オリヲン座からの招待状
「オリヲン座からの招待状」
製作:2007年、日本 116分
監督:三枝健起 原作:浅田次郎 出演:宮沢りえ、加瀬亮、宇崎竜童、豊原功輔、鈴木砂羽、田口トモロヲ、樋口可南子、中原ひとみ、原田芳雄
2007.10.23 試写会¥0にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★
「時代に翻弄されながらも、映画館を守り続けたふたりの愛と、優しい奇跡の物語」
僕ずっとオリヲン座を守るさかい―― ここでいつまでも、一緒に映画<シャシン>かけてもらえますか。
――(goo映画よりストーリーを紹介)――
昭和30年代、小さな映画館【オリヲン座】の館主・豊田松蔵(宇崎竜童)が病に倒れ、その弟子であった留吉(加瀬亮)が、その志を受け継ぎ館主の妻・トヨ(宮沢りえ)と映画館を守ることとなった。古い時代、周囲からの陰口を叩かれたりもした。さらには映画産業が斜陽になり始め、貧乏をしながらも映画を愛し、一緒に【オリヲン座】を守り続けた2人。そして何よりも純粋にお互いを思いやり、愛し続けたのだった。
原作は、『鉄道員<ぽっぽや>』と同じ浅田次郎の短編小説だそうです。舞台となるのは、歴史の深い映画館【オリオン座】。長い間、人々に愛され続けてきた映画館が閉鎖するという便りから始まります。『鉄道員<ぽっぽや>』と併せて原作を読んだことはありませんが、〈映画狂〉の一人として物語の設定に興味津々でした。色々と惹き込まれるポイントが多いのではないかと期待していたのです。それで、実際に見た感想はと言うと。どこで入り込んでいいのかわからないままにエンディングを迎えてしまいました。色々なことが起こっているのに、何も起きていないと勘違いしてしまうくらいに起伏が感じられなかったんですよね。淡々と進んでいくからこそ、感動的だと思わせる演出だったのかもしれませんが。私の場合は、もう少し過剰な演出にしてもらった方がグーッと惹き込まれたのではないかと思ってしまいましたわ。話そのものは、ノスタルジー溢れる素敵なものだと思います。原作を読むと、また印象が変わるかもしれませんけれど。この映画に関しては、最後まで入り込むポイントが見つけられませんでした。私としては、少々残念な感想になってしまいました。
余りお気に入りではありませんでしたけど、それなりに印象的だった部分もあることはあります。その辺を、ちょっと振り返ってみたいと思います。
この映画を見ていて色々と思い出したこと。まずは、長年続いた映画館が閉鎖するという話は、昨年見た台湾映画『楽日』を思い出しました。自分が映画を鑑賞する時は、ひたすらスクリーンしか見ていませんけど。私達にひと時の〈現実から離れた時間〉を味あわせてくれる《映写技師》の視点というのは、イタリア映画の傑作『ニュー・シネマ・パラダイス』を連想させました。映写室に小さい子供が入り浸っている場面なんかも似ていますよね。オリオン座で上映されていた『二十四の瞳』 『君の名は』 『無法松の一生』 といった名作は、その存在を知ってはいるけど未見であります。こういう不朽の名作と呼ばれる作品は、国籍を問わずに手を出さずに終わってしまう私でありますが。映画にも深い歴史があるということは、感慨深いものがあります。
それと、キャストも印象的でした。個人的な好みで言うと、松蔵を演じた宇崎竜童さんがいぶし銀の魅力で素敵でしたが(笑)。妻のトヨを演じた宮沢りえの《大和撫子》 オーラ全開の佇まいが素敵でした。子供に話しかける時の優しい口調や、可愛らしくて奥ゆかしい仕草が艶っぽくて。私が男だったら、エロかっこいいだか何だか知らない現在増殖中の露出好きなガールズよりも、こういったシットリとした仕草の女性に間違いなく惚れると思います。どうにか真似してきたいところです。
本作で一番印象的だったのは、留吉を演じた加瀬亮でした。純朴で真っ直ぐな青年を好演していたと思います。彼のさり気ない存在感があったからこそ、最後まで居眠りしないで鑑賞することができたのだと思います。私が一番好きなシーンは、松蔵とトヨと留吉の3人が記念写真を撮る場面です。着慣れないスーツに身を包み、一見ぎこちない感じのする留吉ですが。少年みたいに嬉しそうな表情が印象的でした。松蔵が他界しても、力をあわせてオリオン座を経営していくトヨと留吉でしたが。周囲では、2人の関係が不貞であるという陰口が囁かれ始めます。酔っ払った男が、2人の悪口を言っているのを見てしまった留吉が取った行動。殴りかかるのではなくて、その男にしがみついて「自分は何を言われてもいいけど、アネさんのことだけは悪く言わないでください」と懇願するのです。殴られても飛ばされても、ひたすら男にしがみついてお願いする留吉。《腰抜け》と捉える人もいるかもしれませんけど、私は違いました。優しさこそが留吉の武器に思えたりもしたのです。トヨを大切に想うからこそ、絶対に喧嘩はしない。その思いやりこそが、留吉の強さだったとしか思えませんでした。その部分は、印象に残っております。
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