「ヘアスプレー」
<HAIRSPRAY>/製作:2007年、アメリカ 116分
監督:アダム・シャンクマン 出演:ジョン・トラボルタ、ニッキー・ブロンスキー、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、アマンダ・バインズ、ジェームズ・マーズデン、ザック・エフロン、イライジャ・ケリー、クィーン・ラティファ
2007.10.20 MOVIX10周年ありがとうキャンペーン¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★
「BIGな女の子がBIGな夢をつかむシンデレラストーリー」
ハマる!ハジケる!ハチキレる!?
キャッチコピーはイマイチだけど、いやぁ~楽しかったーーー。ミュージカル作品にも色々あるけれど、この作品は王道をいくミュージカルといった感じで。誰が見ても楽しめるような安心感と、差別を失くそうというメッセージが込められた歌と踊りの躍動感。この心地良いテンションに身を任せて楽しんじゃいましょう!
ボルチモアが舞台。トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、明るく陽気な女子高生。ヘアスプレー企業が贈る大人気TV番組『コーニー・コリンズ・ショー』に夢中な日々。番組のメンバー・オーディションが開催されることになり、トレーシーは出場を決意。ちょっぴりおデブなトレーシーが受かるはずがないと猛反対する巨漢の母エドナ(ジョン・トラボルタ)。トレーシーの夢を応援する〈ガリガリ君〉の父ウィルバー(クリストファー・ウォーケン)。トレーシーと周囲の人達が明るく人種差別撤廃を歌い上げ、軽やかに踊る楽しいミュージカル作品。
この『ヘアスプレー』というミュージカルは、映画になったり舞台化したりしてたそうです。1度も見たことがなく、今回初めて体感しました。ミュージカルにも色々あって、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という絶望に満ちた感じの作品もありますが(私は好きですよ)。本作は女子高生を中心に明るく楽しく展開していき、とても見易いと思います。その上、「差別を失くそう!」というストレートなメッセージが印象的でした。
歩み寄ろうという意識が浸透してきている時代に見えましたが、トレーシーの高校でも『コーニー・コリンズ・ショー』でも、まだまだ黒人への差別が当たり前のように残っていました。トレーシーの宿敵アンバーの母ベルマ(ミシェル・ファイファー)の差別意識は強烈で、メイベル(クィーン・ラティファ)率いる『ブラック・デー』という黒人枠のコーナーを消し去ろうとします。番組の司会者コーニー・コリンズ(ジェームズ・マーズデン)は、枠を別にしないで「ミックスしよう」と白い歯が覗く笑顔で差別撤廃を掲げます。世界が友好的になるまであと一歩という感じでしたが、ベルマのように古いタイプの人間の意識は簡単には消えないようでした。
そうは言っても、本作には押し付けがましい生真面目さは皆無です。豪華なキャストの歌と踊りが本当に楽しい!細部まで書けませんけど、特に印象的だったキャストに触れてみたいと思います。今回、1,000人のオーディションから選ばれたトレーシー役のニッキー・ブロンスキーがキュート。陽気でポジティブで、いつも笑顔を絶やさない。トレーシーの辞書には「落胆」「ひがみ」といったネクラな言葉は無いのかもしれません。嫌な事があって少し落ち込んだって、とにかく切り替えが早いです。そんなトレーシーは輝いて見えるし、何よりもパワーを分けてもらえます。私も自分ではポジティブなつもりですけど、トレーシーには適わないぃー。コンプレックスまみれで外出しない母エドナを外の世界へ連れ出したのもトレーシー。メイベル達に人種差別に立ち向かわせる勇気を与えたのもトレーシー。親友のペニー(アマンダ・バインズ めっちゃ可愛い!!!)も、そんなトレーシーが大好きみたいだったし。番組にも出演しているリンク(ザック・エフロン)がトレーシーに惹かれていくのも思わず納得しました。こんな言い方は大袈裟かもしれないけれど、トレーシーは時代を変える愛らしき革命家みたいでした。「こうなればいい」と心の中では思っても、なかなか行動に移せないのが人間だと思ってたけど。トレーシーのポジティブさが、たくさんの人を変えていくのが心地良かったです。
それと、今回いわゆる悪役に扮したミシェル・ファイファーが素敵だったな。悪い女なんだけど嬉々として楽しんでいるので、憎むどころか愛らしくって。作品全体の雰囲気がコミカルというのもあると思うけど、ノリノリで憎まれ役を楽しむという懐の深さが嬉しかったです。かなりオシャレで、髪留めやリボンのカチューシャも可愛かった(笑)。彼女の好演も本作を盛り上げていたと思います。今度公開される『スターダスト』でも悪女を演じているので楽しみ~。
勿論、あのジョン・トラボルタが特殊メイクで巨漢女に扮して歌い踊る場面も大好きだけど。一番触れておきたいのは、父親役のクリストファー・ウォーケン。どちらかと言うとシリアスな役どころとかマフィアの親分とか、コワモテならではの役が多い印象だったから。今回、歌って踊る姿を見ただけでも儲けモンだーと大喜びしていたのに。1箇所、女装するシーンがあったね。ふんぞり返って大笑いしてしまったじゃないのー!一人で観て良かった、連れがいたら嫌がられていたかも(一人で大爆笑してたから)。
もっともっと色んなキャストについて触れたいんだけど、スペースの都合上泣く泣くカットします。私が鑑賞前に最も楽しみにしていたのは、メイベル役のクィーン・ラティファ。ラッパーとしてのキャリアも持つ彼女なら『シカゴ』の時のような魅力と存在感を残すと思ってたけど。今回も、肝っ玉母さんを好演していました。公式HPに入ると、彼女のパワフルな歌声が聴けるもんだから。HPを開いた状態で書いていますー。
最後に、メイベルの息子で番組にも出演している高校生シーウィードを演じたイライジャ・ケリーが良かったと強調しておこう。恐らく、どの媒体もリンクを演じたザック・エフロンばかりに触れると思うけど。私の目線では、リンクも良かったけどシーウィードが更に良かったです。どちらかと言うとテノールっぽい高い声は好みだし、踊りでも高い跳躍力を披露して見事でしたわ!