ハンティング・パーティ
「ハンティング・パーティ」
<THE HUNTING PARTY>/製作:2007年、アメリカ 103分
監督、脚本:リチャード・シェパード 出演:リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・クルーガー、キャロル・クラヴェッツ=エイカニアン、ジョイ・ブライアント、マーク・イヴァニール
2008.5.14 レディース・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「狙った獲物は《最上級》」
戦争犯罪人=ラドヴァン・カラジッチ。ボスニア紛争中、セルビア人指導者として大量虐殺を支持した罪で起訴。500万ドルの賞金を懸けられ、CIA、国連など諸機関が捜索するも、2008年現在、いまだ逃走中・・・。世界はなぜ、捕まえられない?
===(チラシよりストーリー紹介)===
5年ぶりに紛争終結後のサラエボに降り立った元戦場カメラマンのダック(テレンス・ハワード)。彼の前に突然現れたのは、戦場リポーターの頂点に輝きながら破滅し、消息を絶っていた元相棒のサイモン(リチャード・ギア)だった。かつてとは様相を異にしたサイモンがダックに告げる。「ぶっ飛ぶようなねたがある」それは国連にもCIAにも捉えられない重要戦争犯罪人フォックスの潜伏先の情報だった。出世して危険な取材から遠ざかっていたダックだが、《戦友》サイモンの再起をかけた心情を思い、同行を決意。野心に満ちた新米TVプロデューサーのベンも加わり、3人の男たちが驚愕のスクープを求めて核心の地帯に足を踏み入れる・・・。
タイトルに使われている【ハンティング】という言葉。物語の中心は「戦争犯罪人狩り」、カラジッチを探し出すこと。標的となるカラジッチの趣味は「キツネ狩り」で、そこから《フォックス》という通称で呼ばれている。サイモンのファミリー・ネームは「ハント」。『ハンティング・パーティ』の【パーティ】という言葉は、フォックスを追いかける男たちを「集団」という意味で解釈できるし。【ハント】だらけなので、「お祭り騒ぎ」のようにも受け取れる気がします。
「“あり得ない”と思う部分こそが、この映画の“真実”である。」
チラシにも載っていますが、本編の冒頭にも流れていました。戦争犯罪人を追いかけるジャーナリストの話だなんて、普通は骨太で生真面目な社会派テイストに仕上がるものだと思いますが。本作は、どこか冗談めかしているようなノリの良さで占められています。
サイモンのエキセントリックな言動は、笑いを取ろうとしているとしか思えないし。多少の脚色はあるんでしょうけど、根本的なラインは真実が元になっているんですよね
シリアスになり過ぎないように、笑いを取り入れているところがポイントなのかもしれません。
でも、個人的には笑える部分と笑えない部分がありました。《コミカル》というよりは《シニカル》一辺倒。どうせ笑うなら《コミカル》一辺倒で大爆笑したいなぁという気持ちもあるのですが。これはこれで面白く、実に興味深い作品だと思いました。![]()
リチャード・ギアの新境地として、客を呼び集めようとしているようですが。個人的には、『愛と青春の旅立ち』の頃からギア氏の魅力を嗅ぎ取れない私です。何と言うか、朴訥で表情が乏しい印象が変わりません。(ファンの方、怒らないでください
)今見ても、私の気になるパフォーマンスを見せてくれないんだよな。唯一、良かったのは『シカゴ』で歌って踊るギア氏のみ。だから、本作でお尻をペロンと出されても何の興奮も湧かず。
チラシにも「ロマンスの帝王の冠を返上して・・・」と、ギア氏で推してるんだけど。本人は《ロマンスの帝王》と呼ばれても嬉しくないんじゃないのと思ったり。
まぁ、いいか。このサイモンという男も面白いキャラクターでした。リポーターとして君臨していた彼が、ある事件をキッカケに日陰へと追いやられる。
仕事も上手くいかず、お金にも苦労していたようです。「もう一花咲かせたい」というよりは、「ジャーナリズムを追求したい」という気持ちが強かったのかしら。ダックがカフェで払った20ドルをネコババしてしまうようなセコイ一面を見せた彼が、お金よりも《真実》を追究することを選んだ場面は印象的でした。
これが本当のジャーナリスト魂といったところでしょうか。サイモンのキャラも面白いけど、私はやっぱりダック派です。
周囲がエキセントリックなサイモンを遠ざけても、ダックだけは彼のジャーナリスト魂に敬意を抱き続けていました。現場から離されつつも、地位と冨を与えられたダック。生活は潤っても、彼のジャーナリスト魂は再燃の時をひっそりと待っていたのでしょう。静かにサイモンについていく姿がクールでした。
とにかく、テレンス・ハワードは瞳に輝きがあるんだよな。
端正な二枚目とは違うかもしれないけれど、あのキレイな目には今後の活躍が期待できそうで釘付けになってしまいます。
もう1人、副社長の息子でコネ入社の新人ベンを演じたジェシー・アイゼンバーグも、意外といい味出していました。全体的な重々しさとサイモンの毒を、ベンの天然ボケが中和しているような気がして愛らしかったです。![]()
たった3人のジャーナリストが2日で追いつめた犯罪者を、CIAや国連といった大きな機関が捕まえられない訳ないだろう
裏に何かあるのかよ
そんな思いを込めたジャーナリズムを、軽妙に描いた挑戦的な作品という感じです。同時に、そのジャーナリズムを映画という形にしてしまった本作のスタッフの《映画人魂》(もっと素敵な呼び方があれば教えてください)にも、気迫を覚えて止まない作品です。
戸惑う人もいるかもしれないけれど、なかなか見応えのある1本でした。
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コメント
こんばんは。
この映画、抱えている問題が大きく
また現在進行形でもあるのに、
活劇としてオモシロすぎる。
そこが問題のような気がしました。
とてもレビューがしにくい作品でした。
投稿: えい | 2008年5月17日 (土) 22:10
えいさま
TB&コメントありがとうございます。
現在進行形であるとは思えない雰囲気ではありました。
レビューにし易い作品ではないかもしれませんね
そんなに話題になっていない気もします。


シャンテシネのHPでは、混雑状況も「混雑します」マークになっていないし。
一番新しい作品なのに。
それはちょっと淋しいと思ってしまいました。
投稿: となひょう | 2008年5月18日 (日) 11:03
こんにちは!
主役3人のキャラクターがそれぞれいい感じで、映画自身は楽しめました!
昔ながらの付き合いでいいコンビになっているサイモンとダック、それに意外に役立つベンの三人の絡みがいい感じて、かなり大変な状況を笑いながらみることができました。
とはいえ、、セルビア人の描き方がかなりアメリカ的で一方的、そういう面が気になってしまいまって、そのため映画の中に入り込むことができませんでした。
ジャーナリズムをテーマにしているなら、もう少し公平な視点で描いても良かったのではないのかな~とも思ってしまったんですよね~(><)
投稿: コブタです | 2008年5月18日 (日) 11:43
コブタさま



TB&コメントありがとうございます。
ちょっとアメリカ寄り過ぎちゃいましたか
何か珍しいタイプの作品という感じでしたね。
社会派と呼ぶには、かなりハイ・テンションというか・・・
シリアスな場面の後にメインの3人が面白トリオっぷりを発揮すると、何だか和んでしまいました。
特に、ジェシー・アイゼンバーグの飄々とした雰囲気が、何とも愛らしくて
不謹慎かもしれないけれど、この作品を見て生真面目に世界情勢を見つめ直そうという気持ちにはならなかったです。
映画を楽しんだという感じでした。
投稿: となひょう | 2008年5月19日 (月) 20:59