フィクサー
「フィクサー」
<MICHAEL CLAYTON>/製作:2007年、アメリカ 120分
監督、脚本:トニー・ギルロイ 出演:ジョージ・クルーニー、トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントン、シドニー・ポラック、マイケル・オキーフ、ケン・ハワード
2008.4.12 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点★
マイケル・クレイトン――
罪を消したければ、彼に頼め。
弁護士にも関わらず、法廷に立たない者がいる。
彼の仕事は、驚くべき手を使って罪を消し去ること。
人は彼をこう呼ぶ―――【フィクサー】
4/12(土)公開の作品は、気になるものがズバ抜けて多い最強のラインナップです。
見たいと思った作品を全て観に行く時間も持てなそうな予感がしつつ、まず最初に劇場に足を運びたかったのが本作でした。哀川翔アニキや寺島進アニキなど、日本にも「兄貴」と呼んで親しんでいる俳優さんがいますが。私が、「兄貴」と親しむ俳優さんの代表格がジョージ・クルーニー兄貴です。WOWOWで見たインタビューでも「こんにちは、ダニエル・デイ・ルイスです。ボクはジョージ・クルーニーが嫌いです。」 なんてジョークを飛ばしてましたが。
やはり、ジョージ兄貴と言えば《社会派》のイメージが強いです。泥棒さんシリーズは、資金繰りの一環だったのかと捉えている私です。
アカデミー賞作品賞にノミネートされた5作品の中で、本作品が最も公開規模の大きい大作というイメージもあったのですが。蓋を開けてみると、骨太な社会派がベースだった印象を受けました。スーパーヒーローを演じるジョージ兄貴が悪い奴らを懲らしめていく勧善懲悪ものだと思い込んでいました。実際に見た印象は違い、弁護士が登場して【司法】の裏側を地味に見せていく骨太サスペンスという味わいでした。
クライマックスに相当する場面を冒頭に持ってきて、「4日前・・・」と時間軸が戻ります。そして、再びクライマックスとその後を丹念に描いています。人によっては、フォローできない進行かもしれませんが。私は、予想以上に魅せられた傑作でした。
多くの人に関心を持ってもらいたい気持ちが強いのに、私が魅せられた場面を細かく紹介してしまうとネタバレになってしまう気がします。かと言って、《司法》の世界という誰でも親近感の湧く訳でもなかろう世界観なだけに。少しは予備知識も入れていった方がいいと思います。と、何か我ながら矛盾した思いがあります。
公式HPのストーリー紹介も、どこか無駄を省いて載せている印象を受けます。どうまとめたら良いのか、模索が止まらないのですが。
気になった部分を振り返ってみたいと思います。
マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)は弁護士だが、主な仕事は【フィクサー】と呼ばれる「もみ消し」でした。ある「もみ消し」の依頼を受け、3,000億円にものぼる薬害訴訟が浮かび上がります。同僚アーサー・イーデンス(トム・ウィルキンソン)の奇行が問題になり、【フィクサー】として動き出すのですが。やがて、予想もしなかった展開が待ち受けているのでした。企業弁護士カレン・クラウダー(ティルダ・スウィントン)と敵対し、命を狙われるようになって・・・。
本作で最も気に入った部分は、それぞれのキャラクターに人間味を見出せることです。イーデンスは、ある秘密を知ってしまい良心の呵責から精神的に追い込まれていきます。
本編中に登場するイーデンスは、既に心が壊れている状態でした。クレイトンのセリフから、イーデンスが有能である事がわかります。精神的に参っていても、信念を貫き通して闘う覚悟を決めているようでした。クラウダーも相当な辣腕弁護士のようでしたが。最初に姿を見せる彼女は、ベットリと汗をかいて神経スレスレの様子でした。スピーチの前に、何度も何度も練習している姿も印象的で。はたまた、薬を服用している姿もありました。「辣腕」と言っても、ごく普通の女性と何ら変わりない印象を受けます。
冷徹で、「もみ消し」という言葉をクレイトンとは違った角度で捉えている節がありますが。それでも、シンプルに自分の仕事を愛していたのではないかと思えました。クレイトンは、「もみ消し」という仕事に嫌気が差しているようでした。法廷に立ちたいという思いを上司に一刀両断され、冷徹を貫くことを強要される。やがて、命を狙われるようになるクレイトン。運転していた車を停めた時の目の下にクマを溜め込んでいるように見えた表情。
ふと見ると、外に3頭の馬がいます。
車を降りて馬に近づく時の優しい表情も印象的ですが、実はその後に車が爆破されます。
この馬の登場する場面は、神々しいと言うか何と言うか・・・。
いかにクレイトンが強運であるかを表しているようにも見えました。最後の最後、フッと見せる淋し気な表情も忘れ難いです。私が秘書だったら、地の果てまでもサポートするのにな。
(クレイトンには邪魔だと思うけど
)
最終的に、【フィクサー】VS【フィクサー】という構図が見えてきます。ほんの少しの油断も許されない《四面楚歌》状態です。今更ながら、社会は戦場だなぁと痛感してしまいました。
ビジネス上で対立することはあっても、傷つけ合いだけは避けて欲しいとか。クレイトンとクラウダーがタッグを組めば、最強のチームになるかもしれないのにとか。どうしても〈甘ちゃん〉な発想が浮かんでしまう私です。
社会人となって短くはないし、数々の嫌な出来事にも遭遇してきたくせに。最近では、「どんな人にも良い部分はあるもんだ」という考え方を持つようになってきたので。クレイトンもクラウダーも、精神的ストレスでボロボロになって欲しくないなぁと合掌してしまいました。余談になりますが、業界は違えと職場の面々も思い浮かべたりして。多分、クレイトンと同じように神経をすり減らして闘っていると思われる男性陣や。
クラウダーの如き《辣腕女史》も数多く存在します。
私なんぞは派遣社員という立場でなきゃ存在し得ません。心の奥では「もう引退したいぞ」と日々ぼやいているくせに何ですが。(職場の皆さんには秘密)皆様に、仕事とは別の場所でリフレッシュすることだけは忘れないで欲しいと秘かにエールを送りたいと思います。
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コメント
となひょうさん、こんばんは。
ダニエル・デイ・ルイスです。
ボクもジョージ・クルーニーを兄貴と呼ぼうかなぁ。
これは決して目新しい題材じゃないと思うんですが、見ごたえあって胸をうつ骨太ドラマでしたー。
やっぱり兄貴ファミリーの映画はいいっすね。
そうそう、馬のシーンもめちゃめちゃ素敵でしたよね。
ホント、神々しさが感じられました。
あの場面でポイントアップアップでしたー。
投稿: かえる | 2008年4月22日 (火) 22:44
かえるさま


TB&コメントありがとうございます。
お返事が遅れました、どうもスンマソン。
かえるさんも気に入られたようで何よりです。
そうそう、私も胸打たれましたよ。
骨太オンリーなのかと思ったら、そうではなく。
やはり、お馬さんの場面が効いていたと思います。
不思議がる声が多いようですが、かえるさんなら好意的に感じてくれると信じておりましたよ~ん。
私も大好きな場面でした。
投稿: となひょう | 2008年4月24日 (木) 21:33
こんばんは
わたしもダニエルさんと同じくジョージ・クルーニーが好きではありません。数々の美人さんと浮名を流しておられるからです(単なるひがみです)
となひょうさんはお馬さんのシーンがお気に入りですか。ここ「なんでマイケルが急に車を降りたのかよくわからない」という人が多いようですね。実はわたしもそうだったんですけど
、「息子さんが読んでた本の中に、この風景とクリソツな絵があったから」とあるブロガーさんの記事にありました。どっちにしてもスピリチュアルなムードを感じさせるシーンですね
クレイトンとクラウダー、正反対のようで実は非常に近しい立場なんですよね。クレイトンだってギリギリまで正義を取るか上司の意向をとるか悩んでましたし。ラストのクルーニーの表情、わたしには「さて、どうやって謝ろっかなー」と考えているように見えました
投稿: SGA屋伍一 | 2008年5月 2日 (金) 21:13
こんにちは。
フェクサー、見てきましたがちょっと地味で私はあまり
楽しめませんでした。俳優陣の演技がよかったので、眠くなることはありませんでしたが。。。
あの本とか、馬とかどういう意味があるのか全然わからなかったのですが、ここを読んで少しわかった気がします。
アメリカの裁判も長いものは長いんですね。
投稿: ゴン他 | 2008年5月 3日 (土) 12:17
SGA屋伍一さま


TB&コメントありがとうございます。
あらら、ジョージ兄貴は苦手ですか。
バツ2との噂ですが、現在の恋人とゴール間近と言われているらしいですー
何かとブラピとつるむジョージ兄貴は、アンジェリーナ・ジョリーに嫌われているというゴシップも聞いたことあるなぁ。
いづれにしても、兄貴は社交的なんですな、きっと。
そうそう、お馬さんの場面は大好きです。
骨太オンリーではないスパイスが効いていたなーと思って。
>「息子さんが読んでた本の中に、この風景とクリソツな絵があったから」
何と
これはまた興味深いですね
やっぱり深い意味を込めて挿入していたんだと思いますわ。
ちょっと見てみたいですー。
投稿: となひょう | 2008年5月 3日 (土) 23:52
ゴン他さま
こちらにもコメントありがとうござます。
ゴン他さんは、余りノレませんでしたか
確かに地味ですね。
そうそう、あの馬のシーンには疑問を抱く声が多かったようです。

私も、ブログ上でその意味を知ることができてホッとしています。
その本のイラスト、見てみたいです。
投稿: となひょう | 2008年5月 4日 (日) 16:09
トラバどうもでした。
マイケルの息子君の好きな本が赤表紙本のファンタジーで、夢のお告げで召集されたとか、指輪的で喜んでおりました。
投稿: くまんちゅう | 2008年5月 6日 (火) 02:18
くまんちゅうさま
TB&コメントありがとうございます。
>指輪的
なるほど、そんな風に見ると、また違って意味で楽しめますよね。

もう少し、その本の部分について、食らいついて鑑賞しとけば良かったです。
投稿: となひょう | 2008年5月 6日 (火) 19:41
となひょうさん、こんばんは。
TB・コメントありがとうございました。
得点高いですねぇ~
まあさもありなん、という作品でした。
私も最初持っていたイメージとは違う作品だなと感じましたけど、それぞれの人物がじっくりと描かれていて、
なかなかの良作だと感じました。
やっぱりジョージ・クルーニーはいいですよね。
もちろんティルダも良かったです。
シドニー・ポラックは先日亡くなってしまいましたね。
彼もなかなか渋みのある役柄で、印象的でした。
投稿: CINECHAN | 2008年6月 3日 (火) 00:41
CINECHANさま


TB&コメントありがとうございます。
そうなんです、私はアカデミー賞ノミネート作品の中ではダントツにお気に入りです。
『JUNO』がどこまで楽しませてくれるのかと期待しています。
ブロガーさんの間では、そんなに評判が良い訳でもない印象を受けておりましたので。
CINECHANの高評価は嬉しかったです。
シドニー・ポラックさんの訃報にはビックリしましたねー
この作品の中では、鍵を握っているような雰囲気もありましたから。
更に思い入れが強くなりそうです。
投稿: となひょう | 2008年6月 3日 (火) 21:08