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2008年1月19日 (土)

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
<SWEENEY TODD:THE DEMON BABER OF FLEET STREET>/製作:2007年、アメリカ 117分 R-15指定Sweeney_todd    
監督:ティム・バートン 出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン
2008.1.19 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,000で妥当 / 評価:4.0★/5点満点★

「忘れるものか 許すものか」

今の世の中《ジョニー・デップ》旋風が吹き荒れて凄いことになっていますが、私はどうにもついていけず後ずさりしています。近づくと精気を吸い取られてしまいそうで怖いです。さて、1月に公開される作品の中で最も注目されるかもしれない本作ですが。ホラー色の濃いミュージカルで、ジョニーさんを始めとしたキャストも気になります。実際に見た私の感想としては、何よりもドラマ部分を興味深く堪能しました。各キャストの素晴らしさについて触れていくとスペースが足りなくなるので、ドラマ部分に深く入り込んだままに書いていきたいと思います。

19世紀、ロンドンのフリート街。腕のいい理髪師ベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は、美しい妻と愛娘の3人で幸せに暮らしていた。ある日、悪名高きターピン判事(アラン・リックマン)は、バーカーの妻に一目惚れをする。この女性を自分のものにする為に、バーカーに無実の罪を着せて監獄へと送り込んでしまう。天国から地獄へ落とされたバーカーは、15年後、復讐を果たそうとフリート街へ戻って来る。今までの自分を捨て【スウィーニー・トッド】と名乗って・・・。

鑑賞前に、2組の親子を目にしました。「お父さん、ボク『Mr.ビーン』が見たい!」と、お父さんの手を引っ張る少年。タカandトシのタカと同じトレーナー(ライオンの絵がある!)を着てスキップしている少年。何とも愛らしい光景に和んでいましたが。数分後、見るもおぞましい世界へと引き込まれてしまうのでした。しかも、私が本作で印象的だったのが2人の少年だったんですよ。このギャップ、どうしてくれよう・・・。

ベンジャミン・バーカーは死んだ。俺はスウィーニー・トッドだ。」と自ら語る通り、スウィーニー・トッド【生ける屍】 でした。名乗ってからは「Mr.T」と呼ばれます。「スウィーニー」とか「Mr.トッド」ならまだしも。「Mr.T」だなんて、思いっ切り架空の人物扱いじゃありませんか。最早トッドは、人間などではない。【死神】 のイメージが強くなりました。頭の中は、今でも愛し続けている妻と娘の姿と、復讐の対象であるターピン判事のことで一杯。人の話は聞いていないし、ターピン判事に辿り着く為なら人の命なんて惜しくないといった雰囲気。天国から地獄へと突き落とされた絶望は計り知れない程なのでしょうが。そこまで【復讐】に燃えるなんて・・・。復讐心だけが彼の生きる糧だったのだろうけど。触れ合った人物への荒々しい態度は、傲慢に思えてしまいました。トッドバーカー時代に住んでいたところで、ロンドン一まずいパイ屋を営むミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)。夫の死後、女手一つでどうにか生きている姿は逞しくてユーモラスです。ラベットは、復讐の為に戻ってきたトッドに住まいを提供して温かく迎えます。トッドの過去を知る理髪師ピレリ(サシャ・バロン・コーエン)トッドを脅迫し、突発的にトッドピレリを殺害してしまいます。その死体をどうするか、そこからトッドラベットの共犯が始まるのです。トッドが殺した死体を利用をして、ミートパイを焼くラベットトッドに恋したラベットにとって、店は繁盛するしトッドとの秘密を共有できるしで一石二鳥という訳です。「恋に盲目」という言葉で片付けられない気がします。少し傲慢に思えたんですよ。

ターピン判事こそが極悪人で、トッドはヒーローという見方をする人が多いかもしれません。でも私は、全ての大人が大なり小なり《傲慢》に思えたのです。これは『バベル』を見た時の感想と少し似ています。そこに人間の業の深さを感じました。私自身も、小さくでも傲慢になり得るんですよねー。どんな人にも【闇】 の部分が存在するんだと思うし。怖いけど興味深いです。
さて、本作で私が最も印象に残った少年について触れたいと思います。トッドをロンドンまで船で送る船乗りの少年アンソニー。ローティーンぐらいだと思しき初々しい彼は、トッドに親近感を込めて接していました。握手しようと伸ばした手を無視されても、フリート街へ会いに行きます。トッドの実の娘ジョアナは、ターピン判事の下で軟禁されていました。偶然見かけたジョアナに一目惚れしてまったアンソニー。彼女を助けたい一心で起こした彼の行動が、結果的にはトッドの計画を乱していくのですが。アンソニーの純粋さが、トッドの闇を溶かしてくれないかと願っても無駄なことでした。ジョアナを想う無垢なアンソニーの歌声と、「娘のことはもうどうでもいい」と心の底とは反対の気持ちを言葉にするトッドの歌声が交錯する場面がありました。トッドも昔は、アンソニーのように純粋な瞳だったのではないかと思うと辛かったです。ピレリの元で助手をしていたトビー少年も重要なキャラクターです。ピレリの扱いは、それは酷いものでした。しかし、施設から自分を引き取ってくれたピレリの為に必死だったようです。ピレリ亡き後、真実を知らないままにラベットのパイ店を手伝うトビーラベットへの感謝を忘れることなく、それはそれは懸命に手伝っていました。多分、母の温もりを知らないトビーは、ラベットを母のように慕っていたのでしょう。トッドの危険なオーラを子供ながらに察知したトビーは、ラベットを守ろうとします。しかし、ラベットトビーへの母心よりもトッドへの女心を取るのです。見たくもない人間の愚かで汚い部分をタップリ拝む羽目になってしまったトビーの目線は、トッドの復讐心に満ちた危ない目つきよりも印象に残ってしまいました。

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コメント

こんばんは。

確かに、あの二人の少年は印象的でしたね。
でも、あんな地獄を観てしまったら
その後が怖いですね。
どんな人生を送るのか……

少し心配。

投稿: えい | 2008年1月20日 (日) 22:54

えいさま
TB&コメントありがとうございます。
本作のエンディング、「何かが終わったというよりは、これからまた別の章が始まる」という風に思えてなりませんでした。まるで『オーメン』の1作目のエンディングみたいに感じました。
そういう意味では、血飛沫や肉片なんかよりも、少年に降りかかった運命の方が何倍も残酷だと思えてなりません。
まぁ、これは映画だし。昔からあるミュージカルだとわかっていますが、バートン色の強さや俳優さん達に魅了されながらも。酷いけれどドラマティックなストーリーこそが最大の魅力でありました。私にとっては、そんな映画でした。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月21日 (月) 19:04

こんばんは、
怪しげなキャラに目を取られて重要な2人の少年について語ってませんでした。トビーはラベットを慕っていたのに挽き肉現場を見て愕然としてましたね、可哀想でした。
アンソニーはジョアナを幸せにしてやったと思いたいです。
唯一の救いですから。

投稿: くまんちゅう | 2008年1月21日 (月) 22:39

くまんちゅうさま
TB&コメントありがとうございます。
ジョニーさんやらヘレナさんやら。メインのキャラばかり見ていれば楽だったんですけど、私はどうにもトビー君の最後の表情がどうしても頭から離れませんでした。

>アンソニーはジョアナを幸せにしてやったと思いたいです。

そうですね、きっとそうです。そう信じることにしましょう。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月22日 (火) 20:17

こんにちは~デップファンのコブタには待ちにまった公開ということで、もう2回も観に行ってしまいました~。

となひょうさんのおっしゃるとおり、登場人物がみんな傲慢で自己中心的なんですよね~。
自分の目的や理想しかみていないでそれ以外の事はまったく観てないし、その為に邪魔なものは平気で排除できるというシビアさももっている。
それぞれが自分の都合だけで行動しそれが交錯して物語が進んでいくという所はこの物語の凄いと所だと思ってしまいました。
でもトビーも結局はその一員で、ピレリに対してもラベット対して健気なようで自分の都合のいいようにしか観ていなかったように感じます。なのでこの先も保護者を見つけては同じように接していくのではないのかなとも感じました。

投稿: コブタです | 2008年1月23日 (水) 14:01

コブタさま
訪問ありがとうございます。
凄い、もう2回も見たんですねー

そうそう、私には登場人物たちの傲慢さがドラマを盛り上げているように感じられたんです。

>トビーも結局はその一員

こ、これは厳しいですね、コブタさん。
んー、私はトッドやラベットの4分の1くらいしか生きていない少年を、大人と同じ基準で傲慢だと指摘することはできないかなぁ。何しろトビー君は親に抱きしめられる温もりを知らずにどうにか必死で生きていると理解したので。多少のワガママは、寧ろ包み込んであげないといけないと思ったんですねぇ。
コブタさんが仰るように、この先も培った逞しさで保護者を自ら見つけていけるのであれば、寧ろ安心できるかも。
コブタさんは、まだまだ観に行く予定ですか?
ジョニーもアカデミー賞にノミネートされたし、更に話題を呼びそうですよねん。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月24日 (木) 21:54

穿った言い方ですいません(--;
この物語に出てくる人物は言い方を変えると、ある意味真っ直ぐで無邪気で自分の欲望に正直と見えたんですよね、、。
その実現の為の行動が人として正しいか正しくないかの違いという感じで。

昨日3度目の鑑賞したんですが、トビーの歌が一見ピュアで可愛らしい内容だと思ったのですが、よくよく聞いてみると、、ミセス・ラベットと自分の幸せな未来の為に邪魔な物はなんでも如何なる手を使っても排除するよ!とも聞こえるんですよね。
そうしてみると、、最後の表情も含めてトビーが恐く見えてしまったんですよ(--;
なので次こそは、ジョアナとアンソニーのように幸せな合致をみせる保護者が見つかるといいですよね~

投稿: コブタです | 2008年1月25日 (金) 10:27

コブタさま
コメントありがとうございます。
もう3回も見たんですか?
凄いですねー
3回も見ると、最初に見た時と違った感想も湧いてくるんでしょうね。
トビー少年の歌詞までは、私も明確には覚えていないです。
まぁとにかく、ラストは後味が悪いし、嫌な予感はするしで。印象深いものでした。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月25日 (金) 20:44

こんにちは♪

トビーのラストの目は狂気を孕んでて怖かった
ですよね。彼がその後どうなってしまったのか
が気になりますが、トッドやターピン判事のよ
うな奴にならないことを願うばかりです。
本作に関してはあまり嫌と思えるところが少な
かったこともあってかなり楽しめました♪ (゚▽゚)v

投稿: 風情♪ | 2008年1月27日 (日) 13:22

風情♪さま
コメントありがとうございます。

>トビー少年のラストの目

何か、新たなる章の幕開けみたいで嫌な余韻が残りました。
という意味でも、かなり入り込んだ鑑賞となって楽しめました。でも、誰にでもおススメできるという感じではないですよねー。血の量が尋常じゃないし。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月28日 (月) 18:27

となひょうさん、こんばんは
わたしもトビーくんが印象的でしたね
フサフサの髪がヅラだったのには笑いました
子供なのに酒豪だったりとか

子供に情け容赦ない環境ということでは、少し前の『オリバー・ツイスト』を思い出しました。ジョアンナちゃんもそうでしたが、いつも身勝手な大人たちのとばっちりを食うのはこういう子供たちですよね・・・
バートン監督はそういうことが言いたいわけではないんでしょうけど

>鑑賞前に、2組の親子を目にしました

途中で「帰ろうよー」と泣いてませんでしたか?(^^;)

投稿: SGA屋伍一 | 2008年1月28日 (月) 21:32

SGA屋伍一さま
TB&コメントありがとうございます。
トビーくんのヅラ、笑っちゃいましたね。
ピレリに強いられていたんでしょうね。
ピレリの髪型も、なかなか衝撃的でしたよね。

>『オリバー・ツイスト』

嗚呼もう、健気な少年の姿には泣けてきます・・・

>バートン監督はそういうことが言いたいわけではないんでしょうけど

子供を子供と思っていない感じがしてきました。
バートン監督自身が子供の心を忘れていないような気がして、自分の子供とはどんな風に接しているのかなぁと、一緒にはしゃいでいる姿を思い浮かべてみたりなんかして。

私が見かけた2組の親子は、シネコンの外にいたので。
多分、スウィーニー・トッドは見ていないと思いますよ。
安心してください。

投稿: 隣の評論家 | 2008年1月29日 (火) 19:22

となひょうさん、こんにちは~
ストーリーも雰囲気、映像も堪能できました。
が! ミュージカル部分がどうにも受け入れ難く、
ちょっと前半は我慢でしたね。
よく知らなかったんですが、ミュージカルの映画化だったんですね。
後半になって、かなり気分も盛り上がったんで、良かった。
ジョニー・デップって、こういう変わった役どころって上手いですね。

投稿: CINECHAN | 2008年2月 2日 (土) 13:50

CINECHANさま
TB&コメントありがとうございます。
あっ、前半は我慢でしたか・・・笑
ミュージカル作品としては、かなり異質だと思うんですけどね。そこが好きだったりします。
私は、まさかアラン・リックマンの歌が聞けるなんて、とても得した気分でした。
ジョニーさんは、変わった役どころなんだけど。
世間では、本作も正統派ヒーローで通っているんでしょうか。ジョニーさんが、こんなにも旋風を巻き起こすとは少々ビックリです。個性派なのに・・・ というのは私の意見ですが。

投稿: 隣の評論家 | 2008年2月 3日 (日) 10:24

ドモドモ~~~ン♪

ワタシもこの映画は好きな要素が詰まりまくりなので、すっかりハマってしまいました。
その辺りはお分かり頂けていると思うので。笑
ではでは、俳優さんのことなぞを・・・

トビー少年ですね!ワタシも同じ事を思いました。
今度は彼の「その後」で話が出来るんじゃないかと。
トビーを演じたエドワード・サンダースくん。
目力がある少年でしたねー
あの目の力強さがふとショーン・ビーンの目元を思い浮かべたり。
彼はきっと良い役者さんになるだろうなあ、応援したいです。
ピレリ役のサシャ・バロン・コーエン。
すんごく良かったでした!この調子で(・・・と言うかこちらの方向で。笑)ガシガシ行って欲しいものです。ハイ。

投稿: Puff | 2008年2月 4日 (月) 18:38

こんばんわ~

見たあとは「さすがジョニデ!」
「リックマン、あんたも悪よのお」
なんてことばかり思ってましたが、となひょうさんのレビューを読んで考えると確かにあの少年たちも印象的でしたね!

とにかく演技上手な俳優さんをそろえてて、とっても楽しめました♪

投稿: jester | 2008年2月 4日 (月) 19:17

TB&コメントありがとうございます。

★Puffさま
レビューでは長くなり過ぎないように、俳優さんについて書くのを我慢したのでありますが。

トビー君の目力、すごかったっすー
最後の何とも言えない恨めしそうな表情というか、かなりインパクトがありました。
ピレリを演じたサシャ・バロン・コーエンも、インチキ臭くて良かったですよね。
お客様に着せるカバー?が、イタリアの国旗の柄でしたよねん。
ピレリは、何よりも髪型が最高でした。
カーラー巻いたまんまみたいで。
見た目はキモ可愛いという感じなんだけど、トッドを脅迫しにくる時の喋り方とか、やっぱり普通なんだと安心したり(笑)。普通にしてると、何だカンだで英国紳士なのかと思ったりー

投稿: 隣の評論家 | 2008年2月 4日 (月) 22:49

★jesterさま

>「リックマン、あんたも悪よのお」

ぶぶぶぶぶ・・・、上手すぎる・・・
大爆笑してしまいました。
確かに、越後屋っぽかったですね。
国は違えど、時代物の似合う彼だけに。

ホラー描写の苦手そうなjesterさんも楽しめたということで、めでたしめでたしですねー
何しろ楽しめる作品でした。

投稿: 隣の評論家 | 2008年2月 4日 (月) 23:00

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監督:ティム・バートン 出演:ジョニー・デップ ヘレナ・ポナム=カーター 製作: アメリカ公式HP 久々に映画館で鑑賞 ジョニデがアカデミー主演男優賞にノミネート されてます。美術賞、衣装デザイン賞にもノミネート。 「ティム・バ...... [続きを読む]

受信: 2008年2月14日 (木) 13:39

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