悲しみが乾くまで
「悲しみが乾くまで」
<THINGS WE LOST IN THE FIRE>/製作:2008年、アメリカ 119分 PG-12指定
監督:スサンネ・ビア 出演:ハル・ベリー、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ドゥカブニー、オマー・ベンソン・ミラー、ジョン・キャロル・リンチ、アレクシス・リュウェリン
2008.3.29 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「そう、きっとあなたを利用した。」
愛する者を失った二人が、互いに寄り添った奇跡の時間。失う事と、生きる事。
悲しみを乗り越えようとする男と女。
シネカノン有楽町にて初日初回での鑑賞です。客入りは半分程度でしたが、偶然にもダンナさんの転勤で東京を離れた元同僚に遭遇しました。
映画館で女同士の抱擁を繰り広げてしまいました。
そう言えば、彼女は大のトロ様ファンだったわー。いい時期に東京に遊びに来れて、良かったですね。かく言う私も、トロ様信者の一人です。
トロ様の新作~とルンルンしていたら、メガホンを取るのはデンマークの俊英スサンネ・ビア監督だっていうじゃない
『アフター・ウェディング』は見逃してしまったけど、『ある愛の風景』はどうにか鑑賞できました。独特のヒリヒリ感が好みだったんですよ。![]()
===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===
夫のブライアン(デヴィッド・ドゥカヴニー)と2人の子どもに囲まれ、幸せな日々を送っていたオードリー(ハル・ベリー)。しかし、ブライアンが事件に巻き込まれ死亡。その葬儀の日、オードリーは夫の親友ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)と再会する。ジェリーはかつて弁護士だったが、今はヘロインにおぼれ、堕落していた。
「そう、きっとあなたを利用した。」 率直なところ、キャッチコピーがしっくりきません。チラシを隅々まで読んでみると「喪失と再生のドラマ」とありますな。その一文は受け入れる事ができるけど、〈利用する〉という言葉を使ったキャッチは何か違う気がします。
私は、前向きに捉えることができる作品でしたよ。
全体的に地味なストーリー展開という印象を与える作品かもしれないけど。『ある愛の風景』程ではなくても、私にとっては余韻の残る作品でした。スサンネ・ビア監督作品ということで、アート系の作風を期待していました。本作は、ハリウッド作品ではありますが。静かで力強い繊細な雰囲気と、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロの安定感のあるパフォーマンスによってクオリティの高い仕上がりになっている気がしました。オードリーの【喪失と再生】、ジェリーの【喪失と再生】が説得力を持って心に響きます。
オードリーは、夫を亡くした直後よりも数日後に喪失感に襲われているように見えました。時には、子供に当り散らすことも。
夫ブライアンが唯一無二の存在であるかのように、親友であるジェリーを気遣うことへの嫉妬。
憎しみの対象であったはずのジェリー。ドラッグ中毒と闘う彼に、家の修繕を手伝いつつ同居しないかと持ちかけます。「どうして俺はここにいるんだろう」と問うジェリーに、「私もわからない」と答えるオードリー。きっとオードリーの頭の中は混乱していたのだと思います。
いつまで経っても、《夫の死》という現実を受け入れられずに苦しんでいたのでしょう。敵視していたジェリーに歩み寄ることで、少しずつ変わっていくかのように思えましたが。2人の子供がジェリーになついていく様子に腹を立てます。
ブライアンでも、そして自分でもしつけられなかったことを、ジェリーはいとも簡単に成し遂げてしまう。ジェリーには、人を引き寄せる魅力があるんだと思いました。ブライアンは勿論のこと、2人の子供もすっかりなつき。隣人ハワード(ジョン・キャロル・リンチ)までもが、心を開き始めます。誰もが、ジェリーはドラッグ中毒で苦しんでいることを理解した上ででした。オードリーも心の底では、ジェリーという人間の魅力を感じていたのではないかと想像します。その気持ちを素直に表現するには、かなりの時間を要します。最終的に、更正施設で治療に専念することを決意したジェリーは家族の元を去りますが。2人の子供は、ジェリーと離れることをもの凄く嫌がっていました。
再会を約束して抱き合うジェリーと子供の姿を見て、心から温かい気持ちで微笑むオードリーの表情は印象的でした。
ようやく、苦悩から抜け出せたのだなぁと安堵のため息が漏れました。![]()
とても素敵な作品でした。気に入った割には、上手く感想がまとめられない状態です。
主演の2人についても少し触れてみたいと思います。私がハル・ベリーを好きな理由は、とてもエレガントだからです。
モデル出身ということもあり、抜群のプロポーションを誇る彼女ですが。シースルーといった露出の多い姿をしても、全然いやらしくないんですよ。寧ろ、品が良くて素敵なの。
だから「エロかっこいい」とか言って、やたらめったら胸の谷間を強調する風潮が幼稚に見えて仕方ないのね。
恋人の暴力で片耳が聞こえなくなった(相手はウェスリー・スナイプスとの噂)という過去を持つ彼女は、男性運で苦しんでいたというゴシップも聞きます。今では、結婚して1児の母となったばかり。実際に母親になったことで、今後の演技にも違った側面が見えてきそうで楽しみにしています。余談ですが、個人的にはショート・ヘアの方が好きです。(写真のような)
![]()
ベニチオ・デル・トロは、『トラフィック』で鼻血が出そうになるくらいにメロメロになりました。(本作でプールに入る場面を見て『トラフィック』を思い出しました) ヒットはしませんでしたが『誘拐犯』でも鼻血が込み上げてきちゃいました。本作は、主演の2人をアップで捉えるショットが多い印象でした。ファンとしてはウハウハでしたー。
本作のトロ様は、ドラッグ中毒でもがき苦しむ場面があります。焦点の合わない目や、汗まみれでのた打ち回る姿など。トロ様の気迫が素晴らしく伝わりました。
眉間に皺を寄せる表情とか、写真だけだとイケメンっぷりが現われにくいトロ様ですが。映画の中で演技をしている姿は、やはりセクシーでヨダレ掛けを要します。
![]()
最後に余計な感想も一言。先日、試写会で鑑賞した『あの空をおぼえてる』で見た竹野内豊&水野美紀が2人の子供を持つ夫婦という設定には違和感を覚えましたが。本作のハル・ベリー&ベニチオ・デル・トロという組み合わせは、子供と接していても自然体で夫婦に見えました。厳密には夫婦という設定ではありませんが。人生経験の差が演技に出るのかしらと生意気な事を考えてしまいました。![]()
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144633/40550811
この記事へのトラックバック一覧です: 悲しみが乾くまで:
» 悲しみが乾くまで [アートの片隅で]
「悲しみが乾くまで」の試写会に行って来ました。
試写会の数が少ない為なのか、かなりマイナーな作品なのに、会場は超満員でした。
なんと上映直後の予告編の時に、近くの席で喧嘩が始まりました。
席の取り合いだったのでしょうか、、、?
男同士の喧嘩だったのですが、片方はカップルで、何だか彼女が可愛そうでしたねぇ、、、... [続きを読む]
受信: 2008年3月30日 (日) 22:18
» *悲しみが乾くまで* [Cartouche]
{{{ ***STORY*** 2008年 アメリカ
オードリーは、夫と二人の子供たちに囲まれ、平凡だが幸せな日々を送っていた。しかし、事件に巻き込まれた夫が射殺される。愛する人を失った悲しみから立ち直れなかったオードリーは、夫の幼馴染みで親友のジェリーを思い出す。彼は弁護士だったが、今はドラッグで堕落していた。オードリーはそんな彼を好きではなかったが、自分と同じように夫を深く理解し、愛していてくれたことを知り、親近感を持ち始める。オードリーは、そ..... [続きを読む]
受信: 2008年4月 1日 (火) 09:42
» 「悲しみが乾くまで」 [Puff's Cinema Cafe Diary]
公式サイト
シネカノン有楽町1丁目、公開6日目初回、シネカノン有楽町1丁目(255席)
**********************************************************************
評... [続きを読む]
受信: 2008年4月 6日 (日) 21:44
» 悲しみが乾くまで THINGS WE LOST IN THE FIRE [JUNeK-CINEMA in the JUNeK-YARD]
『愛するものとの離別・喪失と絶望、そしてそこからの再生』は、人間が生きていく時、誰でも多かれ少なかれ経験し、乗り越えなければならないことのひとつであり、だからこそ文学や映画や音楽など芸術の永遠のテーマになる。 けれどそれゆえに、安っぽいメロドラマのインス..... [続きを読む]
受信: 2008年4月11日 (金) 20:27
» 悲しみが乾くまで [ Art- Mill あーとみる]
悲しみが乾くまでHP
http://woman.excite.co.jp/cinema/kanashimi/
映画を見る前は、レビューその他はできるだけ読まないことにしている。先入観を持つと、映画の鮮度が落ちるし、自分の素の感 [続きを読む]
受信: 2008年4月12日 (土) 12:44
» 悲しみが乾くまで 2008-18 [観たよ〜ん〜]
「悲しみが乾くまで」を観てきました〜♪
オードリー(ハル・ベリー)は、夫のブライアン(デヴィット・ドゥカウヴニー)と二人の子供に囲まれ、幸せな生活を送っていた。しかし、或る日ブライアンが事件に巻き込まれ射殺されてしまう。悲しみのどん底の突き落とされたオードリーは、夫の親友で麻薬中毒に苦しむジェリー(ベニチオ・デル・トロ)に一緒に住んでくれるように頼む・・・
人気Blogランキング
↑
押せば、頼れる人が現れるかも!?
Blog人気ランキングに参加してます。
ご訪問の... [続きを読む]
受信: 2008年4月14日 (月) 06:29

コメント
もしかして初めてのコメントかもしれませんがよろしく。
今日、観てきました。映画の日なのに観客少なく、知られていない映画なんだ・・・と実感しました。
でも、アフターウエディングやある愛の風景の女性監督の作品で、私は好きな映画でした。独特の撮影法でアップが多いのは共通していましたが、今回はハル・ベリーやベニチオ・デル・トロの2大スターの演技がなかなかよくて・・・・2人ともセクシーなのに、それを抑え気味にして心理面での演技を際立たせているところなど、さすがだと思いましたよ。
でも、大衆受けする作品ではないのでしょうね。
投稿 cinema_61 | 2008年4月 1日 (火) 21:08
cinema_61さま


コメントありがとうございます。
確か『ラスト、コーション』にもコメントを頂いた記憶があります。
またお越し頂きまして、ありがとうございます。
「映画の日」で、しかも公開して間もないのに混んでいなかったんですね・・・
仰るように、大衆向けしないタイプですよね
>2人ともセクシーなのに、それを抑え気味にして心理面での演技を際立たせている
そうそうそう。心から共感しちゃいます

2人ともセクシーですもんね
私は、『アフターウェディング』を見に行かないままです。
ちょっと後悔しています。
『ある愛の風景』のハリウッド・リメイクは、どうなるのでしょうね。
投稿 隣の評論家 | 2008年4月 2日 (水) 22:57
こんにちは♪
先日はほんっとーにびっくりしました!!
まさかまさか会えるとは思っていなかったので、マジうれしかったっす。しかも大好きなトロの久しぶりの映画で!!
あーほんとにうれしい☆
映画のほうもトロ的には久しぶりに死なない役柄(笑)だし、ストーリーにどっぷりはまれる内容でしたね。
しかしトロの演技はすごいなあ。麻薬の禁断症状にのた打ち回るシーンなんかももちろん圧巻なんだけど、私が一番好きなのは誰かを見つめるシーンかな~。今回はアップのシーンも多かったので、その目にさらに釘付けでした。
次の作品はゲバラですね♪(たぶん)
これまた似合いすぎ、はまりすぎではないかと今から待ち遠しいです。気が早いけど(笑)
投稿 franky | 2008年4月 5日 (土) 12:35
frankeyさま
コメントありがとうございます。
おおおおおおおおおお~っ
本当にビックリしましたねん。
>私が一番好きなのは誰かを見つめるシーンかな~。
はははははー


トロ様信者としては、アップが多いという本作のスタイルは溜まりませんでしたなぁぁぁ
「ゲバラ」は一体どうなっているんでしょーかねぇぇ
難航しないといいんだけど。
投稿 となひょう | 2008年4月 5日 (土) 23:00
ドモドモ~~~ン♪
>そう、きっとあなたを利用した。
おおお、こういうコピーだったのですかー
気が付かなかったのですけど、ううむ、これはちょっと違う気が致しまふ。
利用と言うと何だか計算が入っているようですけど、彼女の場合はあれが自然だったのだし・・・
ニュアンス的に今一つしっくりこないですよねん。
でで、となひょうさん、トロちんの大ファンなのですねー




知りませんでしたよ~~~ん。
トロちん、スーツで決めた姿と中毒でのたうちまわる姿との落差が激しく素敵でした!
と、特に、白目を向いて意識が飛んだところとか。
ハルしゃんも夫を亡くした喪失感が自然で見事でしたね。
そうそう、デヴィッド・ドゥカブニーも「Xファイル」を感じさせない(笑)
普通のお父さんでとても良かったでした。フフ
投稿 Puff | 2008年4月 6日 (日) 21:43
Puffさま




TB&コメントありがとうございます。
そうなんすよ、コピーが何か違うかなって。
確かに、気になるフレーズではあるんですけどね。
コピーにそそられて鑑賞すると、ガッカリされ兼ねない感じになってますよねん。
そそそ、思い切りトロ様信者でございますよぉぉぉ
『トラフィック』で一目惚れしたという、決して早くないスタートですけどねん。
本作でプールに入るシーンでは、『トラフィック』を思い出しちゃいました
ドゥカブーさんもモルダーのイメージが強くて払拭するのは大変でしょーね。
確かに、普通のお父さんという雰囲気も、そう簡単ではないかもしれないですねん。
投稿 となひょう | 2008年4月 7日 (月) 20:51
こんばんわ~~
トロさん、よかったですね~~!
特にジャンキーにもどっちゃう辺、ヘタクソな人がやったらしらけちゃいそうなんだけど、彼がやると、あまりに無防備でまるで子供みたいに見えました。
その辺がかなりわたくし的にやばく、彼を追いかけそうですわ。(殴
しかも! 彼がゲバラやるんですか!!
うお~~!!!
『モーターサイクルダイアリーズ』でゲバラファンになったjesterでございますが、その後いろいろ本を読んだりしたんですよ。
活動に入ってからのゲバラなんでしょうか?
うわ~~気になる!
実は「ある愛の風景」は重くて・・・まだレビュー書いてないんですだ。(爆)
投稿 jester | 2008年4月11日 (金) 20:26
jesterさま

TB&コメントありがとうございます。
トロ様がゲバラを演じるという噂、もはや頓挫してしまったのでしょうか。
jesterさんは初耳でした
ちょっと不安なムード漂っています
『ある愛の風景』ご覧になっていたのですねぇ

確かに、ヒリヒリしちゃいましたわ。
jesterさんなら、私とまた観点が違うかもしれないし。
何しろ私は、スサンネ・ビア監督初体験だったもんで。
どんな感想なのか気になりますけど、まぁ余りにも感想をまとめにくいようでしたら、無理しないようにしてくださいね。
投稿 となひょう | 2008年4月11日 (金) 21:21
こんにちは☆
ゲバラ話につられてまたまた来てしまいました。
確か少し前の映画雑誌(FLIXだったか??)に軍服姿で撮影中のトロが載ってましたよ♪一応撮影は進んでいると思ってましたが・・・その後どうなんでしょ(汗)。
頓挫したかもといえば「狼男」。これまたどうなっていることやら・・。
トロファンとしては、やはりスクリーンでお姿拝見したいものですよね~☆
投稿 franky | 2008年4月12日 (土) 13:48
frankeyさま
コメントありがとうございます。
何か、映画ブロガーさんの間でも馴染みの薄い話題みたいで。
少し不安になっております。
>頓挫したかもといえば「狼男」。
そう言えば、こんな噂もあったっけ。
←これはライオンでした・・・・・


ゲバラに負けず劣らず似合いそうですねー
変身する時に、うがぁぁぁーっと苦しむ演技とかも抜群に表現してくれそうで。
どれもこれも、劇場でジックリと観たい話題ばかりですよねん。
今後の明るい展開を期待しつつ。
投稿 となひょう | 2008年4月12日 (土) 22:05