« さらば、ベルリン | トップページ | ホステル2 »

2007年9月 8日 (土)

ブラック・スネーク モーン

「ブラック・スネーク モーン」 
<BLACK SNAKE MOAN>/製作:2006年、アメリカ 115分 PG-12指定Black_snake_moan  
監督、脚本:クレイグ・ブリュワー 出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティーナ・リッチ、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・コスランJr.、マイケル・レイモンド・ジェームズ、キム・リチャーズ
2007.9.7 ミニシアター回数券¥1,330にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,330で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「あなたのハートを監禁する」

つながりたい――衝撃的な《愛》のカタチ

妻に捨てられた男とセックス依存症の女――
心に闇を持つ2人を繋いだのは1本の《鎖》と、魂から奏でられる《ブルース》だった・・・。

9月に公開される作品の中で、コチラもとても楽しみにしていた1本です。台風9号が通過したばかりの夜に、ドピュッと観に行って来ました。そんなに混んでいなかったのは、台風のせい?

アメリカ南部の田舎町が舞台。妻に去られた孤独な初老の男ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は、ある日道端で血まみれで倒れている半裸の若い女性を見つける。自宅まで運んで、意識不明の女を介抱するラザラス。やがて、その女性の噂を耳にする。彼女の名前はレイ(クリスティーナ・リッチ)といい、男たちと行きずりの関係を繰り返しているという。身体の治療のみならず、レイの荒んだ心を救いたいと、ラザラスレイを鎖で繋いでしまった!信心深いラザラスレイに伝えようとしたこと、そして2人の心の交流を描いていく。

鎖で繋いで監禁するなんて、R-15指定のエロエロ・シリーズを連想してしまいますが。(むっつりスケベですんません) 噂では、蓋を開けてみるとヒューマン・ドラマが待ち構えているということでした。そうだなぁ、私から見るとドラマ部分は薄かったような気がします。そんなに多く登場しなかったけれど、ラザラスが奏でるブルースのパフォーマンスは印象的でした。よく考えてみると、メガホンを取ったのは『ハッスル&フロウ』クレイグ・ブリュワー監督なんですね。あちらでも本作でも、脚本も自ら執筆しているようですな。ストーリー・ラインよりも音楽が心に残るという点では、よく似ているかもしれません。

期待値よりも薄いドラマな印象だったと言っても、ラザラスレイの心の交流部分は興味深かったです。妻が自分の元を出て行き、何と弟の元へ行ってしまった。ラザラスの失望と怒りは、妻が丹精こめて育てていたと思しきバラ園をショベルカー?で思いっ切り破壊する場面からも明らかです。空虚になった心は、レイを導くことで埋まっていくかのようでした。レイという女性の心の変化も印象的です。セックス依存症というキャラクターも強烈ですが、やがて明らかになる心の闇にはコメントのしようがありません。少女の頃から、母のパートナーから性的虐待を受けていたこと。そして、見て見ぬ振りをして守ってくれなかった母親の態度に、深く傷つけられてしまったこと。《母》と呼ぶにはかなり若い印象の母親でしたが、もしかしたら彼女もまた若い頃にたくさん無茶をしていたのかもしれないですね。〈母性〉に包み込まれた記憶の薄いレイは、温もりを求めて男たちの間を行き交いしていたのかもしれないですね。この母親は、レイに冷たく当たっていました。母との関係が修復されることこそが、レイにとって何よりの特効薬だったのではないかと思っていましたが。ラザラスのブルースを聴いて、レイの中で何かが少しずつ変わっていったようです。勇気を出して母親に歩み寄ろうとしていました。ところが、この母親はレイの勇気を拒みました。レイ以上に幼い意気地なしだと思いました。この母親にこそ、ラザラスのブルースを聴かせてやりたいです。

特筆すべきは、主演の2人でしょうか。サミュエル・L・ジャクソンは、『パルプ・フィクション』でその存在感に一目惚れしたんですが。あれから10年以上の月日が流れ、数え切れないくらいの作品に顔を出しています。今回は、白髪交じりの初老の男という役柄でした。ランニングシャツ姿は、『シャフト』に主演した時のスタイリッシュなサミュエルと同一人物とは思えない程に老けを感じる佇まいでした。サミュエルの歌が聴けただけでも儲けモンです。
クリスティーナ・リッチは、毎回違った顔を見せてくれる〈カメレオン女優〉っぷりが素敵です。今回は、全編に渡って半裸か全裸という強烈な役どころでしたが。殴られて腫れ上がった目元や、繋がれた鎖から逃げようともがいている時の本気で痛そうなウェストなど。《女優魂》炸裂でした。個人的には、シャーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を受賞した『モンスター』での相手役の女性像とのギャップの大きさに驚いております。(純情可憐な乙女でしたから)
レイの恋人ロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)は、余りの《もやしっ子》っぷりにイライラしてしまったのですが。彼が抱えていた心の闇は何だったのか、少しは知りたかったです。ラスト、ラザラスの影響で歌を口ずさむようになったレイが、ロニーに子守唄を聴かせるかのように優しく包み込むシーンが素敵だったので。ロニーの過去も、もう少し描いて欲しかったという不満も残りました。

|

« さらば、ベルリン | トップページ | ホステル2 »

コメント

こんばんはー
そうそう、過激な映画かと思いきや、案外心温まるお話でしたよね。
やっぱり主演の二人の力が大きいかな?

投稿: カオリ | 2007年9月12日 (水) 01:16

こんばんは。こちらにもお邪魔します。
ドラマとしては思っていたより起伏もなく、普通でしたね。
でも主演の二人は印象的で、彼らの心の交流と癒しがよく表されていたと思います。
ブルースも印象的でした。

この水曜日、遅い夏休みで大雨にも関わらず一番の回を観にいったのですが、結構客は入ってましたよ。水曜でも平日は、更に強い雨だから客も少ないと思っていたのに、やっぱり皆サービス・デイを狙うんですねぇ。

投稿: CINECHAN | 2007年9月13日 (木) 01:13

TB&コメントありがとうございます。

★カオリさま
公開前に抱いたイメージとは、かなり違ってましたー
何だか過激そうでしたもんね。
意外にホロッときた感じです。

投稿: 隣の評論家 | 2007年9月13日 (木) 21:45

★CINECHANさま
公開前は、かなり濃密な人間ドラマなんだとイメージしてしまっていましたから。蓋を開けてみると、そんなに起伏は無かったですよね。
でも、仰るように主演の2人が素晴らしかったです。
ブルースは全然詳しくないんですけど、ちょっと聴いてみたいと思ったりもしました。
水曜日は混んでいたと聞き、ちょっと安心しました。
やっぱり気になっている人は結構いるんですねー
『ホステル2』も水曜の夜は混んでいたそうです。
夏休み中なんですか。
雨降りの日々に当たってしまったんですねー
でも、映画館を巡る分には、問題ないか~

投稿: 隣の評論家 | 2007年9月13日 (木) 23:13

となひょうさん、またまたこんばんは☆
そうですね、正直言うと、私は、「全くのオバカ映画」を期待してしまったので、そうでないことに驚いちゃいましたw
で、私は今回は、『ハッスル&フロウ』の時と違って、画コンテの凄さ、というものを音楽そのものより、感じてしまったかな、と♪

そう、私も、サミュエルに注目したのは、パルプ・フィクションから!でしたよ。
『ジャッキー・ブラウン』の時は、KANGOLのハンチングを、何種類も買って、毎日被ってたりしましたしw
サミュエルが「説教キャラ」というのも、最近よく言われますが、実は、『パルプ~』と、『スネーク・フライト』くらいなんですよね~。で、この作品来ましたね!“説教3大作品”ですねw

投稿: とらねこ | 2007年9月17日 (月) 02:54

とらねこさま

>、『ハッスル&フロウ』の時と違って、画コンテの凄さ、というものを音楽そのものより、感じてしまったかな

「画コンテ」かぁ~、気づきませんでしたわ。

>KANGOLのハンチングを、何種類も買って、毎日被ってたりしましたしw

おっ、そでしたかー タラちゃん作品というところがポイントですね♪
サミュエルって、実はオシャレさんなんだと思ってましたけど。
凄いTシャツ着ている時もあったから、一概には言えませんでした。
「説教キャラ」ですかー
『コーチ・カーター』もそうかな・・・
この説教キャラが、私にはカリスマティックに映ります。カッコいいですよねん。
本作では、初老のさびれ感を上手く出していた気がします。


投稿: 隣の評論家 | 2007年9月17日 (月) 21:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144633/16320176

この記事へのトラックバック一覧です: ブラック・スネーク モーン:

» 『ブラック・スネーク・モーン』 [ラムの大通り]
(原題:Black Snake Moan) ----この映画って予告編が話題になっているんでしょ? 「うん。クリスティーナ・リッチが サミュエル・L・ジャクソンに半裸で鎖に繋がれた映像と、 リッチとジャスティン・ティンバーレイクとの激しいラブ シーンの一部が入っている。 このシーンはジャスティン・ティンバーレイクの元恋人を激怒させ、 破局を迎える原因の1つとなったという噂が流れたんだ」 ----そのジャスティン・ティンバーレイクはともかくとして、 なぜクリスティーナ・リッチが鎖で繋がれているの? ... [続きを読む]

受信: 2007年9月 8日 (土) 15:12

» ブラック・スネーク・モーン(06・米) [no movie no life]
ものすごくぶっ飛んだ映画だなあと思っていたが、案外「レオン」系かもしれない。 子どもの時に性的虐待を受け、セックス依存症となったレイ(クリスティーナ・リッチ)は、大怪我をして道に倒れていたところを黒人の元ブルース・シンガーのラザラス(サミュエル・L・ジャクソ... [続きを読む]

受信: 2007年9月12日 (水) 01:15

» 黒ヘビのうなり [CINECHANの映画感想]
226「ブラック・スネーク・モーン」(アメリカ)  アメリカ南部の田舎町。かつてブルースに情熱を注ぎ、今は畑仕事を営み、教会通いを続けるラザラス。しかし愛する妻が弟と関係を持ち、去っていったことに絶望する。  幼少の頃受けた性的虐待の影響でセックス依存症となったレイは、恋人のロニーが新兵訓練所へと旅立った夜、孤独に耐え切れず、パーティでドラッグに溺れ、ロニーの友人ギルを侮辱し、殴られ、車から落とされる。  翌朝レイを見つけたのはラザラス。彼は彼女を家に連れ帰り、傷の手当てをするが、目...... [続きを読む]

受信: 2007年9月13日 (木) 01:08

» 「ブラック・スネーク・モーン」:初めにブルースありき [ひねくれ者と呼んでくれ]
監督:クレイグ・ブリュワー 出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティーナ・リッチ 米国2006年 宣伝の広告やチラシに使われている画像がスゴイ。何やら黒人 [続きを読む]

受信: 2007年9月16日 (日) 11:38

» #129.ブラック・スネーク・モーン [レザボアCATs]
「サミュエル・L・ジャクソンが、蛇の次に、説教する相手を選んだって、今度の相手は一体・・・?」なんて感じで、『映画秘宝』に載ったんだろーか?確か、『スネーク・フライト』の時に、第一面の勢いで特集されてたのを、覚えてるんだけど・・・。だけど、今回もやっぱり、...... [続きを読む]

受信: 2007年9月17日 (月) 02:41

» ブラック・スネイク・モーン [描きたいアレコレ・やや甘口]
ブルースで、優しくハグして この絵は、単なる管理人の趣味です(笑)最初はハードなシーンがあるのですが、それほどHな映画ではありません。あしからず。 まぁ『アダムスファミリー』のクリスティーナ・リッチーち... [続きを読む]

受信: 2007年9月18日 (火) 09:03

» 映画「ブラック・スネーク・モーン」 [映画専用トラックバックセンター]
映画「ブラック・スネーク・モーン」に関するトラックバックを募集しています。 [続きを読む]

受信: 2007年9月30日 (日) 23:52

« さらば、ベルリン | トップページ | ホステル2 »