パコと魔法の絵本
「パコと魔法の絵本」
製作:2008年、日本 105分
監督、脚本:中島哲也 原作:後藤ひろひと 出演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也
2008.9.14 先行上映、TOHOシネマズ・デイ¥1,000にて鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥1,800で妥当 / 評価:3.8★/5点満点★
「子供が大人に、読んであげたい物語。」
昨日をなくした女の子と明日がいらない大人達のミラクル感動ファンタジー♪
===(シネマトゥデイよりストーリー紹介)===
昔々、大人の俳優に脱皮できなかった元有名子役や、消防車にひかれたまぬけな消防士など、患者だけでなく医者や看護師も変わり者ばかりが集まる病院があった。中でも一代で自分の会社を築いた超ワガママ老人の大貫(役所広司)は、一番の嫌われ者。ある日大貫は、1日しか記憶を保てない少女パコ(アヤカ・ウィルソン)に出会う。
舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を煌びやかに映画化。![]()
泣いたり笑ったりと、大忙しでした。「カラフル」という表現では足りないくらいに、目がチカチカする美術にも驚きましたが。ガマ王子のCGなど、丸みが帯びて少し温かみを感じるところもあって。一言では表現しきれない、楽しいごった煮映画という感じです。
アヤカ・ウィルソン演じるパコちゃんは、素直で人懐こくて本当に可愛らしい。
もしも、演技慣れしている天才子役が演じていたら。どこか作り物っぽい空気が出てしまい、私は受け入れられなかったかもしれません。ひねくれ者の頑固ジジイ大貫が、淋しがっている自分を認めて素直に優しさを発揮していく流れに説得力を与えていたと思います。
特殊メイクを施しているとはいえ、あれほどに憎たらしく思えた大貫ジジイが少しずつ優しくなっていく変化には感動しました。
今までは、シリアス一辺倒の演技をする俳優さんとして尊敬していた役所さんが。こんなに明るい作品でも演技力を発揮するという部分にも魅せられました。
1日しか記憶がもたないパコちゃんは、ふとした誤解から大貫にビンタされてしまいます。
「痛いよう、わーーーん」と泣き崩れたパコちゃんでしたが、翌日には当然の如くその出来事を忘れています。ホッペタに貼られた治療の後の意味もわからない。
けれど、大貫が再びほっぺに触れた時、その手の温もりを何となく覚えていたのです。「おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったよね?」 と、それはそれは嬉しそうに親近感を持って満面の笑顔で話すパコ。
触ったどころか殴られたのに、大貫と仲良くしたくて仕方がないといった表情をします。
大貫は、一代で会社を築いたいわゆる《成功者》なのですが。そこまでくるには、たった一人で闘い続けてきたようです。成功の裏では、本当は辛く淋しい人生を送ってきた大貫。
心の中に築かれてしまった冷たい鉄壁を、パコの純粋さが一瞬で打ち砕いたのかと思うと。感動の涙が込み上げてきて止まりませんでした。![]()
しかし、笑いの要素もテンコ盛りで。どうしよう、もう涙が止まらなくなるよぉって時に、ドギツイくらいの笑いの場面が挿入されるんですよね。
「涙あり笑いあり」という作風、それはそれで素敵だと思いますが。「よーし、泣くぞ」と自分の中で盛り上がった時に、「笑い過ぎてお腹がよじれちまうぜ」というレベルのコミカルなタッチが入ってくるものだから。集中して鑑賞しようと自分をコントロールするのに疲れてしまいました。
個人的には、「感動モード>爆笑モード」ってバランスの方が好みだったな。
何となく、感動モードを消し去る為に爆笑モードが上乗せしてあるように思えたのだけれど。もしかして、中島哲也監督は感動モードに対して照れ臭い思いがあったのかしら。
そんな風に想像してしまいました。(大きなお世話?)とは言え、とても楽しく鑑賞することができましたよ。![]()
この日は、ショッピングモールのイベントスペースに2組のお笑い芸人さんがきてミニライブを行っていました。
お笑いは大好きですが、個人的にはそんなに笑いのツボを刺激されない2組でした。本作の阿部サダヲの過剰とも言えるコミカルなパフォーマンスには、何度も呼吸困難に陥りそうになりました。この2組の芸人さんよりもサダヲさんの方が100倍面白いんだもん。
小柄な身体から発せられるエネルギーに圧倒されました。「圧倒的な存在感」という表現を、こういったコミカルな演技に使うのは初めてですが。改めてサダヲさんのキャラクターを満喫させて頂きました。全員について書くにはスペースが足りないので、もう1人お気に入りだったキャラクターを挙げます。劇中劇で《ガマ姫》を演じるオカマのおっさん木之元です。演じた國村隼と言えば、数々の映画やドラマで脇役ながらに存在感を発揮してますね。ウィスキーか何かのテレビCMにも顔を出していた気が。
『キル・ビル』では、ルーシー・リューに首を斬られるヤクザの親分さんを演じていました。今回の余り美しくないオカマのおっさんを、ユーモアと哀愁を滲ませて怪演していました。他の俳優さんも、吹っ切っちまえ
とばかりに潔く楽しく怪演してくれました。楽しい1本です。
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コメント
確かに、中島監督はストレートな感動物を作るタイプじゃないですね。
まあそれも彼の作家性と考えれば、照れも良い味になっていたんじゃないかと思います。
彼の「嫌われ松子」は正直苦手ですが、こちらは見事に泣かされました。
投稿: ノラネコ | 2008年9月16日 (火) 01:19
ノラネコさま

こんにちは。
訪問ありがとうございました。
照れも中島監督の持ち味ということですね、なるほど。
大貫が少しずつ変わっていく流れは、本当に感動しました。
シリアスが持ち味だと思い込んでいた役所さんの存在感に心動かされた感じです。
投稿: となひょう | 2008年9月16日 (火) 20:47
感動しましたねー
僕は初め笑えるのに後になってくると泣ける映画には弱いんで
イチコロでした。。
映画としては、舞台をそのまま映画にしたような感じやったんで
舞台俳優阿部サダヲはハジケまくりでしたね 笑
投稿: doBlog! | 2008年9月25日 (木) 19:37
doBlog!さま
TB&コメントありがとうございます。
イチコロでしたか。
楽しい作品でしたよね。
阿部サダヲのテンションは凄いですよね。
あんなにエネルギーのある人って、そう見かけない気がします。
投稿: となひょう | 2008年9月27日 (土) 19:32
こんにちは。
今頃やっとレビューアップしました(汗)
>オカマのおっさん木之元です。
わたしもかなりお気に入りです! 國村隼さん、楽しそうに演じてましたね。
彼が(というか彼女か)娘さんの結婚式に出るところを見たかったのに・・・
かなり期待してましただ。
やっぱり当日に行ってしまう、そしたら娘が泣いて迎えてくれるとか。臭くてすみませぬ。
投稿: jester | 2008年10月26日 (日) 09:43
jesterさま


TB&コメントありがとうございます。
おおおおお、jesterさんも國村隼さんがお気に入りでしたかぁぁぁo(*^▽^*)o
目立ちすぎず、かと言ってとても楽しそうに演じているところに好感持てました。(もちろん演技力も抜群)
あのオカマさん、娘さんの結婚式に出ていたら、そう考えるともう1本映画ができちゃいそうですよね。
こんなところからもスピンオフなんて、どうかしら。( ̄ー ̄)ニヤリ
投稿: となひょう | 2008年10月26日 (日) 21:58
これ、今日でだいたい公開終了ですかね・・・
そんなころになってからお邪魔いたします(笑)
意地悪じいさんから180度転換してしまう大貫さんの変わりっぷりに唖然としました(笑)。あんだけパコに冷たくしてたのだから、普通は周囲に対してもっと照れくさがりそうなもんですけど
きっとこの人、一度目標を見つけると周りのことが見えなくなるタイプなんでしょうなー その調子で会社も大きくしたのでしょう
>中島哲也監督は感動モードに対して照れ臭い思いがあったのかしら
これはわたしも思いました。前作、『嫌われ松子』も普通にマジメな原作をあんなにしっちゃかめっちゃかにしてしまった人ですから(笑) ま、あれはあれなりに良かったと思います
阿部サダヲさんのエネルギーに圧倒されたというところも同感です。並みいる名優を相手に一歩も引けをとってない!スゴイ!
投稿: SGA屋伍一 | 2008年11月14日 (金) 20:38
SGA屋伍一さま
訪問ありがとうございます。
>きっとこの人、一度目標を見つけると周りのことが見えなくなるタイプなんでしょうなー
そうですね、大貫ジジイって真っ直ぐな男なのかもですねぇ。
(;´▽`A``
などと思ったりした訳です。
泣いたり笑ったり、こんなに大忙しだった作品も珍しいです。
大抵は、泣き通しとか笑いっぱなしだったりするので。
何か珍しいなぁ、ああ、監督さんが照れ臭いのか
>阿部サダヲさん
本当に強烈でしたよね。∑(=゚ω゚=;)

この日見かけたお笑い芸人さん2組よりも遥かに面白かったです。笑い死するかと思ってしまいました。
投稿: となひょう | 2008年11月15日 (土) 19:56