に、ヨングンの主張に合わせて優しい嘘をつく。私でも、ときめいたわい。
自然と恋に落ちていく2人の奇妙なやり取りが愛らしいです。キスシーンも、普通じゃありえないシチュエーションでした(笑)。物体のみならず曜日や性格といった抽象的なものまで盗めてしまうというイルスン。盗むシーンと返すシーンも面白かったー。

とても気に入ったのですが、この作品の魅力は言葉にするだけ無駄なような気もしています。見る人独自の感性で、色々な角度から感じ取って欲しいと思います。
エキセントリックなキャラクター以外にも気になった点がありました。この作品には象徴的に猫さん が登場していたんですー。クリニックのある部屋の壁にデカデカと描かれた絵の中心には、猫が佇んでいました。ヨングンが彼女の中で決めているルールが幾つかあって。それを絵本形式に紹介していました。その各ページには、必ず猫さんが描かれていました。(この絵本が欲しいー) クリニック内にいた黒い猫さんが一瞬危ない目に遭いかけて「にゃ~ん」と一目散に逃げていったり。登場はそのくらいなんですが、猫大好き女としてはニンマリせずにはいられませんでしたわ。

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2007年9月17日 (月)

ストンプ・ザ・ヤード

「ストンプ・ザ・ヤード」
<STOMP THE YARD>/製作:2006年、アメリカ 114分Stompyard  
監督:シルヴァン・ホワイト 出演:コロンバス・ショート、ミーガン・グッド、ニーヨ、クリス・ブラウン、ダリル・ヘンソン、ブライアン・ホワイト、ラズ・アロンソ
2007.9.17 シネクイント・半券表示サービス¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「リズムを踏み鳴らせ!」

見たことあるか!驚愕の集団ダンス・バトル、ついに日本初登場!

渋谷の真ん中にある劇場なのに、今だに入場に工夫を凝らしていないシネクイント。座席やお手洗いに至るまで清潔で、映画鑑賞するには心地良い環境なのにさ。という感じで、本当は余り通いたくないと思っていた映画館。そんなシネクイントも、近々〈座席指定〉を導入するんだって!それは良かったよ~。ついでにシネスイッチ銀座も〈整理番号順〉でいいから導入して欲しいよぉ~。

ロサンゼルスに住む若者DJ(コロンバス・ショート)は、ストリート・ダンスの名手。ある日、ダンスバトルで負かした若者たちから恨みを買い、乱闘の末に兄デュロン(クリス・ブラウン)が命を落としてしまう。失意のどん底のDJは、兄の夢でもあった大学に進学する為にアトランタへ向かう。叔父と叔母のサポートの元、大学生活を始める。そして、【ストンプ】というダンスに出逢う。全国大会7連覇の名門チーム《ガンマ》と、優勝は逃しているも見事なパフォーマンスを繰り広げるチーム《テータ》DJの新しい世界が幕を開けていく瞬間だった・・・。

意外とドラマ部分が長いので、人によっては助長に感じるかもしれない印象を受けました。私は、そのドラマ部分にも好きな描写が幾つかあったので。今月見た作品の中では、お気に入りの方です。とにかく、本作の一番の見どころは圧倒的な迫力のダンス・シーンにあることは間違いありません。早送りでもCGでもない、脅威の身体能力は素晴らしかったです。私は、ダンスというと一括りで見てしまうくらいのド素人ですけど。その素晴らしさだけは、理解できます。人間離れした跳躍力、高速回転、見た事もない倒立。ダンスに長けていない俳優にチャレンジさせるのではなく、振付師などのプロ級のパフォーマーを起用しているだけあります。腕や胸板は勿論のこと、8分割どころか12分割しているかのような美しい腹筋だけでも圧倒されてしまいました。

ドラマ部分で好きだった点も。DJは、ダンスは見事だけれど一人で突き進んでしまう傲慢とも取れる部分がありました。積極的で意欲満々な部分が強く、自分勝手に暴走してしまう節が。そんな彼が、厳しくて優しい叔父のもと、【ストンプ】チームに加わることで成長していきます。7年連続優勝の栄光に慢心している《ガンマ》チームは、DJの才能を知り無条件で「仲間に入れてやる」とアプローチしてきますが。《テータ》チームは、「新人テストを受けてみないか?」と勧誘してきます。地道な努力を続ける《テータ》に加わることで、今までは暴走しがちなDJのスタイルも自然と変わっていくようでした。《テータ》チーム内でも先輩と後輩の言い分が噛み合わず、和が乱れていってしまうのかと思いきや。お互いの長所をダンスに取り入れることで、更にチームワークを強めていきます。《ガンマ》チームは、優勝さえできれば何でもいいという感じで姑息な手段も使っていました。いかにもな描写ではありますが、私は面白く鑑賞しました。

本作は、DJが加わった《テータ》チームを応援する目線で展開していきますが。そうは言っても、《ガンマ》チームのパフォーマンスも見事でした。《テータ》チームの優勝を願いながらも、《ガンマ》チームの練習場面から圧倒されてしまったし。ダンスバトルの大会は、予想通り《テータ》《ガンマ》の両方が決勝戦に残ります。どちらのパフォーマンスも、ダンスのみならず演出にも工夫を凝らしていて見事でした。何か普通に、舞台のショーを鑑賞しているかのようでした。更に、〈同点決勝サドンデス〉となるのですが。2つのチームが同じ舞台に並び、順番にパフォーマンスを見せるというスタイルが興味深かったです。そもそも《ダンス・バトル》というものがあることすら知りませんでしたから。思い返せば、『チアーズ!』ではチア・リーディングの過酷さを知り、『ドラムライン』ではマーチング・バンドの迫力を知りました。今までに〈スポーツ〉だと認識していなかったことが、実は《格闘技》 であることを知らせれました。自分の知らないことを教えてくれる。映画って、やっぱり素敵ですよね。

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2007年9月15日 (土)

スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ

「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」
<SUKIYAKI WESTERN DJANGO>/製作:2007年、日本 121分 PG-12指定Sukiyakijango2      
監督:三池崇史 出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、木村佳乃、香川照之、桃井かおり、松重豊、堺雅人、田中要次、小栗旬、塩見三省、石橋蓮司、香取慎吾、クエンティン・タランティーノ
2007.9.15 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「生き残れるのは、一人だけ。」

源氏×平家×用心棒―《埋蔵金》を巡る壮絶な戦いがいま始まる!

恐らく半年くらい前からだろう。北島三郎センセイの歌声が轟く本作の予告編を見て、すっかり心を奪われた私。いつもは試写会の応募が全て外れたことを確認してから前売り券を買うようにしているんだけど。この作品は、余りの見たさに理性が飛んでしまい、気がついたら前売りを購入していました。9月に公開になる作品の中では、どれよりも楽しみにしていた本作を初日の初回にドピュッと鑑賞して来ました。

《壇ノ浦の戦い》から数百年後、寂れた寒村「湯田<ユタ>」が舞台。伝説の《埋蔵金》を求めて、清盛(佐藤浩市)が率いる【平家】軍団と義経(伊勢谷友介)が率いる【源氏】軍団が村を占拠する。赤い衣装の平家と白い衣装の源氏の対立は激化し、たくさんの村人が被害を受けていた。そんな時、一人の凄腕ガンマン(伊藤英明)が現れる。【平家】か、【源氏】か。どちらの《用心棒》につくのかという状況から始まり、バトルに巻き込まれていくガンマン。更に事態は激しさを増して、壮絶な闘いが繰り広げられていく。

これって、真の《西部劇ファン》にとっては突っ込みどころ満載の仕上がりなのかもしれないー。《マカロニ・ウェスタン》って何?という知識ゼロの私にとっては、かなり楽しめるエンタテインメント作品でした。西部劇をベースに、登場人物は日本の歴史になぞらえて。どういう訳か全編英語のセリフで、愛あり裏切りありのドラマが繰り広げられていく。しかも、アクションは豪快で、程良く笑いも散りばめられている。荒唐無稽な本作のエンディングを飾るのは、大御所・北島さぶちゃんの心に染み入る演歌だし。とにもかくにも《ごった煮》状態の作品。私って「ごった煮作品」への視線が厳しくなるんだけど、本作は程良く楽しめる好印象でした。

まずはオープニングに驚かされました。クエンティン・タランティーノが《伝説のガンマン》ピリンゴとして登場します。(予想よりも出番が多いの~!)挑戦者として香取慎吾くんが顔を出しているのも嬉しいのですが、その対決場面でのハリボテみたいな背景が面白かったです。蛇が飲み込んだ卵を、蛇の身体を破って取り出すピリンゴ。卵の白い殻が、血で真っ赤に染まっているのですが。この卵を映し出すことで、これから語られる【平家】(赤)VS【源氏】(白)の戦いをイメージさせる演出が好みでした。期待以上に、【平家】【源氏】の姿は印象的でした。髪を部分的に赤く染め、赤がモチーフのスカジャンを羽織る現代的でチンピラみたいな【平家】の男たち。一方、【源氏】の男たちは白い羽や付け毛を身にまとい、白いロングコートを翻して颯爽と現われます。その見た目のインパクトに釘付けになりました。

私が本作で最も楽しめたのは、豪華キャストの素敵な競演です。主役としてバシッとキメている伊藤英明は、男らしさ全開。んー、でも実は個人的には、伊藤英明は『陰陽師』などに見る〈イケメンなのに甘えん坊〉みたいなキャラの方が好きだったりしますー。【平家】の親分・清盛は、横暴でお馬鹿な印象を受けました。OLさん達が〈理想の上司〉として酔狂しちゃうイメージの強い素敵な素敵な佐藤浩市が、ダミ声を轟かせて暴君を好演しています。清盛の右腕的存在の重盛を演じた堺雅人は、「テノール?」といった印象の高い声だったので。対照的で面白かったです。
Sukiyakijango私が本作で最もおススメしたいキャストは、【源氏】の若きリーダー義経を演じた伊勢谷友介の輝かしいオーラです。清らかなイメージの色であるはずの白をまとった義経が、ニヤ~っと笑うアップは存在感抜群!タフでクールで、美学を重んじるリーダーシップは、清盛とは全くの別物。私としては、義経の圧勝だと思っています。【源氏】に属する狂気の男・与一を演じた安藤政信の汚い役作りも衝撃的です。『バトル・ロワイヤル』以来の気迫が伝わりました。

うーん、本当は全員について書きたいんだけど、スペースの都合上カットだな(泣)。
私にとって〈日本一〉の俳優・香川照之も登場しています。【平家】につくのか【源氏】につくのか、彷徨える保安官は徐々に人格が分裂していきます。あくまでもコミカルに、二重人格を怪演しています。何か『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムみたいでした。弱っちく見えるけど、生命力は意外としぶといキャラクターでしたし。
さて、本作で一番カッコ良かったのは、桃井かおり姐さんではないでしょうか。ルリ子という女、その正体は・・・。目の前で両親を殺された孫が、しゃべらなくなり目も見えなくなってしまうのですが。孫を抱きしめて「現実から逃げないで」と優しく叱責する場面も忘れがたいです。パンフレットには載せてくれていないんだけど、ルリ子にほのかな想いを寄せ続けるトシオというキャラクターも印象的でした。演じたのは、コワモテの松重豊です。『しゃべれども しゃべれども』『血と骨』でも印象的でしたー。

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2007年9月12日 (水)

酔いどれ詩人になるまえに

「酔いどれ詩人になるまえに」
<FACTOTUM>/製作:2005年、アメリカ 94分Yoidore  
監督:ベント・ハーメル 脚本:ベント・ハーメル、ジム・スターク 出演:マット・ディロン、リリ・テイラー、マリサ・トメイ、フィッシャー・スティーヴンス、ディディエ・フラマン、エイドリアン・シェリー、カレン・ヤング
2007.9.12 映画サービス・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「どうにもならないことだらけ でも、太陽はまた昇る・・・。」

チャーズル・ブコウスキーの《作家修業時代》を描いた自伝的小説を遂に映画化。ろくでなし、なのにこんなにも愛おしい。

一応、最初に言い訳しておくと。私は、チャールズ・ブコウスキーのことを何一つ知りません。公開前に見かけたポスターとチラシの雰囲気が何だか良かったし。ベント・ハーメル監督と言えば『キッチン・ストーリー』を見たいと思っていながら未見のままだったので。この作品も気にかけてみたのです。

==チラシよりストーリー紹介==
ヘンリー・チナスキー(マット・ディロン)、自称【詩人】。売れない詩や小説を出版社に送り続けながら、その場しのぎの仕事を渡り歩いている。何をやっても続かない、その日暮らしの酔っっぱらい。どうにもならないコトだらけ。みじめで冴えない人生。でもいつだってチナスキーには、ちょっぴりのユーモアと一杯の酒がある。くそったれな世の中で、湧き上がる言葉がある。太陽は、毎日昇る。それは、ろくでなしのチナスキーを照らす、たったひとつの温かなひかり・・・。

「ろくでなし、なのにこんなにも愛おしい」 って事なんですがー。正直に申しまして、少しも愛おしいとは思いませんでした。すいません、やっぱり私って真面目なんだー。固い頭は、そう簡単には柔らかくなりませんの。チナスキーってば、マイペース過ぎて和を重んじる努力が足りないんだもん。人生、思うようにいかないのは自分のせいじゃんか。仕事は続かず、住所不定のチナスキー。バーで知り合った女のところへ転がりこむか、女と不和が生じちゃったら実家へ逃げて食事を頂く。実家での父親の冷たい視線。「いつまでフラフラしているつもりなんだ」 自分は【詩人】だの【ライター】だのと豪語してみせるも、父親のまなざしはひたすら冷え冷え。その反面、「さすが我が息子」とばかりに誇らしく嬉しそうな表情をする母親が印象的だったけど。その直後、食事中に卑猥な言葉で女性を表現して、速攻父親に追い出されてしまう。何をやっても上手くいかないけれど、それでも努力を惜しまないという人物だったら応援するけども。こんな風に努力どころか人生に甘えっ放しの男の話について何を書けばいいっての?

チャールズ・ブコウスキー【作家修業時代】を描いた自伝的小説の映画化」という事ですけど。これのどこが【修業】なんじゃい。そりゃあ、どんな些細な体験も肥やしとなることは間違いないけどさぁ。何かイライラしちゃいました。『街のあかり』の主人公が小さな仕事でも黙々と頑張る姿を見習って欲しいです。まぁ、チャールズ・ブコウスキーという方は結果的には成功を収めているんだから、いいじゃないかという気もしますけども。余談ですけど、『チナスキー』だなんて私の本名とちょっと似ているところがまたムムム~ゥっときてしまったんです・・・。

何だかケチョンケチョンに書いてしまいましたけど、良かった点もあります。
こんなにも、どうしようもない男チナスキーを演じたマット・ディロンの捨て身の演技には拍手を送りたい。酔っぱらって、煙草を吸いまくって、競馬に夢中になって、はたまたバーで女を引っかけて。そのくらい