「題名のない子守唄」
<LA SCONOSCIUTA>/製作:2006年、イタリア 121分 R-15指定
監督、脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:クセニア・ラパポルト、アンヘラ・モリーナ、マルゲリータ・ブイ、クラウディア・ジェリーニ、ミケーレ・プラチド、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、アレッサンドロ・ヘイベル
2007.9.9 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥3,000で妥当 / 評価:5.0★/5点満点★
「女は 哀しみを食べて 生きている」
復讐なのか?償いなのか?その愛が、あなたの心に突き刺さる・・・
珠玉のミステリー
イタリア映画の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作は、イタリア・アカデミー賞で作品賞を始めとした主要5部門を獲得 したそうです。今回も、盟友エンニオ・モリコーネが音楽を担当しています。元々、鑑賞予定には入れていなかったのですが。「ニュース23金曜版」の〈映画特集〉で、おすぎさんが真っ先に挙げているのを偶然目にしました。「これは何にも言えないのよぉ~!!!」 おすぎさんの興奮が記憶に残っていたところ、採点形式で展開している映画ブロガーさんの点数(中身は未読です)が、どれもこれも高かったんです。じゃあ、連休にでも行ってみよう。何とも軽いノリで劇場に足を運んだのですが。うわぁー、面白かったぁ!今月は、あと2本鑑賞したいと思っているんだけど。これは9月のベスト1かもしれないぃぃぃ。
本編上映前に、トルナトーレ監督からのメッセージが流れますが。「ラストについて、これから鑑賞予定の方に話さないようにしてください」 といった一文が!おすぎさんの興奮する姿が鮮明に蘇りました(笑)。なるほどー、これはレビューも書きにくいですわー。ラストの手前も伏せておきたい気持ちで一杯です。でも、もの凄いハマッたという事は、どうしても強調しておきたいんですよね。『ホステル2』の時は、困った末に「ネタバレ部分は白黒反転」という手法を取らせて頂いたんですがー。今回はそれも控えておこうかな。本当に書きたい気持ちよりも幾分短いレビューになってしまうかもしれないけれど、気になっている方は是非とも劇場へ足を運んでみてください。
(ストーリーはチラシに載っているものを紹介)
イタリアの、とある年に現われた女。名前はイレーナ(クセニア・ラパポルト)。彼女がやって来た理由を知る人は誰もいない。逃れられない過去、ひそやかな願い。裏窓から盗み見る向かいの家の明かり。イレーナは、裕福なアダケル夫婦と4歳の娘テアが暮らすその家のメイドとなった。何に復讐するのか、何を償おうとしているのか。執拗につけ狙う忌まわしい男の影、テアとの間に生まれる仄かな愛情。そして、遂に起こる事件・・・。全てが明らかになるラストに、涙が止まらない。
『ニュー・シネマ・パラダイス』での感動を思い描いていると、ダークで濃密なドラマにビックリしてしまうかもしれません。私は、イレーナの運命から目を逸らすどころか釘付けになりました。本来の美しさを隠すかのように地味な装いで佇むイレーナの瞳は、先の先を見据えるかの如く真っ直ぐでした。イレーナの現在を追いながら、ところどころサブリミナル的に挿入される金髪の女性は恐らくイレーナの若い頃なのでしょう。ふとした言葉やアイテムから、突然昔を思い出して目をつぶるイレーナ。忘れたくても抹消しきれない壮絶な過去です。
とにもかくにも、本作で描かれるのは【女性】ですね。新しい生命が宿るのは女性の身体であり、出産という痛みを体感するのも女性だけです。そんな女性だからこそ芽生える母性、慈しみ、愛情そして生き抜く強さ。また、イレーナからは、生き抜いていく為の《したたかさ》なんかも強く感じ取りました。イレーナの過去は壮絶でしたけど、何となく《女性の素晴らしさ》を改めて感じることができた気がします。私自身は、イレーナに比べたら超ぬるま湯人生ではありますが。一人の女性として、これからも心に留めておきたい1本でした。男性が見ても堪能できることは間違いありませんが、特に女性におススメしたい作品です。
もっと色んな事を熱弁したいところなんですが。この辺で止めておこうかと思います。ネタバレには関係ない部分で気に入った点を書いてみようと思います。イレーナが盗み見る向かいの高級なアパート。エレベーターもあるけど、螺旋階段があります。最初は掃除婦として潜り込んだイレーナが、アダケル一家の住む上の階を見上げる場面が印象的です。《螺旋階段》って、画として独特の美しさがあると思うんですよね。『ブラック・ダリア』の時も魅せられました。掃除婦として下の階で働いていたイレーナが、ついにはメイドとして上の階まで昇りつめる。イレーナの運命を象徴的に表しているようにも思えたりして。(読み過ぎだとは思うけども 笑) 音楽も素晴らしかったです。本編中も流れるイレーナが口ずさむ【子守唄】も素敵だけれど。狂ったように奏でられるバイオリンの音色の迫力が、まるでイレーナを追いつめているみたいでツボでした。