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2007年12月29日 (土)

2007年の総決算<その2>

総決算の第2弾です。2007年に観た映画を振り返り、私的アカデミー賞なんか考えてみました。あくまでも、本家本元のプロ判定とは大違いな素人目線でお送りしますので、あしからずー。

★★★隣の評論家的ムービー・アワード★★★

ベスト・ムービー: 「題名のない子守唄」 
今年、最もスクリーンに釘付けになって固唾を呑んで見入っていたのが本作です。好き嫌いは別れましょうが、厳かな音楽と全編に渡って油断できない緊迫感が超好みでした。あーだこーだと語るよりも、まず繰り返して見たい作品です。

ワースト・ムービー: 「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
悪いんだけど、どうしても無理×××

ベスト・アクター: エディソン・チャン「ドッグ・バイト・ドッグ」
本家アカデミー賞を受賞した『ラスト・キング・オブ・スコットランド』のフォレスト・ウィテカーも素晴らしいんだけど。私が今年一番感心させられた俳優さんは、彼で決まり!二枚目キャラで売り出している人が汚れ役に挑戦するという姿はよく見かけますが。どの人も所詮so sweet で終わるんだよね。エディソンだけは違ってた。生きるためなら何だってする、そんな気迫が感じられる圧倒的パフォーマンスは素晴らしかったです。

ベスト・アクトレス: マリオン・コティヤール「エディット・ピアフ 愛の賛歌」
今までは、どちらかと言うと気にならない女優さんでした。そんな彼女の魂の込められたパフォーマンスは見事でした。映画自体は、何と言うか好みな感じではなかったというのが率直な感想なので。その迷いを吹き飛ばす程に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

ワースト・アクター: サシャ・バロン・コーエン「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
ゴメン、どうしても無理!!!

ワースト・アクトレス: hitomi「悪夢探偵」
こんなこと書いたら、男子から非難轟轟・・・(苦笑) みんな、脚線美ばっかり見てないで、ちょっとは真面目に演技面も見てよ。続編では、せめてより滑らかな発音で挑むようにしてください!・・・って、私はもう観に行かないけどね。

♪♪♪♪♪番 外 編♪♪♪♪♪

迷宮大賞: 「パンズ・ラビリンス」

涙腺崩壊大賞: 「河童のクゥと夏休み」

人生観が変わったで賞: 「約束の旅路」

勇気リンリン大賞: 「ミルコのひかり」

女って怖いで賞: 「あるスキャンダルの覚え書き」

♪♪♪♪♪お次は、俳優部門で~す♪♪♪♪♪

★★★特に印象的だった方達★★★

松重豊 (「しゃべれども しゃべれども」 「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」 「クローズZERO」 「やじきた道中 てれすこ」 「Little DJ 小さな恋の物語」

マット・デイモン (「ディパーテッド」 「グッド・シェパード」 「ボーン・アルティメイタム」

ジョン・タトゥーロ (「トランスフォーマー」 「グッド・シェパード」

ミシェル・ファイファー (「ヘアスプレー」 「スターダスト」

ペネロペ・クルス (「ボルベール<帰郷>」

★★★今後が楽しみな方達★★★

加瀬亮 (「それでもボクはやってない」 「めがね」 「オリヲン座からの招待状」

小栗旬 (「キサラギ」 「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」 「クローズZERO」

高岡蒼甫 (「クローズZERO」

ジェニファー・ガーナー (「キングダム 見えざる敵」

りょう (「クワイエットルームにようこそ」

来年も、素敵な映画にたくさん出逢えますようにぃ

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2007年の総決算<その1>

もう、口にするのも嫌なんだけど、1年って本当に早いですよね。今年も、1年を振り返って総括記事を作ってみました。早速いってみたいと思います。
2007年下半期に劇場公開された作品の中から、当ブログの管理人が選出した10作品を紹介します。下半期は、合計で72本鑑賞しました。DVD・ビデオで鑑賞した作品は除きます(ちなみに、上半期のベスト10はこちら

★★★2007年下半期ベスト10★★★

第1位  「題名のない子守唄」 

第2位  「河童のクゥと夏休み」 

第3位  「リトル・チルドレン」 

第4位  「ペルセポリス」

第5位  「ボーン・アルティメイタム」

第6位  「パンズ・ラビリンス」

第7位  「クローズZERO」

第8位  「ミルコのひかり」

第9位  「キングダム 見えざる敵」

第10位  「ドッグ・バイト・ドッグ」

特別賞: 山村浩二アニメーション
『カフカ 田舎医者』と同時上映で見た全ての短編作品、特に『頭山』には魅せられました。余りにも気に入ったので、山村アニメのDVDを購入してしまった程です。今後も要チェックでございます。

★★★2007年を振り返る★★★

◎昨年に比べると、自分としては気合を入れ過ぎることなく映画鑑賞できました。何か目標を高々と設定することなく、思いつくままに映画ブログを運営しました。来年も、こんな感じで無理せずに続けられたらいいなと思います。

◎今年は、もともと気になっていた短編アニメを積極的に観に行きました。山村浩二アニメーションや、チェコアニメ映画祭など。本当は、ヤン・シュバンクマイエル特集も見たかったし。その他に気になる特集上映がたくさんあったのに行けませんでした。タイムテーブルが決まっていると、調整が難しい場合もあります。この頃は、近場のシネコンならいいんですけど、渋谷のミニシアターでのレイトショーは厳しくなりました。帰りが遅くなるし、渋谷の夜って人が一杯いて仕事帰りにはキツイです。モーニングショーだったら、頑張って早起きするんだけどな。来年も、可能であれば特集上映に参加したいなぁと思っています。

◎今年は、女の出る幕ナシな【ザ・男社会】映画に魅せられました。多数決を取ると確実に独りぼっちになるような解釈ではあるんですけど、私が「男社会って凄いな」と目がハートになった作品を紹介します。
「エレクション」 「300<スリーハンドレッド>」 「キングダム 見えざる敵」 「クローズZERO」 「グッド・シェパード」 

◎鑑賞後にブログをアップして数日経ってから、ちょっと評価が低すぎたかもと後悔した作品もありました。いつまでも余韻の残る素敵な映画たち。自分の反省を込めつつ、この場を借りて紹介します。
「それでもボクはやってない」 「善きひとのためのソナタ」 「キサラギ」 「パンズ・ラビリンス」 「クワイエットルームにようこそ」 「4分間のピアニスト」

◎今年の映画にまつわる素敵な思い出2つ~♪
「それでもボクはやってない」の試写会の後、周防正行監督の挨拶&トークがありました。生で周防監督の話を聞けた感激と、周防監督の人柄が魅力的で。1年の幕開けに相応しい出来事でした。
も一つは「デス・プルーフ in グラインドハウス」の試写会で、来日したクエンティン・タランティーノ監督を生で拝めたことです。試写会に当選しただけでも大喜びなのに、昔からお気に入りの映画監督として真っ先に挙げていたタランティーノを生で見れるなんて。しかも、なかなかの至近距離で拝めちゃいました。興奮の余り、一部メアドを知っている人に速攻メールしてしまったのですが。後で、あの時同じ会場にはたくさんの映画ブロガーさんがいらっしゃったと知り、またまた驚いてしまいました。顔を知らなくても試写会場でニアミスしていることって結構あるのかもしれないな~とワクワクした1年でもありました。

総決算は<その2>に続きます。そいぢゃ。

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12月に鑑賞した映画たち

劇場公開で鑑賞した作品 合計13本でした。
12月に鑑賞した作品の中でベスト1は「ペルセポリス」でございます。感銘を受けたポイントはちょいと私的な部分が強い感想になってしまいましたが。上手いことパワーを注入できました。DVD化したら、再度見直してみたいと思います。

「ペルセポリス」   4.5★/5.0★

「ユゴ 大統領有故」   3.8★/5.0★

「再会の街で」   4.0★/5.0★

「俺たちフィギュアスケーター」   4.0★/5.0★

「チャプター27」   3.5★/5.0★

「エンジェル」   3.8★/5.0★

「ある愛の風景」   4.0★/5.0★

「マリア」   3.8★/5.0★

「アイ・アム・レジェンド」   3.8★/5.0★

「べオウルフ/呪われし勇者」   3.5★/5.0★

「ファンタスティック!チェコアニメ映画祭/Dナンセンスプログラム」   4.0★/5.0★

「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」   3.8★/5.0★

「モーテル」   3.8★/5.0★

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2007年12月28日 (金)

ペルセポリス

「ペルセポリス」 
<PERSEPOLIS>/製作:2006年、フランス 95分Persepolis        
監督、脚本、原作:マルジャン・サトラピ 声の出演:キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ダニエル・ダリュー、サイモン・アブカリアン、ガブリエル・ロペス、フランソワ・ジェローム
2007.12.28 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点

「ロックとユーモアとちょっぴりの反抗心を胸に」

1970~90年代の激動するイランを舞台に
監督自身の半生を綴った《少女マルジ》の成長物語

2007年の《映画納め》をしてきました。本作の受賞&出品リストが凄いことになっているんですが、取り合えず2007年のアカデミー賞にて外国語映画賞部門でフランスからノミネートされていることだけは知っていました。イラン出身でパリ在住のマルジャン・サトラピ監督自身による自伝的グラフィック・ノベルの映画化です。

===(チラシよりストーリー紹介)===
1978年、イラン。9歳のマルジャン(愛称マルジ)は、パパとママと大好きなおばあちゃんに囲まれて幸せに暮らしていた。しかし革命が起き、翌年には戦争が始まるなど、イランは激動の時を迎える。この混乱を避けるため、マルジはウィーンに留学することに。ティーンエージャーのマルジは楽しい日々を送っていたが、次第西欧文化とイスラム文化のはざまで悩むようになり、自由を手放してでも帰国することを決意する。再び家族の元に戻ったマルジは、様々な社会の矛盾や規制の中でも逞しく成長していく。いつも公明正大に。

ニュース等で何となく知っているつもりになっていたけど、激動するイランの姿を何もわかっていませんでした。本作を見ても、まだまだ完全に理解できていない感じなんですけども。ユーモアを交えた親近感の湧くスタイルで、安心して楽しむことができました。こういった成長物語って幾つもありますが、とにかく自分のペースで確実に成長していくマルジの姿に共鳴しまくりでした。

革命が起きてからのイランは、自由が許されない世界でした。女性は、人前ではベールを被らなければいけません。「そこの女、ベールを被り直せ!」と言われる場面が何度かありました。排他的で窮屈で、ある意味《牢獄》のような世界です。ウィーンに留学したマルジは、幾らか自由が許されるヨーロッパの空気に最初はウットリしていましたが。慣れていきながらも、奔放な世界にどこか馴染めなかったようです。イラン出身であることを隠し通すマルジ。しかし、本来のアイデンティティーを押し殺して生きていくこともまた窮屈だったのかもしれません。生活は荒れて自暴自棄になったマルジは、ある日道端で倒れてしまいます。目を覚ますと、そこは病院でした。家はどこだと聞かれて、咄嗟に「イラン」と答えるマルジ。自分探しも、ここらで一区切りなのかもしれません。マルジはイランに帰国します。相変わらず窮屈な生活が続きますが、そこでも出会いと別れを繰り返して成長していくのでした。

何でこんなに共鳴したのかと振り返ってみました。イランの排他的な雰囲気は、私の職場を思い起こさせたようです。さすがに、ベールは被らなくても大丈夫ですが(苦笑)。私の職場も、細かいルールだらけで息苦しいところです。多分、「やってはいけないこと」を挙げるよりも「やってもいいこと」だけを挙げる方が早いんじゃないかな。ここ最近、(私から見ると)理不尽な人事異動や、自ら辞めていく人が後を絶ちません。別れの後には出会いがあるものだけど、別ればかりで±0になっていないんですよ。私はいつまで続けるつもりなの?だって頑張らないとしょーがないじゃんか・・・。ここ最近、私の心は泣いてます。辛くて淋しくて挫けてしまいそうでした。トーンダウンした自分にパワーを注入したくて足を踏み入れた映画館シネマライズ。最後に再びイランを離れたマルジが、出身地を聞かれて堂々と「イラン」と答える場面があります。私の中で、抑え切れない感動が押し寄せてきました。自分のペースで、自分なりにアイデンティティーを確立したマルジの姿に心打たれてしまったのであります。

更に、マルジの両親にも心打たれました。マルジを守る為に、敢えて手放す断腸の思いは勿論のことですが。特にお母さんは、本当は心の奥で自由を奪われた生活に不満を抱いていたと想像します。それでも、この窮屈な社会から逃げ出さずに生きていく2人。その部分にも、強く感銘を受けてしまったんですよね。今だに色んな想いが湧き起こる作品だし、激動するイランの姿を真正面から受け止め直さないとダメな気がしています。今書いても、この作品を見て想うことを上手くまとめられないのが現状ではありますが。鑑賞前に構えていた以上に、私の心に深く刻み込まれた1本でした。今月のベスト1として掲げたいと思うし、2007年の締めを飾るに相応しい映画鑑賞となりました。皆様の感想は私とは異なることとは思いますが、気になっている方は是非とも劇場でご覧になってくださいねー。

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2007年12月26日 (水)

ユゴ 大統領有故

「ユゴ 大統領有故」
<THE PRESIDENTS'S LAST BANG>/製作:2005年、韓国 104分 PG-12指定Yugo  
監督、脚本:イム・サンス 出演:ハン・ソッキュ、ペク・ユンシク、ソン・ジェホ、キム・ウンス、チョン・ウォンジュン、クォン・ビョンギル、チョ・サンゴン、チョ・ウンジ、キム・ユナ
2007.12.26 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「目を開け、それを信じろ。」

パク・チョンヒ大統領殺害までの真実のプロセス
あなたは今【歴史】を目撃する!

1979年10月26日 午後7時50分。ソウル、某所。それは余りにも突然だった。大統領の胸部を撃ち抜いた銃弾。鮮血が白いワイシャツを毒々しく朱に染める。女たちは悲鳴を上げ、国家の中枢を担う男たちは逃げ隠れる。発砲者は、大統領の腹心であり友人だった男。彼は、今まさに大統領のこめかみに拳銃を突きつける・・・。次の瞬間、全てが終わったかに見えた。しかしこの惨劇は、新たなる恐怖と謀略を生み出したに過ぎなかった・・・。

有故(ユゴ)とは・・・?
暗殺首謀者である韓国中央情報部(KCIA)のキム・ジェギュ部長(ペク・ユンシク)が、暗殺という事実を曖昧にする為に軍と政府に対して「大統領が有故に遭った」と説明した。有故とは、韓国語で「事故に遭う」の意味。
===(チラシより)===

韓国では、元大統領の遺族が上映禁止を訴えて裁判に発展したそうです。裁判所は、問題視された3分50秒間の映像を削除するように言い渡したそうで。《表現の自由》を巡って、かなり話題になったとのこと。韓国では、問題のシーンを真っ黒な映像で上映したそうです。そんな話題の本作が、日本では無修正完全版 で公開されました。

この事件が起こった時、私はまだ小学生でした。当時、日本で報道されていたかどうかも知りません。言い訳がましいのですが、この映画がキッカケとなり初めて知りました。鑑賞前と鑑賞後に再度、チラシ等を読んで「ふ~ん、そうだったのかぁ」と、大まかにしか理解できていません。そんな調子なので深いレビューは書けませんが、1本の映画として私なりに感じたことをツラツラと述べてみたいと思います。

韓国中央情報部(KCIA)の悩める男たち。キム・ジェギュ部長(ペク・ユンシク)チュ儀典課長(ハン・ソッキュ)ミン大佐(キム・ウンス)、そして彼らに続く忠実なる者たち。冒頭、彼らはあくまでも普段通りに過ごしていました。キム部長は、警護室長との権力争いに押され気味で疲弊しているようでした。グッタリと横になっている姿や、腸の具合が悪い描写など。闘うお父さんは疲労困憊といった感じです。チェ課長は、大統領の宴会の女性調達係という扱いに不満が蓄積していたようです。チューイングガムを手放さず、気がつくと噛んでいます。苛立つばかりの日々を送っていたんですね。何だか、普通の企業戦士と何ら変わりはないんだなぁと油断していましたが。突然、「今日、決行する」とキム部長が言い出しました。一瞬で何のことだか理解するチュ課長ミン大佐。いつの間にそんな相談をしていたのだろうと驚いてしまいました。彼らは、時おり日本語を織り交ぜた会話をしていましたが。大統領の宴の席に呼ばれた女性歌手が、日本の演歌を日本語で歌っている場面がありました。日本という国が、それ程に近い存在だという背景もあったと思うのですが。キム部長たちが日本語を取り入れて会話している場面は、【暗殺計画】 に向けて同志で士気を確かめ合っているようにも感じられました。

大胆な計画を胸に秘め、普段通りに過ごしていた男たち。2つの顔を持つ彼らが、次第に計画実行へと方向転換していく流れがスリリングでした。3人の男(キム部長、チェ課長、ミン大佐の3人でしょうか?)が、近づいて拳と拳を軽くタッチさせている場面がお気に入りです。《決行》している場面の緊張感は言うまでもなくピークでしたが、徐々に死体が増えていく映像もインパクトがありました。この後どうなる、どうするの?と、いい具合にハラハラと手に汗握って見守っておりました。嘘偽りなく正直に申しますと、【暗殺】 が実行された後の展開は、緊張感が薄まってしまった感もあります。男たちがどんな思いでやり過ごしていくのか、大統領の死が発覚した後の世間はどう変わっていくのか。そんなにドラマティックには感じられなかった気もします。もしかして、まるで何事も起きなかったかの如く静かに過ぎていくこと自体が、本当は恐ろしいことなんでしょうか。その辺は、まだまだバックボーンを理解し足りていないのかもしれないです。多分、登場人物も完璧に把握しきれていないような気もするんですよね・・・(汗)。

勉強不足の分際で何ですが、最後に本編のレビューとしては必要ないかもしれない私の感想を付け加えさせて頂きます。チェ課長を演じたハン・ソッキュは、紳助兄やんに似ているなぁと思いました。終始、スーツ姿に身を包んでいたから尚更です。キム部長を演じたペク・ユンシクは、角度によっては菅直人さんに似ていると思ってしまって。そんなことにも気を取られてしまいました。真剣味に欠ける感想で申し訳ありませんー。

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2007年12月24日 (月)

再会の街で

「再会の街で」 
<REIGN OVER ME>/製作:2007年、アメリカ 124分Saikaimachi        
監督、脚本:マイク・バインダー 出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル、ジェイダ・ピンケット=スミス、リヴ・タイラー、サフロン・バロウズ、ドナルド・サザーランド、ロバート・クライン、メリンダ・ディロン
2007.12.24 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★

「話すことで、癒されていく傷がある。」

愛する者を失くした男と、愛する者を見失った男。
大学のルームメイトだった二人が、ニューヨークの街角で出会った――。

歯科医のアラン(ドン・チードル)は、NYの街角で20年ぶりに大学のルームメイトだったチャーリー(アダム・サンドラー)と再会する。彼は仕事を捨て、いつもヘッドフォンで音楽を聴き、誰にも心を開こうとしなかった。実は、妻と3人の娘を【9.11】 で亡くしていたのだ。チャーリーアランの同情を拒絶し、学生時代のように一緒にバカな遊びに熱中することを望む。そんな彼に付き合ううちに、アランは幸せに見える自分の人生にも足りないものがあることに気づいていく。しかし、チャリーが現実に向き合わなければならない時が、刻一刻と近づいていた・・・。
==(チラシよりストーリー紹介)==

実は、イメージしていたものと少し違いました。【9.11】で傷ついた男の話を描いたハリウッド作品ということで、誰が見ても大泣きするようなテイストだと思い込んでいました。泣くポイントは幾つかあったけど、大袈裟すぎるものではなかったです。鑑賞直後はアッサリと通り過ぎた作品だと思ったけど、自分なりに振り返って咀嚼している内に何となく温かくなってきました。最近では、派手さは無くても暫く余韻の残る作品の方が素敵だなぁと思うようになったので。本作も、その素晴らしさが後から実感できる秀作だなぁと思います。

何よりも、チャーリーを演じたアダム・サンドラーが素晴らしいです。アランと再会して一緒に過ごしていても、生気の無い眼差しが痛々しくて。口調に覇気は無く、過去を覚えていないように振る舞い、話題によっては聞き流す。生きようとする意志は薄く、取り合えず呼吸をして食事をして眠っているという感じです。アランが良かれと思って家族の話題に触れてしまい、爆発してしまう場面がありました。負の力かもしれないけど、その時だけは目に力が入っているようでした。チャーリー自身も、どうしたら良いかわからないんでしょう。言葉で表せない程に、深く傷ついているチャーリー。指1本でチョンと触れただけで、粉々に砕かれてしまいそうです。私がアダム・サンドラーを初めて見た作品は、『リトル・ニッキー』というベタベタなコメディですが。作品の内容上、クドイくらいのドタバタ演技でした。その時は引いてしまったけど、以降『ウェディング・シンガー』や『パンチドランク・ラブ』といった作品で見せた笑顔が印象的でした。とても穏やかで温かい人なんだろうな。コメディアン出身の俳優には、繊細なイメージがあります。人を笑わせるには、人一倍その場の空気を読まなければいけない。見た目以上に気を遣うデリケートな人が多いと個人的には思っていて。(ロビン・ウィリアムズとかジム・キャリーとか) 本作の繊細な演技を見て、私の中で彼の好感度がアップしました。

チャーリーの背負う悲しみも辛いのですが。よく見ると、ニューヨーカーは傷ついた人ばかりです。愛する妻と2人の娘に囲まれ、歯科医として順風満帆に見えるアランですが。本当は不満も募っていることが薄っすらとわかってきます。「薄っすらと」なのは、彼が周囲に気を遣っているから明確ではないのかもしれない。妻、娘、クリニックの同僚や受付係。しまいには、アランに一方的に好意を寄せる美女まで出現。同僚の話では、過去にも女性患者に惚れられてひと悶着あったようで。《女の帝国》で神経をすり減らしているアラン。13歳の長女の少し生意気な態度は、無意識に母親を真似てるんじゃないかと想像します。アランだけの安らぎの時間が無いことは、ちょっと気の毒。アランにつきまとう美女も、実は深く傷ついていることがわかるし。どんな場所でも、みんな心に傷を負いながら生きていくんだなぁと実感しました。その膿みを放出させることも大切。でも、無理矢理であってはいけない。話したいと自分が思うまで、時間をかけることが何よりも重要。チャーリーには、かなり長い時間がかかったようだけど。アランと再び過ごすことで、確実に何かが変わっていったんだろうなと思います。

何だか上手くまとめられていない気がするんだけど・・・(汗)。チャーリーがようやく心に溜まった膿みを吐き出し始める場面では、とにかく涙が止まりませんでした。人は傷ついた時、思い切って環境を変えてみることも必要だと思います。例えば、大胆に遠くへ引越してみるとか。チャーリーは、家族が居ないように振る舞いながらも、家族と暮らした住まいを変えようとしませんでした。奥さんと最後にした会話は、台所のリフォームについての口論でした。その事を後悔して、何度も何度も台所をリフォームしていたチャーリー。家族と一緒に愛犬も亡くしたようですが。せめて、ワンちゃんだけでも側にいたのなら、少しは違っていたかもしれません。そういう意味では、『アイ・アム・レジェンド』のワンちゃんを思い出しました。(舞台も同じニューヨークだし) 最後にもう1つ、出番は1シーンのみでしたが、ドナルド・サザーランドの存在感には感服いたしました。

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2007年12月22日 (土)

俺たちフィギュアスケーター

「俺たちフィギュアスケーター」 
<BLADES OF GLORY>/製作:2007年、アメリカ 93分Figure_skaters  
監督、脚本:ウィル・スペック、ジョシュ・ゴードン 出演:ウィル・フェレル、ジョン・へダー、ウィル・アーネット、エイミー・ポーラー、ウィリアム・フィクトナー、ジェンナ・フィッシャー、クレイグ・T・ネルソン、スコット・ハミルトン
2007.12.22 ミニシアター回数券¥1,330にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★

「史上初!?男子フィギュアペア結成!」

氷が解けるほど暑苦しい男同士のスケーティング!?
たとえ何が起こっても、氷の上では華麗に舞うぜっ!

こちらは、初日というだけあって《満員御礼》状態でした。主人公の2人と同じ扮装をした男性が2人、本編上映前に宣伝してポーズを決めてました。先に指定席を取っておいたので、余裕を持って会場したもんだから。そのパフォーマンスを全部見れなくて悔しかったです。宣伝部長を務めるお笑い2人組か何かと決めつけていたら、どうやら宣伝マンっぽい雰囲気だったなぁ。上映終了後もロビーにやって来たから、全ての回で挨拶してたんでしょうね。どうも、お疲れ様でした~。

フィギュア・スケートの大会で、同点優勝したチャズ・マイケル・マイルズ(ウィル・フェレル)ジミー・マッケルロイ(ジョン・へダー)。2人は長年のライバルでもあり、性格も演技も180℃異なる存在。表彰台で口論となり、取っ組み合いの喧嘩を始めてしまう。騒動の末、金メダルを剥奪され、男子シングル・フィギュア・スケート界から追放されてしまう。それから3年間、抜け殻のように生きていた2人。ジミーは、熱烈なファンから「男子シングルから追放さてもペアでの出場権は剥奪されていない」と教えられる。慌ててペアの相手を探すジミーは、偶然にもチャズと再会してまたまた乱闘騒ぎを起こす。そのニュー映像を見ていたジミーの元コーチ(クレイグ・T・ネルソン)は、2人がペアでスケートしたら見事にマッチするのではないかと気づく。こうして、男同士のペア・スケートの闘いは幕を開ける!

最高でした!!!!!鑑賞前は、下ネタ満載のどぎついコメディ・タッチを想像していたんだけど。私にとっては、感動的ですらあるスポ根ムービーでした。情熱的で激しいパフォーマンスを繰り広げるチャズと、正確で繊細な王子様チックなパフォーマンスを見せるジミー。演技も性格も真逆の2人だけど、スケートに賭ける情熱は同じ。《ライバル》というよりは《好敵手》といった印象を受けます。違う部分を持った2人は、互いに補い合うことができるんですねー。そんな展開を見せていくところも、ベタとわかっていても感動を覚えてしまう私です。

色々と好きだった点を振り返ってみようっと。ジャンプの違いは見分けられないくせに、フィギア・スケート好きな私。という訳で、スケーティングの場面も楽しく鑑賞できました。ウィル・フェレルジョン・へダーは、どのくらい自分で滑ってたんだろう。吹き替えを使っていたとしても、ある程度はスケートの練習を強要されてたんだよね?2人は勿論のこと、フィギュアのペアで王者に君臨していた双子の兄妹の技も、変チクリンで楽しかったです。現実のフィギュア・スケートでは、《エキシビジョン》であっても見られるはずのないパフォーマンスばかり。衣装も奇抜で、本当に楽しい!チャズジミーが初めてコンビを組んだ時の衣装も素晴らしかったよ~。炎のごとく情熱的な赤い衣装を身にまとったチャズと、氷をイメージして薄い水色の衣装をまとったジミー。素敵にマッチしてる~。(冒頭、ジミーの孔雀をあしらった奇抜な衣装もカワイイね)

衝突ばかりしていた2人が、次第に相手を理解し歩み寄っていく。いかにもベタな展開であっても、私はそういうの大好きです。フィギュア・ペアの王座を奪われそうになった双子の兄妹が絵に描いたように意地悪で。次から次へと嫌がらせを仕掛けてきます。これまた絵に描いたような数々のピンチが2人を襲いますが。協力し合い、補い合って乗り越えていくのが嬉しかったです。大袈裟かもしれないけれど、金メダル以上の素敵なものを手に入れた2人という感じがしました。情熱的で大胆なチャズが、ふとした時に見せるジミーへの男らしい思いやりとか。実は淋しがり屋なんじゃないの?というところを、爆笑ネタ満載で楽しませてくれました。最終決戦のシーンも、映画とわかっていても大笑いしながら感動してしまいました。少しだけ書いてしまうと、繊細でフェミニンな印象のジミーが最後のピンチに取った大胆な行動は、見た目からは想像がつかないくらいに男らしくて頼もしかったです。ペアを組むことで、お互いに今まで無かったであろう部分が出てくる。お互いがお互いを良い意味で影響し合っている素敵なコンビに見えました。年末の笑い納めとして楽しむも良し、年明けに初笑いの1本として選ぶのも良いんじゃないかしら。とにかく、おススメの1本です。

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チャプター27

「チャプター27」 
<CHAPTER 27>/製作:2007年、カナダ 85分Chapter27  
監督、脚本:J・P・シェーファー 出演:ジャレッド・レト、リンジー・ローハン、ジュダ・フリードランダー、アーシュラ・アボット、ジャンヌ・フルニエ
2007.12.22 ミニシアター回数券¥1,330にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,330で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「1980年12月8日 ジョン・レノンはなぜ殺されたのか?」

その時、彼が手にしていたのは 
「ライ麦畑でつかまえて」と 38口径のリボルバーだった

1980年12月8日ニューヨーク、ダコタ・ハウスでジョン・レノンが射殺された。偉大なるミュージシャンを世界から永遠に葬った男の名は、マーク・デイヴィッド・チャップマン(ジャレッド・レト)。犯行の瞬間、彼が手にしていたのはJ・D・シャリンジャーの不朽の青春小説『ライ麦畑でつかまえて』と38口径のリボルバーだった。彼はいったい何者だったのか?そして、彼を犯行に駆り立てたものは何だったのか?ジョン・レノンがこの世を去って27年。今、歴史的事件の真実がここに明らかになる。==(チラシより)==

ガラ空きでした~。まだ公開8日目だし、もう少し話題になると思ってたんだけどなぁ。
んー、確かに《ミステリー》または《サスペンス》としてストーリーがきっちりまとまっていない感じもします。「彼はいったい何者だったのか?」 「彼を犯行に駆り立てたものは何だったのか?」 正直言って、その2つの答えは明確に描かれていないような気もするんです。取り合えず、私はその答えが見出せませんでした。でも思うんです、それは意図的なのではないかと。ガラガラに空いていた劇場から察するに、不満の声を漏している人が多いかもしれないですね。という訳で、ちょっと珍しいレビューになってしまう予感がします。違うだろーと突っ込みも入りそうですが、私なりに感じたことをまとめていこうと思います。

冒頭と最後に挿入された、ジョン・レノン殺害のニュース映像は本物かもしれないですね。彼の死を嘆き悲しみ集うファンの姿も本物のニュース映像なんだろうな。私が注目したのは、本作の語り部がジャレット・レト演じるチャップマンであったこと。最後も、逮捕されて恐らく病院かどこかにいる彼が、私たち観客に向かって正面から問いかけている姿が映し出されます。「僕の話を聞かせよう」といった具合に。この作品は、脚本の出来が良い悪いではなくて、チャップマンの頭の中は今でも支離滅裂だということを描いているのかなと思いました。だから、上手く集結していないのも当然と言うか。本作で描かれている映像は、全て彼の口から語られていること。だから、全てが事実という訳でもないのかもしれないと捉えました。彼の妄想であり作り話である。ただ、彼がジョン・レノンを射殺したことだけは事実なんでしょう。

私が腑に落ちなかった点など、ちょっと挙げてみたいと思います。チャップマンが事件を起こす前に出会ったビートルズ・ファンの女性ジュード(リンジー・ローハン)。会話ベタで人間関係を上手く築けるとは思えないチャップマンに、友人として優しく接するジュードの姿が不自然に思えてしまいました。ジョン・レノンの幼い息子ショーンとその乳母とも知り合いだったジュード、そんな訳ないだろうと思ってしまいました。チャップマンがジョン・レノンを殺害する前に、LPにサインをもらって少し言葉を交わせる場面がありましたが。ジュードは、チャップマンより先にジョン・レノンと接することに成功していました。そんな簡単に交流できるのも違和感を覚えてしまって。だから、彼女は実在しなかったのではないの?ジョン・レノンを思う余り、チャップマンが語る出来事には必要なキャラクターだっただけではないの?と思ってしまって。もう1つ、もの凄く違和感を覚えたこと。ジョン・レノンを射殺する前にチャップマンが電話した相手は。何と、故郷にいる奥さんだという展開がありましたが。チャップマンに妻がいるというのは、悪いけど信じられない。しかも、かなり自分勝手に行動している夫に対して、とても優しく相手をする奥さんの言葉も、私は信じがたかったです。ここも現実ではないんじゃないの?奥さんが電話を切ってから、受話器を口に近づけて「これからジョン・レノンを殺す」と、一言ずつハッキリと語るチャップマンの姿は、もの凄く印象に残っています。その決意だけが真実で、この電話は幻想なのかと思ってしまいました。ジョン・レノンを待ち伏せしている時に知り合ったカメラマンのポール(ジュダ・フリードランダー)。ハワイからやって来たと語るチャップマンに「ハワイ訛りが無いんだな」と鋭い指摘をします。結局、ハワイ出身というのは真実ではなかったし。本作で語られるチャップマンの回想録は、全てが真実だったとはどうしても思えませんでした。嘘をついているというよりは、事件が起こる前から今でも、チャップマンの頭の中は混乱しっ放しなのではないかしら。というのが私の本作の捉え方です。脚本がメチャクチャということではなくて、寧ろ彼の混乱っぷりを上手く描いたミステリータッチの作品だと思いました。

でも、特筆すべきはチャップマンを演じたジャレッド・レトのパフォーマンスだと思います。スリムなイメージしかなかった彼が、体重を30㎏増量して挑んでいます。着替えるシーンで顕わになる太鼓腹と白いブリーフ。セクシーなアンダーウェアが似合いそうなジャレッドとは思えない姿でした。色の付いたメガネを押さえる仕草も何だか気持ち悪くて。ホテルを変える度に、部屋にある聖書の「ヨハネ伝(ヨハネ=JOHN)」のタイトルの後ろに「LENNON」と書き加えたり。自分の殻に閉じこもっているような会話の仕方も、ちょっと引きました。ジャレッド・レトがここまで演じきってくれたことが、何よりも印象に残りました。

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2007年12月19日 (水)

エンジェル

「エンジェル」
<ANGEL>/製作:2007年、ベルギー=イギリス=フランス 119分Angel  
監督、脚本:フランソワ・オゾン 出演:ロモーラ・ガライ、サム・ニール、シャーロット・ランプリング、ルーシー・ラッセル、マイケル・ファスベンダー、ジャクリーン・トン、クリストファー・ベンジャミン
2007.12.19 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「わたしが書いた甘い人生に、運命がしかけたビターな罠」

女として生きることの醍醐味を味わうフルコース

最初から最後まで、本作のヒロインに共感することができませんでした。それどころか、同じ女性として決して真似したくない見本のような存在感でしたわ。エンジェルという女性に対して、かなり辛辣なレビューになってしまうかもしれませんけど。感じたままに書いていきますので、どうか気を悪くなさらずにお読みください。けれど、1本の映画としてはとても面白く鑑賞することができました。最終的には、満足しています。

==(チラシよりストーリー紹介)==
20世紀初頭のイギリス。エンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガライ)は、幼い頃から上流階級の生活に強烈な憧れを抱き、近くにあるお屋敷【パラダイス】に住むことを夢見ている少女。その憧れを小説として書き綴ることで、16歳にして作家デビューを果たし、思い描いた人生を手に入れる。人気作家としての名声、【パラダイス】での贅沢な暮らし、そして上流階級出身の画家との結婚。夢を全て実現したエンジェルだったが、やがて驚愕の真実を知ることとなる・・・。

私が受けたエンジェルの印象を一言ずつ書き連ねてみますと。自信過剰、傲慢、空気を読もうとしない。自己愛が強く、慎重さに欠ける。目立ちたがり屋で、謙虚さが無さ過ぎる。《思いやり》や《感謝》といった言葉の意味すら理解していない。どうしようもないくらいに世間知らず。例えば、女性ならではの悪知恵が働く狡猾なキャラクターであれば、嫌悪感を抱きながらも少しだけ一目おいたりもするんだけど。エンジェルは、余りにも稚拙で子供っぽい印象でした。絵に描いたような《お馬鹿さん》なので、真似したくないと感じるのと同時に、寧ろ同情心が湧いてきたりもして。私だって、自分の嫌いな部分は幾つもあります。直したいと思ってもいても、性格を変えていくのって簡単にはできなかったりするんだよなぁ。(直せって!) 時間がかかっても、何かのキッカケで自覚してきたつもりです。エンジェルの場合は、気がつく機会を与えられても活かさずに素通りしてばかりいるように見えました。この愚かしさに、ちいとイライラしてしまったのです。

我が道を猪突猛進するエンジェルは、周囲と噛み合っていないように見えました。召使として働く伯母を卑下し、幼い頃に亡くなった父親の凡庸さを侮蔑していました。小説家としてブレイクしたエンジェルは、売りに出された憧れのお屋敷【パラダイス】を購入します。広い家とお手伝いが常駐する生活に馴染めない母親に、憐れみのような視線を送る。女手一つで身を粉にして食料品店で働いていた母親への感謝など見受けられず、寧ろ貧乏人は嫌だとばかりの態度を取る。病に倒れた母親の「お前をこんな風に育ててゴメンよ」という最期の言葉は、私にはズッシリきたんだけどなぁ。エンジェルは聞き流しちゃってたみたい。これじゃあ、お母さんは娘のことが気になって成仏できないってば。一目惚れした売れない画家エスメ(マイケル・ファスベンダー)に「借金は全て私が負うから結婚して」と自分からプロポーズ。「プロポーズは男がするものだ」と返答したエスメ、この会話を聞いて2人はギクシャクしていくんだろうなと想像しちゃいました。大きな屋敷を「楽園だ、楽園だ」とウットリとはしゃぐエンジェルとは違い、屋敷を「巨大な墓」と表現するエスメエスメを自分色に染めていこうとするエンジェルの姿は、痛々しいくらい愚かに見えました。当然の如く、エスメエンジェルから離れていきます。お金目当てだったに違いないエスメだけど、もしかしたら彼なりにエンジェルを愛していこうと決めたんじゃないかな。どんなにお金持ちで美しくても、こんな女じゃ愛してもらえないよー。だって、私が男だったら絶対に嫌だー。

最終的に、エンジェルは絶望に満ちた末路を迎えます。そして、私の頭の中には色々な言葉が浮かんできました。身から出た錆、自業自得、因果応報、出る杭は打たれる。エンジェルの側には、エスメの姉ノラ(ルーシー・ラッセル)が片時も離れず側にいました。エンジェルを崇拝し、ピンチの時には守り通します。どうしてそこまで尽くせるのかしら~。ノラにとって、エンジェルはそれ程に魅力的な友人だった?理解しかねたんだけど、もしかしてノラは同性愛者だったの?だとしたら、理解できなくても仕方ないんだけど・・・。最後の最期にエンジェルが発した言葉。今頃気がついても「時すでに遅し」でした。もう少し早く気がつくことができたなら、幾らか違っていたのでしょうか。ちょっと気の毒な感じもするし、無知は怖いです。本作を見て、何事も勉強だなぁと思いました。それと、エンジェルは決して裕福ではない暮らしに不満を抱いていたようですが。裕福でないことって、そんなに悪いことだとは思いません。寧ろ、平凡でいられることの方が幸せなんじゃないかとすら思っています。物で溢れ返る暮らしよりも、心が豊かでいることの方が何よりも大切だと思うんです。お金で買えない財産の方が、何に変えてでも欲しいと個人的には思っております。

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2007年12月16日 (日)

ある愛の風景

「ある愛の風景」 
<BRODRE/BROTHERS>/製作:2004年、デンマーク 117分Aruaifukei