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2008年3月31日 (月)

3月に鑑賞した映画たち

劇場公開で鑑賞した作品 合計11本でした。
3月に鑑賞した作品の中でベスト1は「デッド・サイレンス」でした。「ノーカントリー」と答えるのが普通なんでしょうけど、あの腑に落ちないラストで残った不安感は今となっては少し不快です。「デッド・サイレンス」のストレートな恐怖感は、素直に心地良く受け入れることができました。物足りないという声も多いみたいですが、《ホラー映画》という呼び方が生まれる前の《オカルト》要素がテンコ盛りの懐かしいムードが妙にツボでした。

「悲しみが乾くまで」   3.8★/5.0★

「あの空をおぼえてる」   3.5★/5.0★

「デッド・サイレンス」   5.0★/5.0★

「バンテージ・ポイント」   3.8★/5.0★

「スルース」   3.8★/5.0★

「ノーカントリー」   4.5★/5.0★

「ジャンパー」   3.8★/5.0★

「アメリカを売った男」   4.0★/5.0★

「4ヶ月、3週と2日」   3.8★/5.0★

「裏切りの闇で眠れ」   3.3★/5.0★

「TATARI タタリ」 (DVD)   4.5★/5.0★

「シスターズ」   3.5★/5.0★

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2008年3月29日 (土)

悲しみが乾くまで

「悲しみが乾くまで」Kanashimikawaku 
<THINGS WE LOST IN THE FIRE>/製作:2008年、アメリカ 119分 PG-12指定        
監督:スサンネ・ビア 出演:ハル・ベリー、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ドゥカブニー、オマー・ベンソン・ミラー、ジョン・キャロル・リンチ、アレクシス・リュウェリン
2008.3.29 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「そう、きっとあなたを利用した。」

愛する者を失った二人が、互いに寄り添った奇跡の時間。失う事と、生きる事。
悲しみを乗り越えようとする男と女。

シネカノン有楽町にて初日初回での鑑賞です。客入りは半分程度でしたが、偶然にもダンナさんの転勤で東京を離れた元同僚に遭遇しました。happy02映画館で女同士の抱擁を繰り広げてしまいました。catface catface catface そう言えば、彼女は大のトロ様ファンだったわー。いい時期に東京に遊びに来れて、良かったですね。かく言う私も、トロ様信者の一人です。lovelyトロ様の新作~とルンルンしていたら、メガホンを取るのはデンマークの俊英スサンネ・ビア監督だっていうじゃないsign01『アフター・ウェディング』は見逃してしまったけど、『ある愛の風景』はどうにか鑑賞できました。独特のヒリヒリ感が好みだったんですよ。confident

===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===
夫のブライアン(デヴィッド・ドゥカヴニー)と2人の子どもに囲まれ、幸せな日々を送っていたオードリー(ハル・ベリー)。しかし、ブライアンが事件に巻き込まれ死亡。その葬儀の日、オードリーは夫の親友ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)と再会する。ジェリーはかつて弁護士だったが、今はヘロインにおぼれ、堕落していた。

「そう、きっとあなたを利用した。」 率直なところ、キャッチコピーがしっくりきません。チラシを隅々まで読んでみると「喪失と再生のドラマ」とありますな。その一文は受け入れる事ができるけど、〈利用する〉という言葉を使ったキャッチは何か違う気がします。think私は、前向きに捉えることができる作品でしたよ。up全体的に地味なストーリー展開という印象を与える作品かもしれないけど。『ある愛の風景』程ではなくても、私にとっては余韻の残る作品でした。スサンネ・ビア監督作品ということで、アート系の作風を期待していました。本作は、ハリウッド作品ではありますが。静かで力強い繊細な雰囲気と、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロの安定感のあるパフォーマンスによってクオリティの高い仕上がりになっている気がしました。オードリー【喪失と再生】ジェリー【喪失と再生】が説得力を持って心に響きます。

オードリーは、夫を亡くした直後よりも数日後に喪失感に襲われているように見えました。時には、子供に当り散らすことも。weepブライアンが唯一無二の存在であるかのように、親友であるジェリーを気遣うことへの嫉妬。annoy憎しみの対象であったはずのジェリー。ドラッグ中毒と闘う彼に、家の修繕を手伝いつつ同居しないかと持ちかけます。「どうして俺はここにいるんだろう」と問うジェリーに、「私もわからない」と答えるオードリー。きっとオードリーの頭の中は混乱していたのだと思います。sweat01いつまで経っても、《夫の死》という現実を受け入れられずに苦しんでいたのでしょう。敵視していたジェリーに歩み寄ることで、少しずつ変わっていくかのように思えましたが。2人の子供がジェリーになついていく様子に腹を立てます。angryブライアンでも、そして自分でもしつけられなかったことを、ジェリーはいとも簡単に成し遂げてしまう。ジェリーには、人を引き寄せる魅力があるんだと思いました。ブライアンは勿論のこと、2人の子供もすっかりなつき。隣人ハワード(ジョン・キャロル・リンチ)までもが、心を開き始めます。誰もが、ジェリーはドラッグ中毒で苦しんでいることを理解した上ででした。オードリーも心の底では、ジェリーという人間の魅力を感じていたのではないかと想像します。その気持ちを素直に表現するには、かなりの時間を要します。最終的に、更正施設で治療に専念することを決意したジェリーは家族の元を去りますが。2人の子供は、ジェリーと離れることをもの凄く嫌がっていました。crying再会を約束して抱き合うジェリーと子供の姿を見て、心から温かい気持ちで微笑むオードリーの表情は印象的でした。happy01ようやく、苦悩から抜け出せたのだなぁと安堵のため息が漏れました。clover

Halle_berryとても素敵な作品でした。気に入った割には、上手く感想がまとめられない状態です。sweat02主演の2人についても少し触れてみたいと思います。私がハル・ベリーを好きな理由は、とてもエレガントだからです。shineモデル出身ということもあり、抜群のプロポーションを誇る彼女ですが。シースルーといった露出の多い姿をしても、全然いやらしくないんですよ。寧ろ、品が良くて素敵なの。boutiqueだから「エロかっこいい」とか言って、やたらめったら胸の谷間を強調する風潮が幼稚に見えて仕方ないのね。catface恋人の暴力で片耳が聞こえなくなった(相手はウェスリー・スナイプスとの噂)という過去を持つ彼女は、男性運で苦しんでいたというゴシップも聞きます。今では、結婚して1児の母となったばかり。実際に母親になったことで、今後の演技にも違った側面が見えてきそうで楽しみにしています。余談ですが、個人的にはショート・ヘアの方が好きです。(写真のような)Benicio_del_toroheart
ベニチオ・デル・トロは、『トラフィック』で鼻血が出そうになるくらいにメロメロになりました。(本作でプールに入る場面を見て『トラフィック』を思い出しました) ヒットはしませんでしたが『誘拐犯』でも鼻血が込み上げてきちゃいました。本作は、主演の2人をアップで捉えるショットが多い印象でした。ファンとしてはウハウハでしたー。lovely本作のトロ様は、ドラッグ中毒でもがき苦しむ場面があります。焦点の合わない目や、汗まみれでのた打ち回る姿など。トロ様の気迫が素晴らしく伝わりました。impact眉間に皺を寄せる表情とか、写真だけだとイケメンっぷりが現われにくいトロ様ですが。映画の中で演技をしている姿は、やはりセクシーでヨダレ掛けを要します。lovely lovely lovely lovely lovely
最後に余計な感想も一言。先日、試写会で鑑賞した『あの空をおぼえてる』で見た竹野内豊&水野美紀が2人の子供を持つ夫婦という設定には違和感を覚えましたが。本作のハル・ベリーベニチオ・デル・トロという組み合わせは、子供と接していても自然体で夫婦に見えました。厳密には夫婦という設定ではありませんが。人生経験の差が演技に出るのかしらと生意気な事を考えてしまいました。coldsweats01

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2008年3月26日 (水)

あの空をおぼえてる

「あの空をおぼえてる」
製作:2008年、日本 115分Anosora      
監督:冨樫森 出演:竹野内豊、水野美紀、広田亮平、吉田理琴、小池栄子、中嶋朋子、品川祐、小日向文世
2008.3.26 試写会¥0にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点★

「君は僕を、強くも弱くもする」

子どもが思うほど、親は強くなく――。 親が思うほど、子どもは弱くない――。

みんな泣いて、強くなる。

地方都市で写真館を営む雅仁(竹野内豊)妻・慶子(水野美紀)と小学生の息子・英治(広田亮平)、幼稚園に通う娘・絵里奈(吉田里琴)と幸せに暮らしていた。だがある日、子どもたちが交通事故に遭い、息子は無事生還するが、娘は亡くなってしまう。雅仁は娘を守れなかったことで自分を責め、生き残った息子は何とかして両親をなぐさめようとする。===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===

私はもともと竹野内豊のファンなので、それだけの理由で試写会に応募しました。そんなミーハー魂と、映画をこよなく愛する気持ちは必ずしもイコールではありません。当選しておきながら何ですけど、実は余り乗り気ではありませんでした。catface今〈年度末〉という時期なので、普段以上にピリピリと張り詰めている中で仕事しています。実際にはそんなに大忙しでもなくても、何となく精神的に疲労が溜まりつつあります。sweat02試写会場は〈中野サンプラザ〉、職場から決して近くないロケーションでした。ピュッと定時退社する為に、いつも以上に気合を入れて仕事をしたり。お昼休みの間に軽い夕食を先に買っておいたりと。普通に映画を見に行く時よりも、いっぱい気を遣ってしまいました。wobblyレディース・デイ鑑賞の機会を潰してまで観たい映画なのsign02と、何となく消極的な気分になってしまいまして。そんな言い訳を入れるなんて格好悪い気がするのですが。正直なところ本作には、いま一つ吸引力が感じられませんでした。話そのものは良いと思うのですが、魅せられるポイントを余り見つけられない映画でした。coldsweats01

まずは、本作の中心人物と思われた夫婦に共感できませんでした。竹野内豊水野美紀の演技は良いんですけど。奥様が3人目の命を宿しているという夫婦にしては、生活感が漂ってこないし美しすぎるんです。shine旦那様のバックボーンがなかなか見えてこないのも違和感が募りました。なかなか立派な一軒家にお住まいだし、house長男・英治は制服を着て通学していたし。school私立の小学校なのかと理解したら、この一家がもの凄く裕福に見えてきました。moneybag旦那様が何の仕事をしているのか、すぐには伝わりませんでした。スーツ姿や制服姿を見せることで《働くお父さん》と伝わることもなく、割と家に常駐している印象でした。解説には「写真館を営む」とありますが、カメラマンなのかと思わせる場面が少しあります。camera《仕事の虫》という雰囲気は皆無なのに、《高所得》という印象が強くて。実際に、そういう方っているとは思うけど。竹野内豊と同い年の私としては、何ともリアリティに欠ける夫婦像だなぁと強く思いました。catface同級生の子育て奮闘記をたくさん聞かされて、時には感動することすらあるから。本作の夫婦は、まるで絵空事のようで共感できませんでした。

何よりも、本作の主人公は英治くんだという印象を受けました。仲の良い妹を目の前で亡くして以来、どこにいても妹の姿を思い浮かべてしまう。繊細で優しい少年の【ひと夏の出来事】 といったところでしょうか。素人目線ながらに、カメラのアングルが気になる映像が多かったです。eye冒頭はカメラがグーッと上昇していき、青空を飛ぶような映像でした。upwardright雲間には、キャッキャとはしゃぐ絵里奈の姿があります。cloud交通事故に遭った兄妹の魂が、抜けるような青空をビュンビュンと駆け抜けるのです。airplane死の淵を彷徨いながらも一命を取り留めた英治は、薄れゆく意識の中で妹が天国へ行く姿を見ていたという描写なのでしょう。この場面は、なかなか素敵だと思いました。突然の事故で愛娘を失った夫婦が、手にしていた紙コップを落としてしまう場面があります。downwardright落下する紙コップを下から捉えたショットが印象的です。カメラの位置が低い映像が印象的なので、本作の主役は大人ではなくて子供なのだと思いました。退院した英治は、家の中で妹の色々な姿を思い出していました。食事の時に元気一杯に歌ったり、note部屋の窓をパチンコで割ってしまったり。はたまた、廊下で泣き崩れていたり。どこに居ても妹の姿が見える英治。まるで絵里奈の魂が《座敷わらし》の如く家を守っているようにも見えました。その存在に気づくのは英治だけ、両親には全く見えないのです。

好きな場面はあるものの、全体的にはいま一つな印象となってしまいました。愛娘を亡くして塞ぎ込む夫婦の姿も、もう少し丁寧に描いて欲しかったです。慶子は、妊娠中であることも忘れて食欲が無くなってしまいます。産婦人科医に「生む気はあるの?」と、叱責される場面があります。雅仁は、妻と息子との会話を避け、「絵里奈」という名前を口にしなくなってしまいます。その辺もセリフだけでの説明ではなくて、2人の演技で伝える演出にして欲しかったな。終盤は、周囲から鼻をすする音も聞こえてきました。泣いてる人が多かったのか、花粉症で辛い人が多かったのか。私は、涙を零すどころか睡魔に襲われてしまいましたよ。sleepy本編とは関係ありませんが、英治の担任の先生を演じた小池栄子は左利きなんですね。paperそれと、スクール・カウンセラーとして英治の小学校に勤める先生を演じた小日向文世も僅かな出番ながらに印象的でした。「あんな事させるなんて許せない」という自虐ネタもあるんだけど、sweat01演じてくれてありがとう。happy01「こんな聞き上手は、そういないだろ?」と、英治の心を開こうとする先生。穏やかな口調が素敵でした。lovely雅仁といる時よりも、この先生といる時の英治君の方が自然体に見えました。これって、最近の私の理想のタイプが竹野内くんみたいなイケメンさんよりも小日向さんのような癒しキャラに移行しているというだけの話かも・・・。bleah bleah bleah bleah bleah

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2008年3月22日 (土)

デッド・サイレンス

「デッド・サイレンス」 
<DEAD SILENCE>/製作:2007年、アメリカ 89分Deadsilence         
監督:ジェームズ・ワン 脚本:リー・ワネル 出演:ライアン・クワンテン、アンバー・ヴァレッタ、ドニー・ウォールバーグ、ボブ・ガントン、ジョアン・へネイ、ローラ・リーガン、マイケル・フェアマン
2008.3.22 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥3,000で妥当 / 評価:5.0★/5点満点★

「叫んだら、死ぬ!?」

紀元前6世紀。死者の魂は生者の腹を通して話しかけてくると信じられていた。
ラテン語の《腹》と《話す》が合わさり、【腹話術師】という言葉が生まれた。

ホラーファンの間ではお馴染みの『ソウ』を生み出したジェームズ・ワン&リー・ワネルのゴールデン・コンビによる待望の最新作が解禁されました。幾つかシネコンでも上映されてるけど、どこも夜の回のみの上映。gawk土日は朝っぱらから映画館へ足を運びたい私は、1日中上映している有楽町スバル座へ行きました。本作に登場する腹話術人形ビリー君 が、配給会社の方(多分)の手によって「いらっしゃいませ」 「ありがとうござました」と送り迎えしてくれました。鑑賞後に思い切って声を掛けてみたのですが。眼球eyeもリアルに動くので怖かったです。shockアカデミー賞受賞作品『ノーカントリー』ではラストがよく掴めず、悶々と不安が残ってしまいましたが。本作は、ストレートに作品全体の恐怖に入り込めて何だかスッキリできました。happy02それと、久し振りに《ぴあ出口調査隊》に捕まってアンケートに協力してきました。かなり気に入ったにも関わらず、鑑賞直後には上手い褒め言葉が湧いて出なかったんですよね・・・。catfaceその反省も含めて、ブログでは私なりに支持派の意見をまとめてみたいと思います。rock

と、意気込んでみたものの。この作品は、予備知識なしでいきなり鑑賞する方が楽しめるような気がします。今回はチラシからの引用もせず、簡単なストーリー紹介も省いてみようと思います。ラストに関する私の解釈も、文字を反転させて記そうと思います。当記事も、本作を鑑賞してから読んで頂く方が無難かもしれませんので。どうぞヨロシクお願い致します。

本作には「PG-12指定」すら付いていないんですな。sign01私の感覚では、映倫の基準って本当に当てになりませんわ。catface catface catface 血飛沫で画面が真っ赤になるという感じでもありませんが。舌を切断された死体の形相は、異様で恐ろしかったです。shock shock shock 主人公ジェイミー(ライアン・クワンテン)の元に届けられた1体の腹話術人形ビリー。そして、妻が何者かに殺害されてしまいます。舌を切断されて・・・。sign03人形の入っていた箱には、故郷レイブンズ・フェアの文字があり、謎を突き止めようと故郷に向かいます。この町で伝説になっている《メアリー・ショウ》 という腹話術師。「彼女に会っても叫んじゃダメだ」という恐ろしい噂が流れています。子供がいなかった彼女は、100体の人形と共に墓地に埋められていました。人形がモチーフになっているホラー映画って幾つも作られていますし。日本でも、人形にまつわる怪談をよく聞きます。sweat02本作のビリー は、『チャイルド・プレイ』のチャッキーよりも百倍怖かったです。cryingストーリー展開上の場面によって、ちょっと首の角度が斜めに映っただけで表情が全然違って見えました。sweat01実際に眼球が動いたりするのですが。eye妻の殺害現場に横たわるビリー を斜め上から捉えたショットや、故郷のモーテルで夕日に赤く染まる窓辺に座らされているだけでも。動いていないのに、何かを物語っているように感じてしまいました。最高にゾッとしたのは、廃墟と化したメアリー・ショウ の劇場です。蜘蛛の巣だらけの古びた感じも怖いけど、特筆すべきは圧倒的な数の人形が飾ってある部屋でしょう。impact全て名前がついているようです。よく見ると、みんな違う顔だし。横一線に並んだ人形が順番に、カクカクと首を曲げるシーンも怖かったです。そして「Billy」というケースには、人形がありません。その1体が送られてきたという訳です。ビリー も怖いけど、恐怖の根源らしき存在の白い手も恐ろしかったです。paper不穏なムードのその後、音楽がピタリと止まります。そして、白い手がぬぅっと・・・shock shock shock きゃあぁぁぁーっshock shock shock オルゴールみたいな音色の音楽も、『エクソシスト』や『サスペリア』並みに印象に残るサウンドでした。「叫んだら舌を切り取られるよ」という言い伝えを忘れなかったジェイミーが、劇場で落下した時。downwardright叫ぼうとする気持ちを抑えて冷静に口を抑える場面も怖かったです。落下するだけでも怖いのに、私だったらきっと冷静になれなません。(余談になりますが、妻を殺害されたばかりのジェイミーがグスンと涙を拭っている場面は愛らしくて和んでしまいました。cherry

===以下、ネタバレです。未見の方は読まないでください===
事の起こりは、メアリー・ショウの腹話術ショーにケチをつけた少年でした。そして、少年は失踪します。彼はある御曹司の息子でした。一族は、メアリー・ショウの仕業に違いないと決めつけて、彼女をリンチしてしまいます。その時に、舌を切断したようです。この一族を末代まで祟ってやるいうメアリーの怨念が、事件を起こし続けていたのです。ジェイミーは、この一族の子孫でした。自分が受けた仕打ちのみならず、子供を持てなかった女性としての個人的な妬みも怨念を増幅させたのでしょう。実は妊娠していたジェイミーの妻は、そんな怨念の犠牲者となってしまったのです。これだけでも、よくできたストーリーだと思ったのですが。ラストには、更なるサプライズが待ち受けていました。ジェイミーの父には、若くて美しい妻がいました。エラ(アンバー・バレッタ)というその女性が、実は父の姿をした人形を操っていたのですが。ここ、厳密に言うと、人間を人形に作り替えてしまったのではないかと捉えました。メアリー・ショウの劇場で見つけた謎のノートには「最高の人形の作り方」と記したメモがありました。そこに描かれた女性の顔は、エラにそっくりでした。この「最高の作り方」で仕上がった人形は、ジェイミーの父ではなくてエラのことだったのではないかしら。人間と変わらない生活ができる上に、人形でありながら人形も操れる究極の一体。それがエラなのではないかと。SFの要素テンコ盛りの考え方かもしれませんが、本当の恐怖はそこにあったのだと理解しました。ついでに、エンディングに登場する人形のイラストが、ジェイミーを始めとする登場人物にソックリでした。メアリーの怨念に殺されると、彼女の子供として人形になってしまうという怖いお話なのかもしれません。   ===以上===

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2008年3月20日 (木)

バンテージ・ポイント

「バンテージ・ポイント」
<VANTAGE POINT>/製作:2008年、アメリカ 90分Vantage_point  
監督:ピート・トラヴィス 出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、エドガー・ラミレス、アイェレット・ゾラー、エドゥアルド・ノリエガ、サイード・ダグマウイ、シガーニー・ウィーヴァー、ウィリアム・ハート
2008.3.20 MOVIX10周年ありがとうキャンペーン¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点

「目を凝らせ――。」

演説中の大統領を撃ち抜いた1発の銃弾。
目撃者は8人。8つの異なる視点から、見たものは食い違う。
真実はいったい何なのか――?!

スペインのサラマンカが舞台。テロ撲滅の国際サミットに出席したアメリカのアシュトン大統領(ウィリアム・ハート)が壇上に上がったその時。1発の銃弾が大統領を襲った。続いて、仕掛けられた爆弾が会場に惨劇をもたらした。この場にいた異なる人物が辿った瞬間を紡ぎながら、事件の真相が明らかにされていく。

「1つの真実を8つの視点から描いていく」といった具合に、やたらと8という数字を強調している宣伝なんだけれども。ぶっちゃけ、目撃者となる登場人物は8人以上いるように思えちゃった。『七人のマッハ』というタイ映画を見た時も、《マッハ》が7人以上いる気がしたんだよねぇ。catface思うんだけど、全米公開時には特に8という数字にこだわっていなかったのではsign028という数字に力を入れているのは、日本独自の宣伝方法だったりしないのsign02まぁ、それは別にいいですわ。catface本作を見て思い出すのは、日本の巨匠・黒澤明監督の『羅生門』という作品です。(原作は芥川龍之介『藪の中』)各キャラクターによって視点が違うというのは『羅生門スタイル』と呼んだりしてるんでしたっけ。欧米の映画人の間では、黒澤さんがいかにお手本と崇められているのかを垣間見た気がしました。eyeこの「羅生門スタイル」は、決して目新しいものではないと思いますが。個人的には、新しければそれでいいということもないと思います。本作も、8人ではない気がしても期待していた以上に楽しめました。note

各キャラクターの証言をツラツラと書いてしまうとネタバレになるので、それだけは止めておきます。この作品は、特に予備知識を入れずにいきなり見る方が楽しめるかもしれないです。シークレット・サービスのトーマス・バーンズ(デニス・クエイド)ケント・テイラー(マシュー・フォックス)、偶然居合わせたアメリカ人旅行者ハワード(フォレスト・ウィテカー)、大統領のスピーチをテレビで中継しようとしていた敏腕プロデューサー(シガーニー・ウィーヴァー)等。アメリカ人のキャラクターも、どちらかと言うと地味な俳優さんが演じています。japanesetea私は、こういった地味で達者な俳優さんが競演する作品は好きです。happy02テレビのプロデューサーから始まり、それぞれのキャラクターが事件が起こるまでに辿った場面を描きます。描き終わると、その映像が高速逆回転をして、次のキャラクター目線に突入していくというスタイルです。この演出は、面白いですね。goodしつこく感じる人もいるのかな?私は、いちいち復習ができて楽しかったです。happy02でも、この手法はアメリカ人のキャラクターのみでした。catface後半に語られるアメリカ人以外のキャラクターの部分は、どんどん真相に踏み込んでいくけれど逆回転はなし。その替わりと言っては何だけど、激しいアクション・シーンが展開していきます。snowboard銃撃戦は勿論のこと、猛スピードで駆け抜けるカー・チェイスもあって。carアメリカの大統領がテロ撲滅サミットに出席するだなんて、一見、社会派タッチかと思いきや。これは、ハリウッド発のエンタテインメント作品ですね。春休みに何かハリウッド大作を1本見るのなら、『ジャンパー』よりも本作をおススメしたいと思います。paper

さて、真相については触れずにおきますが。私が気に入ったキャラクターについては、書いていこうと思います。テレビのプロデューサーを演じたシガーニー・ウィーヴァーは、恐らくスッピンで演じていると思います。仕事の鬼である敏腕っぷりを表現しようと思ったのかな。tv私は、仕事より家庭に生きる女を目指しているとは言え。シガーニーは、好きな女優さんの一人なので。とてもカッコ良く見えました。出番は少なくて淋しかったのですが、現場にいないとは言えモニターに映し出された驚愕の映像に驚いた表情には迫力がありました。嫌な興奮を抑えて、冷静に仕事をこなす姿も素敵でした。偶然の旅行者ハワードを演じたフォレスト・ウィテカーは、『ラストキング・オブ・スコットランド』のアミン大統領とは別人で。本来の「鶴瓶さんに似ている」と言われる穏やかな存在感を発揮していました。clover意外と活躍を見せてくれますし。サラマンカの建物といった美しい風景のみならず、世界から集まったと思われる人々の姿までビデオに録画しています。movieどんな小さな事でも全て感激するという構えは、海外旅行では必要不可欠だと思います。airplane地味なようでも温かくて心の広い男性に見えました。そして、一番印象的だったのはアシュトン大統領を演じたウィリアム・ハートです。物腰が柔らかくて、紳士的な態度だけではない魅力を感じました。drama真実を見抜く聡明さを持っているように見えたんですよ。大統領の参謀達は、100%味方という訳でもないという気がしました。coldsweats02テロ撲滅には、軍の力を奮えばいいという意味合いで "Act strong." と詰め寄る参謀に、 "Be strong." 武器で力を誇示するのではなく心を強くしなければという風に答える場面が素敵すぎてメロメロになりました。lovely

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2008年3月19日 (水)

スルース

「スルース」 
<SLEUTH>/製作:2007年、アメリカ 89分 PG-12指定Sleuth        
監督:ケネス・ブラナー 原作:アンソニー・シェイファー 出演:マイケル・ケイン、ジュード・ロウ
2008.3.19 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★

「男の嫉妬は世界を滅ぼす。」

夫 VS 妻の愛人
お気をつけあれ!そのひと言には100通りの意味がある・・・

===(チラシよりストーリー紹介)===
ロンドン郊外にあるベストセラー推理作家アンドリュー・ワイク(マイケル・ケイン)の瀟洒<ショウシャ>な邸宅に、招かれたのか、押しかけたのか、マイロ・ティンドル(ジュード・ロウ)と名乗る若い男が現れた。彼らの関係は【夫 VS 妻の浮気相手】。作家が、若い男に持ちかける。「妻が欲しいなら、私の提案に乗らないか?」それは、一人の女を巡って二人の男が挑発し合う後期で不健全なゲームの幕開けだった。罠を仕掛け合い、ワンシーンごとにとって替わられる主導権。息つく暇もない89分。ラストシーンで微笑むのは、果たしてどちらか?
アンドリュー・ワイク → 初老の推理作家。スタイルにこだわる知性的な紳士。尊大で無慈悲。
マイロ・ティンドル → 若い俳優。女はもちろん、男も惑わす美貌の持ち主。野卑にして繊細。

まずは、「瀟洒」<ショウシャ>という漢字が読めなくて漢和辞典を引きました。ついでに意味も記しておきます。 意味:さっぱりしていて清らかなこと

正直なところ、本作のストーリーにはそんなに魅せられませんでした。despair「男の嫉妬」とか「駆け引き合戦」とか、鑑賞前はかなり興味をそそられてましたが。実際に、ワイクティンドルが繰り広げるゲームの面白さを理解できないままの89分間。相手を騙して、屈辱を味あわせると勝ちなんだって。bearingどうやら、その卑しいゲームは3回戦繰り広げられていたようなんですが。セリフ通りに、普通にテニスの試合で決めればいいじゃん。tennis今、どちらが優位に立っているのか。当人同士は痛感し合っているのだけれど、観客の一人である私にはイマイチ伝わらず。gawkキッカケは一人の女性だった訳だけど。ゲームがエスカレートする内に、2人とも女性の存在なんて最早どうでも良くなっているように見えました。catface相手に屈辱を与えて快感を得ること、それ以外は頭にないご様子。男の嫉妬心は女のそれよりピンポイントに暴走し、迫力があり過ぎるといったところなのでしょうが。shock私はゾッとするよりも、2人が子供っぽく見えて仕方なかったんであります。punch例えば、ライバル同士でもどこか敬意を抱き合っている《好敵手》という感じなら良かったの。『Xメン』シリーズのプロフェッサーX&マグニート、『ナイト・ウォッチ』 『デイ・ウォッチ』の光の王ゲッサー&闇の将軍ザウロンみたいな関係ならば。もしくは、『アメリカン・ギャングスター』のマフィア王ルーカス&ロバーツ刑事のように。どう進んでも関わる運命にある2人という感じなら好きだったの。でも、何だかなぁ~gawk gawk gawk gawk gawk

本作で繰り広げられるゲームには、興味を持てませんでしたが。内容よりも技術的な面では、かなり魅せられたので低い評価にはしません。それでは、お気に入りだった部分を書き連ねていきたいと思います。
登場人物はワイクティンドルの2人だけでした。たった2人の会話劇というのも、舞台劇みたいで面白いと思いました。ワイクティンドルも、この悪意に満ちたゲームを楽しんでいるようでしたが。2人だけの舞台のような劇を、マイケル・ケインジュード・ロウも俳優として楽しんでいるようにも見えました。happy01敵対している設定ながらに、2人の息はピッタリ合っているようにも感じたし。geminiそういう意味では、意欲作だと思います。中盤から徐々に、人間として黒い部分が出てくる2人ではありましたが。shadowそんなキャラクターでもジュード・ロウは相変わらず美しいです。インタビューとか、来日時にビストロ・スマップに来店した時は普通にイケメンさんって感じだけど。映画の中で見る彼は、いつも輝いて見えます。(『リプリー』では本来ヒロインであるはずのグウィネス・パルトロウが霞んで見えましたものshineマイケル・ケインの安定感は相変わらずで、私がわざわざ強調するまでもありません。lovely黒ずくめの初老の紳士は、最初こそは知的な佇まいです。「バットマン」ことブルース・ウェインを支える執事アルフレッドを思い起こさせる、素敵な雰囲気のケインさんですが。終盤は、徐々に服装に負けるとも劣らない黒い色が内面から滲み出てきて。newmoon『クイルズ』のコラール博士に見る《悪魔なケインさん》の顔が垣間見えました。個人的には、妻の宝石をティンドルに無理矢理つけられる場面が好きでした。smileネックレスのみならず、ブレスレットとイヤリングも装着されて。ワイクにとっては屈辱的な場面でしたが、ケインさん演じてくれてありがとうと思いました。

あとは、素人目線ではありますがカメラのアングルが良かったです。movie繰り返して言いますが、登場人物はワイクティンドルだけです。冒頭、会話は進行しているにも関わらず、なかなか2人の顔が映し出されませんでした。一番最初の2人の姿は、上空高くから捉えたショットでした。最初は、頭のテッペンを小さく映し出し。次は、足先から上半身までしか映しません。やっと顔が出てきたと思ったら、遠くから全身を映すだけ。なかなか2人のアップが登場しないんですよ。ここは、ケネス・ブラナー監督のこだわりなのかしら。私は、この部分にはグイグイと引き込まれていきました。run全体的に暗いワイク邸の中を、ベーシックな色のライトで映す演出も面白い。彼らが言うところのゲーム毎に変えていたのでしょうか、最初は青いライト。中盤は、監視カメラの緑色の映像が気になり。終盤は、服装のみならず内面も黒いワイクを赤いライトで照らします。ピンポイントのライトアップが印象的でした。

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2008年3月15日 (土)

ノーカントリー

「ノーカントリー」 
<NO COUNTRY FOR OLD MEN>/製作:2007年、アメリカ 122分 R-15指定No_country1        
監督、脚本:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン 出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド、ギャレット・ディラハント、テス・ハーパー、バリー・コービン
2008.3.15 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点★

「純粋な悪にのみこまれる」

世の中は計算違いで回る。
転がる運命は誰にも止められない、それぞれの過信が全てを狂わせる―

何がキッカケだったのか忘れてしまったけれど。昨年の秋頃に、本作の存在を知りました。その瞬間から、絶対に観に行こうと固く心に誓った作品です。コーエン兄弟と言えば、その名を聞いて安心して鑑賞できる映画人です。おまけに、先日のアカデミー賞で作品賞を始めとする最多4部門を受賞した話題作 です。crown私だけではなく、世界中の映画ファンが楽しみにしているに違いない。happy01

麻薬取引に使われたと思われる200万ドルという大金を手にした男ルウェイン・モス(ジョシュ・ブローリン)。金を取り戻す為に雇われた殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)。死体の山を発見して捜索を始めるエド・トム・ベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ)。主に、この3人の追跡劇の行方を描いた作品。

実を申しますと、何を伝えようとしているのか読み取れませんでした。wobbly誰が見ても楽しめるシンプルなアクションやサスペンスとは違います。何を読み解くのか、見た人の感性にかかっているのかもしれません。私は、どんな映画も感想は人それぞれに異なるのが当たり前だと思っています。だから、是非とも本作から自分なりに何か解釈をしてみたいところなんですが。悔しいことに、何を感じ取っていいのか止まってしまいました。catfaceこの映画に完敗です。catface娯楽ではなくて、宿題を突きつけられたような感覚に陥りました。catfaceお財布に優しくしなくちゃと、最近では毎回パンフレットを購入する訳でもないのですが。