ぐるりのこと。
「ぐるりのこと。」
製作:2008年、日本 140分
原作、脚本、編集、監督:橋口亮輔 出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明、木村祐一、斉藤洋介、温水洋一、峯村リエ、山中崇、加瀬亮、光石研、田辺誠一、横山めぐみ、片岡礼子、新井浩文
2008.6.21 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.8★/5点満点★
「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。」
何があっても離れない、一組の夫婦の10年の物語。
ずっと心にとどまり続ける、ささやかだけど大きな愛の物語。
===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===
1993年、何事にもきちょうめんな妻の翔子(木村多江)と法廷画家の夫カナオ(リリー・フランキー)は、子どもを授かった幸せをかみしめていた。どこにでもいるような幸せな夫婦だったが、あるとき子どもを亡くしてしまい、その悲しみから翔子は心を病んでしまう。そんな翔子をカナオは温かく支え続け、2人の生活は少しずつ平穏を取り戻してゆく。
当初は鑑賞予定に入れてなかったけど。予告編が気になって、急遽、観に行きました。何となく評判が良いのは知っていたけど。私、号泣してしまいました。
(最近よく泣いている気がします。涙腺がどんどん緩くなっている気が
)珠玉のラブストーリーだと思います。是非、ご覧になってください。![]()
翔子とカナオは、学生時代からのつきあい。別れと復活を繰り返していたようです。翔子が妊娠して、そのまま夫婦となった感じ。靴屋をしていたが、知人に誘われるままに〈法廷画家〉となるカナオ。出版社でバリバリと働く翔子。対照的な2人の力関係は、夫婦となってから鮮明になっていきます。女にだらしがない夫だけど「私がしっかりしていれば大丈夫」と自信タップリの翔子。夜の生活にもルールを設けて支配するようになります。
2人は同級生という設定なのかな?翔子は、無意識に自分の方が優位に立っているという勘違いをしているように見えました。![]()
やがて、夫婦は子供を亡くしてしまいます。茫然とする翔子の姿を捕らえるだけで、いつ出産したのか、子供はどのくらいまで成長したのか、中略しています。大胆なようですが、そこは上手く伝わるようになっていました。本屋で翔子とぶつかった小さい女の子がビービー泣いてしまう場面があります。
その後、翔子もひっそりと泣き崩れていました。彼女の子供も、その子供と同じくらいの年齢の女の子だったのでしょうか。そして、翔子は塞ぎ込む一方で。
言動はおかしくなり、心療内科に通い始めます。
仕事も辞めてしまいます。片付けをする為に、風呂場で刃物を洗ったり。ベランダにスリッパも履かずに佇んだりと。無意識に命を絶とうとしないかとヒヤヒヤさせられる場面もありました。![]()
引越しの準備をしている時、カナオの荷物の中から1枚の画を見つける翔子。生まれた子供の姿や手と足を描いたものでした。「嬉しかったんだ・・・」と驚く翔子。子供ができたらから取り合えず自分と一緒になっただけだと思っていたのかしら。
嬉しい、悲しいといった感情を自分にぶつけないカナオ。確かに、妊娠している頃の翔子は、必死な余りカナオのことを見ようともしていなかった気がします。でも、カナオはちゃんと翔子のことを見ていたのに。
だからこそ、自分の感情はしまっておいたのかも。
この画がキッカケとなり、少しずつ翔子は変わっていくように見えました。どしゃ降りのある夜、窓も締めずにベランダで茫然としていた翔子。
虫の知らせもあってか、大急ぎで家に帰るカナオ。
そこからまた口論になり、泣きじゃくる翔子。「ちゃんとしたかったの」と繰り返し、子供の死を自分のせいだと泣き喚く。ちょっと『JUNO』の里親夫婦を思い出しましたが。完璧主義で自信満々に見えた翔子は。思い通りにいかない人生は、自分の力が及ばないせいだと解釈しちゃってたのかな。
悲痛に自己嫌悪も相乗効果でプラスされちゃってるのかな。と、色々と彼女の心情を考えてしまいました。
そして、泣きじゃくる翔子の背中を優しくさするカナオの温かいこと。
こんなに心を鷲掴みにされたラブシーンは初めてです。「こんなに泣いたらキスできないだろ」っていうのはリリーさんのアドリブかな。
もの凄く包容力のある男性に見えました。ちょっと『シークレット・サンシャイン』のガンホ様がぽわ~んと浮かびます。
ようやくカナオの気持ちを知り、胸の内をさらけ出すことができた翔子は、心の健康を取り戻していきます。髪を短くして、再び絵筆を取るようになります。
翔子の絵のモデルは、主に花でしたが。以前は他人を見ようとしなかった翔子が、花であってもじっくりと観察している姿は感動的でした。![]()
原作、脚本、編集、監督と1人4役をこなした橋口亮輔氏の手腕も素晴らしくて感服しまくりだけど。この作品は、カナオを演じたリリーさん抜きには語れません。決して焦らないゆとり、いちいち怒らない広い心。ひょうひょうとしているようで、物事をジックリと観察しているように見えます。翔子がシッカリ者のキャリア・ウーマンというタイプに描かれていた気がしたけど。「やっぱり、男の人には敵わないなぁ」と、私は思ってしまいましたよ。
画を描く人って、観察眼が秀でているのかもしれませんね。
表情、服装のみならずに、足元(靴など)もジックリと観察していたし。
裁判官の「判決を言い渡す」という言葉の後に、記者の面々が前のめりになる姿を後ろから捉えたショットも面白かったです。カナオがそっと翔子を見守っているという流れも素敵でしたが。法廷画家をしているカナオの目を通して、世の中の色々な事件が映し出されていきます。既視感を覚える裁判ばかりでした。被告人、証人、裁判官と小さい役にも色々な俳優さんが登場します。全部は書けませんが、加瀬亮にはビックリ
あれが加瀬さんだと納得するのに時間を要してしまいました。
最後に登場する被告人を演じた新井浩文も印象的。翔子の兄夫婦を演じているのが寺島進と安藤玉恵という点も嬉しいし。倍賞美津子が演じた翔子の母も印象的。最初は、あんな男やめたら?とカナオを認めてなかったのに。翔子とカナオが再生を始めてからのある場面。「翔子のこと、お願いしますね」と深々と頭を下げる姿に涙が止まりませんでした。![]()
| 固定リンク
« イースタン・プロミス | トップページ | 休暇 »


コメント
こんばんは。
リリーさんのひょうひょうとした演技よかったですね。
舞台挨拶でもあの調子で笑いをとっていました。
翔子の几帳面さには付いていけませんでしたが、
翔子の母親が夫の帰りをひょっとしたらと待つ理由に
自らの不貞があった告白にはグッときました。
日本版JUNOになって、もっと多くの映画館で
多くの人に見て欲しい作品です。
投稿: twilightkuma | 2008年6月23日 (月) 22:26
twilightkuma さま



TB&コメントありがとうございます。
もう、本当に素晴らしい作品でした~
感動の嵐でしたぁぁぁ
冒頭の翔子さんは、几帳面を通り越して完璧主義すぎちゃっているように見えましたよ・・・
支配欲が前面に出ている感じが、私がもし男だったら嫌だなぁとまで思っちゃいました。
そうそう、翔子の母親の場面も印象的でしたね。
ついつい、翔子の変化のことばかり書かなきゃって思ってしまいましたけど。
あの告白の場面。翔子がカナオと一緒に聞いているという姿だけでもう涙腺が緩んでしまいました。
倍賞美津子のさり気ない存在感も良かったですね。
投稿: となひょう | 2008年6月24日 (火) 21:16
こんばんは。
この映画、いいですよね~。今のところ今年観た中では一番です。ともかくリリーさんと木村多江の夫婦が良くも悪くも本当にリアルで、そして何があっても優しく傍にいるリリーさんの飄々とした姿が心にじーんときました。
加瀬君はじめ犯人役の人たちもすばらしい演技でしたよね。
投稿: masako | 2008年6月25日 (水) 23:29
ご無沙汰してます~。
いやー、ホントによかったです。「ちゃんとしたかったの」と号泣する翔子と「うんうん」と優しく聞いてあげるカナオのシーンでは私も滝涙でした・・・。
ただ、あそこまで翔子が感情をさらけ出して初めてカナオは「ずっと離れないから大丈夫」と言ったわけで、本当はもっと早く、その気持ちを翔子に伝えるべきだったんじゃないかなあとも思いました。まあでも、カナオの性格、いや男性全般はなかなか自分の気持ちを素直に言葉にするのが苦手なのでしょうかね・・。
橋口監督はご自身もうつになった時期がある、と何かの記事で読みましたが、翔子が心を病んでいく感じなんかはとてもリアルで、観ていてこちらも胸が痛くなりました。
しかし、ちらっとしか出番のない役柄の面々がとてつもなく豪華でしたね~。新井君も相変わらずインパクトのある演技でリアルに嫌悪感を覚えました(汗)。
投稿: franky | 2008年6月27日 (金) 11:43
masakoさま
TB&コメントありがとうございます。
>今のところ今年観た中では一番です。
おおおおお、それはそれは
私も、2008年の上半期で締めたら、必ずや上位に食い込みます。
そうそう、リリーさんと木村さんの夫婦が印象的ですが。
裁判のシーンに登場する俳優さん達も、とても良かったですよね。
投稿: となひょう | 2008年6月27日 (金) 21:28
frankyさま



と、日々念じております。

コメントありがとうございます。
おおおおおおおおおお~、お元気にしてましたかぁぁぁぁぁ
仕事が大変でゲッソリしてしまったという噂を耳にしたのですが。お身体のほうは大丈夫ですか
こちらでは、ホラー同好会の面々がついに1人も居なくなってしまいましたよぉぉぉぉ
淋しいです。
いでよ、映画ファン
ってか、春から仕事が暇で暇で、本当にどうしようかと思っております。インターネットくらい見させて欲しい。
>男性全般はなかなか自分の気持ちを素直に言葉にするのが苦手なのでしょうかね・・。
んー、そうですね。日本の男性諸君は、なかなか思ったことをズバズバ口にしない方が多いかもしれませんね。
>新井君も相変わらずインパクトのある演技でリアルに嫌悪感を覚えました(汗)。
おおおおお、こんな風に言われたら新井君も本望なんではないすかねー
たったあれだけの出番で、強烈なインパクトでしたよねっ
投稿: となひょう | 2008年6月29日 (日) 10:46
ついにホラー同好会メンバーは居なくなってしまいましたか!?
かつてあれだけの隆盛を誇った老舗同好会も活動休止を余儀なくされるのでしょうか・・・。ああ無性にB級ホラーが観たい!!ところで「ハプニング」(byシャマラン)てどーなんでしょ??
なんだかスーパーバイザーにまでご心配頂いていたようで恐縮です(汗)。実は先週で今までいた支社を辞め、明日から別の支社で働くことになりました。人間的にどうしても合わない人がいまして・・。まあラッキーなことに次がすぐ見つかったので気持ちを切り替えていこうかと思っているところです。
こちら名古屋にも、東京ほどではないにしろ、観たいなあと思うような作品を上映するちっちゃい映画館がいくつかあり、最近ふらっと行くようになりました。
次に観たいのは「たみおのしあわせ」ですね~。
投稿: franky | 2008年6月30日 (月) 09:49
frankyさま




そうでしたかー、色々と大変だったのですねぇぇぇ
7月からは心機一転ですねー
まぁでも、無理のない程度にゆるりとお過ごしくださいぃぃぃ
名古屋の夏は暑いんでしょうかね
今年の梅雨は、かなりの雨量だったので水不足の心配はないと天気予報で言ってたけど。
酷暑はご勘弁・・・
そうそう、ホラー同好会に相応しい人は見つかりませんが。


新しく入った人にも、お笑い大好きという人はたくさんいるっすよー
私が最近、ダントツに気に入っているのが山本高弘。
先日、地元のTOHOシネマズのあるショッピングモールのイベントスペースでものまねショーをやってました。
間近では見れなかったけど、同じ空気を吸えたかと思うと嬉しくて楽しくて。
本当に大好きですー
投稿: となひょう | 2008年6月30日 (月) 21:25
暑いっす!!暑いの嫌いな私としてはますます引きこもりがちな(笑)季節がやってきてしまいました。
山本高弘といえば「キターーーーーーッ!!」の人ですよね??最近テレビにもよく出てますよね♪
私はずっとさまぁ~ず一筋で・・・。ここ名古屋ではさまぁ~ずがMCの「げりらっパ」という深夜番組が放送されているのですよ。しかも6年も。
基本ゆる~い感じの番組なのですが、そのテイストがさまぁ~ずにぴったりで、私としてはいま一番熱心に見ている番組かも知れません(笑)。
投稿: franky | 2008年7月 5日 (土) 14:02
frankyさま


コメントありがとうございます。
ほ、本当にあ、暑いですね・・・
夜中に目が覚めてしまいます。
冷房は、まだやめとこうと思ってるんだけど。
快眠を得るには必要なのでしょか・・・
>私はずっとさまぁ~ず一筋で・・・。
おおお、さすがです。

最近はまた、お笑いブームで。
実に興味深い芸人さんが多いですねぇぇぇ
最近、ピン芸人さんに目がいきます。
「打つ & 走る」って大声で歌って踊ってる女性は除く。
エドさん、ナベアツ(あ、ピンではないか・・・)、なだぎさん、山本さん。
なだぎさんは天才だと思ってます。
山本高弘は、調理師免許を持ってると聞き。
ここまでくるのに、色々な下積みがあったのかと思うと、また好きになったでしたー
投稿: となひょう | 2008年7月 6日 (日) 17:38