マンデラの名もなき看守
「マンデラの名もなき看守」
<GOODBYE BAFANA>/製作:2006年、フランス=ドイツ=ベルギー=イタリア=南アフリカ 117分
監督:ビレ・アウグスト 出演:ジョセフ・ファインズ、デニス・へイスバード、ダイアン・クルーガー、シロー・ヘンダーソン、タイロン・キオー、ミーガン・スミス、ジェシカ・マニュエル、フェイス・ドゥクワナ
2008.5.24 ミニシアター回数券¥1,330にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「あなたに逢って、知った。世界は間違いだらけだと――」
27年間囚われた、後の南アフリカ発の黒人大統領。
今、秘められた感動の実話が明かされる。
===(チラシよりストーリー紹介)===
1968年アパルトヘイト政権下の南アフリカ共和国。刑務所の下士官ジェームズ・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)は、最悪のテロリストとされるマンデラ(デニス・へイスバード)の担当に抜擢される。マンデラの生まれ故郷の近くで育った為に彼らの言語がわかるグレゴリーに秘密の文書や会話を監視し報告しろというのだ。任務に忠実なグレゴリーだったが、マンデラという人物に触れ、彼が自由の為に払っている犠牲を知るにつれ、次第にマンデラに魅了され、彼が目指す平等な社会に憧れていく。しかし、そんな想いが周囲に知られれば、自分の立場も妻子の安全さえも脅かされる。家族、国、仕事、理想、良心・・・葛藤の中、それでも正しい歴史の一部でありたいと願ったある看守とマンデラの数十年にも渡る魂の交流を描く感動作。
史実に基づく映画には、かなり興味があります。学生時代に、どうしてもっと真剣に授業を聞いていなかったのかしらと後悔することが多くて。
最近は、歴史モノは積極的に見るようにしています。【アパルトヘイト】について習ったのは中1の時だったかしら。今振り返ると、あれでは習ったとは言えないよなぁ。ただ言葉を覚えさせらえただけでした。中1の私には、歴史を深く学ぶ器がなかったという部分もあるけど・・・。最近見た歴史モノは『光州5・18』です。アチラは、少しでも多くの人の涙腺を刺激するように作られていたという感じで。全体的に、過剰な演出だった印象です。本作は、同じ感動を呼ぶ狙いがあったとしても、演出は意外とアッサリ目だった気がします。中には、期待し過ぎたと感じる人もいたりして・・・。
私はそうなりませんでしたが、ウトウトと瞼が下りてきて字幕を読み損ねた場面もありました
・・・。
全体的に、派手さのない作品という感じではありましたが。それでも、印象に残った場面もあります。
導入部分、舞台となる刑務所があるロベン島へ船で渡る場面が美しくて。
それだけで、本作にスーッと引き込まれていきました。船酔いしそうだけど、空気は美味しそうだなぁなんて。
しかし、刑務所では想像通りに好ましくない場面が繰り広げられます。《ホロコースト》を連想する場面ばかりですが、囚人を罵倒する看守の姿を見ていたら、ドイツ映画『es[エス]』を思い出しました。「看守」という役割を与えられると、人は「囚人」に対して高圧的な態度を取ってしまう。そんな恐ろしい実験結果があるそうです。
島に住む刑務所で働く男の妻たちのおしゃべりや、グレゴリーの幼い息子の発言まで。黒人が囚われた刑務所を、まるで《悪の巣窟》であるかのように囁いています。
どちらかと言うと、島が《人種差別主義者の巣窟》であった印象を受けました。その目で確かめた訳でもなく、噂に火をつけて盛り上がっていたようです。【アパルトヘイト】は、真実を覆い隠していたという時代背景も窺えます。
私が一番印象に残った場面。子供を連れて妻の母に会いに行くグレゴリー。ケープタウンでは、白人の警官(だと思う)が黒人を捕まえて身分証明を求めていました。と、キレイな表現でまとめてしまいましたが。その現場は、とても暴力的なものでした。
グレゴリーの幼い娘が、その危険な迫力にショックを受けます。
驚愕と戦慄で目を丸くして、言葉を失い小さな手で口を塞ぐ表情。大好きな祖母を訪れても、混乱して落胆してしまいます。「おまわりさんは、どうしてあんなに酷いことをするの?」 「どうして、こんなに不公平なの?」と、真っ直ぐにパパに質問をぶつけます。幼い娘の問いに「これが【アパルトヘイト】なんだよ」と、答えるグレゴリー。彼の中で何かが変わってきたのは、この瞬間からだったのではないでしょうか。
キャストも素晴らしかったです。グレゴリーを演じたジョセフ・ファインズは、レイフ兄さんとは余り似ていませんが。存在感も違った味わいという感じです。現代劇よりも、こういう歴史モノや『恋におちたシェイクスピア』のようなコスプレがよく似合います。特筆すべきは、ネルソン・マンデラを演じたデニス・へイスバードの独特の存在感です。あの特徴的な太い声が印象深いけど、独房に佇む後ろ姿だけでも存分にオーラを発揮していた気がします。
淋しそうだけど意志の強そうな背中。信念を持ち続ける逞しさに感動しました。
例え一人になっても、闘い続ける覚悟があったのかもしれません。
原題は<GOODBYE BAFANA>。グレゴリーが幼い頃に一緒に過ごした少年の名前が BAFANA です。成長したグレゴリーは、人種差別主義者となりますが。別れ際にバファナからもらったアクセサリーを大事に隠し持っていました。マンデラとの別れ際に、そのアクセサリーを託すグレゴリー。【アパルトヘイト】が集結へと向かう時代と共に、グレゴリー自身も差別主義である部分を切り捨てることができたのかもしれません。原題には、深い意味が込められているような気がしました。![]()
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ドラマ
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ
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宗教などを理由に生まれつき他者を憎むものなどいない
人は憎しみを学ぶのだ
憎しみを学ぶことができるなら
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静かな感動が染みわたる。
刑務所の看守として働くジェームズ・グレゴリーは、1968年、ケープタウン沖のロベン島に赴任し、政治犯として投獄されていたネルソン・マンデラの担当看守になる。94年には南アフリカ初の黒人大統領となったマンデラが、アパルトヘイト政策下に反政府運動の活動家として捕えられて27年間の獄中生活を送った際に、マンデラと関わった看守がこの物語の主人公。どこがどうして名もなき看守なのかさっぱりわからない、看守の名前はハッキリくっきりジェームズ・グレゴリー。名前は劇中で語られるけれど、... [続きを読む]
受信: 2008年6月 6日 (金) 22:21
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アパルトヘイト政策により、黒人が差別されている1968年の南アフリカ。白人看守のグレゴリーは、マンデラが収監されているロベン島の刑務所に赴任。マンデラの故郷の言葉であるコーサ語を操ることができるグレゴリーは、マンデラらの秘密の会話をスパイするよう命じられる。[... [続きを読む]
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1968年アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国。黒人差別を当然のように受け入れていた刑務所の下士官ジェームズ・グレゴリー。彼はロベン島の刑務所に赴任することになり、家族と共に島へ引っ越してくる。そこの刑務所は反体制組織の黒人たちを収容している刑務所だった。マンデラの生まれ故郷の近くで育ったグレゴリーはコーサ語を話すことができたため、マンデラの担当に抜擢される。マンデラたちの会話や文書を監視するように...... [続きを読む]
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コメント
こんばんは。
ぼくも『光州5・18』には
その過剰な部分がノリ切れませんでしたが、
こちらは素直に入ってきました。
看守グレゴリーの妻の設定が、
この映画をよりリアルに見せていたと思います。
投稿 えい | 2008年5月25日 (日) 00:10
こんにちは♪
マンデラ氏、グレゴリーの人物像もヨカッタの
ですが、個人的に心底憎んでいるワケでもない
のに、周りからの目線や体制に従っていなけれ
ば家族を守れないことを知っていて、平気で
「黒人はテロリスト」と言ってしまっている
グロリアと言う人が一番興味深かったです。
ホント今になって、もっと真面目の授業受け
ときゃヨカッタと後悔することって多々あり
ますよね…><
投稿 風情♪ | 2008年5月25日 (日) 00:40
TB&コメントありがとうございます。
★えいさま


ラストに登場するグロリアの場面は、効いてたかもしれないですね。
私は、ダイアン・クルーガーって余り気になる女優さんではなかったもので。
『トロイ』の頃は、キレイなお人形さんだけど「いい女優」とは言えないなぁと思ってました。
その頃に比べると、だいぶ女優さんの貫禄が出てきたなぁという印象でした。
もうちょっとグロリアというキャラクターを観察すれば良かった・・・
投稿 となひょう | 2008年5月25日 (日) 19:40
★風情♪さま


ラストのグロリアの登場は、印象深かったですよね。
人によっては素通りしてしまうような薄口の演出だった気がするけれど、あのラストはとても意味があると思いました。
映画を楽しんでいると、学生時代は何でもっと勉強しなかったんだろうと後悔させられることが多いです。
本当は嫌いな訳でもなかったんだ、ただの手抜きだったんだと思ってしまいます。
そんな訳で、飽きるまでは社会派の作品を積極的に見てみようと思います。
投稿 となひょう | 2008年5月25日 (日) 20:15
こちらにも~☆
>演出は意外とアッサリ目だった
そうそう、わたしも思いました。
観る前はもっと重厚な話かと思ったのですが、アッサリ気味の丁寧な作りのお話でしたね。
でも、静かな感動というのかな、
お涙頂戴で無く素直に胸に来るところがまた良かったですよね。
>ジョセフ・ファインズは、レイフ兄さんとは余り似ていませんが


フハハハハ、確かにそうですよねぇ~!
わたしはお二方どちらも好きなんですが、
人にジョセフのファンだと言うと「猿顔」やら「濃厚」などと言われること多しです。
コスプレものはホントに彼の十八番だわ・・・うふふ
デニス・へイスバードも好演でしたね!
時折り見せるニコリと微笑む優しい眼差しがとっても好きでした。
投稿 Puff | 2008年5月26日 (月) 17:20
Puffさま
コメントありがとうございます。
そうですね、丁寧に作られていたという感じでしたね。
静かな感動ってところがポイントですよねん。
ジョセフ・ファインズ
レイフ兄ちゃんとは顔も体格も似ていないですね。
演じるキャラクターも全然違うし。
>「猿顔」やら「濃厚」などと言われる
だははははは、確かに濃ゆいかも。




元プリンスみたいな濃さがありますよねん。
私、プリンスは好きじゃないんだけど。
ジョセフ・ファインズには同じイメージは湧きませんわ~
寧ろ、品が良さそうに見える。
コスプレが多いからでしょか。
英国人って感じがプンプンします。
デニス・へイスバードは、今や『24』のパーマー大統領の役で有名になりましたが。
先日見たクリス・クーパー主演の『アメリカを売った男』でも存在感がありました。
『エデンより彼方に』は、ご覧になっているかしら。
あちらも印象的。
体格が良くて声が太いというのもあるけど、それだけではない存在感がある俳優さんだなぁと思いますです。
投稿 となひょう | 2008年5月26日 (月) 21:22
TB届いてますでしょうか?どうも上手くいかない・・・
これは結構気に入りました。
南アのアパルトヘイトと言えばガンジーさんも差別されて独立運動へのきっかけとなったとか、聞いた事有ります。
その頃からつい最近まで続いていたという怖さを感じます。
ジョセフ・ファインズはダーウィンアワードの情けないイメージがあったですが、今回は素晴らしい演技見せてくれました。
投稿 くまんちゅう | 2008年5月28日 (水) 20:42
となひょうさん、こんにちは~
地味だけど味わい深い映画でしたね~
ドライな作りが、大人の鑑賞に耐えた、という感じを受けました。
>グレゴリーを演じたジョセフ・ファインズは、レイフ兄さんとは余り似ていませんが。
わははは~
私はトレーラーを見て「ふ~~ん、年とったら渋くなって少し兄ちゃんに似てきたかしら?」などと期待していったのですが、やはりアップで見るとあまり似てませんね。
デニス・へイスバードの背中には私もやられました~
なんとも哀愁にみちた背中でございました。
投稿 jester | 2008年5月29日 (木) 12:25
TB&コメントありがとうございます。
★くまんちゅうさま

ひぃぃぃん、TBご迷惑をおかけしました。
ココログ同士なのに、何でつかないんだ
いつも足跡が余り残っていなくて、ちょっと淋しいわなんて思う時もあるけど。もしかして、ココログの調子が悪いせいもあるのでしょうかねー 本当にどうにかして欲しいですわ。
アパルトヘイトが終わった後の『ツォツィ』を思い出しました。
遠い国の出来事とは言え、色々と考えさせられる作品でしたね。
何とも言えない余韻が残りました。
投稿 となひょう | 2008年5月29日 (木) 23:55
★jesterさま


どもどもーーー
地味だけど、素晴らしい作品でしたねぇ。
感動も静かなものでしたが、余韻の残るものでした。
ジョセフ・ファインズは、顔だけだとレイフ兄さんよりも元プリンスに似てません
だいぶ、年取ったなぁとも思いましたけどね。
>デニス・へイスバードの背中には私もやられました~
決して口数の多い人物ではなかったけれど、背中が語ってましたよねぇ
あの大きな存在感に魅せられました。
投稿 となひょう | 2008年5月30日 (金) 20:25
アパルトヘイトというと、どうもより過激で暴力的な要素んほうが取りだたされる事が多いのですが、看守という一見特殊な職業にみえて一般的な普通の人間の視点で描いているというところが凄いと思いました。
それがアパルトヘイトというグレゴリーの言葉より「それは神がお決めになった事」と言い切ってしまっていた奥さんの方に衝撃をうけてしまいました。
そしてマンデラに会い悩む夫をみて、体制のオカシサに気がついていきながらもそこで家族を守って生きていくしかないそういう奥さんの心の動きも素晴らしかったと思いました。
色々考えさせられる作品でしたよね~
投稿 コブタです | 2008年6月 5日 (木) 22:32
アウェイはレヴューまだなのでこちらにとらばー。
こちらもとっても好みの演出でありました。
そうなんです。船着場の風景からググっと心掴まれました♪
海に船、島というロケーションはいいですよねー。
そうそう、デニス・へイスバードの後ろ姿はよかったですよね。
私はその後ろ姿の太い首に大きな存在感を感じましたー。
そして、ジョゼフもやっぱり上手いです。
今回はいつもよりさわやかさんに見えましたー。
投稿 かえる | 2008年6月 6日 (金) 22:36
TB&コメントありがとうございます。
★コブタさま
そうですね。私も、鑑賞前は『アパルトヘイト』の目を背けたくなるような描写が続くのかと思い込んでいましたよ。
全体的に静かな流れながら、気がつくと余韻が残っている作品でもありました。
>「それは神がお決めになった事」
グロリアのセリフには驚きましたよね。


彼女を人間としてどうかと思うのではなく、差別意識を当たり前のように叩き込まれている社会に驚愕しました。
日本って平和なのかな。
投稿 となひょう | 2008年6月 7日 (土) 22:15
★かえるさま
>船着場の風景からググっと心掴まれました♪
わぁぁぁ、嬉しいです。


ただでさえ鑑賞した方がそんなに多くないのに、景色の美しさに触れている方に出会えただけで嬉しいですわ。
デニス・へイスバードの後ろ姿は印象的でしたよね。
そうそう、太い首でした。
最初の登場が後ろ姿というのも効いていると思ったり
今回のジョセフは、さわやかさんでしたね。
ファインズ兄弟は、キャラが違うけど見事です。
投稿 となひょう | 2008年6月 8日 (日) 00:23
となひょうさん、こんばんは。
TB・コメントありがとうございました。
やっぱりデニス・ヘイスバートの存在感が光りましたね。
正直これまで、よく見る顔だなぐらいにしかとらえてなかったんですが、これで名前と顔が一致するようになりました(苦笑)。
何か刑務所での風景なんかは痛々しい感じでしたね。
「アパルトヘイト」って私も授業で聞いたことはあります。その時に日本人は「名誉白人」とされているということも聞きました。有色人種なのに白人扱いだったんですね。今にして思えば、おかしなものだなという気がします。当時は「そうなんだ」と受け入れるばかりでしたけど。
投稿 CINECHAN | 2008年6月27日 (金) 00:36
CINECHANさま
TB&コメントありがとうございます。
おおおおお、顔と名前が一致するようになりましたかー
この方ってドラマ『24』に出てるので。
映画は余り見ない人でも、そっちを見てれば知ってるって人が多いかも。
>日本人は「名誉白人」とされているということも聞きました。
こんなの嫌ですね。

あの頃は、テストで点数取る為に言葉を覚えていただけで。
真の姿なんて、考えてもいませんでした。
そんなところが、まるで差別意識を神の意志だと平然と言葉にしてしまう妻のグロリアに通じるみたいです。
よくわかっていないのに、そう教えられたから差別意識を持つ。
うーーーん、派手な作品ではないけれど、何だか勉強になりました。
投稿 となひょう | 2008年6月28日 (土) 22:03