歓喜の歌
「歓喜の歌」
製作:2007年、日本 112分
監督、脚本:松岡錠司 原作:立川志の輔 出演:小林薫、伊藤淳史、由紀さおり、浅田美代子、安田成美、田中哲司、藤田弓子、根岸季衣、光石研、筒井道隆、笹野高史、塩見三省、渡辺美佐子
2008.2.6 映画サービス・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点
「きっとあなたの心にあかりを灯す、笑いと涙の音楽喜劇」
大晦日にWブッキングが発覚?!みんなの【歓喜の歌】は響きわたるのか?!
公開1週目の水曜の夜。シネカノン有楽町では、水曜日は男女とも¥1,000で鑑賞できます。しかし、客入りは半分程度でした。満員御礼状態でギュウギュウだと狭くて少し疲れてしまいますが、公開1週目に広々座れるというのも少し淋しい気がします。![]()
地方都市、みたま町の12月30日。文化会館で働く飯塚主任(小林薫)は、気がついてしまった。大晦日のコンサートホールに【みたまレディースコーラス】と【みたま町コーラスガールズ】のダブルブッキングをしてしまっていたのだ!しかも、予約が入ったのは6月まで遡るという大失態。果たして、このピンチをどう乗り切るのか?飯塚の長い1日が始まるのだった・・・。
『フラガール』に続く・・・といった宣伝をしていますが、『フラガール』のような涙腺崩壊ムービーとは少し違うかもしれません。ホッコリと心が温まって、自然と笑顔が浮かんでくる愛すべき作品でした。私は、声楽とか合唱とか本格的なことはしたことがありませんが。もともと、カラオケ程度なら歌うことが大好きです。正式な腹式呼吸などは出来ていないことと思いますけど
、スッキリできて気分が良くなるんですよね。このところ、カラオケ仲間と縁遠くなり映画ばかり見ていたので。長い間、カラオケをしてませんでした。本作を見るキッカケは、そんなところからだったのですが。印象に残ったのは、合唱とは少し離れた部分でした。
本作の主役は、飯塚主任だと思います。優柔不断で、ちょっと自分勝手。かなり子供っぽいトホホな父ちゃんなのですが、小林薫が軽妙に演じて憎みきれないキャラクターを作り上げていました。色々あって、妻と娘とは別居中です。娘は優しいんだけど、妻の態度が冷たくてオドオドしていたり。最後に、小さな子供みたいに「うぇーーん」
と皺くちゃな泣き顔を見せたり。ヤル気ゼロだった飯塚が奔走する姿は、寧ろ愛おしかったです。部下の加藤(伊藤淳史)が、優しい口調と笑顔で冷静に入れる突っ込みも楽しくて。2人が向かい合って座り、出前を取ったラーメン
をすする姿も好きでした。
しかし、本作で誰よりも印象的だったのは飯塚ではありませんでした。大晦日の発表会を待ちわびていたママさん達こそが、私の心に強く残りました。彼女達のバックボーンは、余り詳しく描かれません。【みたま町コーラスガールズ】のリーダー五十嵐(安田成美)は、幾らか人物像が見えてきますが。なかなか全員をキッチリと描く訳にもいかないようです。塚田(根岸季衣)は、ファミレスでウェイトレスをしています。ミニスカートの制服を恥じることなく、寧ろ堂々と逞しく生きています。一見、ガサツな印象も受けるのですが。家には、30歳を迎えても家でぐうたらしているニートの息子がいます。どうやら父親がいないみたいですね。息子にミニスカートをなじられても、逆に喝を入れながら食事を与えていました。中華料理店の女将さん大田(藤田弓子)は、ご主人が急病で入院していました。それでも決して店を閉めようとはしません。それどころか、2つのお店を1人で切り盛りしています。娘に気遣われる程に大忙しの日々を、慌てずにドーンと構えて寧ろ楽しんでいるようにすら見えました。忙しくて大変だからこそ、仲間と過ごすコーラスの時間をどうにか作っているんですね。「忙しい」という言い訳は、考えようによっては正当性に欠けるのかもしれません。《暇》は作るものなんでしょうね。最近は、私自身も自分の時間を積極的に作るようになりましたが。社会人になりたての頃は、キャパが小さくて「暇がない」が口癖だったような気もします。自分の時間を作ること、それは大人の生き方の1つなのかもしれないと思いました。
【みたま町コーラスガールズ】は結成して初めてのコンサートでしたが。【みたまレディースコーラス】は、毎年コンサートを開催しているベテランでした。リーダーの松尾(由紀さおり)を筆頭に、どこか上品な雰囲気を醸し出しています。一見、ツンとして鼻につくようにも思えるのですが。彼女たちは、病院や施設で合唱を聴かせるボランティアも行っていました。心から合唱を愛しているのかもしれないですね。私が一番好きだった場面は、2つのチームが歩み寄るキッカケになる場面です。【みたま町コーラスガールズ】の歌を聞いてみて、【みたまレディースコーラス】の面々が合同で合唱するか決めます。【みたま町コーラスガールズ】は、まだまだ素人な雰囲気ではありますが。スーパーの魚売り場で働く相崎(平澤由美)のパワフルなソロパートを聴いて、松尾は心を鷲掴みにされるのです。(本当に素晴らしい歌声でした
) 松尾は、相崎の働くスーパーの女社長でした。相崎の働く姿を目にしていた訳ですが、知らないところで歌を練習していたことを知るのです。一見、交わることのないような人達が、歌を通して1つになっていく姿が感動的でした。もう1つ、お気に入りの場面を。大晦日に合同コンサートを開催することになる2組。指揮を務める五十嵐が、舞台に出る前に緊張した面持ちで深呼吸をする姿が好きでした。
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コメント
こんにちは。
視覚で表現する映画と
聴覚で表現する落語。
その違いをまざまざと感じた作品でした。
百聞は一見にしかずで
耳で聞いたときは想像力と話術でカバーされ、
なんとも思わなかったであろうことが
観ているといくつも気になって仕方なかったです。
でも、そこにチャレンジした
松岡監督ってスゴいなあ。
投稿: えい | 2008年2月 8日 (金) 10:19
えいさま


TB&コメントありがとうございます。
お、いつにも増して興味深い作品だったのでしょうか。
落語が元になっているんでしたよね。
今思うと、鑑賞中は余り意識していなかったかもしれません。
本作の予告編が、落語と映画を織り交ぜていたので興味深かったです。
第九って、やっぱりいいですよね~
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月 8日 (金) 21:12
となひょうさん、こんにちは!
これ、本当、「『フラガール』に続く」になるのかな?ってちょっと疑問に思いますよね。
私もこれ見たのですが、今週は忙しかったので、感想記事がたまってしまったのですよ。後ほどUPしてからTBさせていただきますね。
小林薫、本来ならダメダメ人間なのに、この人が演じると、なぜか憎めなくなるのが不思議ですよね!
ところで、となひょうさん。ちょっと、お話したいことがございます。
お暇なときで構いませんので、私のメールフォームより、メールをいただけませんでしょうか?よろしくお願いしますね。
投稿: とらねこ | 2008年2月 9日 (土) 12:16
とらねこさま

訪問ありがとうございます。
おおお~っ、ご覧になりましたかー
何か見た人が余り多くない印象も受けますがー、そんなことないのかしら。
とらねこさんのレビュー、楽しみにしています。
そうですねー、小林薫の憎めないキャラクター作りが本作を盛り上げていたような気がします。
私は、忙しい合間を縫ってコーラスを通じて頑張るママさん達が眩しく見えました。
若い人よりも年配の方の方がパワフルなのかもしれないなーなんて思って。自分は、そんなパワーを維持できるかなぁと思ったら。益々、彼女達が輝いて見えました。
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月10日 (日) 19:23
コメントとTBありがとうございました!
こちらは 本当にホッコリと心が温かくなる物語でしたよね!
実は一番敵にまわすと厄介だけど 味方につけるとこれほど頼りになるものはいない主婦軍団と、頼りがい0の小林薫演じる飯塚主任の組み合わせ最高でした!
物語自身もいいのですが、細かい伏線とかが上手く生きているのもまた憎い演出でしたよね!
この映画をみていると コーラスっていいな~と思ってしまうのですが、、音痴の私には、、ダメですね、、、
投稿: コブタです | 2008年2月12日 (火) 00:18
コブタさま

TB&コメントありがとうございます。
派手さはないけれど、心温まる愛らしい作品でしたねぇ
ママさん達のキャラ描写が、とても印象的でしたー
私も、コーラスっていいなぁと思いましたよ。
始めないけど、真似事で歌いたくなりました。
音痴とか関係ないですよ~
1日体験とか行ってみる?うふふふふ。
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月12日 (火) 21:17
こんにちは♪
終盤での舞台改造がどうも受け入れ難かったんで
これさえ無けりゃ、最後まで文句なしにオモシロ
いで終われたんですがね。
小林薫ならではのトボケっぷりと飄々は最高でした
よね。
兎にも角にも本作は氏に尽きたと言ったところです♪
(゚▽゚)v
投稿: 風情♪ | 2008年2月24日 (日) 00:27
風情♪さま

TB&コメントありがとうございます。
終盤の舞台改造は、安易すぎるというか。
ツッコミどころでもありますね。
実際には、そんな簡単には済まないはずだろうなんて思ったりー
小林薫の存在感は、とても良かったですね。
私は、最後の「まつり縫い?そんな賑やかな縫い方があるの?」ってセリフが最高に笑えました。
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月24日 (日) 23:03
こんばんは。
遅くなりましたが、書き上げました。
この間はメールのお返事が大変遅くなり、すみませんでした。
投稿: とらねこ | 2008年2月25日 (月) 00:19
とらねこさま

TB&コメントありがとうございます。
メールの件は、気にせんといてくださいな
この作品を見たという方は、そんなに多くない気がしませんかー
ちょいと淋しいですよねん。
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月26日 (火) 19:32