2009年8月23日 (日)

真夏のホラー大作戦

うだるように暑い夏でもないけれど、夏はやっぱりホラーで涼みたい。
8月の頭にも、そんな話をチラリとしましたが。予告通り、ホラー作品をレンタルしに行きました。foot TSUTAYAの名作100選100円レンタルにも惹かれたのだけれど、どれもこれも既に見た作品ばかりなんだもの。catface こうなったら、GEOの旧作100円レンタルを活用することに。8月一杯で終了のキャンペーンかと思い込んでいたら、10月一杯続行するって言うじゃない。これは是非とも、また利用したいところ。
余談ですが、レンタル店でジャンル別に並べてあるから。時々、(常にか?)一般論から逸れる感想を持ってしまう私にとって。お目当ての作品を即座に見つけるのは至難の業だったりするんだよね。coldsweats01 コレってホラーなの?と思った作品も一杯あって。それはそれで、とても楽しかったです。tulip

さて、今回レンタルしたホラー作品は3つ。

『キャビン・フィーバー』(R-15指定)
『ブラッド』(R-15指定)
『ヒルズ・ハブ・アイズ』(R-18指定)

職場で私を知る人には、私に柔らかいイメージを持っている人も多いらしく。「カラオケが好き」と発言しただけで「えぇぇぇーっ、意外sign01そんな風には見えないsign03sign03」と仰天されてしまったんだよねぇ。(何でだよ)多分、いい意味で発見があって面白いという気持ちだったのでしょうが。余りに何度も「○○さんて意外!」を連発するものだから。ちょっとショックを受けました。人をイメージで判別してはいけないのニャ!cat と叫びたいところですが。こんな記事を読ませたら、もう口をきいてくれないかも。

という訳で、ホラー映画が苦手な方や、私にポワーンとしたイメージしか抱いていない方は、入室禁止の記事でございます。どうぞ、スルーして頂きますよう、お願い致します。m(_ _)mspa

逆に、自分もホラー映画が好きだという方は。良ければ語らいましょう。paper 他にもおススメ作品があったら、是非とも教えてくださいね。( ̄▽ ̄)snow

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2008年3月 3日 (月)

TATARI タタリ

「TATARI タタリ」
<House On Haunted Hill>/製作:1999年、アメリカ 92分 PG-12指定Tatari
監督:ウィリアム・マローン 出演:ジェフリー・ラッシュ、ファムケ・ヤンセン、テイ・ディクス、アリ・ラーター、ブリジッド・ウィルソン、クリス・カッテン、ピーター・ギャラガー
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点  
一言コメント:ハリウッド発のホラー・ムービーとしては、少し独特の雰囲気が出ていると思います。日本のホラー映画のソレとは違うけど、独特さでは近いものがあると言うか。ホラー映画が苦手な人には、何でこんなに高評価なの?と疑問を持たれそうですが。ホラー映画が好きな人は、試しに見てみて欲しいです。

「呪われた廃墟病棟 一晩生き残れたら一億円」

最近は、余り足を踏み入れないようにしていたのですが。先日、ある新作DVDを購入する為にHMVへ行きました。素通りしないと増えちゃって大変なことになると自覚しているんだけど、やっぱりDVD売り場から離れられませんでした。bearing「2枚以上買うとあーだ、こーだ」と、お得なコーナーが一杯あるんだもん。up我慢するのは止めて、久し振りに旧作を2枚購入することにしました。値段とタイトルを凝視しながら、懐かしい本作のDVDも購入することに。以前、『マスターズ・オブ・ホラー』というアメリカのホラー・ドラマtvを見た時に、とても面白くて気に入ったウィリアム・マローン監督作品。以前、本作をビデオ鑑賞して楽しめたことを思い出したので。購入して、再度見直してみました。ウィリアム・キャッスルの古典「地獄へつゞく部屋」(58)のリメイク作品だそうです。オリジナルは、モノクロです。newmoon

大富豪のプライス(ジェフリー・ラッシュ)は、美しき悪妻エブリン(ファムケ・ヤンセン)の誕生パーティーを開催する。招待された男女5人は、開催地である館を訪れた。そこは呪われていると噂されるバナカット精神病院の隔離棟の跡地だった。ここで一夜を明かせば、一億円の報酬を与えるというプライス。しかし、集まった5名はプライスエブリンが認識していたメンバーと違っていた。不穏なムードに包まれたまま、恐怖の夜が幕を明けた・・・。

集められた5人は、全く面識のない者同士だった。元野球選手のエディーbaseball(テイ・ディクス)、映画プロデューサーのサラmovie(アリ・ラーター)、女優の卵のメリッサvirgo(ブリジッド・ウィルソン)、医師のブラックバーンhospital(ピーター・ギャラガー)、館の管理人であるワトソンeyeglass(クリス・カッテン)。目立ちたがり屋で奇抜なプライスと、金の亡者で夫を殺しかけたことのあるエブリンの仲は最悪だった。thunder2人は、目茶苦茶に招待客を集めたのは、互いの仕業だと疑ってかかる。実は、どちらの仕業でもないのであった。やがて、不可思議な現象が起こり始める。突然、ステンドグラスが割れて破片が落ちてきたり。誰も操作していないはずなのに、入口を始めとする館中のシャッターが閉まってしまう。携帯電話の電波は当然届かず、彼らは完全に閉じ込められてしまうのだった。手分けして出口を探そうと、何人かで迷路のような地下を歩いてみる。真っ暗で湿った地下では、一緒に歩いていてもはぐれてしまうのだった。そして、女性の悲鳴が轟いた後、メリッサが姿を消してしまうのだった。

この館に棲みついた恐怖の実体が、少しずつ明らかになっていく。同時に死体も増えていく、脅威の映像と共に・・・。といった感じのホラー作品なのですが。私は、かなりのお気に入りホラーです。クライマックスに拝めるCG満載の映像は、見慣れているので怖がるというよりも「おおお~っ、すげえー」sign03って感じでしたが。この館で行われていたバナカット精神病院の姿に鳥肌が立ってしまいました。脅威の映像ではなくて、普通に人間が演じているんですけど。怨念めいた独特の雰囲気があり過ぎちゃって、とても怖かったです。shock血がドバドバ流れるといった映像よりも、色合いとか俳優さんたちの表情とか、とても不気味でした。少し書いてしまうと、冒頭とラストに病院で過去に起こっていた場面が入ります。隔離病棟という設定がまた、怖いんですよ。常軌を逸したムードが漂い過ぎています。行方不明になる寸前のメリッサがビデオカメラ片手に地下を彷徨います。ある部屋でカメラを向けると、患者を囲む医師と看護師の姿が映るのですが。実際に、そこには誰もいません。それなのに、映った彼らがこっちをジーッと見ているんですよ。何なの、この場面の怖さったら。cryingプライスが閉じ込められた〈治療ルーム〉も不気味でした。まるで自分がそこに閉じ込めれらてしまったかのような錯覚を起こしました。ジャパニーズ・ホラーで味わう怨念めいた恐怖とは違うようでも、「貞子」や「伽耶子」にどこか近いものがあったような気がして。空気感で怖がったホラー作品といえば、他に『悪魔のいけにえ』や『エルム街の悪夢』があります。ハリウッド作品なんだけど、少しアメリカっぽくない感じがするんですよねsign04。館に集められたのは、何故この面々だったのか。ギリギリ生き延びた2人にも、よく考えると理由があったりなんかして。オチも結構、楽しめました。

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2007年11月25日 (日)

「13 thirteen」を観たぞ!その2

「マスターズ・オブ・ホラー」の第2弾「13 thirteen」公式HP)がDVDリリース前にWOWOWで放送中なので、攻略中で~す。「その1」に続いて、後半戦その2でございます。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「妻の死の価値」 <Right to Die>
監督:ロブ・シュミット 出演:マーティン・ドノヴァン、ジュリア・アンダーソン、コービン・バーンセン
ストーリー:ドライブ中に事故に遭った夫婦。夫は軽症で助かるが、妻は全身に大火傷を負い昏睡状態に。身体中の皮膚を移植しないと助からないと言われる。安楽死か、延命措置か。選択を迫られた夫の周りで、不可思議な出来事が起こり始める。
評価:3.8★/5.0★
感想:B級ホラーの快作『クライモリ』のロブ・シュミット監督が初参加。『クライモリ』でも潔いくらいに残酷描写を披露した彼が、今回もおぞましいシーンを挿入している。全身大火傷を負った妻の生霊のような存在の強烈さは勿論のこと、終盤に向け夫が取った行動には目を覆ってしまう。実は妻の母の財産に頼っていた夫が、早くから精神的に追いつめられていたと想像する展開なんだけど、ストーリーの面白さは普通かな。ホラー描写の潔さに、高得点を捧げたい。

「ノイズ」 <Sounds Like>
監督:ブラッド・アンダーソン 原作:マイク・オドリスコル 出演:ローラ・マーゴリーズ、クリス・バウアー
ストーリー:ラリーの聴覚は、異常に発達している。6歳の息子が悪性の腫瘍で亡くなる前に、細胞の音を聞いてしまう。それ以来、どんな小さな音でも大きく聞こえてしまう生活が続く。発狂寸前になったラリーの取った行動は・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:ストーリーは、とても興味深いと思う。見るからに神経質そうなラリーの苦悶の表情や、いちいち聞こえてしまう音が些細なものばかりなので面白い展開でもある。でも、個人的にはイマイチまとまっていない印象を受けた。妻も人には見えないはずのものが見えるとエキセントリックな発言をするのが気になったけど。特に、意味深な描写でもなかったみたいだし。血みどろな描写なしで怖がらせるテイストは、面白いけれど。どこか尻すぼみな印象も。

「愛と欲望の毛皮」 <Pelts>
監督:ダリオ・アルジェント 原作:F・ポール・ウィルソン 出演:ミート・ローフ、ジョン・サクソン
ストーリー:毛皮商人のフェルドマンは、ストリッパーのシャンナに夢中。ある日、見事なアライグマの毛を入手する。シャンナの気を引こうと、完璧な毛皮作りに奔走するが、その毛は普通のアライグマの毛ではなく・・・。
評価:4.8★/5.0★
感想:ダリオ・アルジェント監督の過激描写は、進化する一方(汗)。ホラー映画慣れしていたはずなのに、何の気なしに夕食前に見たら気持ち悪くなってしまった・・・。常識で考えてもあり得ない残酷な場面の数々は、作り物だとわかっていても背筋が凍ってしまった。アライグマの姿をした《毛皮作り》の犠牲者たちの呪いなのか、毛皮作りに関わった人達は次々と奇怪な死を遂げる。余りにも奇奇怪怪な方法で、自らの命を絶つ訳だけど。本来は突っ込みを入れるべきあり得なさに、苦笑する余裕も持てませんでした。体調を万全にしてから見てください。

「Vの伝染」 <The V-Word>
監督:アーネスト・ディッカーソン 出演:アージェイ・スミス、ブランデン・ネイドン、マイケル・アイアンサンド、リンダ・ボイド、ジョデル・フェルランド
ストーリー:ゲームに熱中していた少年ケリーとジャスティンは、ふとした口論から肝試しに葬儀場へ死体を見に行く。そこで番をしているはずの従兄弟は見当たらず、気がつくと閉じ込められる。そして、1体の死体がムクッと起き上がり・・・。
評価:3.8★/5.0★
感想:天才子役ジョデルちゃんが出てるとは・・・。少しだけ核心に触れると、ゾンビに噛まれて生まれ変わってしまう悲痛な運命の行く末を描く。ゾンビに襲われた後の視点を描くのも面白い。ゾンビ化していく運命に逆らわずまた別の人を襲うのか、僅かに残された人間としての理性にすがりついて人を襲わないのか。どちらの道を選んでも、その後は更にどういう選択をするのか。ゾンビだなんて目新しくはないけれど、お話自体はとても新鮮に楽しめました。

「グッバイベイビー」 <Pro-Life>
監督:ジョン・カーペンター 出演:ロン・パールマン、マーク・フォイアス、エマニュエル・ヴォージア、ケイトリン・ワックス、チャド・クロウチャク
ストーリー:郊外にある中絶専門の病院に勤める医師2人の車の前に飛び出して来た少女。偶然にも、少女は望まない妊娠をしていた。「中絶して欲しい」と懇願する少女と、なんとしても産ませようとする少女の父親。果たして、少女に何があったのか。
評価:3.5★/5.0★
感想:巨匠ジョン・カーペンター監督の作品としては、どうしても納得のいかない仕上がり。私には何が作りたかったのか伝わらなかった。異形のキャラクターの登場は面白くても意味がわからない。ただ、狂信的な少女の父親を見事な存在感で怪演したロン・パールマンにだけには敬意を表したい。その父の手によって惨たらしい拷問を受けてしまう院長の哀れな姿に、男性陣は吐き気を催すかもしれない。

「言葉なき隣人」 <Family>
監督:ジョン・ランディス 出演:ジョージ・ウェント、メレディス・モンロー、マット・キースラー
ストーリー:閑静な住宅街に引っ越してきた若い夫婦。ある日、酔っ払った末の運転で隣の郵便受けを壊してしまう。素直に謝罪したことで、夫婦と隣人ハロルドの交流が始まるが。このハロルドという巨漢の独身男は、狂気の殺人鬼でもあり・・・。
評価:4.5★/5.0★
感想:これは面白かった!前シリーズではイマイチだったジョン・ランディス監督の改進の1本。まずは、このハロルドという男の異様な生活からスタートするんだけど。明るく軽やかな音楽を聴きながら、地下室である死体を処理している姿が不気味に映し出される。表情もどことなく笑顔だし、処理した後の死体の扱い方も尋常ではないんだけれど。どこか哀れにも見えてしまうから不思議。当然の如く、次第に若い夫婦にも危険が及んでいくんだけど。その結末は予想がつかず、「恐れ入りました」の一言に尽きる。

「ワシントン・コード」 <The Washingtonian>
監督:ピーター・メダック
 原作:ベントレー・リトル 出演:ジョナサン・シェック、ソウル・ルビネック、ダンカン・フレイザー
ストーリー:祖母の死を機に、家族を連れて生家に戻ったマイク。そこは、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの故郷でもあった。ある日、肖像画と一緒に不思議な手紙とスプーンを見つける。その日から、一家は危険に晒されて・・・。
評価:4.3★/5.0★
感想:アメリカ建国の父であるジョージ・ワシントンは何者だったのか?そんなミステリーを脅威のホラータッチで描いていく。人によっては気分が悪くなってしまう作品。原題にある【ワシントニアン】とは一体何なのか?こちらも脅威の展開で不気味に描いていく。余りにも大胆な作品なんだけど、個人的には一番最後のオチはいらないな。恐怖を中和できるように挿入したのかな、生粋のホラーファンには受けないと思うんだけど。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪制覇後記♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

前シリーズと比較すると、エロスが全開という訳でもありませんでした。そこは残念(なのか?むっつりスケベめ!) 今回の13作品を観終えた感想としては、前シリーズでイマイチだった監督の作品が素晴らしく楽しめました。本当はご贔屓にしている名匠の作品には、パワーが感じられないものもありましたがね。まぁ、どんな監督にも波があるだろうし。見る側の私のテンションにも、その時の差があるだろうしね。
ベストというか、どれが一番強烈だったかと振り返ってみると。ダリオ・アルジェント監督『愛と欲望の毛皮』でしょうかね。エロスと恐怖は紙一重といってところを、そこまでしなくてもいいじゃないというレベルで見せつけられた気がします。ダリオ・アルジェント監督は、萎えるということを知らないのかもしれないなぁとも思いました。
来年DVD化されるそうですので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。

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2007年11月 4日 (日)

「13 thirteen」を観たぞ!その1

一部のファンの間では話題沸騰の海外ドラマ「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。13人のホラー映画の旗手がメガホンを取り、それぞれの世界観を披露してくれました。(私の感想はコチラコチラです。)その第2シリーズ「13 thirteen」公式HP)が2008年の1月にDVDリリースされます。スタイルは前シリーズと同じですが、メガホンを取る方は一部変わっております。一足お先にWOWOWで絶賛放映中なので、加入している私は勇み足で攻略中で~す。半分見終わったので、ブログで紹介したいと思います。オープニングも前シリーズと同じものです。私、アレ結構好きなんです。血がポタポタと垂れたり、キューピーちゃんみたいな愛らしいはずの人形がニヤ~ッとほくそ笑んだり。テーマにピッタリの映像が楽しいです。今回も、少しずつ感想を書いてみたいと思います。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「ドリーム・クルーズ」 <Dream Cruise>
監督:鶴田法男 原作:鈴木光司 出演:ダニエル・ギリス、木村佳乃、石橋凌
ストーリー:日本で働く弁護士のジャックは、顧客である資産家の夫妻とクルージングに出る。妻とジャックが不倫関係にあると疑った夫の仕組んだものであったが、海上では不可思議な現象が起こり始める。夫の前妻の失踪の謎が絡んで、船の上では・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:前シリーズでは『インプリント~ぼっけぇ、きょうてぇ~』で三池崇史監督が参加。今回は、『リング0~バースデイ~』 『予言』鶴田法男監督が参戦。正直に言うと、このシリーズの中では少々インパクトに欠ける印象だけど。石橋凌の怪演や、木村佳乃が水浸しになっての熱演は素直に嬉しい。全体的には目立たない作品だけれど、切断された手が動き出す怪奇現象などは斬新さがなくても怖くてよろしい。一番の見どころは、ある女性の幽霊。地獄から響くような呻き声には鳥肌が立った。

「ヴァレリーの誘惑」 <Valerie on the Stairs>
監督:ミック・ギャリス 原作:クライブ・バーカー 出演:タイロン・レイツォ、クララ・グラント、クリストファー・ロイド
ストーリー:デビューしたら出て行く決まりで小説家の卵が集まる不思議なアパート。新しく入ったロブが執筆活動をしていると、ヴァレリーと名乗る美しい女性が裸で姿を現した。やがて、アパートで奇妙な出来事が起こり始める。
評価:4.8★/5.0★
感想:異界に繋がる謎のアパート。かなり現実離れしているけど、この異界が何ともクリエイティブ。『ヘルレイザー』クライブ・バーカーが原作というのに妙に納得。アパートの住人の死に方が尋常ではないので、直視できない人もいるかも。謎の美女ヴァレリーは裸が多くてエロスも満点。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクでお馴染みクリストファー・ロイドが素顔で出演しているのも見どころの一つ。不思議な余韻の残るラストにも、何とも惹かれる。

「男が女を殺すとき」 <The Screwfly Solution>
監督:ジョー・ダンテ 原作:ジェイムス・ティプトリー・Jr.出演:ジェイソン・プリーストリー、エリオット・グールド
ストーリー:アメリカで男性が女性を殺害する事件が多発する。被害者は1,000名以上にも及ぶという異常事態だった。調査の結果、謎のウィルスが検出される。男性が女性に対して性的興奮を感じると殺意に繋がるという信じがたいものだった。一体、誰が何の為に・・・?
評価:4.8★/5.0★
感想:男性の性欲が何たら~という解説に釣られるとガッカリするくらいに社会派な印象。人類繁栄の元であるはずの性欲が、人類を滅亡へ導くかもしれないという怖いお話。でもそこは、斬新でとても面白い。前シリーズでも、『ゾンビの帰郷』というタイトルからは想像できない社会派テイストな作品を見せてくれたジョー・ダンテ監督に、まずは感服しましたの一言。人類を滅亡へと導いた要因は何だったのか、なかなか面白いラストだった。

「アイスクリーム殺人事件」 <We All Scream for Ice Cream>
監督:トム・ホランド 原作:ジョン・ファリス 出演:ウィリアム・フォーサイス、コリン・カニンガム、リー・ターゲセン
ストーリー:レインが故郷に戻った途端、幼なじみ達が1人ずつ謎の死を遂げる。街では子供が夜中に外へ飛び出す。「アイスクリーム売りのトラックを待っている」と言うのだ。レインは、少年時代にピエロの格好でアイスクリームを売っていた男を思い出し・・・。
評価:4.5★/5.0★
感想:アイスクリーム売りの"I scream, You scream."という歌声を聞いて、榊原郁恵の歌を思い出した(笑)。真夜中のアイスクリーム売りというのも、まず思いつかない設定で面白い。子供に売られるアイスクリームは人の形をしていて、食べると親が謎の死を遂げるという展開。アイスクリームのように溶けてしまうのだ。アイスクリームを売る謎のピエロという一見すると子供らしい描写が、恐怖へと転じていく。全体的に、スティーブン・キングの小説を思い出す世界観。

「厄災の街」 <The Damned Thing>
監督:トビー・フーパー 原作:アンブローズ・ビアス 出演:ショーン・パトリック・フラナリー、マリサ・カフラン、テッド・ライミ
ストーリー:幼い頃のトラウマから、自宅に無数の監視カメラを付けるケヴィン。窮屈に感じた妻は息子を連れて家を出ていた。ある日、街で異常な事件が多発する。そう言えば、異様な死に方をした父と同じ年齢に達したケヴィンであるが、怪事件は後を絶たず・・・。
評価:3.8★/5.0★
感想:天下のトビー・フーパー監督作品ということで、私のハードルはとても高いの。街で起こる怪事件の描写は、あり得ないくらいに残酷でこのシリーズとしてはまぁ良し。怪奇現象の元らしき謎の存在と、ケヴィンのトラウマをもう少し丁寧に描いて欲しかったなぁ。原作は長いのかしら、何となく端折って駆け足で展開していくように感じました。トビー・フーパー監督作品は、前シリーズの『ダンス・オブ・ザ・デッド』の方が好き。

「黒猫」 <The Black Cat>
監督:スチュアート・ゴードン 原作:エドガー・アラン・ポー 出演:ジェフリー・コムズ、エリース・レベスク
ストーリー:ポーはなぜ【黒猫】を書かなければならなかったのか?
スランプに陥って酒に溺れる売れない小説家エディの生活は苦しかった。やがて、最愛の妻が重度の結核を患い、飼っていた黒猫に八つ当たりをして危害を加えてしまう。すると、信じられない出来事が起こって・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:主人公のエディとは、つまりエドガー・アラン・ポーのことらしい。この時代の雰囲気や、とても美しい妻など。全体的な雰囲気は、このシリーズに沿っていてなかなかよろしいけど。お話自体は、取り立てて怖くなかったなぁ。個人的には、スチュアート・ゴードン監督には思わず笑ってしまうくらいにあり得ない恐怖描写を楽しんで作り上げて欲しいところ。それと、ネコ大好き女としては。本編での猫の扱いは許しがたい。

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2007年7月10日 (火)

キル・ビル Vol.2

「キル・ビル Vol.2」
<KILL BILL Volume2>/製作:2004年、アメリカ 136分Kill_bill_vol2
監督、脚本:クエンティン・タランティーノ 出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュー、マイケル・パークス、サミュエル・L・ジャクソン
隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5点★満点  
一言コメント:『キル・ビル』で残った疑問符を解消させつつ、それぞれの人間関係もクッキリと浮き上がっていきます。本作では、前作のようにアクション・シーンに力を入れずに、ドラマ部分を強調しながら進んでいきます。前作のハチャメチャっぷりが大好きな人には物足りず、ドン引きした人にはグッとくる仕上がりと言えるかも。

「Kill is Love

殺すのか。殺せるのか。殺さないのか。殺せないのか。これでいいのか。

『キル・ビル』では、《復讐リスト5人》の2人の命を奪ったザ・ブライド(ユマ・サーマン)バド(マイケル・マドセン)エル・ドライバー(ダリル・ハンナ)、そして身ごもった子供の父親であり最大の敵でもあるビル(デヴィッド・キャラダイン)。残りの3人の命を奪うべく、テキサスの荒野を突き進むブライド。果たして、彼女の復讐劇の結末は?同時に、過去の映像を交えつつ様々な過去が明らかになっていく。

前作とはうって変わって、今回は全編に渡って《西部劇》にオマージュを捧げたかのような雰囲気で進行していきます。ブライドの《復讐劇》が続いていくのと同時に、彼女の過去も明らかになっていきます。そして、前作では謎のままだったビルの正体もクッキリと浮かび上がっていきます。ビルブライドを育てあげた人物でもあり、また愛し合った相手でもありました。その為、物語は〈ヒューマン・ドラマ〉でもあり〈ラブ・ストーリー〉でもある色合いが濃くなっていきます。前作では《殺人マシーン》の印象が強かったブライドが、一人の女性であることを感じさせる展開でもありました。

ブライドの《復讐リスト》の一人であるバドは、ブライドを集団リンチした後は一線を離れていました。それどころか、酒浸りの日々を送っているようでした。人の命を奪うことに慣れていない訳でもないだろうに、事件の後はどこか怯えて後悔しているようにも見えました。タランティーノ監督の長編デビュー作『レザボア・ドッグス』では狂気の迫力を見せたマイケル・マドセンが、今回はガックリと肩を落としているような雰囲気で【やさぐれ感】 タップリに哀愁を感じさせます。

ブライド【最強の敵】 とも言えるエル・ドライバー。演じたダリル・ハンナの存在感は強烈でした。右目にアイパッチをしている風貌も十分にインパクトがありますが、全身から放たれる〈悪意〉 が凄いです。長身の美女であるダリルは、今まではどちらかと言うと〈おとなしいヒロイン〉というイメージが強かったので。今回のアクの強いキャラクターには、ひっくり返りそうなくらいに驚愕しました。「こんなに憎たらしい悪役は見た事がないと言われるように悪く演じたの」とインタビューで答えていた彼女の気合通り、本来は犯罪者であるはずのブライドを心から応援せずにはいられなかったです。エルブライドの直接対決シーンでは、長身の2人が睨み合う姿が素晴らしく印象に残っています。ドス黒い悪のオーラが全開だったので、気迫ではエルの方が勝っているような気もしてしまいましたが。前作でルーシー・リューが演じたオーレン・イシイと同様に、エルのスピンオフ・ムービーが見たくなる程に引き込まれました。

本作の最大の見せ場は、私にとっては ビルその人でありました。前作を見終えた後、ビルはとんでもない極悪人なんだと勝手に想像を膨らませていたのですが。蓋を開けてみると、初老のナイス・ガイといった雰囲気がとても魅力的でした。ブライドが身ごもっていた子供を、奪って育てていたビル。殺し屋稼業としての恐ろしい一面もありましょうが、父性に溢れた温かい人柄を見て取れました。ブライドへ仕掛けたリンチにしても、殺し屋稼業から足を洗うという裏切り行為への制裁と言うよりは、愛する女性が自分の元を去って別の男性と結婚することへの嫉妬に他ならなかったのではないでしょうか。ブライドの娘を〈人質〉として誘拐した訳ではなくて、心のどこかでブライドの面影を求めていたのではないかしら。無意識に自分の子供かもしれないと父性が働いたのかもしれないし。私は、どうしてもビルを憎みきれませんでした。終盤は、ビルを殺すのを止めて和解して欲しいとすら思いました。復讐を果たしきったブライドが、最後に笑いが止まらないという場面がありましたけど。心の底から大喜びしているように見えても、意識の下では少し後悔しているんじゃないかと想像してしまいました。命を授かった時に、正直にビルに打ち明けて欲しかった。そうすれば、前作での無益な殺生も起こらなかったかもしれないのに。
とまぁ、本当に色々と考え出したら止まりませんでした。今回は、やっぱりヒューマン・ドラマだったなぁ~。

アクション・シーンは抑え目とは言っても、ブライドが修行していた過去の場面は面白かったです。パイ・メイという師範が登場します。演じたゴードン・リューは、前作でもオーレン・イシイの手下で最強の男として活躍していました。白髪の眉毛・口髭がサービス満点で、気になるキャラクターでした。当初は、タランティーノ監督自身が演じようとしていたそうですが。個人的には、それが実現しなくて本当に良かったと思っています(笑)。繰り広げられる数々の必殺技も腰砕けなくらいにシンプルなものでしたけど、私は面白かったので良しとしています。

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2007年7月 8日 (日)

キル・ビル

「キル・ビル」
<KILL BILL>/製作:2003年、アメリカ 108分 R-15指定 Kill_bill2
監督、脚本:クエンティン・タランティーノ 出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ヴィヴィカ・A・フォックス、栗山千明、千葉真一、ジュリー・ドレフュス、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、デヴィッド・キャラダイン
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点Kill_bill_2  
一言コメント:ハチャメチャではあるけれど、タランティーノの映画への愛が一杯詰まった宝石箱のような作品に思えました。好みは別れるでしょうが、私は何度も繰り返して見たくなるようなシーンが多々あります。

「復讐は神が私に与えた運命・・・」

ある結婚式で惨劇が起こる。花嫁〈=ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は、【毒ヘビ暗殺団】という殺し屋の中で最強と言われた女エージェント。この集団から抜け出した彼女は、臨月を迎えていた。ボスであるビル(デヴィッド・キャラダイン)は、裏切った彼女に《4人の刺客》 を差し向けた。酷い死刑を浴びて、頭を銃弾で撃ち抜かれたはずの彼女は、奇跡的に一命をとりとめる。4年後、昏睡状態から目を覚ますブライド。そして、自分だけが助かったことを知るのだが、《4人の刺客》ビルに復讐すると固く心に誓うのだった。

荒唐無稽で現実味ゼロなのは百も承知なんだけれど。私は心から楽しむことができました。舞台が日本へ移るという設定もあるから、私たち日本人から見ると変テコな描写も多々見受けられます。聞くところによると、日本のヤクザ映画が大好きなタランティーノが、彼のお気に入り映画にオマージュを捧げている場面がテンコ盛りだそうです。そう言えば、冒頭に「深作欣二に捧ぐ」 というメッセージを大きく映し出していました。深作欣二監督と言えば、『仁義なき戦い』の生みの親ですもんね。BGMの中に、布袋寅泰が『新・仁義なき戦い』(こちらは阪本順治監督作品)で作った曲が使われていたし。本作でブライドが苦戦する宿敵オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)が白い着物姿で戦う姿は、『修羅雪姫』という作品で梶芽衣子が演じたキャラクターを思いっ切り意識して挿入したらしいです。
喋り出したらそう簡単には止まらないクエンティン・タランティーノ監督。映画の事を熱弁する余り、超ハイテンションな彼を見てると子供っぽい印象も受けるのですが。「映画が大好き」というストレートなアプローチには、どうしたって好感を持ってしまいます。

暗殺リスト BY ザ・ブライド
①オーレン・イシイ (ルーシー・リュー)
②ヴァニータ・グリーン (ヴィヴィカ・A・フォッククス)
③バド     (マイケル・マドセン)
④エル・ドライバー (ダリル・ハンナ)
ビル (デヴィッド・キャラダイン)

この順番に復讐を繰り広げていくザ・ブライド。しかし映画は、入り組んだ順番で展開していきます。まずは、ナイフの名手であるヴァニータ・グリーンへ挑んだ闘いからスタートします。中盤には、オーレン・イシイの壮絶な少女時代をアニメーションで紹介してくれます。現在のオーレン・イシイは、東京のヤクザを牛耳る親分にまで頭角を現していました。『メン・イン・ブラック』の如く、黒いスーツでビシッとキメているチンピラ暗殺集団【クレイジー88】を従え、冷酷に登場するオーレン・イシイKill_bill3
殺意ギラギラで華麗なアクションを繰り広げるザ・ブライドを演じたユマ・サーマンもカッコイイんだけれど。オーレン・イシイを演じたルーシー・リューが最高にキマッテいます。小柄な彼女が和服でビシッとキメている姿、ニコリともしない氷のように冷たい眼差し、日本刀でキビキビと舞う仕草。長身のユマ・サーマンとは対照的なカッコ良さを見せつけてくれました。たどたどしい日本語は、この際大目に見ようじゃありませんか。アニメーションで綴られる彼女の人生も興味深い程に壮絶なものでした。彼女が【悪】として目覚めるまでの経緯は、フィクションとはわかっていても必要以上に魅せられました。本作の《陰の主役》と言っても過言ではないくらいに印象深いキャラクターでした。

オーレン・イシイが率いる黒ずくめの集団【クレイジー88】も面白かったです。女子高生という設定の暗殺者GOGO夕張を演じた栗山千明の鋭利な視線も素晴らしく異彩を放っていました。オーレンの「ヤッチマイナ!」という怒号と共に、ブライド目掛けて突進してくる3人がいました。この内の2人は、北村一輝田中要次です。アッと言う間にブライドに斬られてしまうんだけど、出番は少ないながらに嬉々として演じてくれているのが嬉しかったです。ドラマや映画でも、メインのキャラクターというよりは脇キャラで多数出演している2人に目をつけたタランティーノのこだわりにも感心してしまいましたし。ハチャメチャの中に垣間見えるこだわりを、存分に楽しませて頂きました。血飛沫の舞い方が尋常ではないので、苦手な人にはおススメできませんが。幾分あり得ない斬られ方ばかりなので、現実味が少ない分気にならないかもしれません。

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2007年6月12日 (火)

クイルズ

「クイルズ」
<QUILLS>/製作:2000年、アメリカ 123分 R-15指定Quills
監督:フィリップ・カウフマン 出演:ジェフリー・ラッシュ、ケイト・ウィンスレット、ホアキン・フェニックス、マイケル・ケイン、アメリア・ウォーナー、スティーブン・モイヤー、ジェーン・メネラウス、ビリー・ワイトロー
隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5点★満点  
一言コメント:【サディズム】という言葉の語源となった伝説の作家マルキ・ド・サドの壮絶な半生を綴ったフィクション。あんな事やそんな事やエロス満開という訳ではなくて、あくまでもサド侯爵の生き様を雄弁に語る。その生き方からは、何かしらのパワーがひしひしと伝わってくる力作なのだ。

「いまだかつてない淫らな物語を聞かせよう。覚悟なされよ。」

あらすじ : 18世紀末のフランス、ナポレオン政権下。エロスを追及する作家サド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)は、猥褻文書の罪で逮捕される。終いには精神病院に送られてしまうのだが。理事長を務めるクルミエ神父(ホアキン・フェニックス)の温情で執筆する環境は与えられる。サド侯爵の小説は、好奇心旺盛な小間使いマドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)の計らいで、隠密に出版されていた。事実が明るみになり、筆記具を没収されるサド侯爵。書く事を止められない彼の取る行動と、その勢いが彼自身そして周囲の人間に大きく影響を与えていくのだった。

まずは、オープニングから引き込まれました。女の首筋を男の逞しい手が這うシーンが映し出されます。そして、サド侯爵の艶めかしいナレーションが入りますが。その場面の正体は、これから絞首刑になる女の首に体格のいい執行人が縄をかけるところだったのです。ここで、サド侯爵がいかに表現者として秀でているのかが見て取れます。彼の紡ぎ出す異様な愛の物語は、当時は決して許さることのない内容ばかりでした。出版を規制されて、溢れる才能を隠し通さなければならなかったサド侯爵。それでも彼は、隠密に執筆を続けていきます。

やがて精神病院に監禁されて、書く事を禁じられるサド侯爵。それでも彼は、書く事を止めることなどできませんでした。紙を取り上げられれば衣服や部屋の壁に書き、ペンを取り上げられらば指を傷つけて滲み出る血液で書き続けます。思うように執筆できない彼の元、彼の小説の出版を切望する美しき小間使いマドレーヌの協力を得て、物語を語り継ぐ方法を思いつきます。病院患者の耳に文章を語りかけ、伝言ゲームのように繋げていくのです。書き手の役割を担うマドレーヌの元に物語が届く内に、途中で発情した患者が大暴れして事故が発生してしまいます。

この事故を境に、サド侯爵は病院の新しい院長であるコラール博士(マイケル・ケイン)の元へ送られます。このコラール博士という人物がまた凄いのです。サド侯爵が描き出す世界を地でいっているような迫力に溢れたサディスティックなキャラクターなのです。演じたマイケル・ケインと言えば、数々の栄誉を手にしたイギリスの名優の一人です。いつも穏やかで心の広さが一目でわかる人格者の香りプンプンの彼が、本作では出逢ったことのない顔で怪演しています。サディストであるコラール博士【サディズム】を描く人物をサディスティックに糾弾するなんて、何という滑稽な皮肉でありましょうか。事故が発覚した後、怒り狂ったコラール博士が見せる表情には鳥肌が立ちました。サド侯爵に拷問と処罰を施すのですが、その壮絶さには身震いが止まりませんでした。ペンではなく言葉で語り継ごうとしたサド侯爵を「喋れないようにしてやる」と、ある〈お仕置き〉を施します。しかし、サド侯爵は決して諦めようとはしませんでした。彼が最後に選んだ〈表現する手段〉には絶句してしまいましたが、同時に溢れんばかりのパワーを感じずにはいられませんでした。《表現すること》 こそがサド侯爵の生きる意味であり、表現できないという事は彼にとって【死】を意味していたのかもしれません。

サド侯爵を演じたジェフリー・ラッシュの身体を張ったパフォーマンスにも圧倒されましたが。クルミエ神父を演じたホアキン・フェニックスが抜群に良かったです。公開時期が近かった『グラディエーター』の悪漢コモドゥス皇帝の演技でアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていましたが。私としては、本作のクルミエ神父の方が素晴らしかったと思っています。神父という立場にいながら、サド侯爵という人物に何かしら魅力を感じながらも、禁欲を貫こうと抗い苦悩する。クルミエ神父の信仰心も、少しずつ崩れていく様子が見て取れました。ホアキンの潤んだ瞳は、哀しげに苦悩するキャラクターがピタリとはまるのかもしれないと思いました。

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2007年2月10日 (土)

血と骨

「血と骨」
製作:2004年、日本 144分 R-15指定Chitohone
監督:崔洋一 原作:梁石日 出演:ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、國村準、濱田マリ、中村優子、北村一輝、柏原収史、寺島進、伊藤淳史、唯野未歩子、塩見三省
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点  
一言コメント:こんな壮絶な人生は、見たことがない!書きたい事があり過ぎて、まとめるのに時間がかかってしまいました。主演のビートたけしの生身の迫力が画面から溢れ出てくる秀作です。

「血は母より、骨は父より受け継ぐ。」

その年の各映画賞を賑わせた本作を見たのは、昨年のクリスマス付近でした。余りにも衝撃を受けて、劇場まで足を運ばなかった事を心から後悔しました。気を取り直してDVDを購入し、再度見てから記事にしています。ちなみに、原作は一切読んだことがありません。

1923年、祖国を後に大阪へ渡ってきた金俊平(ビートたけし)。朝鮮人集落での生活は貧しく過酷であったが、蒲鉾工場を立ち上げて成功する。凶暴で強欲な人柄ゆえに、誰もが恐れる存在だった金俊平。工場が上手くいかなくなると、高利貸しに転じて逞しく生きていく。そんな彼の壮絶で迫力満点の人生を描いた作品。

原作は映画を遥かに凌ぐ迫力なのかもしれませんが、これは凄い映画だと思いました。何が凄いって、金俊平という人物は今まで見た事もないくらいの迫力を見せます。困難を困難とも受け取らない迫力、何としても生き抜こうとする迫力。演じたビートたけしの生身の迫力が、真に迫っていて姿勢をピンと伸ばしてしまいました。暴言を吐くだけでは止まらない暴力の数々。「アンタの息子じゃき」と、突然姿を現した息子・武(オダギリジョー)との取っ組み合いの喧嘩も凄まじいけど、妻・英姫(鈴木京香)娘・花子(田畑智子)に加える暴力も直視できない程の迫力がありました。

ビートたけしの迫力も見応え十分だけれど、息子・正雄を演じた新井浩文もいい!
子供の頃から母や姉が苦しめられる姿を見て育った正雄は、当然のように父・俊平を憎むようになります。しかし、運命とは皮肉なもの。スッカリ大人になった正雄俊平にソックリな生き方をするようになるのです。父を憎悪し疎ましく思いながらも、潜在的には父の逞しい生き方を学び取っていたのかもしれません。
それは母・英姫も同じだったかもしれません。別れたいと思いながらも、なかなか離れられないのは、あの逞しさは生き抜く為には必要だという現実もあったかもしれません。花子が父の暴力から逃れたくて嫁いだ男も、蓋を開けてみれば父と変わらない暴力男だった事も皮肉でした。俊平の影から決して逃れられない家族の姿が印象的でした。

俊平は2人の愛人を囲います。という訳で、妻・英姫も含めてレイプに近い濡れ場のシーンもありますが。そこには、自分の分身を少しでも多く残したかったという思いがあったのではないでしょうか。自分自身が生き抜くだけでは決して満足できず、《種》を残すことにも執着しているように見えました。なかなか子を授からない1人目の愛人・清子(中村優子)は、やがて脳腫瘍で倒れてしまいます。全身麻痺と思しき状態で退院してからは、意外にも献身的に世話をする俊平の姿が映し出されます。鬼のようでも情に深い一面があったようです。

2人目の愛人・定子は、清子の世話係として子連れで登場します。演じた濱田マリは、朗らかなイメージが強かったので。吹き替えなしで濡れ場を見せられた時は驚きました。俊平の思惑通り、定子は結果的には4人の子供を産みます。4人目は男の子でしたが、男の子が生まれるまで縛られているようにも見えました。やがて年老いた俊平は倒れて、杖なしでは生活できない身体になります。そうなってからの定子の言動は恐ろしかったです。転んだ俊平を蹴りまくり、「この死に損ないが!」と罵倒しながら杖を取り上げて叩き続けるシーンがありました。スカートの下からチラッと姿を現す膝下ストッキングのラインが、〈もう女は捨てたの〉と言わんばかりの迫力を垣間見せました。

他にも松重豊國村準といったベテラン陣や、北村一輝柏原収史といった若手のキャストが素敵なのですが。本作は何と言っても、俳優・ビートたけしを堪能する映画です。一言では言い表せない存在感を発揮していました。暴力シーンも凄いけど、ボカシ付きとは言え、オールヌードを堂々と披露した点も迫力がありました。濡れ場を演じる勇気は、女優だけのものではないのですね。

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2006年11月19日 (日)

「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その2

「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズを攻略中でぇーす。(関連記事はこちら) 
その1(記事はこちら)に続いて、その2でございます。ストーリーはチラシにあるものを載せております。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」 <Imprint>
監督:三池崇史 出演:工藤夕貴、ビリー・ドラゴ
ストーリー:アメリカ人の文筆家クリスは小桃という女を探して浮島の遊郭を訪れる。彼がそこで出会った不思議な女郎は小桃は自殺したと言い、その経緯を語り始める。それは死と生、現実と妄想が交錯する長く、恐ろしい夜の始まりだった。
評価:4.8★/5.0★
感想:これはもう「三池監督の圧勝!」としか言い様がない。不気味な赤い照明と、恨めしい暗がり。風になびく風車の美しさと、遊女の和服ならではの色気。どこを取っても、鮮烈で魅了されました。加えて、噂の拷問シーンには表現しきれない迫力があり、自宅でひっそりDVD鑑賞していても「ぎょえ~っ」と悲鳴を上げてしまった程です。鋭利な刃物よりも、ジリジリといたぶる針の威力と言ったら。もう、見るのも嫌!惜しいのは、英語のセリフではなくて字幕通りの方言で聞きたかったという事。有名な子守唄までもが英語だったのは、やっぱり不満。

「ディア・ウーマン」 <Deer Woman>
監督:ジョン・ランディス
 出演:ブライアン・ベンベン、ソニヤ・ベネット
ストーリー:謎の連続殺人事件が発生、死体には鹿のヒヅメの跡が残されていた。事件を捜査する刑事は、ネイティブ・アメリカン伝説にある上半身は美女、下半身は鹿のディア・ウーマンの存在を知る。
評価:2.8★/5.0★
感想:危惧していた通り、あかんぜよ。中盤に挿入されるコミカル描写が長すぎて、最早ホラーとは呼べない印象でした。死体の状態をグッチャグチャと気味悪くしたところで、中途半端な仕上がりになるばかり。そもそも、ジョン・ランディス監督は《コメディ畑》の方であって、『ホラーの旗手』と呼ぶべきではない気がしました。

「ゾンビの帰郷」 <Homecoming>
監督:ジョー・ダンテ
 出演:テア・ジル、ジョン・テネイ
ストーリー:全米で戦死した兵士たちの死体が次々とゾンビになって復活。彼らの目的は大統領選挙に投票することだった。ゾンビ・ホラーと政治風刺が融合。
評価:3.8★/5.0★
感想:予想に反して結構気に入りました。ゾンビが戦死した兵士であるという点、舞台が大統領選挙の真っ只中という点。ハチャメチャながらにきっちりと社会風刺が効いていて、とても斬新に思えたんですねー。それでも、個人的には。【ゾンビ】は唸りながらノロノロ動いて素早く襲撃してくるという存在であって欲しいのです。今回の雄弁に主張するゾンビ達には、乗り切れない部分もありました。

「ハンティング」 <Pick Me Up>
監督:ラリー・コーエン
 出演:ファイルーザ・バーク、マイケル・モリアーティ
ストーリー:人里離れた山中で長距離バスが故障し、乗客たちは途方に暮れる。そんな彼らを狙っていたのは、単独行動を好む2人の連続殺人鬼。2人の殺人鬼はやがて互いの存在に気づいて・・・。
評価:4.3★/5.0★
感想:いやぁ、面白かった!ビチャグチャと映像に凝らずにストーリーで楽しませてくれた。結構シンプルだと思うけど、それでいて新しさが見えました。後半、2人の殺人鬼がお互いの存在に敬意を表しながらも火花を散らしていく流れがスリリング。1人はいかにも怪しい爺さんで、もう1人は一見すると爽やかな好青年。最後に狙われるヒロインに、個性的な異彩を放つファイルーザ・バークが登場しているのも嬉しい。(「クラフト」 「DNA」でも個性を発揮していた!)

「ムーンフェイス」 <Incident on and off a Mountain Road>
監督:ドン・コスカレリ
 出演:ブリー・ターナー、アンガす・スクリム
ストーリー:月明かりの山道、ひとり車を走らせていたエレンは急カーブで接触事故を起こしてしまう。車を降りたエレンが遭遇したのは、犠牲者を片手にぶら下げた恐ろしい殺人鬼「ムーンフェイス」だった。
評価:4.0★/5.0★
感想:死体の山など、おぞましい映像も満載。それでいて、どこか幻想的でした。人間とは思えない異形の殺人鬼「ムーンフェイス」が満月を背景にぴょーんと登場するシーンや、死体の骸骨の陥没から月光が差し込むシーンなど。印象深い映像を交えて、美しく逞しいヒロイン・エレンの過去の記憶がフラッシュバックしていく。恐怖も伝わるけれど、どこかミステリアスで切ない雰囲気が素敵でした。

「チョコレート」 <Chocolate>
監督:ミック・ギャリス
 出演:ヘンリー・トーマス、マット・ブルーワー
ストーリー:人工香料調合師ジェイミーは、ある日突然、謎の女性が体験している視覚・音・匂い・感触を共有するようになり、次第に会ったことのない彼女に恋をし始める。だが、やがて彼女の恐るべき正体が明らかに・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:設定はとても興味深くて素晴らしいと思います。正直、尻すぼみなラストだった印象は拭えませんでした。惜しいなぁ...。ある男性がある異性の人生の一部を疑似体験する描写は面白かったです。本来セックスには攻撃的な男性が、女性が絶頂に達する気分を味わうというシーンは(恥)。その辺のポルノよりも官能的に思えて、密度の濃い作品に思えたのです。もう少しアレンジの効いたラストだったなら満点だったー。

「閉ざされた場所」 <Fair Haired Child>
監督:ウィリアム・マローン
 出演:ロリ・ペティ、リンゼイ・パルシファー
ストーリー:何者かに拉致され地下室に監禁された16歳の少女ダラは、同じく監禁されている少年ジョニーと出会う。が、地下室には大量の血と死体の残骸があった。やがて誘拐犯たちの恐るべき正体と目的が明らかになっていく。
評価:4.5★/5.0★
感想:これは面白かった!最初にイメージした雰囲気とは全く違う展開を見せてくれたので、もうブラボーとしか言い様がないですわ。一度騙されながらも、自分なりに想像した事と同じ展開を見せていき。それでも十分に面白いと思ったら、最後の最後で驚愕させられました。多くは語るまい。ウィリアム・マローン監督作品には「TATARI タタリ」がありますね。あれも怖くて面白かったんだよなー。この監督の次なる作品は要チェックです!

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪制覇後記♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

ふぅー、なかなか興味深い企画でございました。
以前『恐怖でアハ体験』とテレビでやってるの見ましたか?もっと前に、『特命リサーチ』でも【怖いもの見たさ】のメカニズムを取り上げていた事もありました。人間には【恐怖】という感情も必要だそうです。
さて、無事に13作品を見終わりました。全体的に、《おっぱい》全開だった印象ですね。見えていなくても《SM描写》があったりなんかして。そこで思ったのは、【ホラー】と【エロス】は紙一重という事なのでしょうかねぇ。
さて、この「マスターズ・オブ・ホラー」の粒より13作品。興味のある方はトライしてみてくださいませねぇ~。

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「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その1

8月末にレンタル開始された「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。(関連記事はこちら) レンタル店では今だに〈準新作〉扱いなのですが、ようやく鑑賞を始めました。意気込みタップリだったくせに、動き出すのが遅いんぢゃ~。だってぇ、料金は安めの方がいいし、レンタル店に足を運ぶのも頻繁という訳にもいかないんだもんっ。
前置きはさておき。せっかくですから、簡単にではありますが感想を書いていこうかと思います。(ストーリーはチラシにあるものを載せております) ホラーが観たいぃぃぃ!という人の参考になるかどうかは疑問です(笑)。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「世界の終わり」 <Cigarette Burns>
監督:ジョン・カーペンター 出演:ノーマン・リーダス、ウド・キア
ストーリー:赤字映画館を経営するカービーは希少フィルムを蒐集家に売るのが副業。彼は、見た者はみな生気を失うと言われる幻の映画『世界の終わり』のプリントを探す仕事を依頼されるが、その日から奇妙な幻影を見るようになる。
評価:4.3★/5.0★
感想:ビチャッグチャッというグロテスクな映像は控え目だった印象です。物足りない人も居るかもしれませが(笑)、個人的にはストーリーに惹かれました。《幻の映画》というキーワードがいいわよ。一部、日本のホラー作品に似ていますが。主人公が悩まされる幻影に掴みどころがなかったり、登場人物の中にも何だかよくわからいモノも居たり。その不思議な感覚と【映画】そのものがキーとなっている点は好みでした。

「魔女の棲む館」 <Dreams in the Witch House>
監督:スチュアート・ゴードン 出演:エズラ・ゴッデン、ジェイ・ブラズェー
ストーリー:ウォルターは新しい下宿に引越しした日から人間の顔をしたネズミの悪夢に悩まされるようになる。現実と悪夢の境界が失われていく中、ウォルターは自分がネクロノミコンに描かれた異次元への通路を開けてしまったことを知る。
評価:3.5★/5.0★
感想:個人的には、突っ込みどころ満載のホラー作品でした。肝心の魔女が腕力では何だか弱っちかったり。【人面鼠】の登場には爆笑。って、笑ったらダメなのよね。【ネクロノミカン】という禁断の蔵書をよく知らないのですが、少なくとも作品の中では本当に【人面鼠】の絵が載ってたし。愛すべきB級作品といった印象を受けました。嫌いじゃないです。

「愛しのジェニファー」 <Jenifer>
監督:ダリオ・アルジェント 出演:スティーブン・ウェバー、キャリー・アン・フレミング
ストーリー:警察官フランクは何者かに殺される寸前の少女ジェニファーを救うが、彼女は傷跡のある醜悪な顔と完璧な肉体の持ち主で、男たちを虜にして破滅させる魔性の存在だった。何も知らないフランクは彼女を自宅に連れて帰るのだが。
評価:4.3★/5.0★
感想:コレは凄い(汗)、引く人は引いてしまうでしょう。ジェニファーの醜悪な顔も凄いけど、少女と呼ぶには妖艶すぎる肢体と色気にビックリします。大人の男相手に肉欲に耽るシーンでの彼女の動き一つ一つが、あり得ないくらいの《イケナイ魅力》を発していました。時には獣のような鋭い牙で、小動物では飽き足らずに人間をも襲って貪る悪魔のような存在です。よく放送できましたね...(冷汗)、劇場版を作るとしたら・・・と想像するのが恐ろしい作品でした。

「虫おんな」 <Sick Girl>
監督:ラッキー・マッキー 出演:アンジェラ・ベティス、エリン・ブラウン、ジェシ・フルピク
ストーリー:昆虫学者のアイダは自分に好意を寄せてくれる女性と出会い、急速に恋に落ちる。しかし、アイダが研究している珍しい昆虫が恋人の耳から体内に侵入した時から、恐ろしい現象が次々と起こる。
評価:3.3★/5.0★
感想:『虫』という事でクリーチャーものな訳ですが。個人的には余り好きなジャンルではありません。最大の見せ場となるクリーチャーの映像も何だかチープ。いやいや、素晴らしい造詣でもノレなかったに違いないけど。ストーリーは悪くなかったです。主人公の女性が同性愛者であり無類の昆虫好きであるという点は面白い。原題の<Sick Girl>『イカレ女』というタイトルの方が合っていると思います。

「ダンス・オブ・ザ・デッド」 <Dance of the Dead>
監督:トビー・フーパー 出演:ジョナサン・タッカー、ロバート・イングランド
ストーリー:大量虐殺後の世界。わずかな生存者たちが熱狂する娯楽は、ステージ上で踊る死体を見物することだった。厳格な母親に夜の外出を禁じられている少女ペギーもその見物に出かけるが。
評価:4.5★/5.0★
感想:快作の一言。大量虐殺が〈テロ行為〉であるという設定が、多少の現実味を感じてしまい戦慄しました。こんな【世紀末】ならば、生き残りたくないという気もしてくる退廃的な世界にゾッ。B級作品と思わせておいて、私的にはA級の仕上がりでした。異常なショーを営む怪しい男に『エルム街の悪夢』シリーズの《フレディ》でお馴染みロバート・イングランドを持ってくるところも素敵。怪優っぷりを遺憾なく発揮していて、作品の質を上げているように見えました。劇場版で観たい気も...。

「ヘッケルの死霊」 <Haeckel's Tale>
監督:ジョン・マクノートン 出演:デレク・セシル、リーラ・サヴァスタ
ストーリー:19世紀末、フランケンシュタイン博士を目指して死体蘇生を研究する医学生ヘッケル。彼は美貌の人妻に惹かれるが、彼女は今も結婚前に死んだ婚約者を愛し続け、忌まわしい行為に惑溺していた。
評価:3.8★/5.0★
感想:【肉欲】もココまでくると...。かなり異質な世界観に圧倒されました。原作は『ヘルレイザー』のクライヴ・バーカーという点に妙に納得しました。そもそも【蘇生】という現実離れした言葉には、究極のタブーというイメージがあって。「のめり込まないようにしなければ」という私なりの理性がフル稼働した作品でした。蘇った死人のメイクが嘘っぽくて助かりましたが、驚愕のシーンには少し色気も感じる自分が居たりして。嗚呼、何て危険な作品!

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2006年9月19日 (火)

自殺サークル

「自殺サークル」
製作:2002年、日本 99分 R-15指定Jisatsucircle
監督、脚本:園子温 出演:石橋凌、永瀬正敏、麿赤兒、宝生舞、
さとう玉緒、野村貴志、嘉門洋子、ROLLY、余貴美子
隣の評論家のおススメ指数 3.5★/5点★満点  
一言コメント:正確に言うと、とてもじゃないが《おススメ》できない作品。これ程に、とんでもない作品に出逢ったのは初めてかもしれません。その辺の胸の内を書いていきたいと思います。

胸くそ悪くなる映画だっ!!!

この秋に公開される『紀子の食卓』という作品が気になっていたので。『自殺サークル』という作品の続編だと聞いたものだから。未見の私は、予習を兼ねてDVDを借りに行きました。

何とも、全編に渡って 《嫌悪感》 《不快感》 《憤怒》 の嵐となりました。
こんな映画は見た事がありません。何々だ、これはぁーーーっ!!!

夜の新宿駅のプラットホームで、54人の女子高生が手を繋いで投身自殺を図る。現場で発見されたスポーツバックの中から、異様な物が出てくる。200近い切れ端で繋がれたソレの正体は、何と《人間の皮》 であった。しかも、全て別人のモノである事が判明する。黒田刑事(石橋凌)渋沢刑事(永瀬正敏)たちが捜査に乗り出している間にも、次々と【自殺】事件が発生する。やがて、刑事達は自殺者の数をカウントしているかのような怪しいウェブ・サイト の存在を知るが、事態は思わぬ方向へ展開していく。

まずは、冒頭からとんでもない。新宿駅のホームにズラーッと並んだ女子高生54人。
間もなく電車が入ってこようとしていた。違う制服の女子高生達が繋いだ手を揺らして 「いっせーの いっせーの いっせーの せぇっ」 と線路に跳び込む。 辺り一面に血しぶきが舞い、駅は騒然となる。余りにも強烈なインパクトであると同時に、「掴みはOK」とも言える。

ある高校の屋上で無邪気に戯れる高校生たちが映し出される。【女子高生54人投身自殺】の話題になり、軽いノリで「みんなで死んじゃおっかー」と誰かが言い出す。
そして、「いっせーの せぇっ」 と飛び降りてしまう。命の重さを理解できない稚拙な感性に、不快感と共に同情めいた気持ちも沸き起こる。

更に【自殺者】は後を絶たず、刑事たちの捜査は難航する。
この事件のキーと思われるのは、あるウェブ・サイト である。この現代的な手がかりに挑むのは、インターネットが得意とは思えないアナログなオヤジ刑事たち。見ている私以上に《嫌悪感》で一杯だったと思われるオヤジ達に感情移入しつつ、エールを送らずにはいられない。
ウェブサイトを調べていく内に、ある電話が入る。声の主は、どう考えても幼い少年の声だった。 「アナタとアナタの関係は?」 と意味深に繰り返す。 何を大人ぶっているのだ!と、必要以上に《嫌悪感》 で一杯になってしまった私。同時に、電話の声が終始咳き込んでいるのは何故なのか?気になってしまった。大人ぶっていても緊張しているからなのか。いやー、そんなに子供らしい一面があるとは思えない。その答えは、無かったけれど。素通りするべき点だったのか、何か意味を込めていたのか。その描き方にハマッてしまったのも事実です。

胸くそ悪い!と暴言を吐きまくっておりますが。最終的に、深層心理ではこの作品の世界観に何だか惹き込まれてしまったようです。とてつもないテーマを投げかけていながら、映画の中に明確な答えは見受けられなかった印象でした。こういった作風を、見た人同士で色々と語り合うのも面白いかと思ったのです。

余り好きではなかった点も挙げておきます。《嫌悪感》 で一杯になりながらも、以下の点をクリアできていたら満点を捧げたかもしれません。
ビチャッ グチャッ とグロイ映像が多々ありました。冒頭の女子高生の死体の一部の《山》もですが。ある主婦が食事の準備をしながら大根を支える左手を包丁でザクザクと切り刻むシーンがありました。血しぶきが飛び散っても無表情で、確かに怖いのですが。本物ではないにしても、切り刻まれる左手は映し出さずに想像させて欲しかったわ。その方が何十倍もゾッとすると思ったのです。(好みの問題ですがね)
もう一つは、中盤から登場する《危険な一団》のリーダーにをROLLYが扮している点です。『狂信的なカルト教祖』といった役どころなのですが、全く恐怖が伝染してきませんでした。【秘密結社】という呼び方をするには、余りにもゾッとさせるオーラが無さ過ぎました。ROLLYは、元々好きなキャラクターで。彼が出演するミュージカルなんか是非見てみたいと思う程に好感触なのですが。今回の役には、ROLLYは善人すぎだと思います。この一団のアジトの映像は、たいそう不気味で素晴らしかったと思いましたが。

ひとまず、気になっている『紀子の食卓』は観に行ってみようと思います。前売り券も購入しました。

最後に一言。この作品にどこか惹かれてしまっても、私は絶対に飛び降りたりなんかしないもんっ! だって、まだまだやりたい事は一杯あるんだもの。ねっ、皆さん!

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2006年7月28日 (金)

バットマン ビギンズ

「バットマン ビギンズ」
<BATMAN BEGINS> / 製作:2005年、アメリカ 140分Batman_begins
監督:クリストファー・ノーラン 出演:クリスチャン・ベール、リーアム・ニーソン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィー、トム・ウィルキンソン、ルトガー・ハウアー、ケイティ・ホームズ、渡辺謙
隣の評論家のおススメ指数 4.0★/5点★満点  
一言コメント:『アメコミ・ヒーロー』のシリーズものというだけで、無意識に辛口批評しようと構える癖がある隣の評論家をブッ飛ばした本作。知性溢れる魅力に恐縮しまくりでしたぁ。

「フレディ VS ジェイソン」と併せて《特価セールDVD》をまとめ買いした中の1本が本作です。「プルートで朝食を」で魅力的なキリアン・マーフィーの姿を目にして、本作を改めて見たいと思っていたので。ちなみに、公開時の評価は3.8★でしたが。もう1度見たら、ジワジワと興奮してきたので評価を少し上げました。

"Are You Ready to Begin?"

シリーズ最新作にして、『ブルース・ウェインは如何にして【バットマン】になったのか?』という始まり を描いています。アクション大作と言うよりも、一人の男の成長物語といったストーリーです。

ゴッサム・シティの大富豪の御曹司ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、少年時代に目の前で両親を殺されるという不幸な出来事に遭遇する。事件の発端は自分の言動が端を発したという【罪悪感】と、両親を殺した犯人への【復讐心】。生活に何不自由しない身分でも、心はずっと【孤独の世界】 に置き去りのままだったのだ。さまざまな葛藤を抱えながら世界を放浪する旅に出るブルース。彼のいきつく先に待ち構えるものとは?

【バットマン】という存在よりも、人間ブルース・ウェインに焦点を当てているところに好感が持てます。でも、最大の魅力はキャストの素晴らしさかなぁ。
ブルースを演じたクリスチャン・ベールは、本当に《お坊ちゃま》に見えて魅力的でした。クライマックス直前で【悪】とご対面した時に、片方の眉をクッと上げて静かに怒りが全身を貫いていくシーン。上手かったなぁ。
どんな事があってもブルースを支える執事のアルフレッドを演じたマイケル・ケインも素晴らしかったです。穏やかでユーモラスで頼もしい、本当に素敵な英国紳士でした。
『穏やか』と言えば、バットマンに武器を調達するフォックスモーガン・フリーマンが扮しています。ただ佇んでいるだけで存在感を発揮する素晴らしい俳優さんです。
バットマンのよき理解者である刑事に扮するのはゲイリー・オールドマンです。いつものアクの強いパフォーマンスからは想像できない【静】を体現しています。

しかし、何と言ってもキリアン・マーフィーを語らずにはいられません。裏の顔を持つ精神科医を不気味に好演しています。小柄な身体をカチッとスーツで包み、メガネの奥に光る感情の無い瞳。まるで人間ではないみたいな存在感でしたが、バットマンとご対面するシーンは印象深かったです。「バットマン!」と、それはそれは嬉しそうに自信に満ちた満面の笑みを見せるのです。闘うのが待ちきれないといった表情なのでしょうか。原作で登場する【スケアクロウ】という悪役の起源がこの男という事らしいですが。キリアン主演のスピンオフ・ムービー『スケアクロウ』を見せて!と思いました。出番は少ないながらに、強烈な登場をしています。

最後に、隣の評論家が気に入った地味な点を挙げておきます。
ブルース少年は、井戸に落ちてコウモリの襲撃に合います。結果、コウモリに対する恐怖心が芽生えます。息子を励ます父親の言葉が最高に粋で素敵でした。
「何故落下したと思う?這い上がる為さ。」
「何故コウモリが怖いと思う?コウモリがお前を怖がっているからさ。」
富と名声だけではなく、人としての『品格』をも兼ね備えた素晴らしいお父様だったのだろうとウットリしました。この2つの言葉は、ブルースの心に大きく刻まれた事でしょう。【バットマン】誕生にも影響を及ぼしたのでしょうが、隣の評論家の心にも深く染み入る素敵な言葉でした。

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2006年7月17日 (月)

フレディ VS ジェイソン

「フレディ VS ジェイソン」
<FREDDY VS. JASON> / 製作:2003年、アメリカ 97分 R-15指定Freddy_vs_jason
監督:ロニー・ユー 出演:ロバート・イングランド、ケン・カージンガー、モニカ・キーナ、ジェイソン・リッター、ケリー・ローランド、ポーラ・ショウ
隣の評論家のおススメ指数 3.8★/5点★満点  
一言コメント:ホラー界の2大スターが対決するというB級感を漂わせつつ、コレがまた意外によくできたストーリーで大満足。

数日前に年齢が1つ増えてしまったので、自分に何かプレゼントする事にしました。ちょっと高めのアイテムを思い描いてみましたが、どれもピンとこなくてねぇー。気がついたらHMVを1時間以上ウロウロしていて、欲しいCDやDVDを眺めてウットリしていました。という訳で、本当に好きなものを一杯買って自分へのプレゼントにする事に決めました。その中の1本が本作「フレディ VS ジェイソン」のDVDでした。

隣の評論家の採点基準としては。こういったB級ホラー作品は、思いっ切り楽しめて気に入った場合は《3.5★》が最高点となります。この作品には、更にプラスαしたくなる魅力がありました。そして、何だか記事をアップしたい衝動に駆られたので、早速PCを開いている次第です。

「エルム街の悪夢」シリーズの殺人鬼フレディ・クルーガー と 「13日の金曜日」シリーズの殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズ がダブル主演している美味しい作品です。

エルム街の惨劇から10年の月日が流れていた。人の悪夢に入り込んで殺人を繰り広げるフレディ(ロバート・イングランド)は、その存在すら忘れ去られてしまった為に思うように活動できないでいた。そこでフレディは、人々に新しい恐怖を植え付けようと思い立つ。【怪物】ジェイソン(ケン・カージンガー)を蘇らせて、人々を襲わせる。怯える人々の悪夢に侵入しては命を絶ってしまおうと考える。ところが、蘇ったジェイソンフレディの想像以上に暴走を続ける。このままでは、自分の獲物を確保できないままだ。そこで、フレディジェイソンに闘いを挑むのだが...。

一見、余りにも荒唐無稽なストーリーに思えるかもしれませんが。イエイエ、とても面白いんですよ。
フレディが一度死んだ時は、既に《大人》でした。人を操って私腹を肥やそうなどと、大人ならではの『狡猾さ』を持っている訳ですが。対するジェイソンが一度死んだ時は、まだ《子供》でした。フレディの狙いなどとは無関係に、自分のペースで『活動』します。フレディには、ジェイソンを上から見下ろす傲慢さがあったのだと思います。お蔭で、【恐怖の帝王】の座をジェイソンに奪われる始末です。身から出た錆だとは思いますが、慌てふためくフレディさんに少し愛嬌を感じてしまうのでした(笑)。
また、本作ではフレディ&ジェイソンが殺された時の記憶が映像となって出てきます。両シリーズを全て見ているファンには、堪らないサービスです。フレディは、焼き殺されたので『火』が怖い。ジェイソンは瀕死したので『水』が怖い。ココもまた、対照的で面白いですよね。
また、フレディジェイソンの悪夢に侵入するシーンがあります。子供だから『母親』の存在が大きいままのジェイソン、そして醜い顔だとイジメられてクリスタル湖で瀕死したのです。全てを把握したフレディは、ジェイソンに嫌がらせで『水』を浴びせます。大人の嫌らしさ炸裂ですよね。そして、現実の世界に引きずり込まれたフレディジェイソンと対決するシーンでは。ガソリンが引火して『炎の海』と化します。『火』が怖いフレディは、一瞬ひるみますが。ズル賢さのないジェイソンは、フレディのトラウマに気づく訳もなく一心腐乱に闘いを挑むんです。このコンビ、とても面白いと思いました。

お約束の『あり得ない映像』もたくさん見せてくれます。フレディが変てこりんなクリーチャーに化けて出てきたり。ジェイソンの餌食となった死体のあり得なさには思わずニヤリ。よく練られたストーリーと荒唐無稽な描写のバランスが絶妙だと思いました。
隣の評論家的には、効果音もグッドでした。エルム街シリーズに出てくる数え歌。
「♪1、2 フレディがやって来る  3、4 ドアの鍵をかけて ~♪」 というもの。サントラCDには入っていないくせに、嬉しいじゃないの!(関連記事はこちら
それと、ジェイソンが登場すると流れる「ハァ ハァ ハァッ...」 って異様な吐息みたいなの。アレも恐怖感を煽るので最高ですわ。どこを取っても、快作ですわ!シリーズ全編と併せて、試しにご覧になってみてくださいね。

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2006年5月 6日 (土)

パッション

「パッション」
<THE PASSION OF THE CHRIST> / 製作:2004年、アメリカ=イタリア 127分 PG-12指定Passion
監督:メル・ギブソン 出演:ジム・カヴィーゼル、モニカ・ベルッチ、マヤ・モルゲンステルン、セルジオ・ルビーニ、ロザリンダ・チェレンターノ、ホリスト・ナーモヴ・ショポヴ 他
隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:久々に、「とにかく、スゴイ映画」 を見ました。上手く言葉にできませんが、完全にノックアウトされました。

「誰も描けなかった、真実ゆえの衝撃。」

どうか目を背けないでほしい。

すべては、その受難の後に始まるもの―――。

ここで言う「パッション」とは、【受難】の事を指します。イエス・キリストの最後の12時間と復活 を描いた意欲作です。

紀元前1世紀のエルサレム。十二使徒の1人であるユダの裏切りによって大司祭カイアファの兵に捕らえられたイエス(ジム・カヴィーゼル)は、救世主を主張する冒涜者として拷問され始める。

映し出されるのは、イエスに対する拷問 のシーンです。『鞭打ち』 は徐々に激しさを増していき、鞭が『鉄の器具』に変わります。「死なせてはならぬ。生かしておくのだ。」 何という酷い映像でありましょうか。
拷問は終わりません。茨の冠 を被らされたイエスの額からは、血が滴りおちます。とても体力が残っているとは思えない身体で、重たい十字架の横木 を運ばされます。
そして、ゴルゴダの丘両手両足を釘打ち されて、になったイエスの姿が画面を埋め尽くします。『十字架刑』 の事実を忠実に映画化した意欲作です。

『映画』とは一体何でしょう?好みは人それぞれに異なるとは思いますが、この作品に対して理解を示さない方もいるかと思います。「誰が善玉で、誰が悪者なのか、わかんなぁーーい。」そんなコメントも飛び出してきそうな作品ですわ。
この作品を鑑賞し終わったのは、つい先程なのですが。隣の評論家の身体中をビビビーーッと電気みたいな強い刺激が駆け抜けました。何でしょう、この作品から溢れ出るパワーは。これ程に感銘を受けたのにも関わらず、上手い感想が一つも頭に浮かばない自分の不甲斐なさ。そして、この作品の公開時に劇場まで足を運ばなかったアタクシ。馬鹿じゃないのか?公開当時、あれ程に話題を呼んでいた本作を素通りしてしまったアタクシ。珍しく我が身を呪って、『映画人生』を損した気分になりました。

信仰心の薄い日本人には理解しにくい部分もあるとは思いますが。この作品は、世界中の話題をさらいました。「死人が出た」という噂、「この映画を見た犯罪者が自首をした」という噂。今なら納得できますわ。それ程に、圧倒的なパワーを秘めている作品であります。この作品の監督は、メル・ギブソンであります。「マッド・マックス」 「リーサル・ウエポン」等、アクション・スターのイメージが強いとは思いますが。1995年のアカデミー賞では、自ら監督した「ブレイブハート」にて作品賞・監督賞他6部門での受賞を果たしました。本物の【映画人】として敬意を払っている隣の評論家であります。

この作品で最も強く印象に残ったのは、壮絶な拷問シーンではありませんでした。激しさを増す拷問により、十字架の磔にされたイエスの言葉に、何とも言えない想いが込み上げてきてしまいました。
「わが父よ、彼らをお許しください。彼らは、している事がわからないのです。」
苦痛に悶えながらも、拷問を繰り返す人達に対して祈りを捧げるイエスの姿。これが【慈悲】というものなのですか?このシーンは隣の評論家の心に深く刻まれました。暫くは、絶対に忘れる事なんて出来ないと思います。

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殺人の追憶

「殺人の追憶」
<Memories of Murder> / 製作:2003年、韓国 131分 PG-12指定Satsujintsuioku
監督:ポン・ジュノ 出演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、ソン・ジュホ、パク・へイル
隣の評論家のおススメ指数 4.8★/5★満点  
一言コメント:この作品と出逢ってからは、氾濫する『刑事ドラマ系エンタテインメント作品』に魅力を感じなくなってしまった。あくまでも静かに、そして確実に隣の評論家の心に刻まれた秀作。

「おまえは いま どこにいる?」

1986年―1991年   韓国のある農村で10人の女性が殺された。

3,000人の容疑者が取り調べを受け、180万人の警察官が動員された。

この事件の犯人はまだ捕まっていない...

犯人は今もどこかに居る!
1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の裸死体が発見された。手足は縛られた上に強姦されていた。その後も、同じ手口の無残な女性の死体が次々と発見される。現地には、特別捜査本部が設置された。地元の刑事であるパク・トゥマン(ソン・ガンホ)と、ソウル市警から派遣された刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)は、この難事件に挑む。性格も捜査方法も全く異なるこの2人は、対立と失敗を重ねながらも、ついに有力な容疑者を捕らえるのだが...。

この作品は、実際に起きた事件が元となっている。真犯人は、まだ捕まっていない。それどころか、今現在では『時効』を迎えてしまっていますね...。この作品の原作本である「華城事件は終わっていない」の著者は、この事件の元捜査課長だそうです。「例え全ての事件が迷宮入りしたとしても、私は犯人を追い続ける」 という強いメッセージを感じ取る事ができました。

それ程にシリアスな内容であるにも関わらず、随所にユーモアを挿入する事を忘れないポン・ジュノ監督の演出も好きですわ。
ソ刑事がソウルから村にやって来るシーンは、かなりコミカルです。パク刑事は、ソ刑事を『変態』と勘違いして【跳び蹴り】を食らわす!何でも、このシーンは脚本にはなくパク刑事を演じたソン・ガンホのアドリブだったとか。何とも痛いアドリブ!でも、ついつい笑ってしまいました。
それと、パク刑事が容疑者をでっちあげて強引に供述を取ろうとしたり。パク刑事を演じたソン・ガンホは、体重を増やして『野暮ったさ』をコミカルに再現しておりました。あのマイ・ペースっぷりが笑いを誘います。(隣の評論家が今一番好きな俳優さんは、ソン・ガンホさまなのですわ。)
他にも、看護師であるパク刑事の恋人が『薬の横流し』めいた事をしていたり。随所にシュールな小さい笑いが挿入されておりました。

地元のパク・刑事は、自分の足で捜査を進めるいわゆる『アナログ刑事』であるとするならば。ソウル市警からやって来たソ刑事は、『デジタル刑事』とでも表現すれば良ろしいかしら。物事を理論だててから推理をした上で、捜査を進めていくタイプなのです。この対照的な2人は、最初は当然の如く対立します。そして、事件は解決するどころか、次の犠牲者が出てしまう始末です。映画の中での【最後の犠牲者】は、何と中学生でした。無残な少女の死体が発見されるシーンでは、雨が降っています。ビショ濡れの刑事が、静かに怒りに燃えていく様子が痛々しいです。『悲痛』 『苛立ち』 『憤慨』 そして、神経衰弱ギリギリになっていきます。そして、一見クールに見えていたソ刑事の方が、感情を爆発させていくのです。終盤、有力視された容疑者パク・ヒョンギュ(パク・へイル)の胸ぐらを掴んで追い詰めるソ刑事の迫力には、見ているこちらも『未解決事件』への怒りが込み上げてきました。

この作品の予告編では、「おまえは いま どこにいる?」と、デカデカと流しているんですね。何とも、言葉にできない想いで鳥肌が立ってきます。実際にはまだ捕まっていない真犯人が、どこかでこの作品を見ながらほくそ笑んでいるのでしょうか?何とも、恐ろしい話であります。

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2006年4月17日 (月)

オールド・ボーイ

「オールド・ボーイ」
<OLD BOY> / 製作:2003年、韓国 120分 R-15指定Old_boy_1
監督:パク・チャヌク 出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・へジョン、チ・デハン
隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:『圧巻』の一言。みなぎるパワーと、やがて溢れ出す悲しみ。韓国№1の『ストーリー・テラー』は、パク・チャヌクで決まり!

「お前は誰だ!? なぜ俺を15年監禁した!?」

「今までの人生を復習しろ。 そして思い出せ!」

「JSA」パク・チャヌク監督が描く【復讐三部作】の二作目である。(三作目「親切なクムジャさん」の記事はこちら) 本作は、隣の評論家が2004年に劇場で観た映画の中で、僅差でソウを抜いて第2位に輝く作品ですわ。

平凡な男オ・デス(チェ・ミンシク)は、ある日、目を覚ますと狭い部屋に居た。その後15年間、理由もわからないまま監禁され続ける。そして、突然に開放される。一体、誰が?何の目的で?知り合った若い女性ミド(カン・へジョン)の助けを借りて、【復讐】を誓うデスの元に現れた謎の男ウジン(ユ・ジテ)ウジンは、デスに『5日間で監禁の理由を解き明かせ』とお互いの命を懸けた『ゲーム』を持ちかける。そして、やがて明らかになる驚愕の策略とは...。

ストーリーも圧倒的な内容だけれど、何よりも映像がパワフルで強烈なインパクトを残すんですわ。隣の評論家は、冒頭のシーンから釘付けになりましたもの。
ビルの屋上で、飛び降り自殺しようとしている男のネクタイをギュッと掴んで、髪の毛ボサボサの男(=オ・デス)が言う。「まぁ、俺の話も聞けよ。死ぬのはそれからにしてくれ」 音楽もとても効果的に使われていて、「えっ?チョットおっさん、一体どうしたの?」って、いとも簡単にこの作品に惹きこまれたアタクシでしたわ。
そして語られる『監禁生活』 と突然の『開放』 が本当に意味するもの。オ・デスを演じたチェ・ミンシクのこの役へのアプローチも素晴らしいと思った。監禁生活を強いられている間、身体を鍛えるオ・デス。監禁前と後のルックスは、全く別物であった。『蛸の踊り食い』なんてシーンもありましたな。このシーン、大変だったと思うのね。それと、映像の力も目を見張るものがあるけれど、美術もなかなか凝っていて面白かったのよ。監禁された部屋の内装とかね。さすがは、パク・チャヌク監督

【復讐】がテーマというだけあって、描写もかなり酷いシーンが登場します。ボカスカと喧嘩しているだけなら、まだ直視できるんですが。オ・デスが、真実を突き止める為に奔走して、『拷問』に近い行為を繰り返したり、逆に捕まって同じ目に遭わされたり。直視できない人には、耐えられないタイプの作品ではあります。
けれど、パク・チャヌク監督が描きたかったのは『暴力そのもの』ではないと思います。【復讐】の元となったある出来事。そして生まれる【愛憎劇】【復讐】という行為を成しえたところで、復讐者には達成感など得られないのだと思いました。残るのは、悲しみ・やるせなさ・切なさ...。しつこいようだけど、【復讐】の後には【救済】など存在しないのだと思います。【復讐】とは、悲しい行為でしかないという事ではないかしら。

そんな風に、深く受け止めた隣の評論家でした。パワフルな映像の後に残ったのは、悲しくてやるせない気持ちだったのです。そういう意味で、とてもバランスの取れた意欲作だと思います。

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2006年4月16日 (日)

ソウ

「ソウ」
<SAW> / 製作:2004年、アメリカ 103分 R-15指定Saw
監督:ジェームズ・ワン 出演:ケイリー・エルウェス、ダニー・グローヴァー、モニカ・ポッター、リー・ワネル 他
隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:どこを取ってもパーフェクトなスリラー快作。驚愕のラストに、思わず前のめりになりました。

      目覚めたら老朽化したバスルーム
      足首には鋼鉄の鎖
      対角線上にもう一人の男
      中央には自殺死体

      このノコギリは何に使うのか...

本作は、隣の評論家が2004年に劇場で観た映画の中では、堂々のベスト3 にランク・イン!ですわ。練りに練られた脚本と、全編に渡ってジワジワと漂う恐怖。全てに於いてパーフェクトな作品だと思います。

目覚めると、そこは薄汚れたバス・ルーム。ゴードン医師(ケイリー・エルウェス)アダム(リー・ワネル)は、それぞれ足首に鎖をはめられていた。2人の間には自殺死体 が横たわっている。2人のポケットにはカセット・テープ が忍ばせてあった。再生すると、「ゲームを始めよう」 という戦慄のメッセージが流れる。6時間以内に相手を殺すのだ。さもなくば、2人には死が待っている」 という内容なのだ。
これは一体どういう事なのか?そして、誰の仕業なのか?そして、何の目的で?お互いに知らない者同士の2人は、果たしてこの窮地を切り抜ける事が出来るのだろうか?

冒頭から『自問自答』を繰り返しながら、この作品にスッカリのめり込んでしまいました。この密室劇には、さまざまな意味深なアイテムが登場します。カセット・テープ一発の銃弾タバコ2本着信専用携帯電話家族の写真、そして、ノコギリの刃。極限状態の2人のやり取りと、巷を賑わす連続殺人鬼【ジグソウ】の追跡劇が見事に絡まって、話は進んでいきます。そして、驚愕のラストです。女一人で鑑賞していたアタクシは、周囲の目など気に留めずに、驚きの余りエーーーッ! と身体が前のめりになっておりました。(隣の見知らぬお兄さんはのけ反っておりました) あんな興奮は久し振りでしたもの。

「ソウ2」(劇場公開時の記事はこちら)も既に公開されて、DVDも発売されていますよね。も、続編にしては大健闘していた印象でした。でも、やっぱりの方が何倍も好きですね。そして、今年の秋に「ソウ3」が公開予定だとの噂ですが。(毎年、公開は10月末なんですよね) そんなに続けて大丈夫なんだろうか?と少し心配もしております。

個人的な話になりますが、隣の評論家がブログを始めたのが丁度「ソウ2」が公開されている時でした。とまどいながらも、ブロガーの皆さんと情報交換できるようになったキッカケは「ソウ2」だったんですよねぇ。そこで、日頃お世話になっているブロガーの方で、「ソウ3」を大胆予想している素晴らしい記事がありますので、この場を借りて紹介させて頂きますね。「ソウ」「ソウ2」と見たら、こちらの記事を一読されてから「ソウ3」に挑むというのも、また一興かと思いますよ。

睦月さんのブログ カリスマ映画論

purple in sato さんのブログ FUN×5 ~五つの楽(fun)を探して~

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2006年2月13日 (月)

コンスタンティン

「コンスタンティン」
<CONSTANTINE> / 製作:2004年、アメリカ 121分constantine
監督:フランシス・ローレンス 出演:キアヌ・リーヴス、レイチェル・ワイズ、ティルダ・スウィントン、ジャイモン・フンスー、シア・ラブーフ、ピーター・ストーメア
隣の評論家のおススメ指数 4.0★/5★満点 (ちょっぴりオマケ)  
一言コメント:あの世界観にすっかりハマリました。「2005年度・上半期ベスト10」にて第8位にランクイン!(関連記事はこちら

キアヌ・リーブス主演で、VFXバンバンの超大作。
普段だったら、観終わっても記憶から抜け落ちてしまうジャンルの作品なのですがね。隣の評論家は、意外にもスッポリと入り込んでしまいました。

ジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)は、幼い頃から『見えるハズのないモノ』が見えてしまう。そんな自分の能力に絶望して、自殺を試みた事がある。その際、2分間だけ【死】を体験したのである。キリスト教の教えでは、『自殺者』の魂は天国へ行けない。『天国行き』の特赦を受ける為に、能力を活かして【悪魔祓い】を繰り返す事で神様にアピールしている。それが『オカルト探偵』コンスタンティンだ。ヒーローと呼ぶには、余りにも風変わりな男である。コンスタンティンは、タバコの吸い過ぎで末期の肺ガンに冒されている。ガリガリで顔面蒼白。つまり、身体はボロボロのヒーローという訳。

天国にはがいる。神の下には、天使がいる。
地獄には悪魔の頂点である【サタン】がいる。その下僕として悪魔がいる。
天使も悪魔も、地上には入れないのだ。その代わりに、地上の監視役として存在するのが【ハーフ・ブリード】と呼ばれる存在。半分は人間、半分は天使もしくは悪魔という事らしい。こうして、天国・地獄・地上のバランスが保たれているのだった。
ところが、人間界を支配しようと目論む陰謀が渦巻き、保たれていたはずのバランスが崩れ始める。そして、コンスタンティンの闘いが激化していくのだった。

制作費が莫大と思しきド派手な特殊効果が続きます。もしかしたら、小バカにしちゃう人も居るかもしれません。冒頭の『魔物にとりつかれた少女』のシーンなんかは、オカルト映画の金字塔的作品である「エクソシスト」の真似事にしか見えませんしね。でも、そんな最初の印象を忘れさせてくれる怒涛の展開は、好感を持ちました。

女性刑事・アンジェラ(レイチェル・ワイズ)。彼女の周りで奇怪な出来事が起き始め、登場するのも特異なキャラクターばかりでワクワクしてくる。まずは、2人のハーフ・ブリード天国からの使者【ガブリエル】(ティルダ・スウィントン)と、地獄からの使者【バルサザール】(別名<蝿の王>と呼ばれ、虫を自由に操る能力を持つ)。悪魔の頂点に君臨するサタン・ルシファー(<光>という意味を持つ名前で、元々は大天使だった。神に反逆した為に地獄へ堕ちたとされている。)と、ルシファーの息子マモン(キリスト教『7つの大罪』の【強欲】を意味する名前)。
人間界でコンスタンティンの脇を固める人物も、なかなか魅力的だ。コンスタンティンに協力する怪しい歴史学者や、元祈祷師である実業家・ミッドナイト(演じるジャイモン・フンスーの存在感は見事)。一筋縄ではいかないキャラクターばかりである!
コンスタンティンの武器も、『聖水』から始まり『地獄の聖書』<父と子と精霊>の三位一体を表す『魔除け』等、意味深なものばかり登場するのだ。かなり興味深く堪能できましたわい。

信仰心の薄い日本人でも、アクション・シーンや特殊効果を楽しむだけで十分に時間を潰せます。私みたいに本当は全く知識のない人間でも、聖書を読んでみようかなという気分にすらさせられた。さすがに、入信はしませんが(笑)、この世界観には参りました。

特殊効果は勿論の事、ビジュアル面でも楽しませてくれました。
『ダーク・ヒーロー』コンスタンティンは、常に黒いスーツを着ています。大天使・ガブリエルサタンの使者・バルサザールも、ビシッとスーツでキメているところが超クールでした。特に、ガブリエルを演じたティルダ・スウィントンが素敵でした。華奢で長身な佇まいと、中性的な美しさが『天使』という役柄にマッチしていました。更に、チラッと登場するサタン・ルシファーは、何と白いスーツで姿を現しますよ!必見です。

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2006年2月 6日 (月)

クライシス・オブ・アメリカ

「クライシス・オブ・アメリカ」
<THE MANCHURIAN CANDIDATE> / 製作:2004年、アメリカ 130分coamerica
監督:ジョナサン・デミ 出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーブ・シュレイバー、ジョン・ヴォイド
隣の評論家のおススメ指数 4.0★/5★満点   
一言コメント:1本の緊張の糸が張り詰めたまま衝撃の展開へ。上質の政治サスペンス。「2005年度・上半期ベスト10」にて第7位にランクイン!(関連記事はこちら

この作品は、1962年に作られた「影なき狙撃者」という作品のリメイクです。設定は幾らか現代に合わせて変えているそうですが、同じ内容との事です。オリジナルは未見なので、是非チェックしてみようと思います。できれば、原作も読んでみたいと思っています。

1991年、湾岸戦争下のクウェート。米軍大尉ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)の小隊は、任務中に敵の奇襲攻撃に遭った。この時、部隊の危機を救ったレイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)は、『名誉勲章』を授与される。終戦後、ショーは政界へ進出する。数年後には、【次期大統領候補】に指名される程の活躍を見せるのだった。

一方、現在も軍務を続けるマルコの元に、かつての部下が現れる。この男は、従軍中の記憶から毎晩おぞましい夢を見ていると言うのだ。実は、マルコ自身もこの男と同じ悪夢に悩まされていたのだ。自分の記憶は曖昧なのかもしれない。果たして、ショーは本当に英雄的行動を取っていたのだろうか?マルコの中に、疑問が生じる。そして、マルコの目を通して、過去の出来事が明らかになっていく。波乱含みのスリリングな展開に、気がつくと最後まで画面に釘付けになっておりました。

ストーリー展開もブラボーでしたが、とにかく登場人物が個性豊かで魅力的です。
『誠実』という2文字が服を着て歩いているかのような男・マルコ
一見、腹黒い偽善者のようなショー
この2人の脇を固める人物の中で、際立った異彩を放つショーの母親(メリル・ストリープ)

この母親自身も辣腕議員なのです。亡き夫も政界で大活躍をしていました。夫が果たせなかった『政界の頂点』という地位を、息子に実現させようと躍起になります。なり過ぎなんですよね。鳥肌が立つくらいに野心家な女性です。この野心と深い愛情で、息子をギュウギュウに束縛しているんです。恐らく、彼女自身は『過剰な愛情』に気づいていないのです。そこが哀しいんですわ。メリル・ストリープの迫力は、凄まじいです。

しかし、隣の評論家が最も気になったのは、ショーを演じたリーヴ・シュレイバーでした。
女手ひとつで自分を育ててくれた母親。「お前の笑顔が生きがいなの」みたいな事を繰り返す母親の為に、『作り笑顔』をする事が身についてしまっている。本音を吐き出せない悲痛な心の叫び。「清く正しく振舞いなさい」と育てられた『操り人形』のような人生への絶望。一見、『アメリカを背負って立つリーダー』として普通の好青年に見えるけれど、「本当はこんな人生から逃げ出したい」という心の叫びが聞こえてくるような気がしました。

ストーリーは、「もし、政治の中心部でマインド・コントロールされた人間を送り込んだ『ある張本人』の陰謀が渦巻いているとしたら?」という感じの政治サスペンスなのでありますが。個人的には、ショー母子の痛々しい関係の方が印象的でした。母親の息子に対する愛情というものは、強いけれど時には恐ろしく映るものなのか...と。

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2006年2月 4日 (土)

カナリア

「カナリア」
製作:2004年、日本  132分kanaria
監督:塩田明彦 出演:石田法嗣、谷村美月、甲田益也子、西島秀俊、つぐみ、りょう、水橋研二

隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5★満点  
一言コメント:「生きていく力」みなぎる少年と少女の物語。2人の生命力がスクリーンから溢れ出てきて、うまく言葉にできない熱い想いが込み上げてきちゃいました。「2005年度・上半期ベスト10」にて第4位にランクイン(関連記事はこちらこちらも見てね)

この映画は、フィクションです。

でも、どこかで聞いた事があるような話で鳥肌が立ちました。

【集団殺人】を実行したカルト教団・『ニルヴァーナ』は、崩壊した。教団に居た子供達は、肉親に引き取られるか・児童相談所に引き渡されるか、どちらかの新しい居場所を得ていた。
主人公は、12才の少年・光一(石田法嗣)。教団幹部である光一の母親は、行方不明になる。祖父は、光一の4歳下の妹・朝子だけを引き取る。独りぼっちになってしまった光一は、児童相談所を抜け出す。「じいちゃんから妹を取り返して、お母さんを探し出す!」そんな強い意志を持って、京都の児童相談所を脱走する。そして、東京の祖父の家を目指して、孤独な疾走を始めるのだった。旅路の途中で、光一は偶発的に12才の家出少女・由希(谷村美月)を助ける。そして、無謀にも2人の東京へ向かう旅路が始まるのだった。

冒頭から、「この映画はフィクションです」と強調していたのですが。どう考えても、95年に起きた『地下鉄サリン事件』のあの集団がモデルになっているとしか思えませんよね。とても勇気のある作品だと思いました。

この作品では、子供の目を通して【大人の幼いエゴイズム】が描かれていました。
まず、自分の勝手で子供2人を教団に入信させる母親の身勝手さに頭にきました。訳もわからないままに連れてこられて、『禁欲生活』と『修行』を強いられる子供達。勿論、母親とは隔離されてしまいます。たまたま母親を見かけた時に、幼い妹・朝子が「お母さ~ん」と駆け寄る。教団の幹部である母親は、「離れなさい」と冷たく引き剥がす。その上、兄の光一に向かって「この子を連れて行きなさい」と言い残して去って行く。この瞬間の光一の絶望感に打ちひしがれたかのような表情が、胸に焼きついて離れません。
そして、祖父もまた愛情の裏返しのエゴを見せつけます。子供を道連れに教団に入った娘が許せない。孫娘の朝子にだけは、娘と同じような人生を送らせてなるものか!と、孫娘を自分の手元にギュウギュウに縛り付ける。光一に朝子は渡さない!って、まるで小学生じみたジジイだ。

少女・由希光一の祖父に向かって放つセリフが印象的だった。
「子供は親を選べへんけど、親は子供を選んでもいいんか?」
全く、誰が大人で誰が子供なのか、わかったもんじゃない。そんな中、「妹と母を取り戻す」という希望だけを胸に突き進む、光一の真っ直ぐな目線がとてもいい。ニコリともしない膨れっ面からは世間への怒りが感じられるけど、希望を捨てずに前へ前へと歩んでいくその純粋さ。『純粋である事』は生きていく上で『強さ』となるのかもしれないと思わずにはいられなかった。

そして、ラストのセリフが最高に素晴らしい。
「これからどうするん?」と由希が尋ねると、光一が答える。 「生きていく」
たった一言であるけれど、とても強くて逞しい言葉。胸に染み入る秀逸なシーンで、思わず涙がこぼれてしまった。

こんなに勇気のある作品を見せて頂いて、日本映画も捨てたもんじゃないという気持ちにさせられました。「邦画はチョットねぇ~」と言う方も居らっしゃるとは思いますが、日本人である以上は、絶対に見ておくべき作品だと思いますよ。是非、ご覧になってください。

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2006年1月30日 (月)

コーチ・カーター

「コーチ・カーター」
<COACH CARTER> / 製作:2005年、アメリカ 136分carter2
監督:トーマス・カーター 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・リチャード、ロブ・ブラウン、アシャンティ、リック・ゴンザレス

隣の評論家のおススメ指数 4.0★/5★満点   
一言コメント:バスケット・ボールに興味のない私でも、胸を熱く焦がした素敵な作品です。感動の涙・涙でございました。「2005年度・下半期ベスト10」にて、「ソウ2」を抜いて第9位にランクイン!(関連記事はこちら

「彼は唯一 “リスペクト” できる人だった。」

こんなに素晴らしい作品が、何でまた人目に触れずにひっそりと単館上映だったのさ!
まずは、そんな賞賛の言葉から始めたいと思います。

「コーチ・カーター」は、1999年にカリフォルニア州リッチモンド高校に実在したバスケット・ボール部のコーチの事です。この作品は、日本で言ったら「スクール・ウォーズ」みたいな【スポ根ムービー】でございます。

コーチ・カーター(サミュエル・L・ジャクソン)は、そんじょそこらの【熱血漢】とは全然レベルが違います。『厳しさ』と『愛情』を併せ持つ【教育者の鑑】という賞賛に値する立派な人です。バスケの指導のみに止まらず、スポーツを通して教科書なんかには載っていない『大切な事』を生徒達に叩き込んでいきます。

リッチモンド高校は、取り立てて『優秀』と言われる訳でもない。卒業後は、生徒の8割近くが刑務所へ入ってしまう程に荒んでいる高校である。バスケ部の試合結果も惨憺たるものだった。そんな部員達に対して、カーター「3つの契約」を突きつける。

ルール①:学業で、決められた点数以上の成績を修める事。

ルール②:授業には全て出席して、一番前の席に座る事。

ルール③:試合の日には、上着とネクタイを着用する事。

この3つのルールを守った上で、厳しい練習にも励めと言うのだ。
最初は当然のごとく反発する生徒も出てくる。けれど、このカーターの厳しい方針は、結果的には快進撃を続ける強いバスケ・チームを作り上げるのだった。連戦連勝を重ねて、チームは『地区大会』へと進出する程の成績を修めるようになる。チームは有名になり、地元民たちは狂喜乱舞する。

バスケ部の生徒達も、すっかり有頂天になる。そんな中、学業での成績はおろか、授業をサボっている者まで出てくる。3つのルールを守っていない生徒が居たのだ。この事実を知ったカーターは、「契約不履行」という理由で、何と体育館を閉鎖する。そして、バスケの練習をさせずに、まずは【赤点奪回】を目指して学業に専念するように指導するのだった。

すると、今度は生徒の親達が反乱を起こす。「カーターを解雇しろ」と騒動を起こしてしまうのだ。生徒達は、厳しい指導を受けながらも、実はカーターの事を『コーチ』としてだけではなく『一人の人間』として心から尊敬しているのに!「にわかファンが、何を大騒ぎしてんだよ」と、心で突っ込みを入れてしまった隣の評論家でありました。

そして、生徒達の取った行動とは?

バスケの試合のシーンは、迫力満点です。思わず、手に汗握る瞬間が続きます。そして、何よりもコーチ・カーターが部活動を通して大切な事をたくさん教えてくれます。隣の評論家が最もガツンと胸に響いたのは。「常に目標を持って進む事の大切さ」でしょうかね。
試合に勝ったらソレで終わりではない。次の目標を設定して頑張っていきなさい!
そんな風に、諭されている気がしてなりませんでした。

コーチ・カーターを演じたサミュエル・L・ジャクソンの強烈な存在感は素晴らしかったです。血眼で鼻の穴は全開。あのカリスマティックな熱血ぶり、どうしようもなく大好きです。

「勝たなければ意味がない」という方も居らっしゃるかもしれませんが。
隣の評論家は、そうは思っていません。結果よりも実は【経過・過程】の方が重要だったりすると思っています。失敗してもいい。とにかく、自分なりに頑張る事、ソレが何よりも大切だと思ってます。よーし、明日からもまた頑張るゾ!

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2006年1月28日 (土)

皇帝ペンギン

「皇帝ペンギン」
<LA MARCHE DE L'ENPEREUR> / 製作:2005年、フランス  86分penguin2
監督:リュック・ジャケ 声の出演:ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリング、ジュール・シトリュック / 日本語吹き替え版:石田ひかり、大沢たかお、神木隆之介 / 米国版ナレーション:モーガン・フリーマン

隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5★満点   
一言コメント:ただひたすら『愛らしい』イメージしか持っていなかった皇帝ペンギン。彼らが教えてくれた『生きる』という事。小さな身体から溢れ出る生命力に羨望のまなざし。
「2005年度・下半期映画ベスト10」にて堂々の第4位でございます。(関連記事はこちら

氷に囲まれた南極の 温かな愛の物語。

マイナス40℃の南極で生きる「皇帝ペンギン」の知られざる世界その姿をひたすら追ったドキュメンタリー作品です。至ってシンプルではあるけれど、この作品から感じとる事はたくさんありました。フランスのドキュメンタリー作品と言えば、「WATARIDORI」「ディープ・ブルー」が記憶に新しいところですね。日本でも大ヒットしましたし。この「皇帝ペンギン」も、素晴らしい作品です!

南極に冬が訪れる頃、多くの生き物たちが『温かさ』を求めて北へ移動する。そんな中、逆流して南へと移動を始めるものが居る。それが「皇帝ペンギン」の群れである。隊列を組んで行進を始めるペンギン達。彼らが目指すのは、氷山に囲まれた土地である。ペンギン達は、ここでお互いの『パートナー』を見つける為の【求愛行動】を始めるのだ。

そして、産卵を終えたメス達は、卵を自分のパートナーに託して旅に出る。自分達とこれから生まれるヒナの為の餌を求めて、100キロ余り離れた海へと向かうのだ。

その間、オス達は身を寄せ合ってメス達の帰りを待つ。両足に卵をソッと載せて、お腹の羽毛で包み込む。そして、ひたすらジッとしたまま卵を温めて守り抜く。オス達は、ヒナを孵す為に4ヶ月間も何も口にしないで真冬の寒さと闘わなければならないのだ!

やがて、卵の殻が割れ始めてヒナが顔を出す。子ペンギンの誕生だ!そして、子ペンギンは成長していき、ペンギン一家の新しい人生がスタートする。『皇帝ペンギンの一生』をシンプルに綴った、感動のドキュメンタリーであります。

僅か1時間26分の映像の中には、『目から鱗』の印象深いシーンが一杯です。
ペンギンって、オイッチニ・オイッチニとゆっくり歩いている『まったり』したイメージが強いのですが。腹這いになって滑りながら進むという、意外と速い動きを見る事ができました。

「子供を暖める」という目的があるだけあって、ペンギンの羽毛はよく見るとフカフカしていました。うひょー、触ってみたーい!!!特に、お腹はフカフカのプルプル。やっぱり、愛らしい姿です。

大人ペンギンがパートナーを探して集まる様子も面白かったです。『群れ』ではオスの方が少ない為、メスが一羽のオスを巡って喧嘩を始めるシーンがありました。人間に例えると、ちょっと面白くてニヤニヤしてしまいました。

でも、やっぱり『愛らしさ』よりもペンギン・ライフの『過酷さ』の方が強く印象に残りました。
オス達が、卵を温める為にギューギューに身を寄せ合っている姿。一見、可愛らしい気もしますが、やがて訪れる『南極の真冬の厳しさ』を目の当たりにしたら、私の顔から笑顔が消えました。動かないでジッとしている事が『闘いそのもの』なんです。ちょっと感動しました。

餌を取りに海に向かったメス達も、過酷な旅路を歩んでいます。メス達が海に潜ると、『美しい海の青』に一瞬だけ目を奪われますが。突然、アザラシが牙を剥いて襲いかかってくるのです。クワッ!と攻撃してくるアザラシの顔は、ゴマちゃん大好きな子供が見たらショックを受けてトラウマになってしまう事でしょう。

また、子ペンギンを守りきれずに死なせてしまったメスが、すっかり正気を失って仲間の子供を奪おうとするシーンまで登場します。これには、かなりの衝撃を受けました。

生きていく上で何が難しいのか、大切なのか。この作品を通して、ペンギン達に教えてもらった気がします。生きていくのが大変なのは、人間だけではない。ペンギンだって同じなんですね。そんな難しい事柄だけではなく、子ペンギンの可愛らしさにはタメ息がもれる事必至です。是非、ご覧になってください。

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2006年1月23日 (月)

U-571

「U-571」
<U-571> / 製作:2000年、アメリカ=フランス  117分U-571
監督:ジョナサン・モストウ 出演:マシュー・マコノヒー、ハーヴェイ・カイテル、ビル・パクストン、デヴィッド・キース、ジョン・ボン・ジョヴィ

隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5★満点   
一言コメント:潜水艦という密室を舞台に繰り広げられる緊迫した『男の闘い』。生き抜く為には『冷静な判断』は必要不可欠。私には生き残れないと思しき『厳しい世界』を見せつけられて、またしても目がハート。

『男の美学』に参りました!シリーズも、これを最後に一旦お休しようかしら。

その内また再開するであろうけど、第一次マイブームのトリを飾るのは、この作品です。

舞台は、1942年の第2次世界大戦下。アメリカ合衆国海軍・連合軍は、ドイツが誇る高性能潜水艦【Uボート】の攻撃により、大きな打撃を受けていた。そこで、連合軍に『あるミッション』が下る。それは、「ドイツの海軍潜水艦【U-571】に搭載されている暗号機【エニグマ】を奪還せよ」というものだった。連合軍は、米国巡洋潜水艦【S-33】を【Uボート】そっくりに偽装する。そして、【U-571】に近づいて奇襲攻撃をかける。いわゆる『トロイの木馬』作戦である。

ここまででも十二分に面白いのですが。本当に目が離せなくなるのは、ここからなのです。

【S-33】は、【U-571】を救助にきたドイツ軍潜水艦の魚雷を受けて撃沈してしまうのだ!【S-33】で待機していた者は殺されて、【U-571】に乗り込んでいった者が生き残るのである。生き残った者は、ドイツ兵を倒して帰還しようにも舞台は【U-571】である。当然の如く、ドイツ艦内はドイツ語だらけである。ドイツ兵には英語が通じない。まず、【U-571】を操縦できないという問題が浮上するのだ。

更なる問題。見た目はドイツ艦である訳だから、本当は味方であるはずの米軍が攻撃を仕掛けてくるのではないかという恐怖に囚われる。周り中、敵だらけといった状況に陥る。
果たして、この窮地をいかにして乗り切るのだろうか? 最後まで、スリリングでサスペンスフルに観る者を惹きつけて離さない傑作であります。

潜水艦が舞台の映画って外れがないと言わていますが。「海の中の『密室』」という逃げ場のない設定が、緊張感を盛り上げるのでしょうね、やっぱり。舞台が第2次世界対戦下という点でも、現在の生活からは想像もできない厳しさを見て取る事ができたのかもしれません。 この作品で、私が最も印象に残っているキャラクターは、主人公である潜水艦の艦長です。艦長に必要とされる『リーダーシップ』とは、本当に厳格で責任が重くて大変な地位であると思いました。現代の『会社の上司』等とは比べ物にならない程に厳しいものだと。「海の中」という簡単には逃げ出せない特殊な状況下ですからね。
最初のシーンにて。旧艦長が言うセリフがとっても重いんです。 「潜水艦の艦長は、どんな状況下でも選択を迫られたら決断を下さなければならない」 例え、その決断に人一人の命が懸かっていようとも、任務遂行の為には冷静沈着な判断を下さなければならないという事なのです。サスペンスなストーリー展開に、新艦長が逞しく成長していくという要素もプラスされております。

主人公である新艦長(マシュー・マコノヒー)の成長物語も熱いのですが。クロフ軍曹(ハーヴェイ・カイテル)『いぶし銀』ぶりが素晴らしいです。乗組員達の父親とも言える程の年長者である熟練の彼が、新艦長を名サポート。新艦長に逆らう若者が居れば、「お前の指揮者は彼だ。言われた通りにするんだ。」と一刀両断する。決して前には出過ぎずに、自分の任務を黙々と遂行する。ハーヴェイ・カーテルさん、身体の大きさだけではない存在感を十二分に発揮してくれました。

メカにはめっぽう弱い隣の評論家的には、潜水艦の細かい描写とか一切気にせずに熱いストーリーに胸を焦がして鑑賞できました。あくまでも、米軍の視点から描いたストーリーではありますがね。素直に面白かったです。

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2006年1月22日 (日)

ムーラン・ルージュ

「ムーラン・ルージュ」
<MOULIN ROUGE!> / 製作:2001年、アメリカ  128分moulin_rouge
監督:バズ・ラーマン 出演:ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ

隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5★満点   
一言コメント:歌と踊りときらびやかな美術で贈る『豪華絢爛』なミュージカル。圧倒的なパワーで突っ走る128分間、この世界観に釘付けでした。

パリ、1899年。

この街で最も愛された一人の女・・・・・

彼女の名は『サティーン』

正に『豪華絢爛』という四字熟語に相応しい、光り輝くミュージカル作品です。ストーリーは、まるで「ロミオとジュリエット」のような超古典的ラブ・ストーリーです。本来だったら、隣の評論家は辟易して避けて通るジャンルなのですが。そんな私を呼び止めて、惹きつけて放さない程の圧倒的なパワーに満ち溢れた素晴らしい作品なのであります。

『作家志望』の貧乏青年・クリスチャン(ユアン・マクレガー)は、あるショーの台本を代理で担当する事になる。ナイトクラブ『ムーラン・ルージュ』で行われるショーだ。クリスチャンは、『ムーラン・ルージュ』の高級娼婦サティーン(ニコール・キッドマン)に一目で恋をする。 女優になる為にパトロンを探していたサティーンは、クリスチャンを『公爵』だと勘違いしてベッドに誘い込もうとする。このドタバタした出逢いの際、プレゼント攻撃をする訳でもなく、いきなり歌を歌い出すクリスチャン。『コネ』を作る事しか頭になかったサティーンは、クリスチャンの純粋な人柄に徐々に魅かれていく。彼が貧乏な『作家の卵』だと知っても、恋の炎が消える事はなかった。『作家と女優』の関係を装いつつも、本気で愛し合う二人。やがて、『ムーラン・ルージュ』のオーナーであるジドラー(ジム・ブロードベント)は、二人の関係に気がつく。そして、コネ作りの為に、サティーンを資産家の公爵(リチャード・ロクスバーグ)の元へ行くように仕向ける。サティーンの美しさの虜になった『パトロン』であるはずの公爵も、やがて二人の関係を知る。そして、クリスチャンに憎悪の炎を燃やす。更に、結核で自分の死期が近いことを知ったサティーンは、クリスチャンとの『別れ』を決意する。入り組んだ人間模様を背景に、『ムーラン・ルージュ』の舞台の幕が上がる...。

まず、出演者の歌の上手さに驚きます。クリスチャンを演じたユアン・マクレガーの歌声には惚れ惚れしました!私が今までに聞いた男性の歌声の中で、間違いなく【№1】ですわ。(おっと、本業が歌手だという方を除きますね)少し高めで伸びのある歌声。「スター・ウォーズ」シリーズで見る彼よりも、断然本作の方が魅力的でした。(コレは、あくまでも私の意見ですからね) ヒロイン・サティーンは、男に『コネ』だけを求めて生きてきた女性でした。その彼女が、徐々にクリスチャンに魅かれていく過程では、この歌声が第一ポイントだった訳です。その辺りを、自然な展開に見せたのは、ユアンの歌声と純粋なキャラ作りが功を奏していたと言えるでしょう。

それと、何よりもヒロイン・サティーンを演じたニコール・キッドマンの美しさは必見ですね。男性の『憧れの的』である美女・サティーンニコールの本来持っている美しさと意思の強さが上手い具合に体現されていて、もう「ニコール以外にサティーンを演じる事ができる女優は居ないゼ」と断言したくなりました。『女優を目指す』という強い意志がある一方で、純粋なクリスチャンにどんどん魅かれていく可憐な女性の部分を併せ持つサティーン。ラストは、涙なしには見られない王道をいくラブ・ストーリーです。

2001年度アカデミー賞にて主要部門は逃しましたが、「美術賞」「衣装デザイン賞」を受賞しました。それも大納得のきらびやかな世界観を堪能してください。加えると、受賞はしてませんが音楽が素晴らしいです。私のお気に入りは、クリスチャンサティーンのデュエット2曲です。どこかで聴いた事のあるラブ・ソングを上手く繋いだメドレー曲「Elephant Love Medley」と、コッテコテのラブ・ソング「Come What May」。どちらも素晴らしいし、他の曲も全て見事なサントラCDは必聴ですよ!

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2006年1月17日 (火)

インファナル・アフェア

「インファナル・アフェア」
<無間道 INFERNAL AFFAIRS> / 製作:2002年、香港  102分infernal_affairs
監督:アンドリュー・ラウ 出演:アンディ・ラウ、トニー・レオン、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、ケリー・チャン、 エディソン・チャン、ショーン・ユー

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:女の私が入り込む余地のない 『男の世界』 にウットリ。 ストーリーも斬新で、正にハリウッドに誇れるアジアの秀作。

「男には決断すべき時がある。 心に秘める愛がある。」

「日本映画は韓国映画には勝てない」と言われがちですが、本作で香港映画にも敵わないと実感させられました。香港映画の最高傑作とも言えるのではないかしら。

マフィアの幹部ヤン(トニー・レオン)。彼の真の姿は『潜入捜査官』である。
エリート警察官ラウ(アンディ・ラウ)。その正体は実は『マフィア』である。
この二人の男は、18歳の時に『スパイ活動』の任務を負う。二人の人生に同時期に転機が訪れるたのは、全くの偶然だった。お互いの事は全く知らない二人だったが、それぞれ『新しい世界』で上手い具合に周囲に溶け込んでいった。いつの間にか、10年の歳月が過ぎていた。
ある時、マフィアが大きな麻薬取引きを行う事になる。マフィアに潜むヤンの諜報活動により、警察はマフィアの一斉検挙を目論む。一方で、警察に潜むラウが、マフィアへ情報を流して一斉検挙の邪魔をする。結果、マフィアは難を逃れる事ができる。
この一件を通して、マフィアも警察も「内通者が居る」という事実を知る。そして、どちらも『裏切り者』捜しに乗り出していくのだった。

ここで面白い点。本当は『マフィアの人間』であるラウは、<エリート刑事>として着々と名を馳せている。実は『警察の人間』であるヤンは、マフィアのボスから「お前を一番信頼しているぞ」とお墨付きをもらう幹部にまで成り上がっていくのだ
ラウは、『エリート刑事』として悠々自適な生活で、恋人と二人暮らしをしながら『幸せの仮面』を被って飄々と過ごしている。それに比べて、ヤンのマフィア生活は尋常でない程の精神的ストレスを伴うものとなる。精神科に通院する事で、どうにか生きていっているという感じ。

当然の如く、隣の評論家はヤンに感情移入していくのであります!あの、神経衰弱スレスレで疲労困憊した表情と雰囲気を見事に体現しきっているトニー・レオン様が素晴らしいのですわ。私が癒してさしあげたぁーーい!と駆け寄りたい衝動に駆られました。背は小っちゃいけれど、余りのカッコ良さに魅了されまくりでした。『男だねぇーーー』って、またしてもフォーリンラブでした。トニー様が20代の頃に『香港俳優四天王』とチヤホヤされていた時は何とも思わなかったのだけれど。40歳過ぎた今だからこそ出せる、トニー様流『男の色気』ってヤツをキャッチしまくりでしたわ。

話を戻して、肝心のストーリーですが。マフィアのボスが警察の上層部の人間を暗殺しろと部下に命じる辺りから、スリリング度が倍率ドン・更に倍になって進行していきます。命を狙われるのは、ヤンと内通してマフィアの情報を得ている唯一の刑事なのです。

果たして、ヤンはどうするのか? そして、怒涛のクライマックス。 ヤン VS ラウの直接対決へとパワフルに展開していくのだが...。

最初から最後まで、全く目が離せません。有り得ないくらいの面白さ!どこを取っても完璧でございます。
この作品は三部作で、全て日本でも公開済みですね。隣の評論家的には、本作で止めておいても良かったかなぁなんて感じました。2&3も練りに練られて面白いのですが、本作を鑑賞後の衝撃は超えられませんでした。 ハリウッドでリメイクするそーですが。(マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン主演) 一見、期待できそうですが、もう止めて欲しいですな。ハリウッドはリメイクや続編ばかりで斬新さに欠け過ぎて面白くも何ともないぞーー! 新しいアイディアで勝負してこいよ!

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2006年1月14日 (土)

交渉人

「交渉人」
<THE NEGOTIATOR> / 製作:1998年、アメリカ  139分negotiator
監督:F・ゲイリー・グレイ 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ケビン・スペイシー、デヴィッド・モース、ジョン・スペンサー、ポール・ジアマッティ

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:休憩を入れてる場合じゃない、ハラハラどきどきの139分。心理戦でここまで緊張感をキープできるなんて素晴らし過ぎる!

「交渉人。それは犯人説得のプロ。」

『踊るシリーズ』のスピンオフ・ムービー「交渉人 真下正義」の大ヒットが記憶に新しいので、今でこそ「交渉人」という職業は日本でも知名度が上がったみたいですが。私は、この作品にて「交渉人」という『犯人説得のプロ』が居る事を知りました。『犯罪大国』と呼ばれてしまうアメリカでは、メジャーな職業なんでしょうね。引き出しの小っちゃい隣の評論家は、昔の刑事ドラマで『おやっさん刑事』が拡声器を片手に「犯人に告ぐー!田舎のお母さんが泣いてるぞー!」と説得しているイメージしか浮かべられませんでした。

本作の舞台はシカゴ警察。『人質交渉人№1』として活躍しているローマン(サミュエル・L・ジャクソン)は、ある日、何者かの罠にはめられて『殺人と横領』の罪に問われる。勿論、全く身に覚えがない。破滅を予感したローマンは、何と人質を取って警察ビルに立てこもるという思い切った行動に出る。同僚達の技術・性格を知り尽くしている『交渉人のプロ』であるローマンを、説得できる人間などシカゴ警察には一人も居ない。「誰も信用できない」と判断したローマンは、自ら『交渉人』役を指定する。選ばれたのは、西地区で活躍する名交渉人・セイビアン(ケビン・スペイシー)だった。ここから、初対面であるはずの2人の『交渉合戦』が幕を開ける。拳で殴り合うのではなく、相手の考えを読み解き冷静で的確な言葉を投げ合う。この『頭脳戦』がとてもスリリングで、片時も目を離せない。果たして、ローマンを陥れた黒幕は一体誰なのか?

ラストへ向けて、怒涛の展開が繰り広げられるので、退屈している暇なんか全くありません。休憩ナシで一気に見る事が出来る作品です。「交渉人」VS「交渉人」というストーリーも新しい発想だと思うし、ハラハラ・どきどきしっ放しの演出もベリー・グッド!

そして、何よりも主演の2人がとてもいいんですよ。サミュエル・L・ジャクソンが演じたローマンは、『交渉のプロ』であるのと同時に『体育会系の熱ーい男』といった感じでした。眼光鋭く鼻の穴は全開で、ハメられた苛立ちと正体のわからない黒幕への怒りが沸々と伝わってきます。あの迫力!下積みの長かったサミュエルならではの表現力なのだと思いました。ケビン・スペイシーが演じたセイビアンは、同じ交渉人でも少し違った印象です。常に冷静沈着で、感情的になる事がない無表情な男。まるで、汗を一滴もかかなそうな人間離れしたクールさを持ち合わせている。そんな雰囲気が伝わってきました。この好対照な俳優さんを起用した事が、成功の一因であると言えるのではないかしら。

ローマンセイビアンの奥さん等、女性も少しだけ顔を出しているのですが。隣の評論家は、彼女達の顔を思い浮かべる事ができません。この作品もやはり、隣の評論家が愛して止まない『男の美学』を描いた傑作だという事ですわ。本当に素晴らしいと思いました。

あ、今思い出しましたので補足です。ローマンが立てこもった時の人質の中にポール・ジアマッティ(関連記事はこちら)の姿がありました。「人に歴史あり」ですね。

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2006年1月10日 (火)

グラディエーター

「グラディエーター」
<GLADIATOR> / 製作:2000年、アメリカ  155分gladiator2
監督:リドリー・スコット 出演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン、オリバー・リード、リチャード・ハリス、ジャイモン・フンスー

隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5★満点 gladiator1  
一言コメント:古代ローマの世界観を見事に再現した圧巻の映像美。静かに語られる『男の闘い』が胸を熱くする1本。個人的には、音楽も大変気に入っております。

第73回アカデミー賞5部門受賞:
作品賞、主演男優賞(ラッセル・クロウ)、衣装デザイン賞、音響賞、視覚効果賞

こちらも、やたらと男気溢れる『体育会系作品』ではありますが。好きだねぇー、ホント。

舞台は、西暦180年の大ローマ帝国。将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、マルクス皇帝(リチャード・ハリス)からの信頼も厚く、「次期皇帝」の座を約束される。しかし、野心家である皇帝の実子・コモドゥス(ホアキン・フェニックス)がそれを許すはずもなかった。マキシマスを妬んだコモドゥスは、実の父である皇帝を殺害してマキシマスに罪をなすりつける。更には、マキシマスの妻子をも殺害させて、自分はまんまと新皇帝の座に就く。コモドゥスの策略により、マキシマス『将軍』から『奴隷』という身分に落とされてしまう。そんな折、新皇帝コモドゥス奴隷剣闘士『グラディエーター』達に死ぬまで闘わせるという競技を開催する。その剣闘士の中には、マキシマスが居て...。

この作品は、古代コロシアムを再現したCGが話題になりました。でも、隣の評論家が何よりも強調しておきたい魅力は、『マキシマスVSコモドゥス』の火花散るにらみ合いです。男の火花がバッチバチ散っています。女の出る幕ナシですね。

マキシマスは、皇帝までも魅了するほどの『カリスマ性』に溢れている。また、将軍としての確かな『統率力』で部下達の信頼も厚い。正に、『男の中の男』と言えるでしょう。そんな彼が、コモドゥスの策略で「地位と名誉と愛する家族」を失ってからの変貌が凄いんですわ。もう失うものは何もない、そんな俺は死んだも同然だとばかりに、まるで生気が無くなってしまう。正に『絶望感』だけで取り合えずは生きているという感じ。特に、奴隷に身を落としてからの目つきは空っぽで、思わず感情移入してしまうのでした。この対比を、ニュージーランド出身の野生児ことラッセル・クロウが見事に体現してくれています。

対するコモドゥスは、冷血漢で野心家で『悪役そのもの』なのだけれど、少しだけ同情もしてしまう。皇帝である父親が血の繋がらないマキシマスばかり可愛がる事への嫉妬と憎悪。その裏には、本当は自分も誰かに愛して欲しいという淋しさを秘めている。実姉・ルッシラ(コニー・ニールセン)への異常とも取れる屈折した愛情。とっても可哀相だと思ってしまいましたわ。演じるホアキン・フェニックスの目がいいんだよね、ムカつきながらもあの青い瞳に吸い込まれそうになってしまうの。ホアキンは、あの亡きイケメン俳優リバー・フェニックスの実弟ですよね。今では色んな映画に出演して活躍しているけれど、ここまで立ち直るのに苦悩の日々を送ったと聞きます。「兄の死を乗り越えた」今があるからこそ、『悪役ではあるけれど哀しい男』を体現できたのだと思います。

もう一人!マキシマスが奴隷に身を落としてから出逢う奴隷・ジュバジャイモン・フンスーが演じております。以前、「2005年に出会った気になる人達」(関連記事はこちら)で紹介しましたが、過去の作品でも存在感を発揮しまくっておりました。出番は少な目ですが、要チェックです。

最後に、この作品の音楽は素晴らしいですよ。アカデミー賞こそ受賞しませんでしたが、隣の評論家の中ではピカイチのサントラCDです。全編「哀切」に満ちているのですが、「闘いのテーマ」といった雰囲気の曲が一杯です。疲労困憊の時や、ヤル気のない時に聴くと、癒される事間違いなしです。こちらもおススメしておきます。

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逃亡者

「逃亡者」
<THE FUGITIVE> / 製作:1993年、アメリカ  131分 fugitive1
監督:アンドリュー・デイビス 出演:ハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーア、ジェローン・クラッペ、ジョー・パントリアーノ

隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5★満点  
一言コメント:ハラハラ・どきどきの追跡劇。何よりも、私をイチコロにしたトミー・リー・ジョーンズのアカデミー賞助演男優賞を受賞した迫力が最大の魅力。

「逃げるキンブル!追うジェラード!」

「かつてないスリルと興奮に包まれ、今、史上最大の逃亡が始まる!!」fugitive2

この作品で、私はトミー・リー・ジョーンズの虜になりました。 この作品以前から彼の存在は知っていたのですが、彼が演じるジェラード連邦保安官の存在感は圧巻でした。「この方、誰なの?」ってハッとした瞬間、今でも記憶に残る鮮烈な出逢いでした。

シカゴの著名な外科医リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)は、富と名声に恵まれて順風満帆の人生を送っていた。ある夜、緊急手術を終えて帰宅すると、家から見知らぬ『片腕の男』が飛び出して行くのを目撃する。慌てて家の中へ入ると、何と妻のヘレンが息絶えていた。そして、キンブルは妻殺しの容疑で逮捕されてしまう。『片腕の男』を見たという主張も空しく、キンブルには死刑判決が下される。州立刑務所へ身柄を移送される途中、護送車が列車と衝突する事故が起きる。かろうじて助かったキンブルは、騒ぎに乗じて脱走を試みる。身の潔白を証明する為に、『片腕の男』を探し出す決意を固めるキンブル。こうして、彼の「逃亡者」としての旅が始まるのだった。一方、キンブルの逃走を察知した官憲は、ジェラード連邦保安官補(トミー・リー・ジョーンズ)を捜査の最前線に配置してキンブルを追跡する。果たして、キンブル『片腕の男』を探し出して真実に行き着く事ができるのだろうか?

事件の真相に辿り着くまでの展開がスリリングで、最後まで飽きさせません。「無実の逃亡者」という設定が観る者を惹きつけて止まないのは想像通りです。逃亡中も幾度となく窮地に立たされるキンブルが、どうにかピンチを切り抜ける度にドキドキします。
「逃亡者」キンブルを演じるのは、ハリソン・フォードです。インディ・ジョーンズ「アクション野郎」ハリソン・フォードです。ビデオ・DVDのタイトルも「ハリソン・フォード 逃亡者」となっています。でも、隣の評論家的には、この作品の主役は「追跡者」ジェラードを演じたトミー・リー・ジョーンズの方ですね!キンブルは逃げ回るシーンばかりでセリフが少ないという理由もあるけれど、あのハリソン・フォードでしょ。とにかく、寡黙なんだよねぇ。対する「追跡者」ジェラード。執拗な程に捜査に躍起になる強烈なキャラクター、ジェラードどう考えてもジェラードの方が印象に残るんですわ。ハリソン・フォードトミー・リー・ジョーンズは、『静と動』という感じで好対照に感じられました。この作品でのハリソン・フォードを食う演技で、トミーおじさんはアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。更に加えると、この映画の後にジェラードを主役にした「追跡者」というスピンオフ・ムービーが作られました!恐るべし、トミーおじさん

ジェラードの最初の登場シーン、キンブルの逃亡が判明した時に「・・・家・鳥小屋・犬小屋、どんな所もしらみつぶしに探しまくれ!!」と命令を下すシーンでフォーリン・ラブでした。熱ーいオヤジにゾッコンでした。「はぁぁぁ!私を専属秘書にしてくださいっ!」とか本気で思いました。「女は引っ込んでろ」と突き放されそうですが。でも、そこがまたイイですよ。やっぱり男は『仕事への情熱』だねぇ!と感じ始めたのは、この頃からなのでした。

更にトミーおじさんのキャリアを簡単に振り返ってみたいと思います。「逃亡者」以前も敵役が多いです。「JFK」ではケビン・コスナーの正義と対峙「沈黙の戦艦」ではアクション俳優スティーブン・セガールさんと対決するテロリスト。脇役・敵役を演じ続けて長い時間をかけて開花した遅咲きの俳優さんです。最近では「メン・イン・ブラック」のコミカル演技も記憶に新しいです。今年は、監督・主演映画「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」の公開が待機してます。コレ、ちょー観たぁぁぁい。

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2006年1月 9日 (月)

アンタッチャブル

「アンタッチャブル」
<THE UNTOUCHABLES> / 製作:1987年、アメリカ  119分 untouchables
監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス、ロバート・デ・ニーロ

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:男の熱い闘い・友情が胸を打つ最高傑作。女性の出る幕なしの『男の美学』にうっとりさせられて、ここから隣の評論家の『体育会系好き』が始まったとも言える記念の1本でもある。

舞台は1930年『禁酒法時代』のシカゴ。『密造酒を始めとする犯罪』『行き過ぎた縄張り争い』で暗躍するギャングの首領アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)は、市民の生活をも脅かしていた。財務省から派遣された特別捜査官のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)は、アル・カポネの逮捕に使命感を燃やし、捜査チームを結成する。初老の熟練警官ジミー・マローン(ショーン・コネリー)、警察学校の優秀な若者ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)、本省から部下のオスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)。たった4人で結成した「チーム」の活躍は、新聞でも大きく取り上げられる。「彼らは『アンタッチャブル(=手が届かない)』だ!」という具合に。そこで、暗黒街の帝王・カポネが黙っている訳もない。当然ながら、嫌がらせを仕掛けてくる。これがまた、「殺せ!」というレベルの冷酷無比なもので、『アンタッチャブル』は危機に瀕していく。アル・カポネとの死闘の行末や、いかに?

ストーリーは至ってわかり易い勧善懲悪ものです。何故コレ程までに隣の評論家を魅了して止まないのでしょうか?一番は、魅力的なキャストにありますね。ケビン・コスナーの色気は、この頃がピークですね。まぁ、正義の味方って主役だからカッコいいのも当然ですが。
また『親父好き』とドヤされそうですが(悪いかよー!)、やっぱりショーン・コネリーの事に触れさせて頂きたいです。ジミー・マローンという熟練警官は、引退を目前に控えて安らかに日々を過ごしていたはずだった。でも、捜査を手伝う決意を固める。そして、エリオット・ネスに的確で頼もしいアドバイスをする。引退目前という年齢までに培った器の大きさ『男の色気』をキャッチしまくりで隣の評論家は目がハート。ショーン・コネリーと言えば、007シリーズのジェームズ・ボンドのイメージが強いと言われがちですがね。あの頃の(う、生まれる前だけど)ギラギラと脂ぎった色気は去り、歳を重ねたからこそ滲み出ている人間味が画面一杯に伝わってきましたよ。ショーン・コネリーが本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞したのも、そんな魅力溢れるキャラクターを体現できていたからではないかしら。
それと、もう一人どうしても触れておきたいのは、敵役アル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロです。この役を演じる為に体重を増やすだけでは飽き足らず、何と髪の毛を抜いたらしいのです!この姿から判断すると、相当な量を抜いたはずなんですわ。この『役者魂』には、頭が下がります。そして、この作品で初めて聞いた言葉は『デ・ニーロ・アプローチ』というものです。役を演じきる為に相当な努力(特に肉体改造的な事)を惜しまない役者の事を『デ・ニーロ・アプローチ』と評するんですわ。そんな言葉を作ってしまう事自体が素晴らしいですよね。デ・ニーロさんの役作りは、勿論見た目だけではありません。アル・カポネという人物が憎たらしくて憎たらしくて!私が殺してやろうかと思ったくらいです!!!ここまで観客を感情移入させた表現力は、さすがデ・ニーロさんですよ。

最後に、ブライアン・デ・パルマ監督の演出の素晴らしさにも触れておきましょう。クライマックスの『駅での対決シーン』は結構有名だと思います。スローモーションを多用して、実際には短い瞬間の出来事を時間をかけてハラハラと追わせてくれました。何度見てもカッコイイんですよー!隣の評論家的には、あのシーンは映画史上に燦然と輝く名シーンの一つです。

『男の美学』を描ききった作品は大好きです。男性諸君、明日からも頑張って!隣の評論家は応援しています。

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2006年1月 8日 (日)

L.A.コンフィデンシャル

「L.A.コンフィデンシャル」
<L.A. Confidential> / 製作:1997年、アメリカ  138分 l
監督:カーティス・ハンソン 出演:ガイ・ピアース、ラッセル・クロウ、ケビン・スペイシー、キム・ベイシンガー、ジェームズ・クロムウェル、ダニー・デビート、デヴィッド・ストラザーン

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:フィルム・ノワールの傑作。文句ナシの満点。劇場に2回足を運んじゃいました。今見ると、豪華なキャストが勢揃いなのも見所の一つと言えるでしょう。

1997年度アカデミー賞と言えば、「タイタニック」が11部門で大量受賞しましたが。11部門中「作品賞」と「監督賞」以外は全ていわゆる技術部門での受賞だったんですよね。決して「タイタニック」を否定している訳ではなくて、隣の評論家的には「タイタニック」の陰で「脚色賞(ブライアン・ヘルゲランド、カーティス・ハンソン)」「助演女優賞(キム・ベイシンガー)」の主要2部門を受賞した「L.A.コンフィデンシャル」の方が印象深いのです。

舞台は1953年末のロサンゼルス。ダウンタウンのカフェで6人の男女が惨殺されるという事件が発生する。そして、ロス市警が捜査に乗り出す。やがて明らかになる、事件の真相とは...?
ストーリーは至ってありふれているようですが、事件の解明に伴って徐々に明らかになっていく様々な事実がスリリングです。原作は、自ら犯罪歴がある『犯罪小説家』ジェームズ・エルロイという方で、アメリカでは有名との事です。(今年も彼の作品「ブラック・ダリア」が公開予定)

捜査が進むにつれて、一癖も二癖もあるキャラクターが次々と登場します。ギャング、街の実力者、ハリウッド・スター、しまいには汚職政治家まで顔を覗かせます。でもね、隣の評論家が一番面白いと思ったキャラクターは捜査に乗り出す刑事達なんですよ。野心家のエド(ガイ・ピアース)は、亡き父親が『殉職した英雄刑事』で、その父親を目標にしつつ警察学校を首席で卒業した超エリート刑事。本来ならば、黙っていても『お偉いさんコース』を歩める人生なのだが、自ら希望して現場職である『刑事課』へ転属してきた男である。元々『刑事課』に所属しているバド(ラッセル・クロウ)は、いわゆる『叩き上げ刑事』で現場職の何たるかをよく理解している。バドは、幼い頃に父親の暴力で母親を亡くすという過去がトラウマとなっており、女子供を虐待する犯罪者を決して許せない。そんな犯罪者が捕まると、取り調べ室でボコボコにしてしまう程に熱い男でもある。まず、「エリート青二才」「熟練デカ」という組み合わせが好対照で魅力的ですわ。そして、もう一人の刑事ジャック(ケビン・スペイシー)。彼は、ロス市警を描いたTVドラマのアドバイザーをしている『スター刑事』である。最初は捜査する気ゼロみたいな雰囲気なんだけれど、徐々に何となく「自分は何故刑事になったのか?」という具合に熱意が蘇り始め、真相に近づいていく。この個性溢れる刑事達のアンサンブルが隣の評論家的には最高に面白かった。

バドは、野性味溢れる逞しさ+マザコンとも取れるスウィートさで、事件を通して出逢った高級娼婦リン(キム・ベイシンガー)と恋におちる。青二才エドは、事件の顛末を知った時、世の中の裏側を見せつけられて少しだけ成長を遂げる。ラストのちょっぴり淋しそうな笑顔が印象に残りました。(隣の評論家的には母性本能をくすぐられたみたいで)

余り多く触れるとネタばれですが、この作品ではロサンゼルスの華やかでキラキラしたイメージの裏では、汚職まみれの汚い輩がはびこっていたのだな!と実感しました。原作者『ジェームズ・エルロイ』その人にしか描けない、極めて事実に近い世界なのかもしれませんね。早いとこDVDを購入して、再度鑑賞しないと!ですわ。

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2006年1月 7日 (土)

羊たちの沈黙

「羊たちの沈黙」
<THE SILENCE OF THE LAMBS> / 製作:1991年、アメリカ  118分 hitsuji1 hitsuji2
監督:ジョナサン・デミ 出演:ジョディー・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン、テッド・レヴィン

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:'91年度アカデミー賞の主要5部門独占受賞(作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚色賞)も納得の「サイコ・スリラー」の最高峰。文句なしの満点。

現在、氾濫している映画ジャンル「サイコ・スリラー」の先駆けとなった1本と言えるでしょう。トマス・ハリス原作の三部作「レッド・ドラゴン」「羊たちの沈黙」「ハンニバル」は、全て映画化されましたが、隣の評論家的には本作が一番素晴らしかったです。

女性を誘拐し、皮を剥いで殺害する連続殺人事件が発生する。捜査を担当するのは、FBI訓練生のクラリス(ジョディ・フォスター)。彼女に協力するのは、何と9人の患者を惨殺して食べたという獄中の凶悪犯にして天才精神科医ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)。事件解決のヒントを得る為に独房に居るハンニバルと対面するクラリス。そして、簡単には答えをくれないハンニバル・レクター博士。独房を出る事を望む博士は、事件解決の糸口を求めるクラリスに知的な駆け引きを仕掛ける。果たして、クラリスは事件の真相に辿り着けるのだろうか?

この作品の要は、何と言ってもクラリスVSハンニバル・レクターの知的攻防戦だと思います。柵越しに続けられる2人の駆け引き。敵とも味方ともつかない立場にいる2人は、次第に内心では尊敬し合っているようなプラトニックな関係にも見えてくる。その部分が知的で繊細な雰囲気を盛り上げて、作品の質を上げているように感じられる。
ジョディー・フォスター演じるFBI訓練生・クラリスが『向上心と知性』に溢れて見えるのも、才女ジョディーならではの自然体演技なのかもしれませんが。何よりも特筆すべきなのは、ハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスの圧巻の存在感ですね。あの表情、話し方、身振り・手振り。不気味で寒気すらしてくるキャラクターを見事に作り上げていました。レクター博士を見ていると、『知性』と『狡猾さ』は表裏一体なんだなぁ...と思わずにはいられなかった。畏怖の念を覚えながらも、その一方でレクター博士に憧れにも似た感情を抱く自分が居たりして。とにかく、魅力溢れるキャラクターで、アカデミー賞を受賞したのは当然の結果だと思います。【ハンニバル・レクター】という役に出会ってからのホプキンス氏の快進撃は目覚ましく、隣の評論家的には『愛するじいさんアクターNo.1』に輝いております。(ちなみに、2位→ジーン・ハックマン、3位→ショーン・コネリーです)

もう一度、強調させて頂きます。
1991年度アカデミー賞作品賞受賞、監督賞受賞:ジョナサン・デミ、主演男優賞受賞:アンソニー・ホプキンス、主演女優賞受賞:ジョディー・フォスター、脚色賞受賞:テッド・タリ

最後に、この作品は隣の評論家的にも思い出深いものである事を加えておきます。公開当初は社会人一年生でした。今より遥かに精神的にも子供だったから、社会人としてまだ馴染めずに毎日が「グッタリ・グタ子さん」でした。遊ぶ余裕なんて、まだ上手に作れませんでした。それでも、この映画だけは公開前から関心が強かったので、公開初日には頑張って早起きして劇場に足を運びました。鑑賞後、期待以上に満足ができたのを今でも鮮明に覚えています。個人的な話ですがね、記念碑的な作品なんですよ。当時は、若さゆえ~♪な発想なのですけど、この映画を観ただけで少しだけ賢くなったつもりになったりしてましたねぇ(笑)。10年以上経った今、改めてもう一度見直したいと思える作品です。

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2006年1月 3日 (火)

ミッシング

「ミッシング」
<THE MISSING> / 製作:2003年、アメリカ  137分missing
監督:ロン・ハワード 出演:トミー・リー・ジョーンズ、ケイト・ブランシェット、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジェナ・ボイド、アーロン・エッカート、ヴァル・キルマー

隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5★満点  
一言コメント:西部劇にサスペンスが上手い具合にブレンドされてる。最近よくあるサイコ・サスペンスより何倍も楽しめる。

「愛は憎しみを超える」

1885年、アメリカ・ニューメキシコ州。荒野の一軒家で医者として生計を立てている女性マギー(ケイト・ブランシェット)。彼女は、2人の娘<反抗的な姉・リリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)としっかり者の妹・ドット(ジェナ・ボイド)>を女手一つで育てていた。マギーに想いを寄せる牧童・ブレイク(アーロン・エッカート)の助けも借りながら平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、20年前に『アパッチ族』との生活を選んで家族を捨てた父親・ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズ)が突然帰ってきた。ジョーンズは自分のした事を後悔しているのだが、マギーは父親を完全拒否するのだった。翌朝、マギーは娘達をブレイクに託して、3人は街へ出掛ける。ところが、いつまで経っても戻らない3人。妹のドットは見つかるが、リリーが何者かにさらわれてしまった事を知るマギー。誘拐犯が『ネイティヴ・アメリカン』だった事が判明し、マギーは不本意ながらも彼らの習性をよく知る父・ジョーンズに協力を依頼する。そして、2人は一緒に追跡を開始するのだった…。

コレは、本当に面白かった。トミー・リー・ジョーンズケイト・ブランシェットも大好きな私は、公開した当初は観に行く気満々でした。ところが、ちょっと目を離したスキに公開が終わっていたんです!何か、2週間くらいしか上映していなかったみたい。何故?客足が悪かったから?主演の2人もアカデミー賞受賞してるし、ロン・ハワード監督だって「ビューティフル・マインド」にて監督賞を始め、主要部門を勝ち獲った方です。面白くないハズがないよね。実際、期待以上に面白くて、劇場に足を運ばなかった事を後悔しました。世間一般的には、この作品の知名度は低いに違いないから、この場を借りて隣の評論家が太鼓判を押しておきますよ。是非、ご覧になってください。

まずは、ニュー・メキシコの広大な大地と澄み切った青空に感銘を受けました。個人的には、建造物よりも山等の『自然』の世界遺産を愛でるのが好きなのでね。(でも、高所恐怖症なんですわ) 以前、旅行先でシカと見届けた『グランド・キャニオン』や『エアーズ・ロック』といった、乾いた土地の美しさを思い出しました。そんな自然の偉大さを背景に、迫りくる犯人『ネイティブ・アメリカン』の狂気に鳥肌が!彼らの親玉がマジナイ師風で、呪いをかけるシーンとかあるんですけど、悪役だから「黒魔術」みたいで怖いんですよ。よくあるホラー映画より何倍も恐ろしいんだわ、コレが。
そんな『敵』に敢然と立ち向かうマギーと父・ジョーンズ。長年ギクシャクしていた関係が、少しずつ和解していく事で、『家族の再生』というドラマも加味してある。トミーおじさんもケイトも大好きだから、多少のひいき目はあるもかもしれないけれど、でもやっぱりこの2人は上手いのよ。もう、感情移入しまくりでした。

お正月から素敵な映画2本に出逢えて本当に嬉しいです。幸先のいいスタートを切れた喜びで、勢い余って記事を作成しました。これからも、今更遅いけどおススメの作品があったら、バンバン紹介していこうと思っております。

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2006年1月 2日 (月)

MUSA-武士-

「MUSA-武士-」
製作:2001年、韓国=中国  133分musa1 musa3
監督:キム・ソンス 出演:チョン・ウソン、チュ・ジンモ、チャン・ツィイー、アン・ソンギ

隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5★満点  
一言コメント:ほ、惚れたっ!見せつけられた『男の美学』に、いきなり満点を捧げちゃいます。

「彼らの使命は『敵の姫』を守ること」

「俺たちは 灰になっても まだ燃える」

およそ600年前、「明(みん)」の策略により流刑にあった「高麗(こうらい)」の使節団がいた。その後の彼らの記録は歴史に記されてはいない。この映画は、歴史の闇に消えた彼らの姿を描いたフィクションである。

舞台は1375年、中国が「元」から「明」へと王朝が変わろうする混沌とした時代。朝鮮半島の「高麗王朝」は和睦のために外交使節団をに送る。ところが、この使節団はスパイ容疑をかけられ、遠くの砂漠に流刑にされてしまう。この砂漠には、荒くれ者の行商隊や元の部隊もいた。高麗の外交使節団の団長・チェ将軍(チュ・ジンモ)は、その中にに捉えられたの王女プヨン(チャン・ツィイー)が居る事を知る。チェ将軍は、プヨン王女を救い出してに送り届ける事で、王朝と和睦を計ろうと考える。副使の奴隷兼護衛にして槍の達人であるヨソル(チョン・ウソン)、歴戦のつわものの下級武士にして弓の名人・チン(アン・ソンギ)。王女プヨンを奪還しようと追撃してくる軍を相手に、男たちの「中国大陸1万キロ横断」の過酷な旅路が幕を開けた...。

使命をまっとうしようと、汗まみれ・泥まみれで闘う男たち。あの熱ーいお姿に、すっかり目がハートになる事受け合いです。隣の評論家は『体育会系』が好きなんだよね、うん。砂漠の合戦シーンも迫力満点で、どうして劇場まで足を運ばなかったのォ!と正月早々後悔しちゃいました。ジャンルは違えど、まるで「ロード・オブ・ザ・リング」にも似た壮大さと感動を味わう事ができました。こりゃ、週末にDVD買いに行かないと!

役者陣も今見ると最高に贅沢ですよね。槍の名人・ヨソルには「私の頭の中の消しゴム」で大ブレイク中のチョン・ウソンが扮します。無口でセリフはとっても少ないのだけれど、強くてカッコいいです。うっとうしいくらいの長髪も徐々に気にならなくなりますよ。運命を握る王女・プヨンには世界が嫉妬する髪でお馴染みの『アジアン・ビューティー』チャン・ツィイーが扮します。気位が高くてワガママなお姫さま。ツンケンしている顎のラインとか、上手いんですわ。元はと言えば、このワガママ姫が「ちょっと王宮を抜け出してみたい」と暴挙に出た事が原因なのですわ。過酷な闘いを目の当たりにして、自分の不甲斐なさに少し落ち込んでいく表情とか見事に体現しておりました。特筆すべきは、チェ将軍を演じたチュ・ジンモの男前っぷりですね。余りにカッコ良くてビックリしますよ。何か反町隆史にソックリでした。常に決断を迫られる若き将軍が、合戦の最中に王女プヨンに心中を吐露するシーンは印象的でした。「私も本当は臆病な人間なんです」みたいなセリフと、闘っている時の「武士として散るぞ」という熱いセリフが対照的で、隣の評論家はイチコロでした。そして、ベテラン武士・チンを演じたアン・ソンギの懐の深い存在感がギュッと締めてくれます。本当に素敵な作品で2006年を開幕できた事に感謝です!

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2005年12月11日 (日)

「隣人13号」

「隣人13号」
 製作:2005年、日本

2005.3.19 試写会¥0にて鑑賞
2005.12.11 DVDディレクターズ・カット版を購入して再三に渡り鑑賞
隣の評論家はいくら?→¥4,000の価値あり / 評価:4.5★/5点満点★

(この記事は、ネタバレを含みます。)

「僕の中に居るもう一人の自分、お前は一体...?」

毎年、大量の数の映画を観ている私です。今年は、7月に入った時点で1~6月を振り返り「2005年度上半期ベスト10」を作ってみました。堂々の第1位に輝いたのが、本作「隣人13号」なんですね。この度、待ちわびていたDVDを購入しました。改めてじっくり鑑賞するにつけ、黙っていられずにPCに向かっているという次第であります。

主人公・村崎十三(小栗旬)は、小学生の時に壮絶なイジメに合っており、10年経った今もその悪夢を吹っ切れていない。トラウマを抱えたままの十三は、イジメの張本人・赤井トール(新井浩文)と同じアパートに引っ越した上に、同じ職場に入る。復讐しようとする十三のもう一つの人格が通称「13号」(中村獅堂)なのだ。つまり、二人の役者が一人の人物を演じ分けているという訳。

まずは、役者が素晴らしい。「13号」は本当に怖いの!赤井トールとの再会で、「13号」が暴れるシーンが増えていく。獅堂さんは佇まいだけで観る者を恐怖のドン底へと落としてくれるのよ。予告編では「この映画を絶対観ないでくれ by 中村獅堂」という字幕が出るけど、私は何回も見ましたよ。十三が自分の中の「13号」という存在に気付き始め、怯えながらも抵抗を試みる。「僕を止めてくれ」という小栗君の苦悶の表情も獅堂さんとは対照的です。加えて、イジメッ子・赤井トールを演じた新井君のふてぶてしさも異彩を放つ。

それと、映像センスが抜群なんです。まずは、オープニングから秀逸なのだ。だだっ広い野原?の真ん中にポツンと小屋がある。中では、全裸の十三が過去のイジメの記憶を思い起こして苦しみもがいている。そこへ半裸の男「13号」が入ってきて十三をパチパチと引っぱたく。この小屋のシーンは、正に「二重人格」の十三の頭の中のイメージなんですね。

果たして、十三の復讐計画の顛末は?
ご覧になった方は、あの抽象的なラストシーンをどう紐解きましたか?
(以下ネタバレです)

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十三の復讐の標的である赤井を追い詰めた「13号」だが、最終的に悪者であるはずの赤井が「悪かった」と謝罪するのだ。復讐を果たす直前に目的が消失してしまったかのような展開。そして、あの小屋に居る十三と「13号」。身動き一つ取れずに固まってしまう「13号」。すると、十三は独りで小屋を出て行くのだった。
場面は変わって、十三と赤井の小学生時代に遡る。イジメの最中に十三が反撃して、赤井はイジメを止めたと思われるシーン。そして、制服を着て中学校へ登校途中といった雰囲気が写される。よく見ると、十三と赤井は他の連中と一緒に学校へ向かっているのだ。そう、イジメは過去のものとなり、友達関係になれたと想像できるのだ。ふと、十三が立ち止まると、そこではアパートの取り壊しをしていた。大人になった彼らが住んでいたアパートである。そして、十三が済んでいた13号室には、亡霊の様に佇む「13号」の姿が映り、いきなり映画が終わる。
このラストシーンは、どこまでが真実なのでしょうか?この作品のラストは、観る人それぞれが想像して理解する類のものなんだと思います。そこで、私の理解はこんな感じです。小学生時代に戻るシーンからは、赤井の謝罪によって復讐心をようやく鎮火する事ができた十三なりの前向きな空想だと思うんです。そして、「13号」とも、ひとまず決別できたという感じ。

とにかく、この映画から私が汲み取った「教え」は、人間誰しも「もう一人の自分」が心の闇に潜んでいるという事。自分自身も含め、明日どうなるかなんて誰にもわからないんです。とにかく、人格破壊しない様に日々コレ修行ですよ。それと、復讐の後には救済なんてないって事だと思います。「復讐」をテーマに取り上げる映画というのは、描写が強烈であればある程、「復讐なんて愚かな行為ですよ」って伝えているんだと思います。

12月もあと半月ですが、「隣人13号」を超える作品に出会う事もなさそうです。つまりは、この作品は私にとって「2005年度No.1」に今から輝いておるっちゅー事ですわ。皆さんも、ご覧あれ!

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