幸せのレシピ
「幸せのレシピ」
<NO RESERVATIONS>/製作:2007年、アメリカ 104分
監督:スコット・ヒックス 出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、パトリシア・クラークソン、ボブ・バラバン
2007.10.3 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★
「一生懸命もいいけど、ちょっとのさじ加減で違う何かが見つかるかも。」
これは、日々がんばってるあなたに贈る、とっておきの幸せのレシピ。
実を言うと、オリジナルのドイツ映画『マーサの幸せのレシピ』は未見です。あくまでも、このハリウッド・リメイク版を見て感じたことをツラツラと書いていきたいと思います。
ニューヨークのレストランで料理長として大活躍するケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)。確かな腕前と同時に、完璧主義で自信過剰な一面も。妥協を許さないケイトは、自分だけの世界を突き進む余り、人との接し方には多少問題が見受けられた。ある日、『姉の死』という悲しい報せが届く。一人ぼっちになってしまった姪のゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取ることになり、今までの自身のペースが乱れていく。そんな中、出産間近の副料理長の後任として、ニック(アーロン・エッカート)というイタリア人が厨房へ現われる。周囲が変わることで、生活が一変していくケイトだったが・・・。
ここで白状すると、最初は本作に余り興味を持っていませんでした。私が参考にしている映画雑誌で、本作を「この秋のおススメ」と書いているライターさんがいらっしゃったのと。来日時に『ビストロSMAP』に登場したゼタ姐さんを見て、ゴージャスな輝きとチャーミングな笑顔&トークにうっとりしたのと。ほぼ同時期に本作を意識するキッカケがあったので、公開早々いそいそと観に行って参りました。実際に観てみて、とても良かったと思いました。鑑賞前は、お手軽なロマンティック・コメディなのかなぁと、イマイチ乗り気ではなかったんですが。蓋を開けてみたら、今の私にとってはツボにはまるポイントが幾つかありました。作り手の意図やら大多数意見はさておき、どんな風に好みだったのか振り返ってみたいと思います。
今回は、《一流のシェフ》という役どころのゼタ姐さんでしたが、プライベートでは料理はとんでもなく苦手で、普段からやらないそうです。噂では、試しにちょこっと料理してみたら、ボヤ騒動を起こしてしまったことがあるとか。そんなゼタ姐さんにとって、この役は人生が違って見えてくる程の〈チャレンジ〉だったのではないでしょうか。だって、何の違和感もありませんでしたし。その辺も気になっていたので、見ていて嬉しかったです。ケイトの姪っ子ゾーイを演じたアビゲイルちゃんは、全編に渡ってとても愛らしかったです。とは言っても、『リトル・ミス・サンシャイン』の時とはうって変わって、少し大人びた少女を好演していました。
しかし、私にとって本作で最も重要なキャラクターはニックでした。最初、ケイトにとっては《能天気なイタリア野郎》でしかなかったかもしれません。厨房にもカセットデッキを持ち込んで、調理中にオペラを大音響でかけるニック。大らかでゆとりがあるんですよね。終始カリカリしている「完璧な技こそが全て」という感じのケイトとは対照的で、「楽しんで料理したい」と言わんばかりの意識が素敵ですよ。実際、ケイトが生み出す欠点のない完璧な料理よりも、ニックが鼻歌混じりにさり気なく差し出す《賄い料理》の方が美味しそうでしたもの。笑顔を絶やさず、周囲を和ますニックの振る舞いに感激しました。私に言わせると、それって寧ろ女の役目なのに。女のケイトは「私がナンバー1シェフよ」とばかりに尖ってばかりいました。ここで、ニックの大らかさを見て思い出したのが、先日見たばかりのイタリア映画『ミルコのひかり』でした。視力を失っても挫けるどころか明るく朗らかに過ごす子供たちの姿に感動したばかりでした。今更ですが、これこそが【イタリア人気質】ってものなのでしょうか。「仕事にメラメラと燃える」という生き方が駄目だとは言いません。仕事も頑張るけど、オフはしっかりとリフレッシュをすることも大切だと改めて思いました。「店は私の全てなの」と強面で主張するケイトに「いいや、君の一部でしかない!」と返したニックの言葉は印象に残りました。ついでに、ニックのズボンがいつも派手なところも気になりました(笑)。
シェフとしては一流でしたが、完璧主義すぎる上にナルシスティックなケイトの姿を少しばかり気の毒に思ってしまいました。ニックとの出逢いで少しずつゆとりが出てきますが、私的にはもっと前からケイトのガチガチな心に微風が当たっているようにも見えたんです。ケイトに好意を抱いてアピールしてくる隣人がいました。一見、ボーっとしているようでしたが、大人のゆとりで何度も積極的に誘っていました。ケイトは冷たくあしらっていましたが、気がついて受け入れようと思えば幸せになれる一握りのチャンスを無視してまで仕事にのめり込むなんて、勿体ないし悲しいと思いました。ケイトは周囲を見ようともしていなかったけれど、その前に自分自身を見つめることができていなかったような気がします。がむしゃらになる前に、ゆとりを持って自分を見つめて。そして、周囲を見渡せるような生き方ができればいいな。口で言う程に簡単ではないとも思いますが、私には余韻が残る素敵な作品でした。
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コメント
こんばんは!
やっぱりゼタは姐さんって感じですよね♪
ニックの派手なパンツ、私も密かに注目してました。黒いパンツがほとんどのケイトと対照的でしたね。
「マーサ」はどんな風になってるのか興味あります。
実はイタリア好きな自分です。
投稿: カオリ | 2007年10月11日 (木) 00:46
カオリさま
こんにちわ。訪問ありがとうございましたー。
やぱりゼタ【姐さん】ですよー
ニックの派手なパンツは、ケイトと対照的だからこそ際立って見えたのでしょうかね。全ての種類のパンツを、ゆっくりとアップで見たかったですー。
イタリア好きなんですね!
9月はイタリア映画に魅せられたばかりでしたー
投稿: 隣の評論家 | 2007年10月13日 (土) 11:45
こちらにもお邪魔します。
全体的にはまとまった、面白い作品でした。
でも、どうもあっさり感というか、これといったインパクトがなかったかな。
観やすいと言えば、観やすい。安心感ある作品でした。
それぞれ3人のキャラはなかなか良かったですね。
仕事を完璧にこなせる人って、逆に余裕がなくなってしまうのかもしれませんね。
息抜きも大事なんだなぁ。
私はちょっと息抜きし過ぎてるかもしれませんが(苦笑)。
投稿: CINECHAN | 2007年10月17日 (水) 01:58
CINECHANさま
TB&コメントありがとうございます。
意外にも思われそうですが、私はこの作品にハマリました。
>仕事を完璧にこなせる人って、逆に余裕がなくなってしまうのかもしれませんね。
ココですよ、ココ!生きていく上で働くことは必要不可欠であるけれど、仕事より大切なことってたくさんあるのかもしれないとシミジミと思いましたです。私の職場では、上昇志向の強い感じの女性が多い印象ですからね。この作品を見て、少しノンビリして欲しいなんて思った次第~。
息抜きも大事という部分では、『めがね』よりも本作の方が強く心に残ったとなひょうでしたー
投稿: 隣の評論家 | 2007年10月18日 (木) 20:22