2008年3月 3日 (月)

TATARI タタリ

「TATARI タタリ」
<House On Haunted Hill>/製作:1999年、アメリカ 92分 PG-12指定Tatari
監督:ウィリアム・マローン 出演:ジェフリー・ラッシュ、ファムケ・ヤンセン、テイ・ディクス、アリ・ラーター、ブリジッド・ウィルソン、クリス・カッテン、ピーター・ギャラガー
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点  
一言コメント:ハリウッド発のホラー・ムービーとしては、少し独特の雰囲気が出ていると思います。日本のホラー映画のソレとは違うけど、独特さでは近いものがあると言うか。ホラー映画が苦手な人には、何でこんなに高評価なの?と疑問を持たれそうですが。ホラー映画が好きな人は、試しに見てみて欲しいです。

「呪われた廃墟病棟 一晩生き残れたら一億円」

最近は、余り足を踏み入れないようにしていたのですが。先日、ある新作DVDを購入する為にHMVへ行きました。素通りしないと増えちゃって大変なことになると自覚しているんだけど、やっぱりDVD売り場から離れられませんでした。bearing「2枚以上買うとあーだ、こーだ」と、お得なコーナーが一杯あるんだもん。up我慢するのは止めて、久し振りに旧作を2枚購入することにしました。値段とタイトルを凝視しながら、懐かしい本作のDVDも購入することに。以前、『マスターズ・オブ・ホラー』というアメリカのホラー・ドラマtvを見た時に、とても面白くて気に入ったウィリアム・マローン監督作品。以前、本作をビデオ鑑賞して楽しめたことを思い出したので。購入して、再度見直してみました。ウィリアム・キャッスルの古典「地獄へつゞく部屋」(58)のリメイク作品だそうです。オリジナルは、モノクロです。newmoon

大富豪のプライス(ジェフリー・ラッシュ)は、美しき悪妻エブリン(ファムケ・ヤンセン)の誕生パーティーを開催する。招待された男女5人は、開催地である館を訪れた。そこは呪われていると噂されるバナカット精神病院の隔離棟の跡地だった。ここで一夜を明かせば、一億円の報酬を与えるというプライス。しかし、集まった5名はプライスエブリンが認識していたメンバーと違っていた。不穏なムードに包まれたまま、恐怖の夜が幕を明けた・・・。

集められた5人は、全く面識のない者同士だった。元野球選手のエディーbaseball(テイ・ディクス)、映画プロデューサーのサラmovie(アリ・ラーター)、女優の卵のメリッサvirgo(ブリジッド・ウィルソン)、医師のブラックバーンhospital(ピーター・ギャラガー)、館の管理人であるワトソンeyeglass(クリス・カッテン)。目立ちたがり屋で奇抜なプライスと、金の亡者で夫を殺しかけたことのあるエブリンの仲は最悪だった。thunder2人は、目茶苦茶に招待客を集めたのは、互いの仕業だと疑ってかかる。実は、どちらの仕業でもないのであった。やがて、不可思議な現象が起こり始める。突然、ステンドグラスが割れて破片が落ちてきたり。誰も操作していないはずなのに、入口を始めとする館中のシャッターが閉まってしまう。携帯電話の電波は当然届かず、彼らは完全に閉じ込められてしまうのだった。手分けして出口を探そうと、何人かで迷路のような地下を歩いてみる。真っ暗で湿った地下では、一緒に歩いていてもはぐれてしまうのだった。そして、女性の悲鳴が轟いた後、メリッサが姿を消してしまうのだった。

この館に棲みついた恐怖の実体が、少しずつ明らかになっていく。同時に死体も増えていく、脅威の映像と共に・・・。といった感じのホラー作品なのですが。私は、かなりのお気に入りホラーです。クライマックスに拝めるCG満載の映像は、見慣れているので怖がるというよりも「おおお~っ、すげえー」sign03って感じでしたが。この館で行われていたバナカット精神病院の姿に鳥肌が立ってしまいました。脅威の映像ではなくて、普通に人間が演じているんですけど。怨念めいた独特の雰囲気があり過ぎちゃって、とても怖かったです。shock血がドバドバ流れるといった映像よりも、色合いとか俳優さんたちの表情とか、とても不気味でした。少し書いてしまうと、冒頭とラストに病院で過去に起こっていた場面が入ります。隔離病棟という設定がまた、怖いんですよ。常軌を逸したムードが漂い過ぎています。行方不明になる寸前のメリッサがビデオカメラ片手に地下を彷徨います。ある部屋でカメラを向けると、患者を囲む医師と看護師の姿が映るのですが。実際に、そこには誰もいません。それなのに、映った彼らがこっちをジーッと見ているんですよ。何なの、この場面の怖さったら。cryingプライスが閉じ込められた〈治療ルーム〉も不気味でした。まるで自分がそこに閉じ込めれらてしまったかのような錯覚を起こしました。ジャパニーズ・ホラーで味わう怨念めいた恐怖とは違うようでも、「貞子」や「伽耶子」にどこか近いものがあったような気がして。空気感で怖がったホラー作品といえば、他に『悪魔のいけにえ』や『エルム街の悪夢』があります。ハリウッド作品なんだけど、少しアメリカっぽくない感じがするんですよねsign04。館に集められたのは、何故この面々だったのか。ギリギリ生き延びた2人にも、よく考えると理由があったりなんかして。オチも結構、楽しめました。

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2007年11月25日 (日)

「13 thirteen」を観たぞ!その2

「マスターズ・オブ・ホラー」の第2弾「13 thirteen」公式HP)がDVDリリース前にWOWOWで放送中なので、攻略中で~す。「その1」に続いて、後半戦その2でございます。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「妻の死の価値」 <Right to Die>
監督:ロブ・シュミット 出演:マーティン・ドノヴァン、ジュリア・アンダーソン、コービン・バーンセン
ストーリー:。ドライブ中に事故に遭った夫婦。夫は軽症で助かるが、妻は全身に大火傷を負い昏睡状態に。身体中の皮膚を移植しないと助からないと言われる。安楽死か、延命措置か。選択を迫られた夫の周りで、不可思議な出来事が起こり始める。
評価:3.8★/5.0★
感想:B級ホラーの快作『クライモリ』のロブ・シュミット監督が初参加。『クライモリ』でも潔いくらいに残酷描写を披露した彼が、今回もおぞましいシーンを挿入している。全身大火傷を負った妻の生霊のような存在の強烈さは勿論のこと、終盤に向け夫が取った行動には目を覆ってしまう。実は妻の母の財産に頼っていた夫が、早くから精神的に追いつめられていたと想像する展開なんだけど、ストーリーの面白さは普通かな。ホラー描写の潔さに、高得点を捧げたい。

「ノイズ」 <Sounds Like>
監督:ブラッド・アンダーソン 原作:マイク・オドリスコル 出演:ローラ・マーゴリーズ、クリス・バウアー
ストーリー:ラリーの聴覚は、異常に発達している。6歳の息子が悪性の腫瘍で亡くなる前に、細胞の音を聞いてしまう。それ以来、どんな小さな音でも大きく聞こえてしまう生活が続く。発狂寸前になったラリーの取った行動は・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:ストーリーは、とても興味深いと思う。見るからに神経質そうなラリーの苦悶の表情や、いちいち聞こえてしまう音が些細なものばかりなので面白い展開でもある。でも、個人的にはイマイチまとまっていない印象を受けた。妻も人には見えないはずのものが見えるとエキセントリックな発言をするのが気になったけど。特に、意味深な描写でもなかったみたいだし。血みどろな描写なしで怖がらせるテイストは、面白いけれど。どこか尻すぼみな印象も。

「愛と欲望の毛皮」 <Pelts>
監督:ダリオ・アルジェント 原作:F・ポール・ウィルソン 出演:ミート・ローフ、ジョン・サクソン
ストーリー:毛皮商人のフェルドマンは、ストリッパーのシャンナに夢中。ある日、見事なアライグマの毛を入手する。シャンナの気を引こうと、完璧な毛皮作りに奔走するが、その毛は普通のアライグマの毛ではなく・・・。
評価:4.8★/5.0★
感想:ダリオ・アルジェント監督の過激描写は、進化する一方(汗)。ホラー映画慣れしていたはずなのに、何の気なしに夕食前に見たら気持ち悪くなってしまった・・・。常識で考えてもあり得ない残酷な場面の数々は、作り物だとわかっていても背筋が凍ってしまった。アライグマの姿をした《毛皮作り》の犠牲者たちの呪いなのか、毛皮作りに関わった人達は次々と奇怪な死を遂げる。余りにも奇奇怪怪な方法で、自らの命を絶つ訳だけど。本来は突っ込みを入れるべきあり得なさに、苦笑する余裕も持てませんでした。体調を万全にしてから見てください。

「Vの伝染」 <The V-Word>
監督:アーネスト・ディッカーソン 出演:アージェイ・スミス、ブランデン・ネイドン、マイケル・アイアンサンド、リンダ・ボイド、ジョデル・フェルランド
ストーリー:ゲームに熱中していた少年ケリーとジャスティンは、ふとした口論から肝試しに葬儀場へ死体を見に行く。そこで番をしているはずの従兄弟は見当たらず、気がつくと閉じ込められる。そして、1体の死体がムクッと起き上がり・・・。
評価:3.8★/5.0★
感想:天才子役ジョデルちゃんが出てるとは・・・。少しだけ核心に触れると、ゾンビに噛まれて生まれ変わってしまう悲痛な運命の行く末を描く。ゾンビに襲われた後の視点を描くのも面白い。ゾンビ化していく運命に逆らわずまた別の人を襲うのか、僅かに残された人間としての理性にすがりついて人を襲わないのか。どちらの道を選んでも、その後は更にどういう選択をするのか。ゾンビだなんて目新しくはないけれど、お話自体はとても新鮮に楽しめました。

「グッバイベイビー」 <Pro-Life>
監督:ジョン・カーペンター 出演:ロン・パールマン、マーク・フォイアス、エマニュエル・ヴォージア、ケイトリン・ワックス、チャド・クロウチャク
ストーリー:郊外にある中絶専門の病院に勤める医師2人の車の前に飛び出して来た少女。偶然にも、少女は望まない妊娠をしていた。「中絶して欲しい」と懇願する少女と、なんとしても産ませようとする少女の父親。果たして、少女に何があったのか。
評価:3.5★/5.0★
感想:巨匠ジョン・カーペンター監督の作品としては、どうしても納得のいかない仕上がり。私には何が作りたかったのか伝わらなかった。異形のキャラクターの登場は面白くても意味がわからない。ただ、狂信的な少女の父親を見事な存在感で怪演したロン・パールマンにだけには敬意を表したい。その父の手によって惨たらしい拷問を受けてしまう院長の哀れな姿に、男性陣は吐き気を催すかもしれない。

「言葉なき隣人」 <Family>
監督:ジョン・ランディス 出演:ジョージ・ウェント、メレディス・モンロー、マット・キースラー
ストーリー:閑静な住宅街に引っ越してきた若い夫婦。ある日、酔っ払った末の運転で隣の郵便受けを壊してしまう。素直に謝罪したことで、夫婦と隣人ハロルドの交流が始まるが。このハロルドという巨漢の独身男は、狂気の殺人鬼でもあり・・・。
評価:4.5★/5.0★
感想:これは面白かった!前シリーズではイマイチだったジョン・ランディス監督の改進の1本。まずは、このハロルドという男の異様な生活からスタートするんだけど。明るく軽やかな音楽を聴きながら、地下室である死体を処理している姿が不気味に映し出される。表情もどことなく笑顔だし、処理した後の死体の扱い方も尋常ではないんだけれど。どこか哀れにも見えてしまうから不思議。当然の如く、次第に若い夫婦にも危険が及んでいくんだけど。その結末は予想がつかず、「恐れ入りました」の一言に尽きる。

「ワシントン・コード」 <The Washingtonian>
監督:ピーター・メダック
 原作:ベントレー・リトル 出演:ジョナサン・シェック、ソウル・ルビネック、ダンカン・フレイザー
ストーリー:祖母の死を機に、家族を連れて生家に戻ったマイク。そこは、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの故郷でもあった。ある日、肖像画と一緒に不思議な手紙とスプーンを見つける。その日から、一家は危険に晒されて・・・。
評価:4.3★/5.0★
感想:アメリカ建国の父であるジョージ・ワシントンは何者だったのか?そんなミステリーを脅威のホラータッチで描いていく。人によっては気分が悪くなってしまう作品。原題にある【ワシントニアン】とは一体何なのか?こちらも脅威の展開で不気味に描いていく。余りにも大胆な作品なんだけど、個人的には一番最後のオチはいらないな。恐怖を中和できるように挿入したのかな、生粋のホラーファンには受けないと思うんだけど。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪制覇後記♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

前シリーズと比較すると、エロスが全開という訳でもありませんでした。そこは残念(なのか?むっつりスケベめ!) 今回の13作品を観終えた感想としては、前シリーズでイマイチだった監督の作品が素晴らしく楽しめました。本当はご贔屓にしている名匠の作品には、パワーが感じられないものもありましたがね。まぁ、どんな監督にも波があるだろうし。見る側の私のテンションにも、その時の差があるだろうしね。
ベストというか、どれが一番強烈だったかと振り返ってみると。ダリオ・アルジェント監督『愛と欲望の毛皮』でしょうかね。エロスと恐怖は紙一重といってところを、そこまでしなくてもいいじゃないというレベルで見せつけられた気がします。ダリオ・アルジェント監督は、萎えるということを知らないのかもしれないなぁとも思いました。
来年DVD化されるそうですので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。

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2007年11月 4日 (日)

「13 thirteen」を観たぞ!その1

一部のファンの間では話題沸騰の海外ドラマ「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。13人のホラー映画の旗手がメガホンを取り、それぞれの世界観を披露してくれました。(私の感想はコチラコチラです。)その第2シリーズ「13 thirteen」公式HP)が2008年の1月にDVDリリースされます。スタイルは前シリーズと同じですが、メガホンを取る方は一部変わっております。一足お先にWOWOWで絶賛放映中なので、加入している私は勇み足で攻略中で~す。半分見終わったので、ブログで紹介したいと思います。オープニングも前シリーズと同じものです。私、アレ結構好きなんです。血がポタポタと垂れたり、キューピーちゃんみたいな愛らしいはずの人形がニヤ~ッとほくそ笑んだり。テーマにピッタリの映像が楽しいです。今回も、少しずつ感想を書いてみたいと思います。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「ドリーム・クルーズ」 <Dream Cruise>
監督:鶴田法男 原作:鈴木光司 出演:ダニエル・ギリス、木村佳乃、石橋凌
ストーリー:日本で働く弁護士のジャックは、顧客である資産家の夫妻とクルージングに出る。妻とジャックが不倫関係にあると疑った夫の仕組んだものであったが、海上では不可思議な現象が起こり始める。夫の前妻の失踪の謎が絡んで、船の上では・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:前シリーズでは『インプリント~ぼっけぇ、きょうてぇ~』で三池崇史監督が参加。今回は、『リング0~バースデイ~』 『予言』鶴田法男監督が参戦。正直に言うと、このシリーズの中では少々インパクトに欠ける印象だけど。石橋凌の怪演や、木村佳乃が水浸しになっての熱演は素直に嬉しい。全体的には目立たない作品だけれど、切断された手が動き出す怪奇現象などは斬新さがなくても怖くてよろしい。一番の見どころは、ある女性の幽霊。地獄から響くような呻き声には鳥肌が立った。

「ヴァレリーの誘惑」 <Valerie on the Stairs>
監督:ミック・ギャリス 原作:クライブ・バーカー 出演:タイロン・レイツォ、クララ・グラント、クリストファー・ロイド
ストーリー:デビューしたら出て行く決まりで小説家の卵が集まる不思議なアパート。新しく入ったロブが執筆活動をしていると、ヴァレリーと名乗る美しい女性が裸で姿を現した。やがて、アパートで奇妙な出来事が起こり始める。
評価:4.8★/5.0★
感想:異界に繋がる謎のアパート。かなり現実離れしているけど、この異界が何ともクリエイティブ。『ヘルレイザー』クライブ・バーカーが原作というのに妙に納得。アパートの住人の死に方が尋常ではないので、直視できない人もいるかも。謎の美女ヴァレリーは裸が多くてエロスも満点。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクでお馴染みクリストファー・ロイドが素顔で出演しているのも見どころの一つ。不思議な余韻の残るラストにも、何とも惹かれる。

「男が女を殺すとき」 <The Screwfly Solution>
監督:ジョー・ダンテ 原作:ジェイムス・ティプトリー・Jr.出演:ジェイソン・プリーストリー、エリオット・グールド
ストーリー:アメリカで男性が女性を殺害する事件が多発する。被害者は1,000名以上にも及ぶという異常事態だった。調査の結果、謎のウィルスが検出される。男性が女性に対して性的興奮を感じると殺意に繋がるという信じがたいものだった。一体、誰が何の為に・・・?
評価:4.8★/5.0★
感想:男性の性欲が何たら~という解説に釣られるとガッカリするくらいに社会派な印象。人類繁栄の元であるはずの性欲が、人類を滅亡へ導くかもしれないという怖いお話。でもそこは、斬新でとても面白い。前シリーズでも、『ゾンビの帰郷』というタイトルからは想像できない社会派テイストな作品を見せてくれたジョー・ダンテ監督に、まずは感服しましたの一言。人類を滅亡へと導いた要因は何だったのか、なかなか面白いラストだった。

「アイスクリーム殺人事件」 <We All Scream for Ice Cream>
監督:トム・ホランド 原作:ジョン・ファリス 出演:ウィリアム・フォーサイス、コリン・カニンガム、リー・ターゲセン
ストーリー:レインが故郷に戻った途端、幼なじみ達が1人ずつ謎の死を遂げる。街では子供が夜中に外へ飛び出す。「アイスクリーム売りのトラックを待っている」と言うのだ。レインは、少年時代にピエロの格好でアイスクリームを売っていた男を思い出し・・・。
評価:4.5★/5.0★
感想:アイスクリーム売りの"I scream, You scream."という歌声を聞いて、榊原郁恵の歌を思い出した(笑)。真夜中のアイスクリーム売りというのも、まず思いつかない設定で面白い。子供に売られるアイスクリームは人の形をしていて、食べると親が謎の死を遂げるという展開。アイスクリームのように溶けてしまうのだ。アイスクリームを売る謎のピエロという一見すると子供らしい描写が、恐怖へと転じていく。全体的に、スティーブン・キングの小説を思い出す世界観。

「厄災の街」 <The Damned Thing>
監督:トビー・フーパー 原作:アンブローズ・ビアス 出演:ショーン・パトリック・フラナリー、マリサ・カフラン、テッド・ライミ
ストーリー:幼い頃のトラウマから、自宅に無数の監視カメラを付けるケヴィン。窮屈に感じた妻は息子を連れて家を出ていた。ある日、街で異常な事件が多発する。そう言えば、異様な死に方をした父と同じ年齢に達したケヴィンであるが、怪事件は後を絶たず・・・。
評価:3.8★/5.0★
感想:天下のトビー・フーパー監督作品ということで、私のハードルはとても高いの。街で起こる怪事件の描写は、あり得ないくらいに残酷でこのシリーズとしてはまぁ良し。怪奇現象の元らしき謎の存在と、ケヴィンのトラウマをもう少し丁寧に描いて欲しかったなぁ。原作は長いのかしら、何となく端折って駆け足で展開していくように感じました。トビー・フーパー監督作品は、前シリーズの『ダンス・オブ・ザ・デッド』の方が好き。

「黒猫」 <The Black Cat>
監督:スチュアート・ゴードン 原作:エドガー・アラン・ポー 出演:ジェフリー・コムズ、エリース・レベスク
ストーリー:ポーはなぜ【黒猫】を書かなければならなかったのか?
スランプに陥って酒に溺れる売れない小説家エディの生活は苦しかった。やがて、最愛の妻が重度の結核を患い、飼っていた黒猫に八つ当たりをして危害を加えてしまう。すると、信じられない出来事が起こって・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:主人公のエディとは、つまりエドガー・アラン・ポーのことらしい。この時代の雰囲気や、とても美しい妻など。全体的な雰囲気は、このシリーズに沿っていてなかなかよろしいけど。お話自体は、取り立てて怖くなかったなぁ。個人的には、スチュアート・ゴードン監督には思わず笑ってしまうくらいにあり得ない恐怖描写を楽しんで作り上げて欲しいところ。それと、ネコ大好き女としては。本編での猫の扱いは許しがたい。

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2007年7月10日 (火)

キル・ビル Vol.2

「キル・ビル Vol.2」
<KILL BILL Volume2>/製作:2004年、アメリカ 136分Kill_bill_vol2
監督、脚本:クエンティン・タランティーノ 出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュー、マイケル・パークス、サミュエル・L・ジャクソン
隣の評論家のおススメ指数 4.3★/5点★満点  
一言コメント:『キル・ビル』で残った疑問符を解消させつつ、それぞれの人間関係もクッキリと浮き上がっていきます。本作では、前作のようにアクション・シーンに力を入れずに、ドラマ部分を強調しながら進んでいきます。前作のハチャメチャっぷりが大好きな人には物足りず、ドン引きした人にはグッとくる仕上がりと言えるかも。

「Kill is Love

殺すのか。殺せるのか。殺さないのか。殺せないのか。これでいいのか。

『キル・ビル』では、《復讐リスト5人》の2人の命を奪ったザ・ブライド(ユマ・サーマン)バド(マイケル・マドセン)エル・ドライバー(ダリル・ハンナ)、そして身ごもった子供の父親であり最大の敵でもあるビル(デヴィッド・キャラダイン)。残りの3人の命を奪うべく、テキサスの荒野を突き進むブライド。果たして、彼女の復讐劇の結末は?同時に、過去の映像を交えつつ様々な過去が明らかになっていく。

前作とはうって変わって、今回は全編に渡って《西部劇》にオマージュを捧げたかのような雰囲気で進行していきます。ブライドの《復讐劇》が続いていくのと同時に、彼女の過去も明らかになっていきます。そして、前作では謎のままだったビルの正体もクッキリと浮かび上がっていきます。ビルブライドを育てあげた人物でもあり、また愛し合った相手でもありました。その為、物語は〈ヒューマン・ドラマ〉でもあり〈ラブ・ストーリー〉でもある色合いが濃くなっていきます。前作では《殺人マシーン》の印象が強かったブライドが、一人の女性であることを感じさせる展開でもありました。

ブライドの《復讐リスト》の一人であるバドは、ブライドを集団リンチした後は一線を離れていました。それどころか、酒浸りの日々を送っているようでした。人の命を奪うことに慣れていない訳でもないだろうに、事件の後はどこか怯えて後悔しているようにも見えました。タランティーノ監督の長編デビュー作『レザボア・ドッグス』では狂気の迫力を見せたマイケル・マドセンが、今回はガックリと肩を落としているような雰囲気で【やさぐれ感】 タップリに哀愁を感じさせます。

ブライド【最強の敵】 とも言えるエル・ドライバー。演じたダリル・ハンナの存在感は強烈でした。右目にアイパッチをしている風貌も十分にインパクトがありますが、全身から放たれる〈悪意〉 が凄いです。長身の美女であるダリルは、今まではどちらかと言うと〈おとなしいヒロイン〉というイメージが強かったので。今回のアクの強いキャラクターには、ひっくり返りそうなくらいに驚愕しました。「こんなに憎たらしい悪役は見た事がないと言われるように悪く演じたの」とインタビューで答えていた彼女の気合通り、本来は犯罪者であるはずのブライドを心から応援せずにはいられなかったです。エルブライドの直接対決シーンでは、長身の2人が睨み合う姿が素晴らしく印象に残っています。ドス黒い悪のオーラが全開だったので、気迫ではエルの方が勝っているような気もしてしまいましたが。前作でルーシー・リューが演じたオーレン・イシイと同様に、エルのスピンオフ・ムービーが見たくなる程に引き込まれました。

本作の最大の見せ場は、私にとっては ビルその人でありました。前作を見終えた後、ビルはとんでもない極悪人なんだと勝手に想像を膨らませていたのですが。蓋を開けてみると、初老のナイス・ガイといった雰囲気がとても魅力的でした。ブライドが身ごもっていた子供を、奪って育てていたビル。殺し屋稼業としての恐ろしい一面もありましょうが、父性に溢れた温かい人柄を見て取れました。ブライドへ仕掛けたリンチにしても、殺し屋稼業から足を洗うという裏切り行為への制裁と言うよりは、愛する女性が自分の元を去って別の男性と結婚することへの嫉妬に他ならなかったのではないでしょうか。ブライドの娘を〈人質〉として誘拐した訳ではなくて、心のどこかでブライドの面影を求めていたのではないかしら。無意識に自分の子供かもしれないと父性が働いたのかもしれないし。私は、どうしてもビルを憎みきれませんでした。終盤は、ビルを殺すのを止めて和解して欲しいとすら思いました。復讐を果たしきったブライドが、最後に笑いが止まらないという場面がありましたけど。心の底から大喜びしているように見えても、意識の下では少し後悔しているんじゃないかと想像してしまいました。命を授かった時に、正直にビルに打ち明けて欲しかった。そうすれば、前作での無益な殺生も起こらなかったかもしれないのに。
とまぁ、本当に色々と考え出したら止まりませんでした。今回は、やっぱりヒューマン・ドラマだったなぁ~。

アクション・シーンは抑え目とは言っても、ブライドが修行していた過去の場面は面白かったです。パイ・メイという師範が登場します。演じたゴードン・リューは、前作でもオーレン・イシイの手下で最強の男として活躍していました。白髪の眉毛・口髭がサービス満点で、気になるキャラクターでした。当初は、タランティーノ監督自身が演じようとしていたそうですが。個人的には、それが実現しなくて本当に良かったと思っています(笑)。繰り広げられる数々の必殺技も腰砕けなくらいにシンプルなものでしたけど、私は面白かったので良しとしています。

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2007年7月 8日 (日)

キル・ビル

「キル・ビル」
<KILL BILL>/製作:2003年、アメリカ 108分 R-15指定 Kill_bill2
監督、脚本:クエンティン・タランティーノ 出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ヴィヴィカ・A・フォックス、栗山千明、千葉真一、ジュリー・ドレフュス、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、デヴィッド・キャラダイン
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点Kill_bill_2  
一言コメント:ハチャメチャではあるけれど、タランティーノの映画への愛が一杯詰まった宝石箱のような作品に思えました。好みは別れるでしょうが、私は何度も繰り返して見たくなるようなシーンが多々あります。

「復讐は神が私に与えた運命・・・」

ある結婚式で惨劇が起こる。花嫁〈=ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は、【毒ヘビ暗殺団】という殺し屋の中で最強と言われた女エージェント。この集団から抜け出した彼女は、臨月を迎えていた。ボスであるビル(デヴィッド・キャラダイン)は、裏切った彼女に《4人の刺客》 を差し向けた。酷い死刑を浴びて、頭を銃弾で撃ち抜かれたはずの彼女は、奇跡的に一命をとりとめる。4年後、昏睡状態から目を覚ますブライド。そして、自分だけが助かったことを知るのだが、《4人の刺客》ビルに復讐すると固く心に誓うのだった。

荒唐無稽で現実味ゼロなのは百も承知なんだけれど。私は心から楽しむことができました。舞台が日本へ移るという設定もあるから、私たち日本人から見ると変テコな描写も多々見受けられます。聞くところによると、日本のヤクザ映画が大好きなタランティーノが、彼のお気に入り映画にオマージュを捧げている場面がテンコ盛りだそうです。そう言えば、冒頭に「深作欣二に捧ぐ」 というメッセージを大きく映し出していました。深作欣二監督と言えば、『仁義なき戦い』の生みの親ですもんね。BGMの中に、布袋寅泰が『新・仁義なき戦い』(こちらは阪本順治監督作品)で作った曲が使われていたし。本作でブライドが苦戦する宿敵オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)が白い着物姿で戦う姿は、『修羅雪姫』という作品で梶芽衣子が演じたキャラクターを思いっ切り意識して挿入したらしいです。
喋り出したらそう簡単には止まらないクエンティン・タランティーノ監督。映画の事を熱弁する余り、超ハイテンションな彼を見てると子供っぽい印象も受けるのですが。「映画が大好き」というストレートなアプローチには、どうしたって好感を持ってしまいます。

暗殺リスト BY ザ・ブライド
①オーレン・イシイ (ルーシー・リュー)
②ヴァニータ・グリーン (ヴィヴィカ・A・フォッククス)
③バド     (マイケル・マドセン)
④エル・ドライバー (ダリル・ハンナ)
ビル (デヴィッド・キャラダイン)

この順番に復讐を繰り広げていくザ・ブライド。しかし映画は、入り組んだ順番で展開していきます。まずは、ナイフの名手であるヴァニータ・グリーンへ挑んだ闘いからスタートします。中盤には、オーレン・イシイの壮絶な少女時代をアニメーションで紹介してくれます。現在のオーレン・イシイは、東京のヤクザを牛耳る親分にまで頭角を現していました。『メン・イン・ブラック』の如く、黒いスーツでビシッとキメているチンピラ暗殺集団【クレイジー88】を従え、冷酷に登場するオーレン・イシイKill_bill3
殺意ギラギラで華麗なアクションを繰り広げるザ・ブライドを演じたユマ・サーマンもカッコイイんだけれど。オーレン・イシイを演じたルーシー・リューが最高にキマッテいます。小柄な彼女が和服でビシッとキメている姿、ニコリともしない氷のように冷たい眼差し、日本刀でキビキビと舞う仕草。長身のユマ・サーマンとは対照的なカッコ良さを見せつけてくれました。たどたどしい日本語は、この際大目に見ようじゃありませんか。アニメーションで綴られる彼女の人生も興味深い程に壮絶なものでした。彼女が【悪】として目覚めるまでの経緯は、フィクションとはわかっていても必要以上に魅せられました。本作の《陰の主役》と言っても過言ではないくらいに印象深いキャラクターでした。

オーレン・イシイが率いる黒ずくめの集団【クレイジー88】も面白かったです。女子高生という設定の暗殺者GOGO夕張を演じた栗山千明の鋭利な視線も素晴らしく異彩を放っていました。オーレンの「ヤッチマイナ!」という怒号と共に、ブライド目掛けて突進してくる3人がいました。この内の2人は、北村一輝田中要次です。アッと言う間にブライドに斬られてしまうんだけど、出番は少ないながらに嬉々として演じてくれているのが嬉しかったです。ドラマや映画でも、メインのキャラクターというよりは脇キャラで多数出演している2人に目をつけたタランティーノのこだわりにも感心してしまいましたし。ハチャメチャの中に垣間見えるこだわりを、存分に楽しませて頂きました。血飛沫の舞い方が尋常ではないので、苦手な人にはおススメできませんが。幾分あり得ない斬られ方ばかりなので、現実味が少ない分気にならないかもしれません。

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2007年6月12日 (火)

クイルズ

「クイルズ」
<QUILLS>/製作:2000年、アメリカ 123分 R-15指定Quills
監督:フィリップ・カウフマン 出演:ジェフリー・ラッシュ、ケイト・ウィンスレット、ホアキン・フェニックス、マイケル・ケイン、アメリア・ウォーナー、スティーブン・モイヤー、ジェーン・メネラウス、ビリー・ワイトロー
隣の評論家のおススメ指数 5.0★/5点★満点  
一言コメント:【サディズム】という言葉の語源となった伝説の作家マルキ・ド・サドの壮絶な半生を綴ったフィクション。あんな事やそんな事やエロス満開という訳ではなくて、あくまでもサド侯爵の生き様を雄弁に語る。その生き方からは、何かしらのパワーがひしひしと伝わってくる力作なのだ。

「いまだかつてない淫らな物語を聞かせよう。覚悟なされよ。」

あらすじ : 18世紀末のフランス、ナポレオン政権下。エロスを追及する作家サド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)は、猥褻文書の罪で逮捕される。終いには精神病院に送られてしまうのだが。理事長を務めるクルミエ神父(ホアキン・フェニックス)の温情で執筆する環境は与えられる。サド侯爵の小説は、好奇心旺盛な小間使いマドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)の計らいで、隠密に出版されていた。事実が明るみになり、筆記具を没収されるサド侯爵。書く事を止められない彼の取る行動と、その勢いが彼自身そして周囲の人間に大きく影響を与えていくのだった。

まずは、オープニングから引き込まれました。女の首筋を男の逞しい手が這うシーンが映し出されます。そして、サド侯爵の艶めかしいナレーションが入りますが。その場面の正体は、これから絞首刑になる女の首に体格のいい執行人が縄をかけるところだったのです。ここで、サド侯爵がいかに表現者として秀でているのかが見て取れます。彼の紡ぎ出す異様な愛の物語は、当時は決して許さることのない内容ばかりでした。出版を規制されて、溢れる才能を隠し通さなければならなかったサド侯爵。それでも彼は、隠密に執筆を続けていきます。

やがて精神病院に監禁されて、書く事を禁じられるサド侯爵。それでも彼は、書く事を止めることなどできませんでした。紙を取り上げられれば衣服や部屋の壁に書き、ペンを取り上げられらば指を傷つけて滲み出る血液で書き続けます。思うように執筆できない彼の元、彼の小説の出版を切望する美しき小間使いマドレーヌの協力を得て、物語を語り継ぐ方法を思いつきます。病院患者の耳に文章を語りかけ、伝言ゲームのように繋げていくのです。書き手の役割を担うマドレーヌの元に物語が届く内に、途中で発情した患者が大暴れして事故が発生してしまいます。

この事故を境に、サド侯爵は病院の新しい院長であるコラール博士(マイケル・ケイン)の元へ送られます。このコラール博士という人物がまた凄いのです。サド侯爵が描き出す世界を地でいっているような迫力に溢れたサディスティックなキャラクターなのです。演じたマイケル・ケインと言えば、数々の栄誉を手にしたイギリスの名優の一人です。いつも穏やかで心の広さが一目でわかる人格者の香りプンプンの彼が、本作では出逢ったことのない顔で怪演しています。サディストであるコラール博士【サディズム】を描く人物をサディスティックに糾弾するなんて、何という滑稽な皮肉でありましょうか。事故が発覚した後、怒り狂ったコラール博士が見せる表情には鳥肌が立ちました。サド侯爵に拷問と処罰を施すのですが、その壮絶さには身震いが止まりませんでした。ペンではなく言葉で語り継ごうとしたサド侯爵を「喋れないようにしてやる」と、ある〈お仕置き〉を施します。しかし、サド侯爵は決して諦めようとはしませんでした。彼が最後に選んだ〈表現する手段〉には絶句してしまいましたが、同時に溢れんばかりのパワーを感じずにはいられませんでした。《表現すること》 こそがサド侯爵の生きる意味であり、表現できないという事は彼にとって【死】を意味していたのかもしれません。

サド侯爵を演じたジェフリー・ラッシュの身体を張ったパフォーマンスにも圧倒されましたが。クルミエ神父を演じたホアキン・フェニックスが抜群に良かったです。公開時期が近かった『グラディエーター』の悪漢コモドゥス皇帝の演技でアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていましたが。私としては、本作のクルミエ神父の方が素晴らしかったと思っています。神父という立場にいながら、サド侯爵という人物に何かしら魅力を感じながらも、禁欲を貫こうと抗い苦悩する。クルミエ神父の信仰心も、少しずつ崩れていく様子が見て取れました。ホアキンの潤んだ瞳は、哀しげに苦悩するキャラクターがピタリとはまるのかもしれないと思いました。

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2007年2月10日 (土)

血と骨

「血と骨」
製作:2004年、日本 144分 R-15指定Chitohone
監督:崔洋一 原作:梁石日 出演:ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、國村準、濱田マリ、中村優子、北村一輝、柏原収史、寺島進、伊藤淳史、唯野未歩子、塩見三省
隣の評論家のおススメ指数 4.5★/5点★満点  
一言コメント:こんな壮絶な人生は、見たことがない!書きたい事があり過ぎて、まとめるのに時間がかかってしまいました。主演のビートたけしの生身の迫力が画面から溢れ出てくる秀作です。

「血は母より、骨は父より受け継ぐ。」

その年の各映画賞を賑わせた本作を見たのは、昨年のクリスマス付近でした。余りにも衝撃を受けて、劇場まで足を運ばなかった事を心から後悔しました。気を取り直してDVDを購入し、再度見てから記事にしています。ちなみに、原作は一切読んだことがありません。

1923年、祖国を後に大阪へ渡ってきた金俊平(ビートたけし)。朝鮮人集落での生活は貧しく過酷であったが、蒲鉾工場を立ち上げて成功する。凶暴で強欲な人柄ゆえに、誰もが恐れる存在だった金俊平。工場が上手くいかなくなると、高利貸しに転じて逞しく生きていく。そんな彼の壮絶で迫力満点の人生を描いた作品。

原作は映画を遥かに凌ぐ迫力なのかもしれませんが、これは凄い映画だと思いました。何が凄いって、金俊平という人物は今まで見た事もないくらいの迫力を見せます。困難を困難とも受け取らない迫力、何としても生き抜こうとする迫力。演じたビートたけしの生身の迫力が、真に迫っていて姿勢をピンと伸ばしてしまいました。暴言を吐くだけでは止まらない暴力の数々。「アンタの息子じゃき」と、突然姿を現した息子・武(オダギリジョー)との取っ組み合いの喧嘩も凄まじいけど、妻・英姫(鈴木京香)娘・花子(田畑智子)に加える暴力も直視できない程の迫力がありました。

ビートたけしの迫力も見応え十分だけれど、息子・正雄を演じた新井浩文もいい!
子供の頃から母や姉が苦しめられる姿を見て育った正雄は、当然のように父・俊平を憎むようになります。しかし、運命とは皮肉なもの。スッカリ大人になった正雄俊平にソックリな生き方をするようになるのです。父を憎悪し疎ましく思いながらも、潜在的には父の逞しい生き方を学び取っていたのかもしれません。
それは母・英姫も同じだったかもしれません。別れたいと思いながらも、なかなか離れられないのは、あの逞しさは生き抜く為には必要だという現実もあったかもしれません。花子が父の暴力から逃れたくて嫁いだ男も、蓋を開けてみれば父と変わらない暴力男だった事も皮肉でした。俊平の影から決して逃れられない家族の姿が印象的でした。

俊平は2人の愛人を囲います。という訳で、妻・英姫も含めてレイプに近い濡れ場のシーンもありますが。そこには、自分の分身を少しでも多く残したかったという思いがあったのではないでしょうか。自分自身が生き抜くだけでは決して満足できず、《種》を残すことにも執着しているように見えました。なかなか子を授からない1人目の愛人・清子(中村優子)は、やがて脳腫瘍で倒れてしまいます。全身麻痺と思しき状態で退院してからは、意外にも献身的に世話をする俊平の姿が映し出されます。鬼のようでも情に深い一面があったようです。

2人目の愛人・定子は、清子の世話係として子連れで登場します。演じた濱田マリは、朗らかなイメージが強かったので。吹き替えなしで濡れ場を見せられた時は驚きました。俊平の思惑通り、定子は結果的には4人の子供を産みます。4人目は男の子でしたが、男の子が生まれるまで縛られているようにも見えました。やがて年老いた俊平は倒れて、杖なしでは生活できない身体になります。そうなってからの定子の言動は恐ろしかったです。転んだ俊平を蹴りまくり、「この死に損ないが!」と罵倒しながら杖を取り上げて叩き続けるシーンがありました。スカートの下からチラッと姿を現す膝下ストッキングのラインが、〈もう女は捨てたの〉と言わんばかりの迫力を垣間見せました。

他にも松重豊國村準といったベテラン陣や、北村一輝柏原収史といった若手のキャストが素敵なのですが。本作は何と言っても、俳優・ビートたけしを堪能する映画です。一言では言い表せない存在感を発揮していました。暴力シーンも凄いけど、ボカシ付きとは言え、オールヌードを堂々と披露した点も迫力がありました。濡れ場を演じる勇気は、女優だけのものではないのですね。

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2006年11月19日 (日)

「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その2

「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズを攻略中でぇーす。(関連記事はこちら) 
その1(記事はこちら)に続いて、その2でございます。ストーリーはチラシにあるものを載せております。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」 <Imprint>
監督:三池崇史 出演:工藤夕貴、ビリー・ドラゴ
ストーリー:アメリカ人の文筆家クリスは小桃という女を探して浮島の遊郭を訪れる。彼がそこで出会った不思議な女郎は小桃は自殺したと言い、その経緯を語り始める。それは死と生、現実と妄想が交錯する長く、恐ろしい夜の始まりだった。
評価:4.8★/5.0★
感想:これはもう「三池監督の圧勝!」としか言い様がない。不気味な赤い照明と、恨めしい暗がり。風になびく風車の美しさと、遊女の和服ならではの色気。どこを取っても、鮮烈で魅了されました。加えて、噂の拷問シーンには表現しきれない迫力があり、自宅でひっそりDVD鑑賞していても「ぎょえ~っ」と悲鳴を上げてしまった程です。鋭利な刃物よりも、ジリジリといたぶる針の威力と言ったら。もう、見るのも嫌!惜しいのは、英語のセリフではなくて字幕通りの方言で聞きたかったという事。有名な子守唄までもが英語だったのは、やっぱり不満。

「ディア・ウーマン」 <Deer Woman>
監督:ジョン・ランディス
 出演:ブライアン・ベンベン、ソニヤ・ベネット
ストーリー:謎の連続殺人事件が発生、死体には鹿のヒヅメの跡が残されていた。事件を捜査する刑事は、ネイティブ・アメリカン伝説にある上半身は美女、下半身は鹿のディア・ウーマンの存在を知る。
評価:2.8★/5.0★
感想:危惧していた通り、あかんぜよ。中盤に挿入されるコミカル描写が長すぎて、最早ホラーとは呼べない印象でした。死体の状態をグッチャグチャと気味悪くしたところで、中途半端な仕上がりになるばかり。そもそも、ジョン・ランディス監督は《コメディ畑》の方であって、『ホラーの旗手』と呼ぶべきではない気がしました。

「ゾンビの帰郷」 <Homecoming>
監督:ジョー・ダンテ
 出演:テア・ジル、ジョン・テネイ
ストーリー:全米で戦死した兵士たちの死体が次々とゾンビになって復活。彼らの目的は大統領選挙に投票することだった。ゾンビ・ホラーと政治風刺が融合。
評価:3.8★/5.0★
感想:予想に反して結構気に入りました。ゾンビが戦死した兵士であるという点、舞台が大統領選挙の真っ只中という点。ハチャメチャながらにきっちりと社会風刺が効いていて、とても斬新に思えたんですねー。それでも、個人的には。【ゾンビ】は唸りながらノロノロ動いて素早く襲撃してくるという存在であって欲しいのです。今回の雄弁に主張するゾンビ達には、乗り切れない部分もありました。

「ハンティング」 <Pick Me Up>
監督:ラリー・コーエン
 出演:ファイルーザ・バーク、マイケル・モリアーティ
ストーリー:人里離れた山中で長距離バスが故障し、乗客たちは途方に暮れる。そんな彼らを狙っていたのは、単独行動を好む2人の連続殺人鬼。2人の殺人鬼はやがて互いの存在に気づいて・・・。
評価:4.3★/5.0★
感想:いやぁ、面白かった!ビチャグチャと映像に凝らずにストーリーで楽しませてくれた。結構シンプルだと思うけど、それでいて新しさが見えました。後半、2人の殺人鬼がお互いの存在に敬意を表しながらも火花を散らしていく流れがスリリング。1人はいかにも怪しい爺さんで、もう1人は一見すると爽やかな好青年。最後に狙われるヒロインに、個性的な異彩を放つファイルーザ・バークが登場しているのも嬉しい。(「クラフト」 「DNA」でも個性を発揮していた!)

「ムーンフェイス」 <Incident on and off a Mountain Road>
監督:ドン・コスカレリ
 出演:ブリー・ターナー、アンガす・スクリム
ストーリー:月明かりの山道、ひとり車を走らせていたエレンは急カーブで接触事故を起こしてしまう。車を降りたエレンが遭遇したのは、犠牲者を片手にぶら下げた恐ろしい殺人鬼「ムーンフェイス」だった。
評価:4.0★/5.0★
感想:死体の山など、おぞましい映像も満載。それでいて、どこか幻想的でした。人間とは思えない異形の殺人鬼「ムーンフェイス」が満月を背景にぴょーんと登場するシーンや、死体の骸骨の陥没から月光が差し込むシーンなど。印象深い映像を交えて、美しく逞しいヒロイン・エレンの過去の記憶がフラッシュバックしていく。恐怖も伝わるけれど、どこかミステリアスで切ない雰囲気が素敵でした。

「チョコレート」 <Chocolate>
監督:ミック・ギャリス
 出演:ヘンリー・トーマス、マット・ブルーワー
ストーリー:人工香料調合師ジェイミーは、ある日突然、謎の女性が体験している視覚・音・匂い・感触を共有するようになり、次第に会ったことのない彼女に恋をし始める。だが、やがて彼女の恐るべき正体が明らかに・・・。
評価:3.5★/5.0★
感想:設定はとても興味深くて素晴らしいと思います。正直、尻すぼみなラストだった印象は拭えませんでした。惜しいなぁ...。ある男性がある異性の人生の一部を疑似体験する描写は面白かったです。本来セックスには攻撃的な男性が、女性が絶頂に達する気分を味わうというシーンは(恥)。その辺のポルノよりも官能的に思えて、密度の濃い作品に思えたのです。もう少しアレンジの効いたラストだったなら満点だったー。

「閉ざされた場所」 <Fair Haired Child>
監督:ウィリアム・マローン
 出演:ロリ・ペティ、リンゼイ・パルシファー
ストーリー:何者かに拉致され地下室に監禁された16歳の少女ダラは、同じく監禁されている少年ジョニーと出会う。が、地下室には大量の血と死体の残骸があった。やがて誘拐犯たちの恐るべき正体と目的が明らかになっていく。
評価:4.5★/5.0★
感想:これは面白かった!最初にイメージした雰囲気とは全く違う展開を見せてくれたので、もうブラボーとしか言い様がないですわ。一度騙されながらも、自分なりに想像した事と同じ展開を見せていき。それでも十分に面白いと思ったら、最後の最後で驚愕させられました。多くは語るまい。ウィリアム・マローン監督作品には「TATARI タタリ」がありますね。あれも怖くて面白かったんだよなー。この監督の次なる作品は要チェックです!

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪制覇後記♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

ふぅー、なかなか興味深い企画でございました。
以前『恐怖でアハ体験』とテレビでやってるの見ましたか?もっと前に、『特命リサーチ』でも【怖いもの見たさ】のメカニズムを取り上げていた事もありました。人間には【恐怖】という感情も必要だそうです。
さて、無事に13作品を見終わりました。全体的に、《おっぱい》全開だった印象ですね。見えていなくても《SM描写》があったりなんかして。そこで思ったのは、【ホラー】と【エロス】は紙一重という事なのでしょうかねぇ。
さて、この「マスターズ・オブ・ホラー」の粒より13作品。興味のある方はトライしてみてくださいませねぇ~。

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「マスターズ・オブ・ホラー」を観たぞ!その1

8月末にレンタル開始された「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズ。(関連記事はこちら) レンタル店では今だに〈準新作〉扱いなのですが、ようやく鑑賞を始めました。意気込みタップリだったくせに、動き出すのが遅いんぢゃ~。だってぇ、料金は安めの方がいいし、レンタル店に足を運ぶのも頻繁という訳にもいかないんだもんっ。
前置きはさておき。せっかくですから、簡単にではありますが感想を書いていこうかと思います。(ストーリーはチラシにあるものを載せております) ホラーが観たいぃぃぃ!という人の参考になるかどうかは疑問です(笑)。

※採点基準は、あくまでも【テレビ・ムービー】としてどうだったか という感覚で考えました。テレビという枠だと、きっと規制も激しかったと思うので。劇場公開作品とは、基準を違うところに置いてみました。あくまでも見た順番に紹介していきます。

「世界の終わり」 <Cigarette Burns>
監督:ジョン・カーペンター 出演:ノーマン・リーダス、ウド・キア
ストーリー:赤字映画館を経営するカービーは希少フィルムを蒐集家に売るのが副業。彼は、見た者はみな生気を失うと言われる幻の映画『世界の終わり』のプリントを探す仕事を依頼されるが、その日から奇妙な幻影を見るようになる。
評価:4.3★/5.0★
感想:ビチャッグチャッというグロテスクな映像は控え目だった印象です。物足りない人も居るかもしれませが(笑)、個人的にはストーリーに惹かれました。《幻の映画》というキーワードがいいわよ。一部、日本のホラー作品に似ていますが。主人公が悩まされる幻影に掴みどころがなかったり、登場人物の中にも何だかよくわからいモノも居たり。その不思議な感覚と【映画】そのものがキーとなっている点は好みでした。

「魔女の棲む館」 <Dreams in the Witch House>
監督:スチュアート・ゴードン 出演:エズラ・ゴッデン、ジェイ・ブラズェー
ストーリー:ウォルターは新しい下宿に引越しした日から人間の顔をしたネズミの悪夢に悩まされるようになる。現実と悪夢の境界が失われていく中、ウォルターは自分がネクロノミコンに描かれた異次元への通路を開けてしまったことを知る。
評価:3.5★/5.0★
感想:個人的には、突っ込みどころ満載のホラー作品でした。肝心の魔女が腕力では何だか弱っちかったり。【人面鼠】の登場には爆笑。って、笑ったらダメなのよね。【ネクロノミカン】という禁断の蔵書をよく知らないのですが、少なくとも作品の中では本当に【人面鼠】の絵が載ってたし。愛すべきB級作品といった印象を受けました。嫌いじゃないです。

「愛しのジェニファー」 <Jenifer>
監督:ダリオ・アルジェント 出演:スティーブン・ウェバー、キャリー・アン・フレミング
ストーリー:警察官フランクは何者かに殺される寸前の少女ジェニファーを救うが、彼女は傷跡のある醜悪な顔と完璧な肉体の持ち主で、男たちを虜にして破滅させる魔性の存在だった。何も知らないフランクは彼女を自宅に連れて帰るのだが。
評価:4.3★/5.0★
感想:コレは凄い(汗)、引く人は引いてしまうでしょう。ジェニファーの醜悪な顔も凄いけど、少女と呼ぶには妖艶すぎる肢体と色気にビックリします。大人の男相手に肉欲に耽るシーンでの彼女の動き一つ一つが、あり得ないくらいの《イケナイ魅力》を発していました。時には獣のような鋭い牙で、小動物では飽き足らずに人間をも襲って貪る悪魔のような存在です。よく放送できましたね...(冷汗)、劇場版を作るとしたら・・・と想像するのが恐ろしい作品でした。

「虫おんな」 <Sick Girl>
監督:ラッキー・マッキー 出演:アンジェラ・ベティス、エリン・ブラウン、ジェシ・フルピク
ストーリー:昆虫学者のアイダは自分に好意を寄せてくれる女性と出会い、急速に恋に落ちる。しかし、アイダが研究している珍しい昆虫が恋人の耳から体内に侵入した時から、恐ろしい現象が次々と起こる。
評価:3.3★/5.0★
感想:『虫』という事でクリーチャーものな訳ですが。個人的には余り好きなジャンルではありません。最大の見せ場となるクリーチャーの映像も何だかチープ。いやいや、素晴らしい造詣でもノレなかったに違いないけど。ストーリーは悪くなかったです。主人公の女性が同性愛者であり無類の昆虫好きであるという点は面白い。原題の<Sick Girl>『イカレ女』というタイトルの方が合っていると思います。

「ダンス・オブ・ザ・デッド」 <Dance of the Dead>
監督:トビー・フーパー 出演:ジョナサン・タッカー、ロバート・イングランド
ストーリー:大量虐殺後の世界。わずかな生存者たちが熱狂する娯楽は、ステージ上で踊る死体を見物することだった。厳格な母親に夜の外出を禁じられている少女ペギーもその見物に出かけるが。
評価:4.5★/5.0★
感想:快作の一言。大量虐殺が〈テロ行為〉であるという設定が、多少の現実味を感じてしまい戦慄しました。こんな【世紀末】ならば、生き残りたくないという気もしてくる退廃的な世界にゾッ。B級作品と思わせておいて、私的にはA級の仕上がりでした。異常なショーを営む怪しい男に『エルム街の悪夢』シリーズの《フレディ》でお馴染みロバート・イングランドを持ってくるところも素敵。怪優っぷりを遺憾なく発揮していて、作品の質を上げているように見えました。劇場版で観たい気も...。

「ヘッケルの死霊」 <Haeckel's Tale>
監督:ジョン・マクノートン 出演:デレク・セシル、リーラ・サヴァスタ
ストーリー:19世紀末、フランケンシュタイン博士を目指して死体蘇生を研究する医学生ヘッケル。彼は美貌の人妻に惹かれるが、彼女は今も結婚前に死んだ婚約者を愛し続け、忌まわしい行為に惑溺していた。
評価:3.8★/5.0★
感想:【肉欲】もココまでくると...。かなり異質な世界観に圧倒されました。原作は『ヘルレイザー』のクライヴ・バーカーという点に妙に納得しました。そもそも【蘇生】という現実離れした言葉には、究極のタブーというイメージがあって。「のめり込まないようにしなければ」という私なりの理性がフル稼働した作品でした。蘇った死人のメイクが嘘っぽくて助かりましたが、驚愕のシーンには少し色気も感じる自分が居たりして。嗚呼、何て危険な作品!

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2006年9月19日 (火)

自殺サークル

「自殺サークル」
製作:2002年、日本 99分 R-15指定Jisatsucircle
監督、脚本:園子温 出演:石橋凌、永瀬正敏、麿赤兒、宝生舞、
さとう玉緒、野村貴志、嘉門洋子、ROLLY、余貴美子
隣の評論家のおススメ指数 3.5★/5点★満点  
一言コメント:正確に言うと、とてもじゃないが《おススメ》できない作品。これ程に、とんでもない作品に出逢ったのは初めてかもしれません。その辺の胸の内を書いていきたいと思います。

胸くそ悪くなる映画だっ!!!

この秋に公開される『紀子の食卓』という作品が気になっていたので。『自殺サークル』という作品の続編だと聞いたものだから。未見の私は、予習を兼ねてDVDを借りに行きました。

何とも、全編に渡って 《嫌悪感》 《不快感》 《憤怒》 の嵐となりました。
こんな映画は見た事がありません。何々だ、これはぁーーーっ!!!

夜の新宿駅のプラットホームで、54人の女子高生が手を繋いで投身自殺を図る。現場で発見されたスポーツバックの中から、異様な物が出てくる。200近い切れ端で繋がれたソレの正体は、何と《人間の皮》 であった。しかも、全て別人のモノである事が判明する。黒田刑事(石橋凌)渋沢刑事(永瀬正敏)たちが捜査に乗り出している間にも、次々と【自殺】事件が発生する。やがて、刑事達は自殺者の数をカウントしているかのような怪しいウェブ・サイト の存在を知るが、事態は思わぬ方向へ展開していく。

まずは、冒頭からとんでもない。新宿駅のホームにズラーッと並んだ女子高生54人。
間もなく電車が入ってこようとしていた。違う制服の女子高生達が繋いだ手を揺らして 「いっせーの いっせーの いっせーの せぇっ」 と線路に跳び込む。 辺り一面に血しぶきが舞い、駅は騒然となる。余りにも強烈なインパクトであると同時に、「掴みはOK」とも言える。

ある高校の屋上で無邪気に戯れる高校生たちが映し出される。【女子高生54人投身自殺】の話題になり、軽いノリで「みんなで死んじゃおっかー」と誰かが言い出す。
そして、「いっせーの せぇっ」 と飛び降りてしまう。命の重さを理解できない稚拙な感性に、不快感と共に同情めいた気持ちも沸き起こる。

更に【自殺者】は後を絶たず、刑事たちの捜査は難航する。
この事件のキーと思われるのは、あるウェブ・サイト である。この現代的な手がかりに挑むのは、インターネットが得意とは思えないアナログなオヤジ刑事たち。見ている私以上に《嫌悪感》で一杯だったと思われるオヤジ達に感情移入しつつ、エールを送らずにはいられない。
ウェブ