闇の子供たち
「闇の子供たち」
製作:2008年、日本 138分 PG-12指定
監督、脚本:阪本順治 原作:梁石日 出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、プラパドン・スワンバン、プライマー・ラッチャタ、豊原功補、鈴木砂羽、塩見三省、佐藤浩市
2008.7.19 劇場前売り鑑賞券¥1,500にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥2,500で妥当 / 評価:4.5★/5点満点★
「値札のついた命」
これは、事実か、真実か、現実か
「生きたままって、知ってましたか?臓器を提供する子供です。」
===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===
日本新聞社のバンコク支局駐在の南部(江口洋介)は、東京本社からタイの臓器密売の調査を依頼される。同じころ、恵子(宮崎あおい)はボランティアとしてバンコクの社会福祉センターに到着する。彼女は所長から、最近顔を見せなくなったスラム街出身の少女の話を聞くが、実は彼女は父親に児童性愛者相手の売春宿に売り飛ばされており……。
衝撃作。
物議を醸しそうなラストについて、触れたいと思います。疑問が残るだけだったという方もいらっしゃるかもしれませんが。1つのチャレンジとして、私なりに解釈したことを書きたいと思います。
共感できなくても、広い心でお読み頂ければ嬉しいです。文字を反転させますが、未見の方はご注意ください。![]()
「PG-12指定」なんて生ぬるくないですか
それ程に、見るのも辛い場面が続きます。
売春宿に訪れる客は、外国人ばかりです。勿論、日本人の姿もありました。女性の客もいました。男女のカップルで訪れ、少年と少女を1人ずつ・・・。客のリクエストを拒んだ少年は、背中をムチで叩かれます。それだけでは終わらず、火の点いた煙草を押し付けられていました。
生きる為には、この屈辱に耐え続けなければいけないのです。「死んだ方がマシだ」と考える気力すら残っていないようでした。
ムチで打たれた少年が、性的暴行を加えられた後の姿も痛々しい。悲鳴を押し殺した表情、背中はムチの痕で埋められ、臀部らしきラインから血が滴る。赤い縄で縛られた少女が、ベッドにペッペッと唾を懸命に吐く姿とか。(その前に、客の男は局部を少女の顔に向けていた・・・
)エイズを発症して虫の息の子供は、ゴミ袋に包んで普通のゴミと同様の扱いでポイッと捨てられたり。中には、臓器売買の為に生きたまま病院へ送られる子供もいました。![]()
私が、本作で好きだった点は。子供たちの発せられない悲鳴だけではなく、大人たちの悲鳴も聞こえてくる気がしたところです。
売春宿を仕切っている一人のチット(プラパドン・スワンバン)は、どうやら自分も宿の子供たちと同じような目に遭っていたようです。〈同僚〉に当たる男が、新しく入った少女に局部を突き出したのを見た時。過去の悪夢が甦り、外で吐いていました。
宮崎あおいちゃんの熱演は素晴らしいけど、NGOの女性職員・恵子にはイライラしました。正義感が強くて真っ直ぐだけれど、右も左もわからない世間知らずのお嬢様で。結局は周囲を振り回しているように見えました。
何とかしなければと思ってもどうにもならない現実、その象徴だったのかもしれません。![]()
実は、虐げられている子供たち以上に印象的だったのが。南部という男です。ある臓器売買が進行している、その顧客は日本人でした。サラリーマンの梶川(佐藤浩市)と妻・みね子(鈴木砂羽)の間には8歳の息子がおり。心臓が弱くて、やっとの思いで見つけた移植話がタイだったのです。8歳の小さい子供の心臓移植となると、日本ではどうにもならなかったようです。タイの子供を助ける為に「生きたままって知ってますか、手術を止めてください」と強い口調で食ってかかる恵子。(お馬鹿っ)
「痩せ細った息子の姿を見れますか」と泣き崩れるみね子。その場にいた日本新聞社の清水(豊原功補)が恵子を無理矢理連れ出して沈黙が訪れます。「息子さんを見てもいいですか」と訪ねる南部。どうやら南部にも一緒に暮らしていない子供がいるらしいのです。梶川と南部のやり取りには、男同士にしかわからない空気が流れていた気がして。
目立たない場面ながらに、とても印象に残りました。
===以下、ネタバレです。未見の方は読まないでください===
南部は、最後に首吊り自殺をします。フリーカメラマンの与田(妻夫木聡)と清水が、南部の部屋を整理しに来ます。ある一角に不自然に幕が掛かっていました。与田が外すと、そこには鏡があり。真ん中を残して、「児童買春」で捕まった人物の記事の切り抜きが貼られていました。何故、真ん中を残しておいたのか。それは、南部が衝撃的な記事の中に自分を映す為だったのではないでしょうか。途中から、何度か記憶がフラッシュバックする南部。そして、終盤に「少年をホテルに連れて行こうとする南部の姿」という記憶が。南部も児童買春をした経験があるのですね。ここは私の想像ですが、未遂に終わったのではないでしょうか。以降、自分を恥じて責め続けた南部は、無意識に記憶を封印してしまったのではないでしょうか。事件を調べながら、少しずつ忌まわしい記憶が甦り。自責の念から自殺を図ったのではないでしょうか。南部の子供は、息子ではなくて娘でした。それなのに、写真たてには少年の姿がありました。その写真を常に伏せているのが意味深でした。クライマックスとも言える公園での乱射事件。立ち尽くす南部の足にしがみつく少年は、現実のものだったのでしょうか。この直後、南部は激しく絶叫をしていました。封印していた記憶を思い出した瞬間なのかと捉えました。=以上=
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コメント
なるほど~!未遂に終わったと想像しましたかぁ。
コレはとても衝撃を受けた作品でしたね。
でも、たくさんの方に観ていただきたいです。
宮崎あおいちゃん演じる恵子は真っ直ぐ過ぎて本当
イライラしちゃいましたね。
江口さん演じる南部が「バカ女」って言った時
ちょっとスっとしちゃいましたもん( ´艸`)
投稿: miyu | 2008年8月10日 (日) 05:31
miyuさま

TB&コメントありがとうございます。
余り詳しく書けないことかもしれませんが、何故「未遂」と感じたかと言うと。
あの鏡を自ら飾る南部の気持ちを想像してみたら何となく。
それと「手を離して」とかいうタイ語。
あれは、逃げられたということかと思いました。
未遂だからこそ、自分を追い込んで苦しんでしまったのかなぁと思うと切ないです。
もともと江口さんの爽やかなキャラクターのファンだったので。私の感性は、そんな風に作用してしまったもかも。
と、ネタバレにビビリながら書いてみました。

つ、通じたでしょうか。
とても重たい作品ですが、観に行って本当に良かったと思える作品でした。
投稿: となひょう | 2008年8月10日 (日) 16:57
トラックバックさせて頂きました。
「未遂」という想像はしませんでしたが。
売春宿を仕切っている一人のチット(プラパドン・スワンバン)が、タイガーマスクのエンディングを口笛で吹いていたのが気になって仕方がありません。
40代の日本人男性との関係があったのか・・・
投稿: まいける東山 | 2008年8月18日 (月) 14:33
まいける東山さま
初めまして、こんにちは。
ようこそいらっしゃいました。
TB&コメントありがとうございます。
暫くブログをお休みしていたので、お返しが遅くなってしまってゴメンなさい。
話題もかなり古くなってしまいました・・・
チットの口笛の場面、覚えていないです。
というか、鑑賞中も気づいてなかった可能性もありますが。
『タイガーマスク』というのが気になりますね。
何らかの意味を込めているような気がしてしまいます。
DVD化したら、再度チェックできたらいいなと思います。
投稿: となひょう | 2008年9月 7日 (日) 21:01