パラノイドパーク
「パラノイドパーク」
<PARANOID PARK>/製作:2007年、アメリカ=フランス 85分 PG-12指定
監督、脚本:ガス・ヴァン・サント 撮影:クリストファー・ドイル 出演:ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラー、ダン・リュウ、ローレン・マッキーニー、スコット・グリーン、オリバー・ガーニアー、ディラン・ハインズ
2008.4.23 映画サービス・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,300で妥当 / 評価:3.5★/5点満点
「僕は普通だった。あの事件が起こるまでは・・・。」
世界の流れに逆らわなければ、いつもと同じ日常が、いつも通りに動いていく。
僕の心は誰にも見えない。
白状しますと、冒頭の何分かは失神してしまいました。![]()
何となく緩やかな展開という印象がありまして。
最初は、吸引力に溢れているという感じもありませんでした。寝ぼけ眼で、今回はレビューをお休みしようかなぁと考えていたのですが。
中盤から、私なりに色々と感じることも芽生え始めました。人生観には個人差があるし、私が感じたことが普通という訳でもないと思いますが。それなりに感じたことをまとめてみたいと思います。私の未熟な考え方で不快に感じる方がいたとしても、映画の感想は人によって違うものだと大きな心で流して頂ければ嬉しく思います。
ガス・バン・サント監督が、高校生の姿をリアルに描き出すということで。
コロンバイン高校の生徒による乱射事件がモデルと言われている『エレファント』を否応なしに思い出します。本作も、間接的に事故に加担してしまう高校生の苦悩を描き出してはいますが。『エレファント』程には引き込まれなかったというのが正直な感想です。
というよりも、主人公のアレックス(ゲイブ・ネヴァンス)が誰にも心を開かない様子を克明に描いていたのかもしれないですね。本作の展開は、時間軸が行ったり来たりしているようでした。
「全てを話そう」と、ノートに「Paranoid Park」 と書き出す場面が2~3度出てきます。アレックスの服装も、書いた字も、全く同じものでした。どこかに電話している場面も、2度出てきますが。
応答メッセージが同じでした。同じ場面を再度描く時には、状況が詳しくわかるようになっていました。なかなか興味深い演出だとは思いますが、幾分わかりにくかった印象の方が強いです。好き嫌いがパックリと分かれてしまう作品かもしれませんね。
さて、私が受けた印象を振り返ってみます。アレックスは、掴みどころのない少年でした。何を考えているのか、どうしたいと思っているのか。全編に渡って、無表情で生気が感じられません。線の細いフェミニンなイケメン・ボーイという雰囲気です。
初めて本作のチラシを見た時も、愛らしい少女だと勘違いしてしまったくらいですから。
趣味と思しきスケボーに興じていても全然楽しそうじゃないし、ガールフレンドの言いなりで意思が全く伝わってこないし。どうやら、自分に夢中のガールフレンドのジェニファーを、鬱陶しく感じていたという激白もありました。唯一、アレックスがハッキリと意思表示をしたのは、ジェニファーに別れ話を切り出した時です。
「どうして別れたの?」と友人に聞かれても、「どうして付き合ったのかもわからない」と答えていました。アレックス自身が《自分》を見出せずに苦悩していたのかもしれません。でも、もがき苦しんでいる表情が皆無だったので。見ているこちらとしては、感情移入できませんでした。
ある事故に遭遇するアレックス。小突いた男がバランスを崩して線路に倒れてしまい、後ろからきた列車に轢かれてしまう。
胴体真っ二つに裂かれた男の上半身が、助けを求めて小さく動く。かなり衝撃的な場面であるはずなのに、アレックスは表情乏しく「無かったことにしよう」と、心で呟きます。事故現場もかなりショッキングなのに、ふいと忘れることにしてしまうアレックスの方が、私にとっては何倍もゾクッときてしまいました。
忘れられるはずがないでしょう
嫌な場面は記憶から消し去ることができてしまう、それがアレックスなの
新聞記事やテレビで、その事故のニュースが取り上げられたり、学校に刑事が聞き込みに来たり。
多分、アレックスは動揺していたのだろうけど、それがまた伝わりにくいったらありゃしない。私にとっては、理解不能な少年の姿が淡々と描かれていきます。
ここからは、私なりの想像になるのですが・・・。アレックスの両親は、離婚することが決まったばかりでした。
母親と住むことになったようですが、アレックス自身は心の底では父親を慕っているように見えました。事故が起きた後に、血のついた服を始末して身体を洗おうとします。延々とシャワーを浴びている姿が映し出されます。
その映像は、アレックスが苦痛を堪えて泣いているように見えました。
自分はどうするべきなのか?自問自答の末に、離れ離れになってしまった父親に電話をかけます。結局、真実を話せずに胸の中にしまい込むアレックス。多分、両親の離婚で深く傷ついてしまったのではないでしょうか。本音を誰にもぶつけず、胸の奥深くに押し込んで鍵を掛ける癖がついているように見えます。不幸なのに不幸な表情ができない。それこそ、不幸だよなぁと思いました。母親はアレックスが心を開くのを待っているように見えましたが。父親は口では「何でも相談しろよ」と言いながら自分のことで精一杯、聞こうとする体勢があるようには見えませんでした。どうしたらアレックスは自然体で心を解き放つことができるのでしょう。全体的には起伏の弱い印象を受ける作品でしたが。苦悩が伝わらないアレックスの姿は、見ていて辛いものがありました。こんな人と出会ったら、どうしてあげれば良いのでしょう。難しい問題だなぁと思いました。1つ良かったと思えるのは。鬱陶しく感じていたガールフレンドに、自ら別れを告げることができたこと。ジェニファーはプリプリ怒っていたけど、アレックスのことを考えると、唯一安心できました。![]()
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コメント
となひょうさんコメントありがとうございます。
となひょうって珍しい名前ですが、どういう意味なのですか?それととなひょうさんは女性なのでしょうか?
映画のほうは、確かに掴みどころがない映画でしたね。
分断された死体という激写があるにもかかわらず、全体に淡々と時が流れている感じがありました。
『エレファント』は観ていないのですが、皆さんなかなか評価が高いですね。いずれ観てみようかと考えています。
これからも時々遊びに来ますのでよろしくお願いします。
投稿: ケント | 2008年4月29日 (火) 22:48
ケントさま
TB&コメントありがとうございます。
すみません、お返しが遅くなって
「となひょう」っていうのは、ブログを始めた頃に隣で仕事をしていた同僚が私のことを「となりの評論家」と呼んでいたので。
ハンドルネームって、どう付けたらいいのかわからなくて使ってました。
今更ながら、余りにも堅苦しい名前なので。
ブロガーさんが略して「となひょうさん」と呼び始めてから略称を使わせてもらっています。
>それととなひょうさんは女性なのでしょうか?
文章は男らしいようなんですが




実は女なんですー
こちらこそ、今後ともどうぞヨロシクお願い致します
『エレファント』は未見でしたか。
起承転結がキッチリとしているという感じでもないかもしれませんが、強烈に印象に残る作品でしたー。
機会がありましたら、是非
投稿: となひょう | 2008年5月 1日 (木) 22:15