マイティ・ハート-愛と絆-
「マイティ・ハート-愛と絆-」
<A MIGTHY HEART>/製作:2007年、アメリカ 108分
監督:マイケル・ウィンターボトム 原作:マリアンヌ・パール 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、イルファン・カーン、ウィル・パットン、デニス・オハラ
2007.11.23 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「世界中があきらめても、彼女は愛する人を待ち続けた。生まれてくる新しい命と共に・・・。」
世界に衝撃を与えた誘拐事件――その30日間を綴った感動の実話映画化。
2002年、パキスタンで取材中のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者ダニエル・パールがテロリストに誘拐されるという事件が起こる。フランスのジャーナリストでもある妻のマリアンヌが綴ったノンフィクション『マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死』を読んだブラット・ピットが、感銘を受ける余り映画化の権利を取得。ブラピのパートナーであるアンジェリーナ・ジョリーがマリアンヌを熱演している。
この作品は、幾らか予備知識を入れてから観に行った方がいいんじゃないかしら。実は私、お恥かしながら本作で描かれた誘拐事件については知りませんでした。パキスタンの情勢も、表面的に何となく知っている気になっているだけですし。ここのところ努めて観るようにしている社会派テイストの映画を見て、世界で起きている事を初めて知るというパターンがもの凄く多いのです。個人的におススメしたいのは、本作と同じくマイケル・ウィンターボトム監督による『グアンタナモ、僕達が見た真実』と併せてご覧になること。パキスタン系イギリス人の若者が、母国へ向かったついでに立ち寄った隣国アフガニスタンで《テロリスト》として捕らえられてしまう。キューバに位置するグアンタナモ米軍基地で、自分をテロリストだと認めるまで酷い拷問を受けるというドキュメンタリータッチの作品です。本作では、パキスタンにいるテロリストが如何に【アメリカ】を憎んでいるかという部分が描かれていました。どちらかが完全悪なのではなくて、人間である以上はどうしても争いが生まれてしまうといったところでしょうか。怒り、憎しみ、そして殺意といった負の要素が強い感情も、人間が人間である所以という部分もあるのかもしれないなどと思ってしまいました。世間での評判はイマイチの映画『インベージョン』でも似たような感想を持ちましたが。《人間らしさ》は持ち合せたままで、世界に平和が訪れる日は遠いのが現実なのでしょうかね。
この誘拐事件もショッキングなのですが、本作はあくまでもダニエルの無事を信じて闘い続けたマリアンヌの姿を静かに描いていきます。激しいテロ行為の描写はありません。強弱がないじゃないかとばかりに、不満に思う人もいるかもしれません。けれど、静かに紡がれていくからこそ、マリアンヌの強い信念に心打たれる作品なのであります。マリアンヌは、妊娠5ヶ月でした。普通にしていても多少の不安があるかもしれない状態で、夫の精神力を信じて夫を助ける為に奔走しています。正に【マイティ・ハート】ですね。原題の<A MIGTHY HEART> 「1つの強い心」とは、マリアンヌのことを表しているとは思いますけど。個人的には、【マイティ・ハート】は幾つも存在しているように見えました。マリアンヌに協力する女性アスラ(アーチー・パンジャビ)は、インド出身という設定ですが。セリフの中で、インドもパキスタンと仲が悪いとありました。そんな状況にも負けず、マリアンヌの支えとなった彼女もまた【マイティ・ハート】だし。ダニエルの両親や家族も、涙を流しつつも「ダニエルはきっと無事に帰って来る」と断言して、身重のマリアンヌに気遣う言葉を掛けていました。アスラ以外にも、ダニエルの同僚やら多くの人達がマリアンヌを気遣いながら捜査に力を入れていました。ダニエルを誘拐した人物は除き、多くの登場人物が【マイティ・ハート】に見えた私です。
余談ですが、何かの雑誌でマリアンヌ役にはブラピの前妻ジェニファー・アニストンで企画が進んでいたと読みました。破局を迎えてから、その話はなくなり、最終的にはアンジェリーナ・ジョリーが演じることとなったみたいですが。海外ドラマ『フレンズ』のような愛らしいコメディエンヌが似合うジェニファーに、マリアンヌ役は似合わないと思うなぁ。どう考えても、自身も母親であるアンジーの為にあるような役だと思うくらいにハマっていましたねー。何と言うか、アンジー自身にとっても運命的な仕事だったのではないでしょうか。『グッド・シェパード』では何だかミスキャストな印象を受けてしまいましたが。派手さはなくても、本作はアンジー好きとしては誇れる作品だと思いました。
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