クワイエットルームにようこそ
「クワイエットルームにようこそ」
製作:2007年、日本 118分
監督、脚本:松尾スズキ 出演:内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ、中村優子、高橋真唯、平岩紙、徳井優、塚本晋也
2007.11.7 映画サービス・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★
「目醒めたら、《そこ》にいた。」
佐倉明日香 28歳 仕事に恋に悩むフリーライター
めくるめく 絶望と再生の14日間
(チラシよりストーリー紹介)
佐倉明日香(内田有紀)は28歳のフリーライター。ようやく手にしたコラム執筆の仕事にも行き詰まり、同棲相手ともすれ違いが続く微妙な状態。そんなある日、目が醒めたら【クワイエットルーム】と呼ばれる白い部屋にいた!記憶の欠如、見知らぬ場所、見知らぬ人たち。しかし、非日常的な空間に隔離され、様々な問題を抱えた人たちと出会う内に、明日香の中の何かが変わり始める。やがて、全ての記憶が甦り、ここに来た本当の理由が突きつけられるが・・・・・・。
良かったぁ、ようやく見に行けました!いやぁ、コレ面白かったです。女子だけの閉鎖病棟に入れられる話というと、私がアンジェリーナ・ジョリーに一目惚れした『17歳のカルテ』を思い出します。本作には幾分コミカルそうなイメージがあったので、9月に見た韓国映画『サイボーグでも大丈夫』みたいな感じなのかなぁと思い描いていました。実際に見てみたら、大笑いしたかと思うとホロリと涙ぐんだり。一見、軽快なテンポで進行していくような作品ですが。それでも、私にはズッシリときたストーリーでもありました。そういう意味では、とてもバランスがいいと思うし。受け取り方は様々でも、多くの人が楽しめる作りになっていると思いました。同じようにバランスの良いエンタテインメント作品としては、『それでもボクはやってない』を思い出しました。やっぱり秋は豊作だなぁ♪という感じで、本作もおススメの1本です。
ストーリーが進むにつれて、徐々に明らかになっていく明日香の歩んできた道は、笑い飛ばせないくらいに深刻な部分もありました。過去の明日香はアルコール片手にテレビばかり見ていて、何だか軽い印象を受けてしまいましたが。実直な夫との不和と別れ、妊娠と堕胎、そして別れた夫の突然の死。一度に重なった精神的圧迫からか、明日香は不眠症にかかってしまいます。鉄雄(宮藤官九郎)という恋人との出逢いの後にライターとしての仕事を見つけて一時的に人生が上向きになりますが、アルコールと睡眠薬に依存する生活を送り続けていました。そして、ある日目が醒めたら見知らぬ白い部屋で拘束されていました。女子だけの閉鎖病棟内の保護室、それが通称【クワイエットルーム】です。明日香さん、若くして波乱万丈であります。他の患者さん達も何だか訳ありのムード一杯で、不思議な空気に包まれていました。
ところが、各キャラクターの描写が心地良いくらいにコミカルなんですよね。明日香も、どことなく軽いイメージで始まりましたが。(内田有紀が好演しています) 鉄雄は、NOと断れない《言われるがままの男》 で、終始お尻を出している放送作家だし。バラエティ番組で罰ゲームを受けている場面の可笑しさったらありませんでした。鉄雄の子分である能天気な若者コモノ(妻夫木聡)は、眉毛が繋がっていて『天才バカボン』のキャラクターを連想させるし。閉鎖病棟の白井医師を演じているのは、『引越しのサカイ』のCMで大ブレイクしたあの徳井優です。胸パットを装着してキンキンに高い声で話す男性医師という、どの患者よりも病んでいるかのような強烈なキャラクターで。出番は少ないながらに、登場しただけで笑いが止まらなくなってしまって大変な思いをしました(笑)。元AV女優だと言う過食症の患者・西野の豪快さも、何かアンビリバボーだったし。(大竹しのぶが見事に怪演!) ドレッドヘアの患者ミキを演じた蒼井優も、いつもの如く印象的なのですが。超セレブな拒食症患者・サエを演じた高橋真唯が、ピアノを弾く時だけ表現できないくらいにスゴイ表情になっていた場面もツボでした。
私が一番気になったのは、冷酷なナース・江口を演じたりょうです。明日香の言葉を借りると「ステンレス星からやって来たステンレス星人」という表現になるくらいにクールな印象なのですが。和服がとても似合いそうな色白美人・りょうの〈クールビューティっぷり〉が、見事にハマっていたと思います。とても冷静で機械的な態度なので、患者たちからは恐れられているようでしたが。昔、暴れた患者にボールペンを首に刺されて死に掛けた経験があるそうです。そう言えば、アップになった首筋にアザのような痕が残っていました。そんな壮絶な過去がありながら、その現場で看護士を続けているなんて、私には何だか立派にも思えたんですよね。《ステンレス》 みたいな態度は、表現を変えるとプロ意識が強いだけだとも受け取れたので。そんな江口が、明日香が退院する時に、そっと煙草をプレゼントしている場面が印象的でした。江口だって、なかなか波乱万丈な人生とも言えるのかもしれないよなぁ。そんな風に、江口のこともとても気になったまま上映が終了しました。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144633/16969547
この記事へのトラックバック一覧です: クワイエットルームにようこそ:
» #151.クワイエットルームにようこそ [レザボアCATs]
“大人計画”の松尾スズキ監督・脚本作品、『恋の門』』以来3年ぶりにあたる。この濃さがハマる人にはハマるし、ダメな人には全くダメってヤツかもしれない。私はというと、面白くて笑ってるうちに、だんだん本気になって見入ってしまった。えぐられた。... [続きを読む]
受信: 2007年11月 9日 (金) 23:56
» 【劇場映画】 クワイエットルームへようこそ [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
佐倉明日香は28歳のフリーライター。ようやく手にした署名コラムの執筆は行き詰まり、同棲相手ともすれ違いが続く微妙な状態。そんなある日、明日香は気がついたら、真っ白な部屋のベッドに拘束されていた。やってきたナースに「アルコールと睡眠薬の過剰摂取により、丸2日間昏睡状態だった」と説明されても、記憶があちこち欠如した明日香は戸惑うばかり。だが非日常的な空間で見知らぬ人々と出会ううち、明日香の中で何かが変わり始める…。(goo映画より)
松尾スズキが監督・脚本・原作ということで、想像... [続きを読む]
受信: 2007年11月11日 (日) 01:14
» 『クワイエットルームにようこそ』 [ラムの大通り]
----偶然にも松尾スズキ離婚発表の日に観たんだよね。
キャッチコピーの
「目醒めたら、『そこ』にいた。」って、どういうこと?
「うん。これはね内田有紀演じる28歳のライター佐倉明日香が、
ある日目醒めると、白い部屋で拘束されていたというところから
話が始まっていくんだ。
そこは通称“クワイエットルーム”と呼ばれる、
女子だけの閉鎖病棟内にある保護室。
明日香はアルコールと睡眠薬の過剰摂取により、
自宅で昏睡状態となっているところを
同棲相手の焼畑鉄雄(宮藤官九郎)に発見され、
ここに運び込まれたわ... [続きを読む]
受信: 2007年11月11日 (日) 13:28
» 【2007-150】クワイエットルームにようこそ Welcome to The Quiet Room [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
佐倉明日香
28歳・ライター・バツイチ
めくるめく
再生の14日間
わたしは ここ で
生まれ変わるのだ
[続きを読む]
受信: 2007年11月11日 (日) 22:41
» 「クワイエットルームにようこそ」(日本 2007年) [三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常]
目が覚めたら記憶が覚束ない、 そして身体は動かない。 ・・・クワイエットルームのベッドの上で〜〜〜「クワイエットルームにようこそ」 [続きを読む]
受信: 2007年11月12日 (月) 21:39
» 【映画】クワイエットルームにようこそ [快投乱打な雑記帳]
「シネカノン有楽町2丁目」にようこそ
満席の映画館にようこそ
最前列にようこそ [続きを読む]
受信: 2007年11月13日 (火) 10:20
» 「クワイエットルームへようこそ」 [doBlog!]
今、ドラマは「ガリレオ」と「SP」を見てます
自分でもフツーやなぁ、と思ってるんやけど
妹にも「普通やなぁ」て言われました
なんか人に言われると癪です
今日「クワイエットルームへようこそ」を観てきました
こういうのが俺らしいかなと、やっぱ思います
内....... [続きを読む]
受信: 2007年11月14日 (水) 13:43
» 「クワイエットルームにようこそ」:東京駅八重洲口バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/hiyo_en2/}この白い通路は?
{/kaeru_en4/}東京駅の地下にできた「グラン・スタ」っていう駅ナカ飲食店街に続く通路だ。
{/hiyo_en2/}この白っぽさは、なんだかクワイエットルームを連想させるわね。
{/kaeru_en4/}おいおい、物騒なことを言うなよ。クワイエットルームって、あの「クワイエットルームにようこそ」に出てきた真っ白い女子隔離部屋のことだろ。
{/hiyo_en2/}そう、雑誌のフリーライターをしていた内田有紀が、ある日突然強制入院させられちゃう隔離病棟... [続きを読む]
受信: 2007年11月14日 (水) 20:57
» 私、鬱陶しい? [CINECHANの映画感想]
271「クワイエットルームにようこそ」(日本)
佐倉明日香28歳、フリーライター。ある日目覚めたら見知らぬ部屋で5点拘束されて横になっていた。記憶がなく、見知らぬ場所に見知らぬ人々。現れた看護士の江口に告げられる。薬の過剰摂取によって昏睡状態に陥り、丸2日も眠っていたと。そこは緑山精神病院女子閉鎖病棟の拘束部屋。人呼んで〝クワイエットルーム〟
閉鎖病棟には過食症や拒食症の人々。個性豊かな患者たちが入院していた。自殺の恐れがあると言われた明日香も入院生活を送る破目に。
非日常な空...... [続きを読む]
受信: 2007年11月17日 (土) 11:25
» 『クワイエットルームにようこそ』 [カエルノセカイ]
雑誌ライターの明日香(内田有紀)は、見知らぬ天井を見上げていた。 白く無機質なその部屋は、閉鎖病棟の拘束室。通称“クワイエットルーム”だった。 自分がなぜ、精神病院の閉鎖病棟で拘束されてるのかがわからず、困惑する明日香。 「あなたはOD(オーバードーズ=薬の..... [続きを読む]
受信: 2007年11月20日 (火) 21:02
» クワイエットルームへようこそ [ダイターンクラッシュ!!]
11月25日(日) 18:30~ シネカノン有楽町1丁目
料金:1300円(会員料金) パンフ:700円
『クワイエットルームへようこそ』公式サイト
一人の女性の再生の映画。舞台は精神病院なんだが。
各界の色々な人たちが、なんか楽しく演技している。
シニカルなコメディーかと思っていたら、後半はかなりシリアスだった。最後の最後で一安心。
可愛らしい子しか演じていなかった蒼井優が、大人びた人間を演じている。成長したな。
妻夫木が軽薄な男を好演。
大竹しのぶが貫禄の怪演。
お勧め度:☆... [続きを読む]
受信: 2007年11月29日 (木) 22:30

コメント
となひょうさんこんばんは☆
なかなか深みのある物語で、とても良かったです。これ、結構評判になっているんじゃないでしょうか?
となひょうさんはりょうが気になりましたか。・・
時々思うのですが、となひょうさんは冷徹仕事人間にも良さを見つけようとなさるのですよね。
投稿 とらねこ | 2007年11月 9日 (金) 23:52
とらねこさま
TB&コメントありがとうございます。
やっぱり評判いいんですね~
水曜日の夜だからだとは言え、満席でしたものー(in シネカノン)
そそそ、私はりょうが一番気になりました。
冷徹仕事人間=悪い人ではない
って、誰にでも良い部分は必ずありますからねん
仕事中はステンレスでも、プライベートはそうでもないのではないかと思ったのでありんす。
投稿 隣の評論家 | 2007年11月11日 (日) 10:51
この映画、他の患者さんたちの過去を描くだけでも
いくつも外伝(?)が生まれそうですね。
ぼくは『サイボーグでも大丈夫』はまったく肌に合いませんでしたが、
この映画は今年の邦画の5本の指に入るくらい好きです。
投稿 えい | 2007年11月11日 (日) 13:29
えいさま
TB&コメントありがとうございます。
そうですね、外伝を見たい気がします。
それくらいに各キャラクターが個性豊かでしたね。
『サイボーグでも大丈夫』はそんなにダメでしたか・・・・・
それは残念でした。私は結構高評価でしたです。
投稿 隣の評論家 | 2007年11月11日 (日) 19:32
おひさしぶりです
僕もこの映画、すごい気に入りましたー
もともと大人計画好きで、松尾スズキの映画やからって見に行ったんですけど
こんなけ良いとはさすがです
重い話なんですけど、見終わってからそんなに重い感情が残らず
バランスよく作られててよかったです!
キャストじゃみんな味があってよかったんですけど
僕はナース役の平岩紙が1番印象的でした
投稿 doBlog! | 2007年11月14日 (水) 13:42
doBlog!さま
TB&コメントありがとうございます。
いい映画でしたねー
見る前から期待していたんですけど、期待以上に満足でした。
実は重い話なのに、重く見えないところが凄いです。
本当にバランスが良いなぁと感じました。
平岩紙、可愛かったですね。
サエちゃんがやっと食事して、しかもキレイに完食したお皿を見てオイオイと泣いてしまう場面が印象的でした。
投稿 隣の評論家 | 2007年11月16日 (金) 20:00
TB返し&コメントありがとうございます。
脇役もみんなキャラが立って面白かったですね。
蒼井優に徳井優に平岩紙にりょうって、好きな俳優ばかりでとても楽しめました。
紙ちゃんが涙するシーンも良かったし、りょうさんも最後に実は人間臭いところがわかったりして(原作でもさりげなく良い人だったりします)。
入口の行列にも満席にもめげずに観た甲斐がありました。
投稿 さとし@快投乱打 | 2007年11月16日 (金) 23:43
となひょうさん、お久しぶりです。
TB・コメントありがとうございました!
会社で10月に異動があって、仕事が増え、忙しくなり、ブログを更新したりするのが辛くなってきましたよ(愚痴)。
まあ何とか更新はしてるんですが、TB、コメントは返すのが精一杯。こちらからはあんまり訪問できなくなりました・・
グチグチ・・・
まあのんびりやることになるでしょうねぇ・・・
思い切りコミカルかと思ってたんですが、意外やシリアスな部分も多かったなぁ。
作品として入り込めたかは微妙でしたが、りょうと蒼井優には魅せられました。
投稿 CINECHAN | 2007年11月17日 (土) 11:33
TB&コメントありがとうございます。
★さとし@快投乱打さま
>りょうさんも最後に実は人間臭いところがわかったりして(原作でもさりげなく良い人だったりします)。
おおお~っ、そうなんですかー
思わず読んでみたくなってしまいます。
私は、あのキャラクターの中に人間味を見出したんですけど。そうではない声も結構見受けられたので・・・
投稿 隣の評論家 | 2007年11月17日 (土) 22:34
★CINECHANさま
あああ、やはり忙しくしてたんですね。
私も最近は、自分の感想をアップするので精一杯な日が多いです。まぁ、続けるんであれば、疲れた時にはPCから離れることも必要ですもんね。そこは適当にいきましょー
コミカルなようでいて、実はとてもシリアスな作品でしたね。
口コミで評判が広がっているのか、私が見た時はアッと言う間に満席でございました。
投稿 隣の評論家 | 2007年11月17日 (土) 22:42