ミスト
「ミスト」
<Stephen King's THE MIST>/製作:2007年、アメリカ 125分 R-15指定
監督、脚本:フランク・タラボン 原作:スティーブン・キング 出演:トーマス・ジェイソン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウワー、トビー・ジョーンズ、ネイサン・ギャンブル、ウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマン、フランシス・スターンハーゲン
2008.5.10 劇場前売り鑑賞券¥1,300にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「霧<ミスト>が全てを覆いつくし、やがて最後の審判がくだされる」
全ての人の運命を霧に潜む《何か》が狂わせていく――
彼は、まだ絶望の果てに《何》があるのかを知らない――
―未見の方は、作品を鑑賞してから読んで頂いた方がいいかもしれません。―
原作は、スティーブン・キングの中編ホラー。こんなに何度も映画化される作家も珍しいのでは
映画なら必ずチェックしつつ、小説を全て網羅できていない私ですが。本作は、15年くらい前に読みました。
『ショーシャンクの空に』 『グリーンマイル』 に続いて、キングの小説を映画化したのはフランク・タラボン監督。「衝撃的だ」という噂のラストは、原作にはないものということで。賛否両論が巻き起こっているそうですね。
確かに、後味の悪い終わり方でした。でも、原作と違うものを描くからには、映画を通して伝えようとしたことがあったのではないかと想像します。そんな風に捉えて、自分なりに模索してみたくなる作品でした。視覚的にも精神的にも、ショッキングな内容が続きます。ハッピーエンドの作品しか観たくない人にはおススメできないし、余り映画を観ない人には体調が万全の時に鑑賞することをおススメします。![]()
メイン州西部で、激しい嵐が発生。未曾有の豪雨に町は襲われる。翌日、デビッド(トーマス・ジェーン)は、息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)を連れてスーパーマーケットに買出しに向かう。被害を受けた人々で、スーパーは大繁盛していた。すると突然、辺り一面を霧が覆い始める。「霧の中に何かがいる!」と、鼻血を流した男性が逃げ込んで来る。そして、異変が起こり始めて・・・。
mist: a thin cloud fog: a thick mist フォッグの方が濃いという感じなのかな。どちらも日本語では「霧」と表現しますね。
本作には関係ないながらに、少し気になったので英英辞典を引いてみました。「ザ・フォッグ」というタイトルのホラー映画もありました。 「霧」って、ホラー映画では恐怖を煽るのに極上な要素のかもしれません。![]()
さて、この作品には現実味の無いモンスターが登場します。蜘蛛、蜂、蠍といった毒々しい虫を思い起こさせるバグ。
翼竜みたいなヤツもいたし。表面は蛸のようだけれど、裏側は毒針だらけといった雰囲気の触手など。どれもこれも、人間など簡単に破壊してしまう脅威の存在です。
しまいには食べられちゃうし。
私は、虫が嫌いです。
男性でも虫が苦手だという人、結構多いですよね。蜘蛛みたいなヤツが、人間の肌を焼き尽くす力のある糸を放つ場面も怖かったのですが。そいつの繁殖能力も驚愕でした。恐らく、まだ生きている人間に卵を産みつけて、子蜘蛛どもが人間を食いながら成虫へと化すようです。
かろうじて言葉を発していた《生贄》が息絶えると同時に、身体の中からもの凄く小さい蜘蛛らしきヤツが飛び出してくる場面は直視できませんでした。
映画鑑賞時のマナーも忘れて「ぎえぇぇぇー」と声を出してしまった・・・。
虫が苦手な方は、覚悟した方がいいと思います。
モンスターの風貌、破壊力。餌食となってしまった人の姿など、視覚的に恐ろしい場面が多い本作ですが。
私が一番恐ろしいと思ったのは、スーパーに閉じ込められた人達の混乱でした。人間が一番怖いのかも。
本作で一番キャラが際立っているのは、狂信的な女性カーモディだと思います。自分の友は神のみだと、信心深く祈りを捧げる。周囲に溶け込めず、変わり者扱いをされている女性。スーパーに侵入されたバグに接近しながら、命を取り留めるカーモディ。私に言わせれば、単に美味しそうじゃなかっただけなのでは?という感じなのですが。
彼女は、自分が神だからだと思い込んでしまったようです。
旧約聖書を唱え、不安でボロボロになった人々の中央に立ちます。
信じることで救われればいいけれど、「外のモノに生贄を捧げよ」と言い出すカーモディの演説には嫌悪感で一杯になりました。
今までは、どちらかと言うと親近感で一杯だったマーシャ・ゲイ・ハーデンが怪演しています。彼女のアップになっただけで、何かが起こりそうでゾッとしました。デヴィッドを始めとする少ない面々が、疲労困憊に違いないのにカーモディの演説に耳を傾けなかったことには感服しました。
教師アマンダを演じるのはローリー・ホールデン。『サイレントヒル』では雄々しい女性警官を演じてましたが、今回は女性らしい芯の強さで恐怖と闘っています。一見、おっとりとした品の良いお婆ちゃんという佇まいのアイリーン(フランシス・スターンハーゲン)が、常軌を逸した演説を繰り返すカーモディに缶を投げつける場面は爽快でした。
個人的に一番好きだったのは、スーパーの副店長オリー(トビー・ジョーンズ)。小柄で、どちらかと言うと冴えない風貌なのですが。なかなか冷静だったり、射撃の腕前は抜群だったりします。一番最初に怪物の餌食となってしまう若者の場面も印象的。デヴィッドだけは彼を助けようとするのですが、恐怖で力が入らない強面の男達を尻目に。オリーだけは、デヴィッドに加勢してました。こんな風に、見た目だけでは活躍しなそうなキャラクターが活躍するという展開は大好きです。![]()
―以下、ネタバレ気味です。未見の方は、まだ読まないでね。―
この大騒動の原因は、軍の実験にあるという噂があったようです。本作のバッド・エンド、私は『クローバーフィールド / HAKAISHA』をふと思い出しました。エンドロールも賛美歌のような美しい歌声が不気味に響いた後に、行き交う車の音とヘリコプターらしき音が聞こえました。全てを知りながら、助けに来るのが遅い軍の姿を強調しているように思えたのです。本作のラストに絶望し、怒りが湧いてくる方も多いと思います。これは意図的なもので、9・11以降深く傷ついたアメリカ人としての〈反戦映画〉でもある。大袈裟かもしれないけど、そんな風に考えてみました。バッド・エンドが嫌いだと頭ごなしにソッポを向くのではなくて、このラストに何が込められているのか見た人と語り合ってみてはいかがでしょうか。
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コメント
こんにちは♪
こんにちは♪
イイ意味で裏切られたラストだと、普段
だったら気持ちよく帰って来れるのに…
でしたよね。
恐怖に陥った集団の心理&行動の描写の巧
さは流石、キングと思えました。
そして敢えてこう言うラストにしたダラボ
ン監督の手腕に拍手です♪ (゚▽゚)v
オリーは愛すべきキャラだっただけに彼が
辿った末路がつらかったです…。
投稿: 風情♪ | 2008年5月11日 (日) 01:53
こんにちは。
虫も翼竜も
どちらも気持ち悪かったですね。
あんなのが襲ってきたら、
ぼくもパニックに陥るでしょう。
となひょうさんが声を上げたというのも、
分かる分かる。
しかし、好き嫌いは別として
長く記憶に残るラストでした。
投稿: えい | 2008年5月11日 (日) 12:32
TB&コメントありがとうございます。
★風情♪さま
そうですね、後味はかなり悪いものですけど、あのラストにはいい意味で裏切られた感じがしました。
>恐怖に陥った集団の心理&行動の描写の巧さ
そうですね、本作を見て一番怖いと思ったのは人間でした。



異形のモノたちもゾワゾワとさせられましたが、大勢の人が狂信的な女性の演説で盛り上がっている場面は更に怖かったです。
もしも自分がああいう状況にあったとしたら、意志を強く持ち続けられるかどうか自信はありませんー
オリーについて触れて頂いて嬉しいです
かなり活躍してましたよね
投稿: となひょう | 2008年5月11日 (日) 18:16
★えいさま
)は、寄り添ってたし。

もう、気持ち悪かったです。
私は、成虫?よりも蜘蛛みたいなヤツの赤ちゃんの群れが耐えられませんでしたよー
思わず声を上げてしまいましたが、殆どの人が同じ気持ちで見ていたようでした。
カップル(といっても若いカップルはいませんでしたけど
男性から見ても平然と見れる場面ではなかったのでしょうね。
マーシャ・ゲイ・ハーデンの演じたキャラクターにはゾッとしたけど。もしも自分が同じ立場だったら、いつまでも平常心を保てるかは疑問です。
やっぱり人間が一番怖いのかもしれないですね。
投稿: となひょう | 2008年5月11日 (日) 19:23
こ、、これは、、いろんな意味でやられてしまったという感じでしたよね~(><)
見終わったあとショックで暫く言葉を出せませんでしたもの、、。
動物的本能で行動し襲ってくる怪物と、明確な狂気と悪意をもって驚異を与えてくる人間、、、何故か人間のほうが恐いというのも、この作品の嫌らしい所ですよね、、。
あのラストをみると、最初に「みんな地獄に堕ちるといい」といった母親の言葉が重く感んじるんですよね。
まさかああいう皮肉な形で対面するとは思いませんでした。
F・ダラボン監督はこういう世界ももった監督だということに驚かされてしまいました
投稿: コブタです | 2008年5月12日 (月) 01:18
コブタさま


TB&コメントありがとうございました。
そうそうそう、ラストのラストのあのセリフ。
その前の時点でも、かなり驚かされたと言うのに。
無事だったとは・・・
皮肉すぎましたね。
そして、タラボン監督がこんな皮肉な描写をするなんて、全くイメージが無かったので。
この点でも、驚かされました。
今月は、たくさん映画を観ると思われますが。
この作品の余韻は、他に引けをとらないのではないかとすら思い始めています。
投稿: となひょう | 2008年5月12日 (月) 21:34
こんばんは。今日見て参りました。
正直いってこういう映画は嫌いです。落ち込みます。鬱になります。なんで映画見てこんな気分にならなきゃいけないだーってなります。
私は主人公のデヴィットの考えがあの登場人物の中では一番まともで、判断も優れてると思い、感情移入してました。ラストだってあの絶望の中では仕方のない判断だったと思ってました。。。それを全て裏切られるラスト。
結局自分が正しいと思ってした判断や行動が、多くの人を道連れにしてしまったんじゃないかという虚脱感が抜けません。
デヴィットの絶叫が今も頭に響きます。
副店長さんすごくたのもしかったですね。
投稿: ゴン他 | 2008年5月16日 (金) 02:24
こんにちは、
僕が観たのは去年の暮れでまったく予備知識も「驚愕のラスト!!」とかの宣伝もされる前でしたので、ラストシーンでは、何の前置きもなく頭を殴られた様になりました。
今、落ち着いて考えると、やはり「宿命」というのがテーマとして思い浮かびます。
「宗教」「人間」「宿命」
不思議なことにホラーの印象がとても薄いんです。
投稿: かめ | 2008年5月16日 (金) 04:47
ゴン他さま

コメントありがとうございます。
あのバッド・エンドには、本当にやられますよね。
予告編であれだけ煽っていたから、実際にはそんなに驚かないんじゃないかと思ってましたが。
とんでもない!鑑賞後は、俯いて黙ってしまいました。
>主人公のデヴィットの考えがあの登場人物の中では一番まともで、判断も優れてると思い、感情移入してました。
そうですよね。
多くの人が、デヴィッドだけは無事に・・・
と、期待して見ていたことと思います。
本当に、衝撃的なラストでした。
あれ程にバッド・エンドなのに、いい意味ではないかもしれないながらに余韻の残る作品でした。
とても不思議な感覚というところで、バッド・エンドだからと言って突き放したくない作品でもありました。
副支店長の存在感は、お気に入りでした。

彼の発砲も、私は勇気ある行動だと思っていたので。
外に出た後の展開には、言葉もありませんでしたよ・・・
観客が感情移入していくキャラクターばかり、バッド・エンドなのが何とも言えないですね。
投稿: となひょう | 2008年5月17日 (土) 17:51
かめさま
TB&コメントありがとうございます。
>「宗教」「人間」「宿命」
なるほどー


映像だけだと、モンスターの造詣などからB級感が漂ってきている印象でしたけど。
深いですね。
かめさんに頂いたコメントを拝見して、また色々と考えを巡らせてみたくなりました。
あの小さい虫だけは、ご勘弁ですが。
DVD化したら、もう1度チェックしてみたいと思います。
投稿: となひょう | 2008年5月17日 (土) 18:05
気持ち悪いこういう映画大好き。僕は100点満点です。
投稿: ちーくん | 2008年5月17日 (土) 20:27
ちーくんさま
初めまして、コメントありがとうございます。
大満足されたようですね。
それは何よりでしたー
投稿: となひょう | 2008年5月18日 (日) 10:43
ドモドモ~~~ン♪
体調不良でへたっていましたが、今日から何とか復帰です。
でもまだ喉が唾を飲み込む度にナイフでえぐられるような痛みがあるので、明日また別の病院に行って来まするる。
と、そんなことはさておきー

)
いやはやいろんな意味で衝撃的な映画でしたね!
ラスト15分云々は実は知らなかったんですよー、なのであの展開にはホントにビックリしました!
となひょうさん、虫のわらわらでは声を上げてしまったのですね。
わ、わたしは、ひとりでニタニタしてました。
(・・・って、声を上げる方が健全だと思います。笑)
>彼女は、自分が神だからだと思い込んでしまったようです
ね、カモーディ夫人、ここで一気に自信をつけたようでしたね。
ここを境にどんどんみんなを巻き込んで狂信者が増えていったのが恐ろしかったです。
(皆さん目がいっちゃってましたしね・・・
マーシャ・ゲイ・ハーデン、見事な演技でした~~~!
助演女優賞に値する演技かも!?
投稿: Puff | 2008年5月21日 (水) 15:31
Puffさま

コメントありがとうございます。
どもども~
唾を飲み込むだけでも痛いですと
そりゃ大変だぁぁぁ
お大事にしてくださいねぇぇぇ
虫のわらわらは笑っちまいましたか

異様にデッカイ虫さんとかだと、絶対にあり得ない存在感なんですけど。ちっちゃい奴らは、どうも見慣れている感じがして嫌でした。
いやぁ、これ程にバッドなエンディングは珍しい気がしました。

かなりショッキングなんですけど、いつまでも余韻が残る感じで。
見た人の意見を聞きたくなる作品ですよね。
このところ、アクセス解析では毎日毎日アクセス数がダントツ1位の本作でございます。
私の鑑賞する作品の中で、最近の作品中で一番メジャーだからかもしれないけれど。
口コミで評判が広がっていければ嬉しいですね。
投稿: となひょう | 2008年5月22日 (木) 21:38
となひょうさん、こんにちは。
>人間が一番怖いのかも。
正にそれを言っているんでしょうね。
「人は2人いれば、いつか殺し合う」
「だから政治と宗教があるんだ」
言い換えれば、狂信者と独裁者が生まれやすいのは
この人間の性なのかもしれませんね。
そう言えば、以前となひょうさんに薦められたのは
「ダークマン」でしたよね。
6月にケーブル・テレビで放映されるようなので
観てみようと思ってます。
投稿: CINECHAN | 2008年5月31日 (土) 13:05
こんばんは
fogとmistの違いはわたしも調べてみました。ほかにhazeというのもあるそうで・・・ 英語ってむずかしい・・・
はっきり見えているものよりも、どこかぼやけているものの方が怖い。この作品の「霧」にはそういう効果があるんだと思います。それだけに全身見せちゃう虫さんや鳥さんはどうかと思いましたが(笑)
そうそう、人の心を覆っていく「狂気」というものもはっきりは見えないものですよね
サブキャラではわたしもオリーに一番肩入れしてました。あの中で最も冷静で、頼りになる男だったのに・・・
あんな特技がありながら、なぜスーパーの店員なんかやってたのかは謎ですけど
ラストの意味・・・ わたしは「運命の残酷さ」というものを描きたかったんじゃ、と思っています
投稿: SGA屋伍一 | 2008年6月 1日 (日) 20:59
TB&コメントありがとうございます。
★CINECHANさま
毎度お世話になっております~
>狂信者と独裁者が生まれやすいのは
この人間の性なのかもしれませんね。
本当に怖い作品でした。



キング作品の映画化ということで、それなりにホラーだと覚悟している人は多いと思いますけど。
ラストには、重たい石で頭を殴られたような衝撃があると言うか・・・。
私は原作を読んでいますが、すごい昔なので曖昧な記憶。
でも、こんなに怖かった印象ではありませんでした。
投稿: となひょう | 2008年6月 1日 (日) 22:33
★SGA屋伍一さま
hazeですか~。本当に英語って日本語と全然違いますね。英語が母国語の方たちから見ると、日本語って難しいらしいけども。
>はっきり見えているものよりも、どこかぼやけているものの方が怖い。
なるほど。だからこそ「霧」なんですね。

と思いました。
虫さんや翼竜さん達まで存在がボンヤリしていたら、それこそ最大の恐怖になってしまいそうです。
虫は嫌いなんすよ。
伍一さんもオリーに肩入れしてくれたなんて嬉しいです。
あそこでオリーが発砲しなかったら、大変なことになっていたはずなのに。外に出た途端に、あんな展開になるなんて・・・
この部分でも皮肉が込められているようで、何とも言えない気持ちになりました。
伍一さんの解釈もなるほど
投稿: となひょう | 2008年6月 2日 (月) 17:54
こんにちは。
私はこの作品は今年の暫定No.1です。
色々解釈もあると思いますが、よろしければ私のブログもご覧下さい。正直なところ、未だにいいのか悪いのか悩んでいる作品です。
投稿: Yakoha | 2008年7月 5日 (土) 03:18
Yakohaさま
訪問ありがとうございます。
わかりますよー
余韻の残る作品ですよねぇ。
それが良い余韻なのか悪い余韻なのか。
判断つかない感じの作品ですよね。
投稿: となひょう | 2008年7月 5日 (土) 22:57