アメリカン・ギャングスター
「アメリカン・ギャングスター」
<AMERICAN GANGSTER>/製作:2007年、アメリカ 157分 R-15指定
監督:リドリー・スコット 出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、キューバ・グッディング・Jr.、ジョシュ・ブローリン、カーラ・クギーノ、RZA、ジョン・オーティス
2008.2.9 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点★
「その道を進むのなら、俺を倒してから行け」
暗黒街のカリスマと、正義をつらぬく刑事
けもの道を行く実在の男たちの容赦なき闘いの人生!
ここ最近、150分超えの長尺ムービーが多い気がします。数字だけで捉えると、私が思う理想の尺は100分前後。それでも内容によって印象がガラッと変わることが多いです。3時間あっても全編に渡って魅せられる『ロード・オブ・リング』シリーズのような傑作もあれば。90分前後という理想的な尺の中で、異様に長さを感じさせる残念な作品も。今年に入って出会った150分超えムービー『ジェシー・ジェームズの暗殺』や『ラスト、コーション』では、一瞬たりとも眠気に襲われずに満喫することができました。今日は、ちょっと疲れが溜まっていたらしく。中盤、ほんの一瞬だけ失神してしまったんですよねぇ
。それでも、後半の展開に睡魔が吹っ飛んでグイグイと引き込まれていきました。最終的には、マフィアVS刑事の熱い闘いと不思議な絆に心奪われました。鑑賞後に改めて公式HPを覗いていたら、更に心踊り始めました。実際には、きちんと理解しきれていない可能性もあるんですが
、かなりの高評価としたいと思います。![]()
1968年、ニューヨーク。ハーレムを取り仕切る黒人マフィアの《カリスマ》フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。陰で敏腕に麻薬を捌くフランクの周りには、汚い金と死体が一杯。ニュージャージーのリッチー・ロバーツ刑事(ラッセル・クロウ)は、麻薬中毒の同僚の死をキッカケにフランクを追い始めるのだった。正反対の2人の運命の闘いが幕を開けるのだが・・・。
フランクもリッチーも実在の人物だそうです。こういった【男の闘い】 を描いた作品は、フィクションであっても存分に楽しんでしまう私ですが。実話がベースだなんて、更に胸が熱くなりました。
そもそも、マフィアの世界を描いた作品は昔から好きです。『ゴッドファーザー』から始まり、ニューヨークのチンピラの世界を描いたスコセッシ監督の『グッド・フェローズ』や。香港マフィアを描いた『エレクション』でも興奮を覚えましたし。それと、今回メガホンを取ったリドリー・スコット監督は、その名前を聞いただけで信頼を寄せてしまう好きな監督の1人です。どことなく知性の匂いを漂わせる作品を撮る方だなぁという印象が強いです。今回も《骨太っぷり》は健在で、静かな緊張と迫力に溢れていました。
「成功して敵を作るか、失敗して友を作るか」
HPを覗いた時に目にしたフレーズです。なるほど、まさに【男社会】 を描いていたと思います。マフィアの世界で成功したフランクと、正義感は強いが災難続きのリッチー刑事は対照的でした。品の良いスーツに身を包み、狂気を隠して物腰柔らかく《ビジネス》をこなすフランク。兄弟のみならず従兄弟たちとの絆をも重んじ、幼い頃から苦労続きだった母を誰よりも強い愛情といたわりで守る。一目惚れした女性をアパートに連れ込まずに母と暮らす家へと連れて行く。誠実さの裏には、愛情に飢えた淋しさが隠れていたのかもしれません。対するリッチー刑事は、アロハシャツやジーンズといったカジュアルなスタイルが主流。離婚した妻との親権争いなど、私生活は災難続きだったが。正義感は人一倍強く、仕事にも情熱的。腐敗した刑事には、リッチーの情熱が空回りして見えてしまう。公私ともに淋しい一面のあるリッチーだったが、生きるエネルギーに溢れて見えたのもまた事実。陰では司法試験の勉強をしているという努力家の一面も見せます。何から何まで対照的なフランクとリッチー。けれど、この2人は必ず出会う運命にあったのかもしれないと思いました。リッチーは、麻薬中毒になった同僚の死から『ブルー・マジック』という麻薬の存在を知ります。そこから、フランクとリッチーの運命が回り始めるのですが。2人が対面するのは、終盤に入ってからでした。それでも、お互いがまるで《好敵手》のような存在に思えたのではないでしょうか。憎しみをたたえる表情というよりは、心のどこかで敬意でも表しているかのように見えました。2人の関係は、実はこの対面だけでは終わらないのです。最後の最後まで、解説の字幕もキチンと読むことをおススメいたします。
1つ残念だったのは、特にマフィアの面々を豪華なキャストが演じていたのにも関わらず、いまいち気づけなかったことです。ボヤ~ッと見ていたようで、自分としては後悔の嵐
・・・。フランクを演じたデンゼルもリッチーを演じたラッセルも、共にピタリとハマっていて素晴らしかったと思います。鑑賞前は、寧ろ逆のキャストじゃないのかと感じる人も多いと思いますけど。デンゼルは『トレーニング・デイ』や『マイ・ボディガード』に匹敵する逞しさを醸し出していたし。ラッセルは、私の大好きな『L.A.コンフィデンシャル』を彷彿とさせる熱血刑事を体現していたと思います。
もう1人、どうしても挙げたいのが悪徳刑事トルーポを演じたジョシュ・ブローリン 。昔は何とも思わなかったのですが、『プラネット・テラー in グラインドハウス』から私のツボをグイグイと刺激する異様な存在感を発揮するようになりました。今年前半に公開される作品の中で最も楽しみにしているコーエン兄弟の最新作『ノー・カントリー』にもメインで出演しているので、彼の演技も今から楽しみでなりません。
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コメント
お邪魔します♪
>今日は、ちょっと疲れが溜まっていたらしく。中盤、ほんの一瞬だけ失神してしまったんですよねぇ
あ、わかります!
中盤、ちょっとテンポが悪かったと思います。
私は眠くはならなかったのですが、ちょっと早送りしたくなりました(爆)
丁寧に二人のこれまでを描いてくれてるところは良かったのですけれどね。
しかし主役の二人、さすがでしたね~
投稿: jester | 2008年2月 9日 (土) 22:46
こんにちは。
この映画は、よかったですね〜。
ところで、『リアル鬼ごっこ』、
これはぼくもダメでした。
なのでブログスルー。
あっ、石田くんは
いまのところ『グミ・チョコレート・パイン』が
いちばんだと思います。
投稿: えい | 2008年2月10日 (日) 21:01
TB&コメントありがとうございます。
★jesterさま

早々にありがとうございます
中盤は一部分、中だるみ気味だったんでしょうかね。
失神を堪えてモゾモゾしてしまいました
>丁寧に二人のこれまでを描いてくれてるところは良かった
そうですね、仰る通り丁寧な演出だったと思います。
デンゼルもラッセルも、さすがの存在感でしたー
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月10日 (日) 21:14
ドモドモ~~~ン、またまたお邪魔致しまふ~
>リドリー・スコット監督は、その名前を聞いただけで信頼を寄せてしまう
うふふ~、ワタシもそうなんです~!
一本筋が通っていてその奥底には感動があって、
手堅く洗練された映像は彼ならでは。
外しが無いので安心して観れますよねん。
キャストも豪華でしたね!
デンゼル、ラッセル以外にも、キウェテル・イジョフォーやキューバ・グッディング・Jrなどなど。
主役級の人が脇役に徹してましたものねー、凄いです。
ところで!エンドロールの後のあのワンカットは何を意味しているのでせうか・・・?
ワタシが思うには、特に深い意味は無くオマケのイメージカットかと感じたのですが。
となひょうさんはどう思いますかー!?
投稿: Puff | 2008年2月10日 (日) 22:19
TB&コメントありがとうございます。
★えいさま


素晴らしき映画でしたし、プロの批評家はもちろんのこと、たくさんのブロガーさんが絶賛しているのが嬉しいです
意見が違っても自分が気に入ればそれでいいのですが。
絶賛の意見で一致するのは、やっぱり嬉しく思います
『リアル鬼ごっこ』ご覧になってんですね
って感じでした。
ちょっとなぁ
テアトル新宿って、1本前の上映作品は『グミ・チョコレート・パイン』でしたよね。石田くん特集みたいになってたんだ・・・
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月11日 (月) 09:56
★Puffさま
おおお~、煌びやかな絵文字の数々、どうもありがとうございます
飽きるまで入れ続けたいと思いまっす。
でで、リドリー・スコット監督ですけど、仰るように外れがないですよねん
>手堅く洗練された映像は彼ならでは。
おおおおお、全く同感ですよ~

『ハンニバル』のような恐怖を煽る作品においても、洗練されたムードがたまらなかったです
本作もアカデミー賞にノミネートされると言われながらされなかったと何かの媒体で読みましたけど。
これだけ、批評家の間でもブロガーさんの間でも絶賛されているんですから。
「そんなの関係ねぇ」って感じです
で、エンドロールの後のワンカットですけど・・・

意味は感じられなかったですね、正直。
おまけの映像だと思ってましたですよ
「そして、俺は今日もいくぜぃ」って感じなのかしらん
見逃しても特に問題はない映像かもですねー
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月11日 (月) 11:49
こんにちは♪
2人が初めて顔を合わせるシーンが逮捕の時と
言うのは、かなりシビれました。
対局の立場にいる2人が多くを語らずとも顔を
合わせて行くうちに互いを認めていく静かな空
気を醸し出している様がとても心地がヨカッタ
です。
ジョシュ・ブローリンの存在も2人に負けず劣
らず強い印象がありましたよね♪ (゚▽゚)v
投稿: 風情♪ | 2008年2月11日 (月) 14:50
こんにちは コチラ主演二人の演技に魅せられてしまいました!
一本筋の通った男の格好良さ、、コブタはこれに弱いんですよね~
ラッセルは LAの時もそうでしたが 不器用な男を演じるとピカイチですよね!
となひょうさんの記事よんで またLAを見たくなってしまいました。
投稿: コブタです | 2008年2月11日 (月) 20:23
コメントありがとうございます。
★風情♪さま
>2人が初めて顔を合わせるシーンが逮捕の時と
言うのは、かなりシビれました。
私も、この展開にはビリビリに痺れましたよー
憎い演出だなぁとグイグイ引き込まれていきました。(もう終わりでしたがね・・・)
>多くを語らずとも顔を
合わせて行くうちに互いを認めていく静かな空
気を醸し出している
全くもって仰る通りでしたねー
実話だってところがまた、たまりませんでした。
★コブタさま
本当に痺れちゃいましたねぇ
尺は長いので誰が見ても気に入るという訳にはいかないかもしれませんけど、聞かれれば「おススメ」と答えるつもりです
『L.A.コンフィデンシャル』って、ブログを始めたばかりの頃にコブタさんと語り合った記憶があります。
私も、もう1回見たくなりましたぁぁぁ
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月11日 (月) 22:58
となひょうさん、こんばんは
Tさんから連絡が行ってる件ですが、突然お誘いしてしまってすいません
ほんっとーに急な話なのでなにぶん難しいかとは思いますが、検討していただければ嬉しく思いますm(_ _;)m
で、コチラの映画、確かにまったりした部分もありましたが、要所要所でデンゼル・ワシントンがびびらせてくれたので、あまり長さを感じませんでした
思えば「対決してるんだけど最後まで会わない」というこの構成、昨年の『ディパーテッド』と似てますね
わたし『ディパーテッド』は好きじゃないんですけど、こちらは気に入りました。たぶんこっちには二人の男の間に奇妙な連帯感というか、シンパシーが流れていたからだと思います。ちょっとそれでいいのかな、という気もしましたけどね
今回のやさぐれたラッセル=リッチーは、なんとなく『48時間』のニック・ノルティと似てるな、と思いました
投稿: SGA屋伍一 | 2008年2月16日 (土) 19:43
SGA屋伍一さま
TB&コメントありがとうございます。
今日はすみませんでしたー
何か映画を見たんですね?単館系でしょうか・・・
>要所要所でデンゼル・ワシントンがびびらせてくれたので
びびっちゃいましたか


お母さんには頭が上がらない誠実な男にも見えたりしました。お母さんを演じたルビー・ディーが、アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされましたね
お母さんがフランクを引っぱたくシーン、印象的でした。
>二人の男の間に奇妙な連帯感というか、シンパシーが流れていたからだと思います。ちょっとそれでいいのかな、という気もしましたけどね
うん、多分いいんじゃないですかね。
対立しながらもどこかで憧れみたいな気持ちが微かにあったみたいな気がしました。この2人は、どういう展開になっても対面する運命にあったと思ったんですよねー
『48時間』懐かしいですねぇ
ニック・ノルティ、この頃に比べたら、すっかり性格俳優になった気がします。
投稿: 隣の評論家 | 2008年2月17日 (日) 19:30
となひょうさん、こんにちは。
個人的にはフランクとリッチーの激突をもっと見たかったので、少々物足りなさが残ってしまいました。
でも、二人の演技はさすがですね。
麻薬の世界で自らを築き上げたとは言え、
フランクはどこか善人的な感じがしました。
投稿: CINECHAN | 2008年3月 1日 (土) 12:52
CINECHANさま


TB&コメントありがとうございます。
少々物足りなかったですかー
ご対面が最後、という展開には痺れましたよー
麻薬王フランクにデンゼル・ワシントンというキャスティングなのは、意外なようで善人的に感じるのがポイントだったのかもしれないですね。
ラッセルは、『L.A.コンフィデンシャル』を思い出してしまって胸が高鳴りました。
投稿: 隣の評論家 | 2008年3月 1日 (土) 23:07
すごーい豪華キャスト、実に面白いストーリー、しかもノンフィクション、そして最高の監督・・・で、これ?もちろん高望みしてるのは承知ですが、もったいなさすぎだ。尺の長さも気になった。
大味な場面展開が随所に見られる。おそらくストーリー自体、どれも面白いプロットに彩られてるんで、贅沢に詰め込もうとした結果なのかも。
デンゼルの「時代」を超えたカリスマ性をもっと見せられる場面を、強引なストーリー運びで凡作並にしちゃった。おそらくボスの下で修行しながら、新進気鋭で登場した新しいタイプのボスを描こうとしたのだろうが、デンゼン自身がもうすでに大御所の貫禄を見せているので説得力なかったんじゃないかなぁ。
麻薬をベトナムで戦死した兵士の棺おけに隠すプロットだって、もっと深く描けたはず。「悪魔と契約」する程の悪行のはずなのに、いとも簡単に「思いつた」って感じになっちゃってる。
ラッセル扮する刑事の存在感も浅いよね。見かけによらず抜け目ない、やり手の刑事っていうには、ラッセルはあまりにも渋すぎ(?)。彼の家族問題も、事件と繋がりが希薄。もちろんノンフィクションではっても、作品は一つの世界観なんだし、ここは監督の視点が入っていいんです。
数えあげればキリがないんでやめますが、ともかく長すぎだった。リアリティーのある作品を、ドキュメンタリー風にアレンジしながら、実はアメリカの歴史に脈々とつづく暴力の歴史を浮き出させる・・・ゾクゾクする作品になるはずだったのに、リドリースコットは、両者をどっかで混同した。
投稿: madmax | 2008年12月29日 (月) 15:15
madmax さま
コメントありがとうございます。
突っ込みどころ満載だったのですか。
頂いたコメントからは、なかなか辛辣な印象を受けるのですが。
私は、かなり好きな作品だったので。
何とも言い難く・・・。
投稿: となひょう | 2008年12月30日 (火) 23:38
いや確かに面白いんですよ。でも、たとえばラッセル・クロウの「インサイダー」とか、デンゼルの「トレイニング・デェイ」、半分フィクション「トラフィック」なんかを観ちゃってるものですから、どうしても物足りなさを感じちゃんですよね。特に「インサ…」は、ノンフィクションものとして、監督マイケル・マンの境地に至った感のある映画でしたから。それ以降の作品は「アリ」を除けばイマイチなんですが。
一言で言うと、「もったいない」んであって、ダメじゃないんです・・・。スコットは、一つ前の作品と「マッチスティックマン」以外は、ぜーーんぶ大好きで、特に「ブレードランナー」、そして作中の傑作「テルマ・アンド・ルイーズ」なんか今でも10本の指に入る。その彼が、この程度か…って気になるんで。
長さに関して言えば、長過ぎたというより、思い切って200分ぐらいにしちゃうとか、「ディア・ハンター」くらいの重さを覚悟して作るとか、中休み入りで「ドクトルジバゴ」並にしちゃッた方が良いと思う(ソダーバーグの「チェ」なんて二つの映画にしちゃってます)。
さらに思いっきりノンフィクションの生生しさを追及して、たとえば「ゾディアック」(フィンチャー監督)程の思い入れを注入してもらいたかった・・・(最近のノンフィクションの中では最高)。もひとつ同じ分野でお勧めできるのは「エンゼル・アット・マイ・テーブル」(カピオン監督)。
もうこれくらいその筋の映画を観ちゃうと、…がっかり…なんですよね。もし興味があったら比較してみてください(あと時間があったら)。
投稿: madmax | 2008年12月31日 (水) 03:33